5月 102009
 

新しいサイト『一般システム学』を、ウィキペディアなどで使われているCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)であるメディアウィキを使って作りました。現在はまだ実験段階で、今年の秋頃から本格的にスタートさせる予定です。正式スタートに先立って、新たにサイトを作る理由を説明します。

image
一般システム学のホームページ。

1. 一般システム学という名称について

新サイトの名称は、「一般システム学」で、英語表記では、“General Systemics”です。ドメインはそのまま“systemicswiki.com”です。この“General Systemics”という名称は、システム論の提唱者、ルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィの名著、『一般システム理論(General System Theory)』の書名に因んだものです。

私は、個別的な議論に関しては、必ずしもベルタランフィと意見を同じくするわけではありませんが、学問分野の壁を越えてシステムの普遍的法則を求めた彼の志には共鳴し、それを受け継ごうとする者であります。とはいっても、フォン・ベルタランフィ以降のシステム論のまとめサイトを作るということではなくて、あくまでも私の独自の理論の形成を目指しています。

ところで、日本語圏では、「システム論」あるいは「システム理論」という呼称はあっても、「システム学」という呼称はありません。英語圏でも、フォン・ベルタランフィに倣って、但し、“system”は可算名詞なので、複数形にして、“Systems Theory”という呼称が一般に採用されています。

「システム学(systemics)」という名称を最初に提唱したのは、著名な科学哲学者、マリオ・ブンゲです。彼は、フォン・ベルタランフィが単数形で語った「一般システム理論」が、実際には複数の理論の集合であることから、これらの諸理論を包括する学としてシステム学という呼称を考案しました。

We shall call systemics this set of theories that focus on the structural characteristics of systems and can therefore cross the largely artificial barriers between disciplines.

諸システムの構造的特徴に焦点を当て、それゆえ、諸学問領域間に立ちはだかる、大概は人為的な障壁を乗り越えることができる諸理論のこの集合をシステム学と呼ぶことにしよう。

英語に限定してのことですが、この新しい呼称には、実用的なメリットもあります。“systemics”は、一単語なので、“systems theory”とは異なって、形容詞“systemical”や副詞“systemically”を簡単に作ることができます。日本語の場合、「システム論」よりも「システム学」の方が、学問として確立された感じがします。

ブンゲの定義から、「一般システム学」の「一般」は不要と思うかもしれませんが、特殊なシステムに関する特殊な諸理論からなる「特殊システム学」が成り立つ可能性もあるので、冗語とはいえないでしょう。

私は、最初“systems-theory.com”というドメインを取ったのですが、いろいろ考えた末、こちらはやめて、“generalsystemics.com”にすることにしました。

2. ブログとウィキ

当サイト『永井俊哉ドットコム』は、ムーバブル・タイプというソフトを用いたブログサイトです。ブログは、時系列データベースによって作られるウェブサイトで、日々起きる出来事にコメントする日記や時事評論に適しているものの、内容的な順番を重視した体系的著作の出版には向いていません。私は、本サイトの書籍編で、本の原稿をブログで公開しましたが、これはブログの本来の使い方ではありません。

『一般システム学』のために使ったメディアウィキは、ムーバブル・タイプと同様にデータベース駆動型のCMSですが、もともと百科事典であるウィキペディア用に開発されたソフトであるため、時系列には束縛されない自由なコンテンツ構成が可能です。ブログ・ソフトがジャーナリズムに適したCMSであるのに対して、ウィキ・ソフトはアカデミズムに適したCMSであると言うことができます。

私は、当サイトで時事評論的な記事を書くこともありますが、私の関心は、言及される時事的な出来事よりも、時事評論が準拠するバックグラウンド・セオリーの方にあります。なぜならば、普遍的なバックグラウンド・セオリーがあれば、それを個別的な事例に適用することは容易であり、したがって、前者の方が後者よりも重要であるからです。

私のライフワークは、自分のシステム学を完成することであり、そして、システム学は、少なくともその完成形においては、それ自体がシステマティックでなければならないと私は考えています。ですから、準備作業はブログでよいとしても、私の学問を集大成するプラットフォームとしては、ブログよりもウィキの方が適しているのではないかと考えるようになった次第です。

ウィキという言葉は、ハワイ語の「速い」に由来し、この名前が示すとおり、ウィキサイト上のどのページも、閲覧用のブラウザだけを使って、即座に編集をすることができます。これに対して、ブログは、時系列データベースですから、いったん投稿した記事を後になってから修正するなどといった作業を前提とした設計になっておらず、そのため修正の手続きが煩瑣で、しかも修正プロセスのログも残されません。この点でも、体系的著作物の作成には、ウィキのほうが優れています。

ウィキ・ソフトのもう一つの大きな特徴は、ウィキペディアが典型的にそうであるように、オンライン上で誰もが編集に参加することができるというところにあります。これは、私のような、個人サイトを作ろうと思っている者にとっては、不必要な特徴ですが、メディアウィキの場合、ノート(Talk)だけ誰もが書き込めるようにして、それにブログのコメントのような役割を持たせるということもできます。

一般システム学には目次がありますが、この目次の順番に従って読む必要はありません。興味のある項目から始めて、サイト内リンクに従って読み進めることもできます。各ページとサイトとの関係をどうするかという問題は、個人と社会の関係がどうあるべきかという問題と同様に、それ自体システム学的な問題ですが、私は、個は個として自立しつつも、全体との関係を持つべきだと考えていますし、サイトの構成もその理念にしたがって行うつもりです。

3. 多言語対応

より多くの人に読んでもらうには、日本語で書くだけでは不十分で、より多くの読者人口を持つ他の言語でも書く必要があります。世界には、日本語以外にどのような有力言語があるかに関しては、前回詳しく考察しました。そして得た結論は、以下の通りです。

世界的に重要な言語には二種類存在して、一つは、科学技術や文化の水準が高くて、学ぶに値するコンテンツが豊富にある言語で、英語、日本語、ドイツ語、フランス語といった先進国の言語は、この点で重要視されています。古典ギリシャ語やラテン語などは、死語であるのにもかかわらず、重要な古典を多くもつという理由だけで、今でも学習者がいるぐらいです。

これに対して、中国語(北京語・簡体字)、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語などは、それが話されている地域のほとんどが発展途上国で、学ぶべき水準の高いコンテンツがほとんどないにもかかわらず、話者人口が多く、今後の経済発展が期待されているがゆえに、重要な言語とみなされ、近年、特にビジネス関係者の間で熱心に学習されています。

このように、何が重要な言語であるかは、評価基準によって変わるものですが、それを承知で、あえて総合的な観点から、独断で重要な言語のランキングを作るなら、1.英語、2.中国語、3.日本語、4.スペイン語、5.ドイツ語、6.フランス語といったところで、これら六カ国語を世界六大言語と呼んでよいかと思います。

『一般システム学』は学術サイトですので、中国語(北京語・簡体字)、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語よりも、英語、日本語、ドイツ語、フランス語を重視します。最初は英語と日本語で書き、時間的余裕があれば、ドイツ語とフランス語に翻訳し、さらに時間的余裕があれば中国語とスペイン語に翻訳したいと思っています。

このページをフォローする
私が書いた本

 返信する

以下のHTML タグと属性が利用できます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

/* ]]> */