素数分布の研究
私の父が、自分のサイトで「素数分布の研究」を公開しました。「半年かけて完成させた独自の試みなのに、誰も見に来てくれない」とぼやいています。そこで、依頼を受けて、これを紹介することにしました。興味のある方は読んでください。なお、この研究に対する質問などは、ここに書いてくれれば、本人が答えてくれます。
1. 解説
素数分布とは自然数Nの中に素数がいくらあるかを表したもので、一般にπ(N)という関数で示されます。これは下の図の通り、階段状のグラフとなり、従来、それを正確に求めるのは極めて難度が高いとされてきましたが、この研究では、それをコンピュータを使わずに、エクセル表で計算できるようにしています。また近似式では、素数定理がありますが、この研究は、簡易補正式で精度を上げることを試みています。また素数間の差が2である双子素数についても、その分布の近似式やπ(N)との関係についても調べています。

2. 目次 (改訂版)
Ⅰ. 素数と分布
Ⅱ. 研究コーナ
関連トピックとして、フォーラムから“永井建哉氏の「素数分布の研究」における Qn/Nの極限値 Rn について”を転載します。
永井建哉氏の「素数分布の研究」における Qn/Nの極限値 Rn について
投稿者:Tani Akinari.投稿日時:2014年2月04日(火) 12:49.
7 Qn/Nの極限値
において、
Qn/Nの極限値 Rn を求める方法として、
漸化式 Rn=(1/pn)*(1-Σ[u=1~n-1]Ru) …… (11)
が挙げてありますが、さらに簡便な方法でRnを求めることが可能です。
以下では、k番目の素数 pk を p(k) というふうに記すことにします。
Rnは漸化式を用いることなく、次のような形で表すことができます。
Rn=(1/p(n))*(1-1/p(1))*(1-1/p(2))*…*(1-1/p(n-1)).
例えば、
R4=(1/7)*(1-1/2)*(1-1/3)*(1-1/5)=4/105,
R5=(1/11)*(1-1/2)*(1-1/3)*(1-1/5)*(1-1/7)=8/385,
R6=(1/13)*(1-1/2)*(1-1/3)*(1-1/5)*(1-1/7)*(1-1/11)=16/1001.
また、漸化式 R(n)=R(n-1)*(p(n-1)-1)/(p(n)) (n>1) が成り立ちます。
以下は、Rn=(1/p(n))*(1-1/p(1))*(1-1/p(2))*…*(1-1/p(n-1)) が成り立つことの証明です。
(証明)
S={p(1),p(2),…,p(n)} とします。
N 以下の正整数であって、なおかつ、S のどの要素でも割り切れないようなものの個数を A[n](N) とします。
A[n](N)は包除原理を使って次のように求めることができます。
A[n](N)
=N-[N/p(1)]-[N/p(2)]- … -[N/p(n)]
+[N/(p(1)*p(2))]-[N/(p(1)*p(3))]+ … +[N/(p(n-1)*p(n))]
-[N/(p(1)*p(2)*p(3)]-[N/(p(1)*p(2)*p(4)]- … -[N/(p(n-2)*p(n-1)*p(n))]
…
…
+((-1)^n)*[N/(p(1)*p(2)*…*p(n)].
ここで、A[n](N)/N の極限 lim[N→∞](A[n](N)/N) を考えます。
lim[N→∞](A[n](N)/N)
=1-1/p(1)-1/p(2)- … -1/p(n)
+1/(p(1)*p(2))-1/(p(1)*p(3))+ … +1/(p(n-1)*p(n))
-1/(p(1)*p(2)*p(3)-1/(p(1)*p(2)*p(4)- … -1/(p(n-2)*p(n-1)*p(n))
…
…
+((-1)^n)*1/(p(1)*p(2)*…*p(n)
=(1-1/p(1))*(1-1/p(2))*…*(1-1/p(n)).
N 以下の正整数であって、なおかつ、S のいずれかの要素で割り切れるようなものの個数は、
N-A[n](N)に等しく、これはまた、Q1(N)+Q2(N)+…+Qn(N)に等しいです。
つまり、
Q1(N)+Q2(N)+…+Qn(N)=N-A[n](N) です。
したがって、
Qn(N)=(N-A[n](N))-(N-A[n-1](N))=A[n-1](N)-A[n](N).
Qn(N)/N の極限 lim[N→∞](Qn(N)/N)は、
lim[N→∞](Qn(N)/N)
=lim[N→∞](A[n-1](N)/N)-lim[N→∞](A[n](N)/N)
=(1-1/p(1))*(1-1/p(2))*…*(1-1/p(n-1)) – (1-1/p(1))*(1-1/p(2))*…*(1-1/p(n))
=(1/p(n))*(1-1/p(1))*(1-1/p(2))*…*(1-1/p(n-1)). (証明終)
Re: 永井建哉氏の「素数分布の研究」における Qn/Nの極限値 Rn について
投稿者:永井建哉.投稿日時:2014年2月05日(水) 00:31.
貴重なご意見ありがとうございます。
提示いただいたRnの式はおっしゃるように、漸化式でなく、直接算出できる簡便な式で私の(11)式より優れていると思います。
またもう一つ提示していただいた漸化式R(n)=R(n-1)*(p(n-1)-1)/(p(n))は私の(11)式からも導きだされることが確認できました(証明略)
ディスカッション
コメント一覧
EXCELはなかなかいいですね。
文字入力、イメージ貼付、計算式のコピー等 WORDで表示できない資料の作成ができますね。
内容は難しくてあまり判りませんが素晴らしいと思います。
ただ、「3.π(x)の計算法ーEXCEL応用編」の文中の
「ただこれらの式は数学的な意味よりコンピュータのプログラム的な性質を帯びてきていることは歪めない。」
の「歪めない。」は「否めない。」ですね。
「-」マイナス記号の半角、全角、長音の混在等、ちょっと見づらいです。
素人なのに指摘すみません。
次はもう少し易しい数学問題をEXCELにしていただければまた拝読いたします。
コメントありがとうございます。ご指摘の点、おっしゃる通りです。「否めない」は早速修正しました。「-」は気付かず無頓着に使っていたようで、失礼しました。これから時間がかかりますが、一つずつチェックして統一するようにしていきます。EXCELを使った他の数学問題についても、検討していくつもりですので、今後もよろしくお願いします。
>「半年かけて完成させた独自の試みなのに、誰も見に来てくれない」とぼやいています。
ホームページを一読しましたが、一般人の私には到底理解できない内容でした。
数学関係の仕事をしている方やその道に進まれる方には大変面白いかもしれません。
もし、一般の人で数学に興味がある方を対象とされるのなら、次のようにするといいと思います。
作戦1:テレビで放送された数学の番組を参考にする。
NHKスペシャル 魔性の難問 ~リーマン予想・天才たちの闘い~
http://www.nhk.or.jp/special/onair/091115.html
作戦2:他の数学者のエッセイを読んで参考にする。
矢野健太郎(数学者)、森毅(京都大学名誉教授)の本を参考にする。
数学への愛が感じられるそうですよ。
作戦3:自分の体験を交えたエッセイ、コラム、数学史の解説も追加する。
とりあえず、今のままではほとんどの方は興味を示さないと思います。
サラ リーマン仮説さん
コメントありがとうございます。入れ違いになっていたかも知れませんが昨日少しでも分かりやすくするため序論を追加し、その中でNHKの放送があった「リーマン予想」も言及しました。もともとは素数に深く興味のある方に新しい切り口をみてもらうのが狙いで作成しました。しかし息子から紹介してもらったからには、多くの一般の方々が対象になるのだから、その人達にも理解してもらえるように変更すべきだったのに配慮が足りなかったと反省しています。これから一般の人たちも楽しめるような内容に変えていきたいと思います。
実際に素数を計算して、実験的に性質を調べていくというのも楽しいかもしれませんね。素数と戯れている感じがしました。存在確率の補正は、リーマン予想の同値命題の
π(n) = li(n) + O(n^(1/2+ε))
を実験的に求めた感じなのでしょうか。
ぴったん さん
コメントありがとうございます。誤差項 li(n)-π(n)は、ご指摘のようなビッグ・オー記法で表わされますが、具体的な値を得る式ではないので、試行錯誤で実験的にその近似式を求めました。