10月 222011
 

フォーラムから“パラノイア型陰謀論者”を転載します。

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投稿者:永井俊哉.投稿日時:2011年10月22日(土) 10:36.

2011年10月6日に、政治資金規正法違反罪で強制起訴された小沢一郎は、初公判での意見陳述で、次のように持論を展開して、検察を批判した。

陸山会事件:小沢元代表初公判 (date) 2011年10月6日 (medium) 毎日新聞 さんが書きました:

西松事件の強制捜査、陸山会事件の強制捜査など、延々と捜査を続けたのは明らかに常軌を逸していたと思います。検察が政治家・小沢一郎個人を標的としたとしか考えられません。政治的、社会的に抹殺することが目的だったと推認できますが、明確な犯罪事実と根拠がないのに特定の政治家を対象に強制捜査をしたのは明らかな国家権力の乱用であり、民主主義国家では到底許されない暴力行為であります。

特に許せないのは国民から何も負託されていない検察・法務官僚が議会制民主政治を踏みにじり、公然と国民の主権を侵害したことであります。一昨年の総選挙の直前、証拠もないのに検察は国家権力を乱用し、野党第1党の代表である私を狙ったのであります。とりわけ2年前の総選挙は本格的な政権交代が十分に予想された特別なものでした。こんな時に、総選挙の行方を左右しかねない権力の行使が許されるなら、日本はもはや民主主義国家とは言えません。

2009年3月に小沢一郎の公設秘書が政治資金規正法違反で逮捕された時、鳩山幹事長(当時)は「国策捜査のような雰囲気がしますよね」と発言し、山岡国対委員長(当時)は「仕組まれた陰謀ですよ」とコメントした。このように、小沢とその支持者たちは、小沢とその秘書に対する捜査や起訴を「国策捜査」「陰謀」と非難してきた。

国策捜査とは、行政が司法に政治的な圧力を加え、無実の人間を有罪にすることで政治的な目的を達成しようとする陰謀的な捜査である。政治家が利己的な動機で司法を動かすことは、権力の濫用にあたり、三権分立の原則に反するのだから、権力者が国策捜査をするべきでないことには異論はない。

もしも小沢とその支持者たちが、当時の与党が国策捜査を行い、司法に対して不当な圧力を加えていると非難するのであるならば、自分たちが権力を掌握した時には、同じようなことはしてはいけないはずである。しかし、2009年9月16日に民主党政権が発足して以来、彼らは、自分たちが批判してきたことを自ら行っているように見える。

民主党は、政権与党となってから、捜査を続ける検察(特捜)に対し、政治主導の名の下に、検察が嫌がる二つの政策を推し進め、検察を牽制した。一つは、2009年のマニフェストにも掲げられていた、ビデオ録画等による取り調べ過程の可視化であり、もう一つは、検事総長人事に対する介入である。

この牽制が功を奏したのか、2010年2月4日に、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の疑いで告発していた小沢を不起訴とした。『週刊朝日』は、この時の検察関係者の感想を次のように伝えている。

やっぱり「小沢不起訴」-「見込み捜査」が残した「醜い汚点」(date) 2010年02月19日 (medium) 週刊朝日 さんが書きました:

語るのは、検察周辺の「関係者」である。

「小沢氏の不起訴決定で、現場は『上に潰された』と息巻いています。『上』というのは、樋渡利秋・検事総長と次期総長候補筆頭格の大林宏・東京高検検事長ラインのこと。かつて総長候補といわれた、大物ヤメ検弁護士が小沢側についたんです。小沢氏と古くから盟友関係にある人物が仲介したと聞いています。『不起訴の代わりに検察人事には手を突っ込まない』ということだというんですね」

別の検察OBも、こんなふうに解説する。

「官僚派の大林さんが言っても現場は『ウン』とは言いませんよ。結局は樋渡さんです。私が聞いているのは、最高検レベルでは次長の伊藤鉄男さんが慎重派で、それに現場の声を受けた積極派の大鶴基成さんが対立し、最終的に樋渡さんから鶴の一声が出たという話です。現場の東京地検では特捜部長の佐久間達哉さんはもちろんですが、次席の谷川恒太さんも検事正の岩村修二さんも、小沢氏本人をやれるという判断でしたから、ああ、『上』で話がついたんだなって思いました」

目下、検察にとっての最大の関心事は、樋渡検事総長の後任を大林氏にきちんとバトンタッチすることだといわれる。それだけに、この“ウラ取引”説が永田町でまことしやかに語られているのだ。」

不起訴決定が決まってから6日後の2010年2月10日に、政府は、官邸主導の人選を実現するための国家公務員制度改革関連法案を国会に提出したが、民間からの検事総長起用を求める者もいた民主党議員の期待に反して、検察庁はその対象から除外された。また、2010年3月17日には、犯罪取り調べの録音・録画のための刑事訴訟法改正案の提出が見送られた。もちろん、言われているような裏取引が本当にあったのかどうかはわからないが、少なくとも結果的には、バーターが成り立った形になっている。

民主党における司法改革の議論は、その後沈静化したが、2010年4月27日に東京第5検察審査会が小沢が不起訴となった件で起訴相当を議決をしてから、再び活発になり、検察審査会の強制起訴制度に批判的な「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」が民主党議員によって結成された。

この議員連盟の事務局長となった辻恵衆議院議員は、野党時代、日歯連闇献金事件で検察が自民党議員を不起訴としたことに対して検察審査会が不起訴不当の議決した時には、検察審査会を評価していたが、小沢に対して起訴相当を議決をしてからは、逆の評価をするようになった。

辻恵は、2010年5月26日に、検察審査会事務局に対し、電話で「審査補助員の選任方法や標準的な審査期間について聞きたい」と言って、衆院議員会館の事務所に来るよう呼びつけ、司法に対する不当な圧力として批判された。辻恵は陰謀論者だが、彼が行ったことは、陰謀論者が批判するような類の権力の濫用であった。

小沢とその支持者たちは、野党時代には、検察の捜査を政府与党の陰謀と言っていた。だが、検察は、民主党が政権をとってからも、小沢の秘書たちによる政治資金規正法違反の捜査の手綱を緩めなかった。このことは、検察の捜査が国策捜査でなかったことを示している。そこで、彼らは、彼らの陰謀論を正当化する新たな権力主体を探した。そして標的となったのが、「第四の権力」とも言われるマスコミだった。

例えば、辻恵は、2010年11月24日に開催された「小沢一郎議員を支援する会」と「日本一新の会」が主催するシンポジウム「検察・メディア・民主党」での講演で、「みのもんた」や「たかじん」などの名を挙げ、小沢グループが、検察による攻撃に加え、マスコミによる攻撃を受けていると発言している。

マスコミ陰謀論は、政治家よりもむしろ小沢を支持するコメンテーターによく見られる。例えば、コラムニストの勝谷誠彦は、マスコミが検察リークを使って小沢のイメージを悪化させるための世論操作をしているというコメントを繰り返しているが、世論操作をしようとしているのは、小沢から金をもらって、小沢を擁護するコメントを続けている株式会社世論社取締役の勝谷の方ではないのか。

たいした根拠もないのに被害妄想的に権力者の陰謀を指弾するパラノイア型陰謀論者は、どこにでもいるものだが、彼らが権力を握ると、これまで非難してきた当の陰謀的な行為を自ら行うことは、一見すると不可解だが、実は自然なことである。なぜなら陰謀論者は、もしも自分が権力者の立場にいるならばどのようなことをするかということを想像して陰謀論を作り上げるからである。そして、陰謀論者が陰謀を口を極めて非難するのは、それだけそのような行為がうらやましいからである。パラノイア型陰謀論者が暴露する陰謀なるものは、たいていの場合、陰謀論者がそう主張するような《隠れた真理》ではなくて、陰謀論者本人の《隠れた心理》なのである。

パラノイアに関する記事

Re: パラノイア型陰謀論者

投稿者:ペンペン.投稿日時:2011年10月30日(日) 06:37.

永井様の主張は正しいとは思いますが、具体例として検察VS小沢一郎の抗争をとりあげるのは不適切といわざるを得ません。
これでは、読者が、「検察が正義で、小沢一郎が悪」と思ってしまいますよ。地検の特別捜査部なんて、正義でも何でもありません。
詳しくは、ネットで「田中良紹」というジャーナリストを検索して、読んでみてください。

Re: パラノイア型陰謀論者

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2011年11月01日(火) 01:28.

ペンペン さんが書きました:

これでは、読者が、「検察が正義で、小沢一郎が悪」と思ってしまいますよ。

もちろん、私は検察が常に正義であるなどと言ってはいません。2010年9月に発覚した大阪地検特捜部主任検事による証拠改竄事件で明らかになったように、検察(この場合は特捜)が、自分たちが作り上げたストーリーを正当化するために証拠を捏造することすらあるのですから、彼らが常に正しいとは限らないことは言うまでもありません。

特捜は、陸山会事件に関して、水谷建設から小沢一郎氏に渡った5000万円が土地購入費4億円の原資に含まれているというストーリーを作っていますが、それだけではマネー・ロンダリングの動機としては不十分です。松田賢弥氏が指摘するように、自由党解党時に行方不明になった政党助成金や岩手めんこいテレビの株が原資になった可能性もあります[Source: 世田谷の私邸に転がる「47億円」 解剖 小沢一郎 (date) 2010年01月30日 (medium) 現代ビジネス (author) 松田賢弥]。購入費の原資については、もっと調べる必要があるでしょう。

特捜が作り上げたストーリーが正しいかどうか、小沢氏が有罪になるかどうかは、本トピックのテーマではありません。特捜が自分たちの意思で捜査をしているのか、それとも誰かの陰謀で捜査しているかが問題です。私はすべての陰謀論が被害妄想的であると考えているのではありませんが、小沢氏とその支持者たちが口にする陰謀論にはその傾向が強いと認識しています。

自民党の陰謀で小沢氏とその秘書に対する捜査が行われたという初期の陰謀論は、最初の投稿で述べたように、明らかに正しくありません。マスコミ(特に地上波テレビ)は、概して民主党に好意的であり、マスコミ陰謀論には無理があります。特捜は、外部の誰かの陰謀で動いたのではなくて、たんに手柄を立てて出世したいという動機で捜査に乗り出したのでしょう。

なお、陸山会事件で有罪になるか無罪になるかということとは無関係に、私は小沢氏を政治家として評価していません。『日本改造計画』で自由主義的な政治理念を掲げながら、小泉後の自民党を批判しなければならない立場に置かれると、国民新党や社民党と連携して、逆の主張をし始めるなど、政治家の命とも言うべき政治理念に一貫性がありません。おそらく、彼にとって、権力を手にすることが目的で、有権者に語る政治理念や政策はそのための手段にすぎないのでしょう。そういう政治家は、クリーンかどうかという以前の段階で支持できません。

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