6月 102012
 

不定積分とは、下端が定数で上端が変数の積分であり、たんに原始関数を求めるだけの原始積分とは区別されるべきである。また、原始積分に含まれる原始積分定数と不定積分の下端が作りだす不定積分定数も区別されるべきである。積分は微分の逆演算とよく言われるが、これは数学的には間違いである。原始関数の集合と非積分関数の集合との対応関係は一対一ではなく、多対一であるから、逆写像の関係は成り立たない。微分と積分は分析と総合の関係にあり、導関数は元の関数の情報の一部しか持たないので、それだけで全体の情報を復元することはできない。

1 : 不定積分に対する従来の説明

不定積分とは何か。これに対する私の答えを出す前に、まずは、従来、不定積分がどのように説明されてきたかを確認しよう。説明の仕方は説明者によってまちまちだが、私が観察するところ、以下のようのものが多い。

不定積分(indefinite integral)とは、微分することで所与の導関数が得られるという条件を満たすすべての関数またはその関数を求めることと定義され、原始積分(primitive integral)とも呼ばれる。また、その関数は、もとの導関数に対して原始関数(primitive function)あるいは、英語圏では、逆導関数(antiderivative)と呼ばれる。これに対して、導関数の方は、積分される関数という意味で、被積分関数と呼ばれる。

定数は微分するとゼロになるので、原始関数を復元する時には、導関数(被積分関数)ではゼロとなっている任意の積分定数 C を加えなければならない。すなわち、被積分関数 f(x) の原始関数を F(x) + C とすると、Eq.1 が成り立つ。

f(x)=\frac{d}{dx}\left (F(x)+C \right ) \Leftrightarrow \int f(x) dx=F(x)+C

原始関数 F(x) + C を微分すると被積分関数 f(x) となり、被積分関数を積分するともとの原始関数となることから、微分と積分は逆演算の関係にあると言われることがある[1]。この逆演算の関係を明示するのが、以下の微分積分学の基本定理(fundamental theorem of calculus)であるというのだ。すなわち、f(x) を閉区間 [a, b] で定義された連続関数とし、F(x) を閉区間 [a, b] で連続で、開区間 (a, b) で微分可能な原始関数とする。この時開区間中のすべての x に対して、

\frac{d}{dx}\int_a^x f(t)dt = f(x)

という式が成り立つ。この基本定理に基づいて、下端が定数(a)で、上端が変数(x)の積分を不定積分と同一視する人もいる[2]。他方で、そうでない人もいて、この点に関しては、解説者によって意見が分かれる。

積分記号を使った原始関数の定義の方法は、その見解の相違に加えて、積分定数を付けるかどうかによって以下の四通りが考えられる。

\int f(x) dx
\int f(x) dx + C
\int_a^x f(x) dx
\int_a^x f(x) dx + C

Eq.5, 6 における下端の a を省略する表記方法もあるが、下端が定数であることには変わりがないので、式としては同じである。

2 : 不定積分と原始積分は区別するべきである

以上のような従来の不定積分の説明に混乱があることは、積分記号を使った原始関数の定義の方法が複数あるところに表れている。もちろん、どれも微分すれば同じ被積分関数になるのだが、どれでもよいということはない。四つあるうち特に問題なのは、Eq.05 で、ウィキペディア日本語版でそのような記述がみられる[3]

Eq.05 の積分を実行すると、

\int_a^x f(t)dt =\left [ F(t)+C \right ]_{a}^{x}=\left ( F(x)+C-(F(a)+C)  \right )=F(x)-F(a)

となるが、ここで -F(a) を積分定数 C とみなせば、たしかに、F(x)+C という形になる。しかし、これでは原始関数のすべてを表せない場合がある。例えば、余弦関数を積分する場合、

\int_a^x cos\theta\,  d\theta =\left [\,  sin\theta+C\,  \right ]_{a}^{x}=sinx-sina

となるが、-sina は、a が何であれ、

-1\leq -sina \leq 1

というように変域が制限されるので、任意の積分定数を表すことはできない。

こうした混乱を防ぐためにも、私は不定積分と原始積分を区別することを提案したい。すなわち、原始積分はたんに原始関数を求めるだけの積分と定義する。

\int _{P}  f(x) dx = F(x) + C

“P”という添え字は、原始積分であることを強調する記号で、もちろん省略してもよい。その場合、Eq.03 の定義と同じになる。

他方で、不定積分を下端が定数で上端が変数の積分と定義しよう。

\int_a^x f(t) dt=\left [ \int _{P}  f(t) dt \right ]_{a}^{x} = \left [F(t) + C  \right ]_{a}^{x}=F(x)-F(a)

下端が変数で上端が定数の積分や両方とも変数の積分も広義の不定積分と呼んでもよいが、微積分学の基本定理(Eq.02)ゆえに狭義の不定積分が最も重要である。

Eq.11 で、変数 x の代わりに定数 b を代入すれば、定積分となる。そこからわかるように、原始積分は不定積分においても定積分においても同様に使われる要素的な積分である。

3 : 積分定数には二種類がある

従来、積分定数と呼ばれてきたものは、原始積分において加えられる定数であるが、これと不定積分の下端が作り出す定数は、概念的に区別されるべきである。そこで、前者を原始積分定数、後者を不定積分定数と名付けることにしよう。原始関数を微分する時、微分によってゼロになるのは原始積分定数であるが、微分積分学の基本定理で、微分によってゼロになるのは不定積分定数で、原始積分定数は、微分する前に相殺されて、ゼロとなっている。

\frac{d}{dx}\int_a^x f(t)dt =\frac{d}{dx} \left [ F(t)+C \right ]_{a}^{x}=\frac{d}{dx}\left ( F(x)+C-(F(a)+C)  \right )=\frac{d}{dx}(F(x)-F(a))=\frac{dF(x)}{dx}= f(x)

二つの積分定数の違いを、グラフで確認しよう。以下の図 Fig.01 は、

\frac{dy}{dx}=x^{2}-x-2

という微分方程式の解を方向場(direction field)として表したもので、三本の解曲線が例示されている。

image
Fig.01. y’=x2-x-2 の方向場と三本の解曲線。[4]

青色のグラフ、茶のグラフ、青緑のグラフの関数は、それぞれ

y=\frac{1}{3}x^{3}-\frac{1}{2}x^{2}-2x+4
y=\frac{1}{3}x^{3}-\frac{1}{2}x^{2}-2x
y=\frac{1}{3}x^{3}-\frac{1}{2}x^{2}-2x-4

で、原始積分定数だけが 4 ずつ異なっている。これに対して、不定積分定数は下端における値で、三本の解曲線では異なる値を取る。しかし、下端を 2、上端を 3 とすると、どの解曲線においてもその区間における積分(赤い線分の長さ)は同じであることが見て取れる。

4 : 不定積分は微分の逆演算ではない

従来の説明でよく見かけるもう一つの間違いは、不定積分あるいは私が定義した意味での原始積分を微分の逆演算とみなすことである。数学における逆演算(inverse operation 逆操作)とは、逆写像(inverse mapping)を行う演算で、したがって、微分と積分が写像と逆写像の関係になっているかどうかが問題となる。

今、f は、集合 X の元を集合 Y の元にマッピングする写像であるとする。

f\colon X \to Y

この写像が全射(surjection)かつ単射(injection)の全単射 (bijection) 、すなわち、X から Y への一対一かつ上への写像であるなら、

f^{-1}\colon Y \to X

という逆写像を持ち、写像と逆写像を合成すると、

(\forall x) \left (x\in X \wedge f^{-1}\left( \, f(x) \, \right) = x  \right )

という全称命題が成り立つ。例えば、f が 0 以外の数による割り算で、f -1 が 0 以外の数による掛け算なら、この全称命題が成り立つので、両者は逆演算の関係にあるということができる。

集合 X を原始関数の集合、集合 Y を被積分関数の集合とすると、f は微分、f -1 は積分に相当する写像ということになる。ある関数を積分してから微分すると元に戻るが、微分してから積分しても元の関数には戻らない。つまり、この全称命題(Eq.19)は成り立たないということである。これは、原始関数の集合と被積分関数の集合とが一対一対応ではなくて、多対一対応であることによる。

一対一対応は情報保存的(information-preserving)であるが、多対一対応は情報喪失的(information-losing)である。被積分関数を積分する時、原始積分なら原始積分定数、すなわち初期値の情報が、不定積分ならそれに加えて不定積分定数、すなわち下端の情報が必要である。これらの情報は、微分の際に失われている。しかし、もしもこれらの情報を得ることができるなら、微分してから積分しても元の関数を復元することができる。

微分と積分は、逆演算の関係にはないものの、分析と総合の一種であり、逆方向の認識作業であるということは言える。微分が全体を要素へと分解するのに対して、積分はそれらを全体へと再統合する。カントの分析判断と総合判断を引き合いに出すまでもなく、総合されたものは分析されたものよりも多くの情報を持つ。一般的に積分が微分よりも難しいのも、前者が後者よりも多くの情報を必要としているからであろう。

積分法は、古代ギリシャにおける取り尽くし法を起源とし、微分法とは独立に開発されたが、面積が未知の図形を面積が既知の要素へと分割することで全体面積の複雑性を縮減しようとする試みは、完全には成功しなかった。昔のシステム論者なら「全体は部分の総和以上である」というホーリズムの命題を唱えてあきらめたかもしれない。しかし、要素還元主義自体が間違っているわけではなく、全体を可視的な部分の総和以上にしている不可視の要素、すなわち関数の確定性を十分利用していなかっただけのことである。

積分の計算は、ジェームズ・グレゴリーアイザック・バローアイザック・ニュートンゴットフリート・ライプニッツが、微分積分学の基本定理を完成させたことで、容易になった。図形の境界線を形成する関数を面積の変化率と認識し、面積をその変化率の蓄積と扱うことで面積計算を可能にしたのである。積分法は、面積のみならず、あらゆる変数と関数値の積の計算に応用されるようになった。微積分学は、全体を要素へと分解し、それらを再び全体へと組み立てるデカルト的な要素還元主義の成功例となったのである。

5 : 参照情報

  1. 微分と積分1 - 岩波講座 現代数学への入門 1 (page) 107 (author) 青本和彦
  2. 微分積分 - 共立講座 21世紀の数学 1 (page) 145 (author) 黒田 成俊
  3. 不定積分 (media) Wikipedia (date) 2012年5月24日 (木) 02:39
  4. Slope field of the equation dy/dx=x^2-x-2
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私が書いた本

  42 コメント

  1. 微積分の根底をさぐる [単行本]
    稲葉 三男 (著)
    のパクリじゃないですか

  2. このページに書いたことは、自分の頭で考えたことであり、私が読んだ文献には書かれていないことです。私は、御紹介いただきました『微積分の根底をさぐる』という本を読んでいないのですが、そこにはどのようなことが書かれているのでしょうか。

    P.S. 修正しておきましたが、URL は直接書き込まずに、アンカータグとして入れてください。

  3. パクリと言われたので、ほんとにそうなのかどうかを確認するために、『微積分の根底をさぐる』を入手して読んでみました。しかし、私がここで論じているのと同じことはどこにも見当たりません。強いて私と近い論調の箇所を引用するならば、以下の箇所でしょうか。

    稲葉 三男. 『微積分の根底をさぐる』. p.131.

    先生たちの話によると,積分を指導するときの導入としては,二つの道,すなわち,微小な量の和の極限(定積分)からはじめるのと,微分の逆としての不定積分(原始関数)からはじめるのとの二つのアプローチかおる.いずれのアプローチをとるかは教育指導上の問題であるという.このごろ高等学校の教科書では,不定積分からはじめるのが多くなってきたようであるが,そのほうがよいものか.

    たしかに,導入のアプローチは教育指導上にとっては重大なことである.理論的に考えると,いずれのアプローチをとってもさしつかえないことであろう.しかし,忘れてならぬことは,積分には微小な量の和の極限という面と微分の逆という面との両者に同じウェイトの重要性かおるということである.いずれか一方の面にのみ没入して,他方の面を無視することがあるならば,致命的な欠陥となるであろう.だから,一方の面からはじまっても,必ず他方の面との関連に論及して,この面についても同様に詳述しなければならない.このような配慮が欠けるならば,教科書および教育指導としては問題であろう.

    稲葉は、不定積分を求めることができない(被積分関数が初等関数ではない)楕円関数のようなケースもあるだから、微分の逆としての不定積分から定積分を導入するという教え方だけでは問題があると言っているのであって、不定積分とは何かに関して本稿で行っているような分析をしているわけではありません。だから、「パクリ」という非難は適切ではありません。

  4. ちょい別の見方

    微分というのは線形演算、つまり線形作用素をかける事と等価である。
    線形作用素は、それが単射でないときには核、kernelを持ちそれは線型空間になる。
    微分作用素の核は定数関数全体である。

    だから、
     dF/dx=f
    は一次方程式
      Diff*F=f
    という事になり、この方程式をみたすFは、
      Diff*G=f
    を満たす特殊解Gを使って、
      G+Kernel(Diff)
    もしくは
      {G+g|g∈Kernel(Diff)}
    で表現される。

    集合から集合への関数で考えれば Diff-1
      Diff-1({f})={G+g|g∈Kernel(Diff)}
    で、一点集合から線形空間への写像って見ることもできるな。

    集合関数的な視点で見れば、不定積分は逆変換と言うことも可能だと思う。

  5. たしかに、集合を要素として扱えば、そういうことも言えるでしょう。

  6. こんにちは。記事を拝読させていただきました。以下の箇所で質問があります。

    「三番目の積分を実行すると、
    \int_a^x f(t)dt =\left [ F(t)+C \right ]_{a}^{x}=\left ( F(x)+C-(F(a)+C)  \right )=F(x)-F(a)
    となるが、ここで -F(a) を積分定数 C とみなせば、たしかに、F(x)+C という形になる。しかし、これでは原始関数のすべてを表せない場合がある。例えば、余弦関数を積分する場合、
    \int_a^x cos\theta\,  d\theta =\left [\,  sin\theta+C\,  \right ]_{a}^{x}=sinx-cosa
    となるが、-cosa は、a が何であれ」

    五行目,sinx-cosaではなくsinx-sinaになりませんか?

  7. 御指摘ありがとうございます。私の不注意で、sina が、cosa になっていたので、三箇所の cosasina に置き換えました。但し、置換しても、他には影響はありません(正弦でも余弦でも値域は同じなので)。

  8. こんにちは。不定積分に興味があったので記事を読みました。

    不定積分S(x):=\int_{a}^{x} f(t) dt と原始関数 F(x)+C の両者を等号記号で結ばれたもの S(x)=F(x)+C を使って不定積分を求める方法を見たとき、まるで不定積分が原始関数を表すものだと思って混乱しながら教科書を見たものです。どうして、等号記号が付くのだろうかと思った次第です。

    不定積分 S(x) と原始関数 F(x)+C の差を表す関数 G(x):=S(x)-(F(x)+C) を考えることで、S(x)=F(x)+C の意味を考えます。dG(x)/dx=0 より G(x) が定数 C0 で表されるので、そのような定数 C0 を求めると C0=G(a)=S(a)-(F(a)+C)=-F(a)-C となって、これにより G(x)=-F(a)-C を得ます。S(x)=F(x)+C のときは G(x)=0 なので、G(x)=0 を満たす C は G(x)=-F(a)-C より C=-F(a) です。よって、S(x)=F(x)-F(a) です。つまり、S(x)=F(x)+C にある C は、任意の数を表すものと言うよりも、C に関する方程式です。

    ただ、S(x)=F(x)+C の表記は混乱を招くところもあるので、積分定数に関して混乱を招かないように Eq.11 のように定義したことは面白いことだと思いました。この場合は、H(x):=\int_{a}^{x} f(t) dt - (F(x)-F(a))  と置いて、恒等的に H(x)=0 になることを示すべく、dH(x)/dx=0 と H(a)=0 を示す必要があります。~続きあり~

  9. 定積分を求めるときに 2 つのアプローチ「微分の逆としての不定積分から定積分」、「微小な量の和の極限から定積分を求める」を書いたのち、「微分と積分の関係」を下に書きます。不定積分が原始関数と同一視されることは、たぶん、後者の定積分を求めるアプローチに関係することだと思います。微分と積分の関係のついては、屁理屈っぽいですが、集合を元として写像を考えることで、微分と積分との間に互いに逆写像の関係にあることが言えます。しかし、これは微分と積分が全単射ではないことを否定するものではありません。

    微分の逆としての不定積分から定積分を求めるならば、不定積分S(x):=\int_{a}^{x} f(t) dt の x による微分 dS(x)/dx=f(x) によって S(x) が f(x) の「原始関数のひとつ」になることから、何らかの定数 C を用いて S(x)=F(x)+C と書き表され、S(a)=F(a)+C から C を求めることで不定積分S(x) が得られるので、S(x) の x のところに定数 b を代入して定積分が得られます。

    微小な量の和の極限から定積分を求めるならば、x_{n, k}:=a+(b-a)k/n とおいて Sn
    (1) S_n:=\sum_{k=0}^{n-1} f(x_{n, k})*(x_{n, k+1}-x_{n, k})
    と置くと Sn\int_{a}^{b} f(t) dt の近似でありその極限は
    (2) lim_{n \to \infty} S_n=\int_{a}^{b} f(t) dt
    ですが、この Sn について
    (3) S_n:={\sum_{k=0}^{n-1} y_{n, k}*(x_{n, k+1}-x_{n, k})}+F(b)-F(a)
    となるように f(x) の原始関数 F(x) ( f(x) の原始関数ならば、なんでもよい) を用いてy_{n, x}
    (4) y_{n, k}:=f(x_{n, k})-(F(x_{n, k+1})-F(x_{n, k}))/(x_{n, k+1}-x_{n, k})
    と定めると、ラグランジュの平均値の定理より(F(x_{n, k+1})-F(x_{n, k}))/(x_{n, k+1}-x_{n, k})=f(\xi_{n, k}) を満たすx_{n, k}<\xi_{n, k}<x_{n, k+1} が存在するためにlim_{n \to \infty} y_{n, k}=lim_{n \to \infty} (f(x_{n, k})-f(\xi_{n, k}))=0 を得て、これによって
    (5) lim_{n \to \infty} \sum_{k=0}^{n-1} y_{n, k}*(x_{n, k+1}-x_{n, k})=0
    を得るので、\int_{a}^{b} f(t) dt を得るべく (1), (2), (3), (5) を使うと \int_{a}^{b} f(t) dt=F(b)-F(a) を得ます:
    (6) \int_{a}^{b} f(t) dt
    =lim_{n \to \infty} S_n
    =lim_{n \to \infty} {\sum_{k=0}^{n-1} y_{n, k}*(x_{n, k+1}-x_{n, k})}+lim_{n \to \infty} (F(b)-F(a)) =F(b)-F(a).

    微分と積分との関係性については、集合を元とする集合
    (7) A:={{F(x)+c : c は任意の定数}}, B:={{f(x)}}
    に対して、写像 φ を集合 A から集合 B への写像として写像 ψ を集合 B から集合 A への写像として、各 U∈A と 各 V∈B に対して
    (8) φ(U):={dG(x)/dx : G(x)∈U}
    (9) ψ(V):={H(x) : dH(x)/dx∈V}
    と定めれば、φ が微分を表す写像で ψ が積分を表す写像で、互いに逆写像の関係にあります。~終わり~

  10. HTMLで読みやすく表示されるように書き換えたので、ご了承ください。なお、上付き文字は、<sup>上付き文字</sup>、下付き文字は、<sub>下付き文字</sub>というようにタグ付けして、上付き文字上付き文字、あるいは、下付き文字下付き文字というように表すことができます。LaTeX で数式を入力するときは、Online LaTeX Equation Editor などで数式のソースコードを作成して、

    <span class="math">$latex ここに数式 &amp;s=1$</span>

    というようにしてくれれば、わかりやすく表示されます。

    ところで、本題ですが、monozuki さんが言っていることは、m2 さんの主張と同じなのでしょうか。

  11. 読みやすく表示されるように書き換えられたこと、および、LaTeX で書かれた数式を HTML で表示したり、上付き文字/下付き文字を表示したりする方法をご紹介されたことに感謝します。LaTeX を用いて数式を表示したかったので、大いに助かります。

    本題のことですが、ご指摘のように、私がこの投稿の最後のところ ((7), (8), (9)) で行った微分と積分との関係についての主張は、m2 さんの主張と同じ主張です。

    違いがあるとすればアプローチの方法で、m2 さんの方は、
    \textsl{Diff}: \{ F(x)+c : \textsl{c is an arbitrary constant.} \}\to \{ f(x)\}\ ,
    \displaystyle  G(x)\mapsto\frac{dG(x)}{dx}
    で定められた写像 Diff に対して、{f(x)} の逆像 Diff-1({f(x)})
    \textsl{Diff}^{-1}(\{ f(x)\} )
    :=\{ G(x)\in\{ F(x)+c : \textsl{c is a arbitrary constant.} :  \textsl{Diff}(G(x))\in\{ f(x) \} \}

    \textsl{Diff}^{-1}(\{ f(x)\})=\{ F(x)+c : \textsl{c is an arbitrary constant.} \}
    のように書き換えられることを示すことで、Diff{-1} によって被積分関数 f(x) のみの集合 {f(x)} から原始関数の集合 F(x)+C:={F(x)+c : c は任意の定数} に写されることが言えるので、この逆像を行う写像 Diff{-1} でもって微分の逆変換が(不定)積分であるものだと主張するもので、一方、私の方は、f(x) の原始関数全体を元に持つ集合 A:={{F(x)+c : c は任意の定数}} と被積分関数 f(x) のみの集合 {f(x)} を元に持つ集合 B:={{f(x)}} との間に、B の元 {f(x)} から A の元 {F(x)+c : c は任意の定数} に写す写像が存在すると言う意味で、微分の逆変換が積分であることを主張するものです。

    ただ、この主張は永井さんの主張を否定するものではありません。と言いますのは、永井さんが定めた写像は私が定めた写像とは異なるもので、次の写像 Diff で定義されたものを使って主張されていると考えられるからです:
    \displaystyle \textsl{Diff}:\{ F(x)+c : \textsl{c is an arbitrary constant.} \}\to \{ f(x) \} ,\
    G(x)\mapsto \frac{dG(x)}{dx}\ .
    この写像に従えば、写像 Diff が多対一対応するために、微分と積分が逆演算の関係になりません。そして、もちろん、微分したのちに積分しても元の関数に戻らないことを否定するものではありません。

    私がこの投稿で微分と積分との関係について言及したのは、f(x) の任意の原始関数 G(x) (=F(x)+c) に対して
    (11) \displaystyle \lim_{y\to x}\ \left\{ f(x)-\frac{G(y)-G(x)}{y-x} \right\} =0
    が成り立つからです。これを用いることで、
    \displaystyle x_{n, k}:=a+\frac{(b-a)k}{n}
    を使った
    \displaystyle \varepsilon_{n, k}:=f(x_{n, k})-\frac{G(x_{n, k+1})-G(x_{n, k})}{x_{n, k+1}-x_{n, k}}
    が (11) より
    \displaystyle \lim_{n\to\infty} \varepsilon_{n, k}=0
    を得て、さらに
    \varepsilon_{n}:=\max\{ |\varepsilon_{n, k}| : 0\leqq k\leqq n-1 \}
    の極限を取ると
    (12) \displaystyle \lim_{n\to\infty} \varepsilon_{n}=0
    が成り立つので、Sn
    \displaystyle S_n:=\sum_{k=0}^{n-1} f(x_{n, k})(x_{n, k+1}-x_{n, k})
    と F(b)-F(a) の差 Sn-(F(b)-F(a)) の絶対値 |Sn-(F(b)-F(a))| が
    (13) |Sn-(F(b)-F(a))|
    \displaystyle =\sum_{k=0}^{n-1} | \varepsilon_{n, k} (x_{n, k+1}-x_{n, k}) |
    \displaystyle =\sum_{k=0}^{n-1} |\varepsilon_{n, k}|(x_{n, k+1}-x_{n, k})
    \displaystyle \leqq  \sum_{k=0}^{n-1} \varepsilon_{n} (x_{n, k+1}-x_{n, k})
    =\varepsilon_{n}(b-a)
    と計算されることにより、(12), (13) により求められる |Sn-(F(b)-F(a))| の極限値
    \displaystyle \lim_{n\to\infty} |Sn-(F(b)-F(a))| = 0
    をもとに Sn-(F(b)-F(a)) の極限値を求めると
    (14) \displaystyle \lim_{n\to\infty} \{ S_{n}-(F(b)-F(a))\} = 0
    だから、Snの極限値
    (15) \displaystyle \lim_{n\to\infty} S_{n}=\int_{a}^{b} f(t)\ dt
    と併せて \int_{a}^{b} f(t)\ dt を (14) と (15) を使って求めると次を得ます:
    (16) \displaystyle \int_{a}^{b} f(t)\ dt
    \displaystyle =\lim_{n\to\infty} S_{n}
    \displaystyle =\lim_{n\to\infty} \{ S_{n}-(F(b)-F(a)) \} + \lim_{n\to\infty} (F(b)-F(a))
    =0+(F(b)-F(a))
    =F(b)-F(a)\ .
    長くなりましたが、f(x) の任意の原始関数 G(x) (=F(x)+c) を使って
    (11) \displaystyle \lim_{y\to x}\ \left\{ f(x)-\frac{G(y)-G(x)}{y-x} \right\} =0
    が成り立つことを使うことにより、
    \displaystyle \int_{a}^{b} f(t)\ dt
    が求められます。これが、私が微分と積分の関係について、m2 さんのように主張した理由です。

    ただ、積分と言えば、下端が定数 a で上端が変数 x の積分 \int_{a}^{x} f(t)\ dt のことを指す考えがあるので、別の言葉を使って微分の逆演算を表す必要があると思いました。積分は難しい…

  12. 私は本文で「下端が変数で上端が定数の積分や両方とも変数の積分も広義の不定積分と呼んでもよい」と書いたのですが、両方とも変数の積分については何も考察しませんでした。

    \int_y^x f(t) dt=\left [ \int _{P}  f(t) dt \right ]_{y}^{x} = \left [F(t) + C  \right ]_{y}^{x}=F(x)-F(y) (Cは任意定数)

    こうした二変数不定積分の場合、monosukiさん的には、

    H(x,y)=\int_{y}^{x} f(t) dt - (F(x)-F(y))

    とおいて、恒等的に H(x,y)=0 になることを示すべく、

    \frac{\partial H(x,y)}{\partial x}=0

    \frac{\partial H(x,y)}{\partial y}=0

    H(a,a)=0

    を示す必要があるということになるのでしょうか。

  13. こんばんは。monosuki です。

    与えられた二変数関数 H(x, y)
    \displaystyle H(x, y):=\int_{y}^{x} f(t)\ dt - (F(x)-F(y))
    が恒等的に H(x, y)=0 であることを示すためには、
    (17) \displaystyle \frac{\partial H(x, y)}{\partial x}=0
    (18) \displaystyle \frac{\partial H(x, y)}{\partial y}=0
    の 2 つに加えて、ある特定の定数 a を用いて、次が成り立つことを示すことが必要だと考えます:
    (19) H(a, a)=0\ .

    a0 を定数として、x0, y0 を共に a0ではない実数とします。H(x0, y0)=0 示します。これらを使って定義された関数 F0(x), G0(y)
    F_{0}(x):=H(x, y_{0})
    G_{0}(y):=H(a_{0}, y)
    の微分 \frac{dF_{0}(x)}{dx}, \frac{dG_{0}(y)}{dy} が (17), (18) より
    \displaystyle \frac{dF_{0}(x)}{dx}=\frac{\partial H(x, y_{0})}{\partial x}=0\ ,
    \displaystyle \frac{dG_{0}(y)}{dy}=\frac{\partial H(a_{0}, y)}{\partial y}=0
    共に 0 になって F0(x), G0(y) が共に定数関数になることが言えるので、
    H(x_{0}, y_{0})=F_{0}(x_{0})=G_{0}(a_{0})=H(a_{0}, y_{0})
    H(a_{0}, a_{0})=G_{0}(a_{0})=G_{0}(y_{0})=H(a_{0}, y_{0})
    によって次を得ます:
    (20)H(x_{0}, y_{0})=H(a_{0}, a_{0}) \ .
    (19) より H(a0, a0)=0 だから、(20) と併せて H(x0, y0)=0 を得ます。なお、x0, y0 のいずれかが a0であったとしても、上と同様にして H(x0, y0)=0 を示すことができます。x0, y0 は任意なので、H(x, y)=0 が成り立ちます。

    今までは、f(x) が任意の実数 x に対して連続であると仮定して H(x, y) を求めたのですが、そうでない場合には、f(x) が連続になるように定義域を狭めて、狭められた定義域から x, y の元を取って H(x, y)=0 になることを示します。

  14. フォローありがとうございます。もう一つ確認したいことは、積分が微分の逆演算というのは、一変数関数について言われることであって、多変数関数については成り立ちませんですよね。実際、重積分では原始関数にあたるものは存在しません。

  15. お役に立てたのなら嬉しく思います。

    確かに、重積分された二変数関数の偏微分しても元の二変数関数には戻らないことがあるので、重積分は原始関数とは言えません。

    実際、二変数関数 f_2 (x_1 , x_2):=1 の重積分 S(x1, x2)
    \displaystyle S(x_1 , x_2 ):=\int_{0}^{x_2} \left( \int_{0}^{x_1} f_2 (t_1 , t_2 ) dt_1\right) dt_2
    の偏微分 \frac{\partial S(x_1 , x_2 )}{\partial x_k} \ (k=1,2) が元の関数 f_2 (x_1 , x_2)=1 に戻りません。何故だとは思ったのですが、多変数関数の積分について、微分される変数以外のところにも依存して積分されたためだと考えます。

  16. それは、不定積分には逆演算が可能でも、定積分には逆演算が不可能という意味でですか。重積分は定積分ですが、一変数関数でも、定積分すると、もはや関数ではありませんから、微分できなくなります。ある形状の図形の面積を求めることはできても、面積から図形の形状を復元することはできません。同様に、ある形状の物体の体積を求めることはできても、体積から物体の形状を復元することはできません。

  17. 結論から申し上げますと、定積分だから逆演算が不可能だと言う意味では述べていないと考えます。多変数関数だと、重積分するときに微分する変数以外に他の変数の影響があるので、偏微分した関数が元の被積分に戻らないことがあると言う主張です。裏返せば、積分と微分との逆演算性は、一変数関数だからこそ言えるところがあるでしょう。

    具体的な二変数関数の重積分の例を挙げることで、一変数関数のようには微分と積分との逆演算性が主張できないことを示します。f(x) を任意の x で連続な関数として、関数 f_{2}(x, y):=f(x) の重積分を考えます。この関数は y に依存せず、x に依存する関数です。
    \displaystyle S_2(x, y):=\int_{0}^{y} \left( \int_{a}^{x} f_{2}(s, t)\ ds \right) dt
    を考えると、F(x) を f(x) の原始関数とすると、次のように表せます:
    S_2(x, y)=(F(x)-F(a))y
    これを x で偏微分して
    \displaystyle  \frac{\partial S_2(x, y)}{\partial x}=f(x)y
    を得ますが、重積分 S_2(x, y) にあるように他の変数 y の影響を受けているので、\frac{\partial S_2(x, y)}{\partial x} もそれに引きずられて元の原始関数にはなりません。これが、一変数関数との違いです。

  18. 微分してから積分する場合を考えてみましょう。xのみを変数として持つ一変数関数をxで微分してから積分する場合、復元できないのは定数だけで、それ以外は復元できます。ところが、xとyを変数とする二変数関数の場合、xで偏微分してから、yで偏微分する時(もしくは逆の順番でも)、定数のみならず、一変数しか含まない項が消えてしまいます。その後、積分する時、一変数しか含まない項を不定関数としてしか復元できないので、逆演算の関係が成り立ちません。積分してから微分する場合も、これと似た現象が起きるということでしょうか。

  19. あぁ、質問の意図を把握しました! 多変数関数を積分したのちに微分(多変数関数を偏微分した関数をさらに別の変数で偏微分して、最終的に、変数ごとに各1回づつ偏微分された関数を求めること。)したら、微分後の積分のように、元の多変数関数に戻らないかどうかですね? 結論から言いますと、元の多変数関数に戻ります。一変数関数の場合と同じです。ただ、多変数関数には不定積分が定義されていないので、一変数関数でしたように、上端が変数で下端が定数の積分を考えます。

    ここでは話を簡単にするため、二変数関数 f(x, y) の場合を考えます。他の多変数関数についても同様です。a, b を定数として、積分を S(x, y) を
    \displaystyle S(x, y):=\int_{b}^{y} \left( \int_{a}^{x} f(s, t)\ ds \right)\ dt
    で定義されるものとして、F(x, y) を
    \displaystyle \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial F(x, y)}{\partial y} \right) =f(x, y)
    を満たす二変数関数とします。S(x, y) を求めると、
    S(x, y)
    \displaystyle =\int_{b}^{y} \left( \int_{a}^{x} f(s, t)\ ds \right)\ dt
    \displaystyle =\int_{b}^{y} \left( \int_{a}^{x} \frac{\partial}{\partial s} \left( \frac{\partial F(s, t)}{\partial t} \right) \ ds \right)\ dt
    \displaystyle =\int_{b}^{y} \left[ \, \frac{\partial F(s, t)}{\partial t} \, \right]_{s=a}^{s=x}\ dt
    \displaystyle =\int_{b}^{y} \left( \frac{\partial F(x, t)}{\partial t} - \frac{\partial F(a, t)}{\partial t} \right)\ dt
    \displaystyle =\left[ \, F(x, t) - F(a, t) \,\right]_{t=b}^{t=y}
    =(F(x, y)-F(a, y))-(F(x, b)-F(a, b))
    =F(x, y)-F(a, y)-F(x, b)+F(a, b)
    ですが、F(a, y) が y のみの関数で F(x, b) が x のみの関数で F(a, b) が定数だから、S(x, y) の微分 \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial S(x, y)}{\partial y} \right) を求めると次を得ます:
    \displaystyle \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial S(x, y)}{\partial y} \right) = f(x, y)\ .

  20. monozuki 投稿: 2018年8月6日 @12:26 AM

    重積分された二変数関数の偏微分しても元の二変数関数には戻らないことがあるので、重積分は原始関数とは言えません。

    この発言と

    monozuki 投稿: 2018年8月9日 @5:56 PM

    多変数関数を積分したのちに微分(多変数関数を偏微分した関数をさらに別の変数で偏微分して、最終的に、変数ごとに各1回づつ偏微分された関数を求めること。)したら、微分後の積分のように、元の多変数関数に戻らないかどうかですね? 結論から言いますと、元の多変数関数に戻ります。

    は、矛盾しているように見えるのですが、何が違うのですか。

  21. 先に、失敗した投稿を削除くださったことに感謝します。

    私が8月6日に書いたこの投稿は、二変数関数を積分することにより生じた関数を『一方向にのみ偏微分』することです(ここでは、S(x_1, x_2) x_1 に関する偏微分 \frac{\partial S(x_1, x_2)}{\partial x_1 } を求めること)。

    これに対して、8月9日に書いたこの投稿は、二変数関数の積分で生じた関数を『一方向に偏微分して生じた二変数関数を、別の方向で偏微分する』(ここでは、S(x, y) の y に関する偏微分 \frac{\partial S(x, y)}{\partial y} を求めたあと、この関数を x に関する偏微分 \frac{\partial S(x, y)}{\partial x \partial y} = \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial S(x, y)}{\partial y} \right) を求めること) です。

    要は、偏微分を 1 回行う偏微分を 2 回行う かの違いですが、これらのことが矛盾を生じさせたようです。

    確認したいのですが、他変数関数における微分とは、例えば f(x, y) の場合なら、その関数の微分は \frac{\partial f(x, y)}{\partial x \partial y} (または、 \frac{\partial f(x, y)}{\partial y \partial x} ) で定義されるものだと8月9日の投稿ではそのように解釈しましたが、これでいいでしょうか。なにぶん、8月6日の投稿では微分を偏微分だと解釈して投稿したものですからねぇ… 定義を確認する必要があると思って訊きました。

  22. 二変数で二回積分した以上、その逆演算としての微分も二変数で二回行うことは当然と考え、「二変数関数 f_2 (x_1 , x_2):=1 の重積分 S(x1, x2) \displaystyle S(x_1 , x_2 ):=\int_{0}^{x_2} \left( \int_{0}^{x_1} f_2 (t_1 , t_2 ) dt_1\right) dt_2 の偏微分 \frac{\partial S(x_1 , x_2 )}{\partial x_k} \ (k=1,2) が元の関数 f_2 (x_1 , x_2)=1 に戻りません」の「k=1,2」は「1または2」ではなくて「1かつ2」と解釈しました。それで、元の関数に戻らないのは、「不定積分には逆演算が可能でも、定積分には逆演算が不可能という意味でですか」と聞いた次第です。

  23. 久々の投稿です。

    一変数関数を一回積分して微分を一回したように、二変数関数を二回積分した以上、逆演算として、偏微分を二回行うべきだとする主張を持つことを理解しました。二変数関数の二階微分なら、8月9日の投稿にあります。8月6日の投稿ではありません。

    ともかく、混乱が生じたのは主に微分に対する認識なので、改めて、元となった8月5日に投稿された永井さんの主張に対して、私が投稿した8月9日の主張を元に、永井さんが言うところの微分に沿って答える必要があると思いました。そして、新たに微分を定義して、この微分が永井さんが言うところの微分にあたることを見ていきたいと思います。

    先に、a , b を定数として、二変数関数 f(x, y) の積分 S(x, y)
    \displaystyle S(x, y):=\int_{b}^{y} \left( \int_{a}^{x} f(s, t) ds\right) dt
    で定義します。二変数関数 F(x, y)
    \displaystyle \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial F(x, y)}{\partial y} \right) =f(x, y)
    を満たすものとします。既に S(x, y) の計算は8月9日の投稿にあるので、これを引用して、計算結果は以下の通りになります:
    S(x, y)
    =F(x, y)-F(a, y)-F(x, b)+F(a, b)\ .
    これを(永井さんが主張するところの意味で)微分すると、これも8月9日の投稿から引用したものですが、次を得ます:
    \displaystyle \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial S(x, y)}{\partial y} \right) = f(x, y)\ .
    積分をどのように定義するかにもよりますが、積分を f(x, y) から \frac{\partial}{\partial x} \left( \frac{\partial F(x, y)}{\partial y} \right) =f(x, y) を満たす二変数関数 F(x, y) 全体に写すような写像であるならば、一変数関数の積分と同様に、積分が微分の逆写像であると言えます。ただ、原始関数については、一変数関数のことのみに定義されたものであるならば、多変数関数については言及されていないので、重積分には存在しないと考えます。どのように原始関数を定義するかによります。

    新たに微分を定義することで、永井さんが言うところの微分にあたることを見ていきます。微分 \frac{d^2 S(x, y)}{dx\wedge dy}
    \displaystyle \frac{d^2 S(x, y)}{dx\wedge dy}
    \displaystyle  :=\lim_{(u, v)\to (x, y)} \frac{S(u, v)-S(x, v)-S(u, y)+S(x, y)}{(u-x)(v-y)}
    \displaystyle  =\lim_{(u, v)\to (x, y)} \frac{\int_{y}^{v} \int_{x}^{u} f(s, t) ds\, dt }{(u-x)(v-y)}
    で定義します。
    \displaystyle \frac{d^2 S(x, y)}{dx\wedge dy}=f(x, y)
    が成り立ち、さらに \frac{d^2 S(x, y)}{dx\wedge dy}
    (21) \displaystyle \frac{d^2 S(x, y)}{dx\wedge dy}=\frac{\partial^{2} S(x, y)}{\partial x\partial y} \ .
    のようにも書けます。(21) の左辺が新たに私が定義した微分で、(21) の右辺が永井さんが考えるであろう微分です。
    ((((( 証明: これが言えるのは、コーシーの平均値の定理を2回使うことで
    G(u, v):=S(u, v)-S(x, v)-S(u, y)+S(x, y)

    \displaystyle G(u, v)=\frac{\partial^{2} S}{\partial x\partial y}(\xi_{2}, \xi_{1})
    のように書き表されるからです。ここで、\xi_{1}, \xi_{2} \min\{ v, y\} <\xi_{1}<\max\{ v, y\} \min\{ u, x\} <\xi_{2}<\max\{ u, x\} で、{\partial^{2} S}{\partial x\partial y}(x, y) \frac{\partial^{2} S}{\partial x\partial y}(x, y):=\frac{\partial^{2} S(x, y)}{\partial x\partial y} で定義されるものです。コーシーの平均値の定理は、以下の関数に適用しました:
    G_{1}(t):=S(u, t)-S(x, t) \ ,
    G_{2}(s):=\frac{\partial S}{\partial t}(s, \xi_{1}) \ . )))))

    ところで、一変数関数にしても二変数関数にしても、積分した関数が微分で元の被積分関数に戻るかどうかを考えたのですが、

    永井俊哉さん「不定積分とは何か

    微分と積分は、逆演算の関係にはないものの、分析と総合の一種であり、逆方向の認識作業であるということは言える。

    にある主張について、数式を用いてどのように表されるものかと気になったことはありました。ま、でも、不定積分がテーマだから、そんな質問はお門違いかも分かりません。

  24. もしも微分と積分が相互に逆演算の関係にあるなら、積分してから微分して元に戻るだけでなく、微分してから積分しても元に戻らなければなりません。微分してから積分する場合、積分してから微分する場合と同じことが言えますか。xとyの二変数を含む関数をxとyで偏微分してから、yとxで重積分しようとすると、定数だけでなく、xまたはyしか含まない項が消えてしまっているので、元の関数を完全には復元できないでしょう。

  25. 結論から言いますと、一変数関数と同様に二変数関数においても、微分したあとに積分しても元の関数に戻るとは必ずしも言えませんね。従って、永井さんが言う意味での微分と積分でなら、両者が逆演算の関係にあるとは言えませんね。

    そうですねぇ。二変数関数を微分して積分したとき、必ずしも元の関数に戻るとは言えないことをどうやって説明しましょうか。微分して積分した関数をさらに微分すれば、積分した関数を微分して元の積分前の関数に戻るのと同様にして、元の関数の微分に戻るものの、微分して元の関数の微分になるような関数が「微分して積分した関数」の他に存在する(例えば、「微分して積分した関数」に 1 を加える)ので、必ずしも、微分して積分したときに元の関数に戻るとは言えません。

    実際に、微分と積分を表す写像 \textsl{Bibun}, \textsl{Sekibun}
    \displaystyle \textsl{Bibun}(g(x, y)):=\frac{\partial^{2} g(x, y)}{\partial x\partial y} \ ,
    \displaystyle \textsl{Sekibun}(h(x, y)):=\int_{b}^{y}\int_{a}^{x} h(s, t)\ ds\, dt
    で定義して (ここに、g(x, y), h(x, y) は二変数関数で a, b は定数)、
    f_{0}(x, y):=\textsl{Sekibun}( \textsl{Bibun} (f(x, y))+1
    を考えると
    \frac{\partial^{2} f_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=\frac{\partial^{2} f(x, y)}{\partial x\partial y} だが
    \textsl{Sekibun}( \textsl{Bibun} (f_{0}(x, y))=f_{0}(x, y)-1\neq f_{0}(x, y)
    なので、
    \textsl{Sekibun}( \textsl{Bibun} (g_{0}(x, y))\neq g_{0}(x, y)
    となるような
    \frac{\partial^{2} g_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=\frac{\partial^{2} f(x, y)}{\partial x\partial y}
    を満たす関数 g_{0}(x, y) が存在します。

    ところで、微分と積分が「分析と総合の一種であり、逆方向の認識作業であるということは言える。」と言う このサイトの「不定積分とは何か」 にある永井さんの主張は、数式を用いてどのように説明されるでしょうか。不定積分がテーマではありますが、微分と積分が逆演算の関係でない一方で「逆方向の認識作業である」と言えることに対して不思議に思えるんです。

  26. 「二変数関数を微分して積分したとき、必ずしも元の関数に戻るとは言えないことを」示すには、実例を一つ示せば十分でしょう。今、

    (1)\;F(x, y) = xy + G(x) + H(y) + C_{0}

    とします。G(x) と H(y) は、それぞれ、x と y の任意関数で、Cx は任意定数とします。これを x と y で偏微分すると、

    (2)\;\frac{\partial }{\partial y}\left (\frac{ \partial F(x, y) }{\partial x}  \right )=1

    となります。つぎに、これを y と x で不定積分してみましょう(a, b は定数)。

    (3)\;\int_{a}^{x}\left (\int_{b}^{y} 1 ds  \right ) dt =xy-bx-ay+ab=xy+c_{1}x+c_{2}y+c_{3}

    (3) は (1) と同じではありませんので、元の関数には戻っていないことがわかります。G(x) と H(y) は、それぞれ、x と y のどのような関数であってもよく、一次関数である必要はありません。だから、(3) は (1) よりも外延が広いと言うことができます。本文で用いた区別をここでも使うなら、(1) が原始関数であるのに対して、(3) は原始積分ではない不定積分ということです。

    一変数関数の場合、 不定積分と原始積分とが異なるといっても、それはしょせん積分定数の外延の違いにしかすぎませんでした。ところが、二変数関数の場合、両者の違いはもっと大きい。関数部分の復元すらできないので、重積分では、原始関数や不定積分を想定しないのだろうと思います。

    ネットで「不定重積分(indefinite multiple integral)」で検索して見たところ、“Is there such a thing as an indefinite multiple integral? ”の質問に答える形で、私と同じような見解を出している人を見つけました。

    Is there such a thing as an indefinite multiple integral? | Physics Forums

    If you regard a multiple integral as the solution to a partial differential equation, an “indefinte multiple integral” would correspond to a general solution with no boundary conditions specified, and such solutions usually contain arbitrary functions rather than arbitary constants. So in that sense, the answer to your question is yes. But this idea probably isn’t so useful as indefinite integrals of a single variable. For ordinary differential equations, finding the general solujtion as an indefinite integral and using the boundary conditions to fix the undetermined constant(s) is a fairly standard solution technique. For partial differential equations, the “general” solution is often so general that it can be written many different ways with apparently different types of arbitrary functions, so to get to a particular solution you have to choose the appropriate form of “general” solution to work with, and that doesn’t just fall out of the multiple integral.

    最後に、monozukiさんは、「逆方向の認識作業」にこだわっているようなので、確認をしておきましょう。本文で断った通り、これは逆演算とは異なります。もう一度該当箇所を引用しましょう。

    不定積分とは何か?

    微分と積分は、逆演算の関係にはないものの、分析と総合の一種であり、逆方向の認識作業であるということは言える。微分が全体を要素へと分解するのに対して、積分はそれらを全体へと再統合する。カントの分析判断と総合判断を引き合いに出すまでもなく、総合されたものは分析されたものよりも多くの情報を持つ。一般的に積分が微分よりも難しいのも、前者が後者よりも多くの情報を必要としているからであろう。

    この後半を読めばわかる通り、私は分析と総合には非対称性があることを言っているのであって、その非対称性ゆえに逆演算の関係にはないということです。

    古代ギリシアの哲学者は、全体を要素(ストイケイオン)へと分解し、それからまた全体を再構成するという手法で、説明を行ってきました。全体から部分へと向かう分析と、部分から全体へと向かう総合は、逆方向の認識と言えます。全体はたんなる部分の総和ではないので、総合は、分析よりも、与えられた情報以上の情報が必要であるという点で、両者の間には非対称性があると言えます。

  27. 確かに、微分して積分した二変数関数が必ずしも元の二変数関数に戻るとは限らないことを示すためには、実例をひとつ取って示せば十分ですね。

    永井さんの8月30日に行われた証明とは別に、実例をひとつ取って示します。二変数関数
    F_{1}(x, y):=1
    の微分が
    \displaystyle \frac{\partial }{\partial y}\left( \frac{\partial F_{1}(x, y)}{\partial x}  \right)=0
    だから、これを積分して ( a, b は定数 )
    \displaystyle \int_{a}^{x} \left( \int_{b}^{y} \frac{\partial }{\partial t}\left( \frac{\partial F_{1}(s, t)}{\partial s}  \right) \ dt \right) ds = 0
    を得て、元の二変数関数 F_{1}(x, y):=1 に戻りません。すなわち、これは、「二変数関数を微分して積分したとき、必ずしも元の関数に戻るとは言え」ないような関数が存在することを示すものです。

    『二変数関数を微分したら、定数だけでなく一変数関数も消える訳だから、その関数を積分しても、元の関数を完全には復元できないだろう。
    』(8月28日にある永井さんの投稿の一部を要約したもの) の視点に立って、微分した関数が積分で元の関数に戻るかどうかについては、8月30日にある永井さんの投稿で説明されていることを参考にして説明します。

    二変数関数
    F_{2}(x, y):=f(x, y)+G(x)+H(y)+C_{0}
    を微分
    \displaystyle \frac{\partial }{\partial y}\left( \frac{\partial F_{2}(x, y)}{\partial x}  \right)
    した関数を積分すると、G_{2}(x):=-f(x, b), H_{2}(y):=-f(a, y), C_{2}:=f(a, b) と置くことにより、
    \displaystyle \int_{a}^{x} \left( \int_{b}^{y} \frac{\partial }{\partial t}\left( \frac{\partial F_{2}(s, t)}{\partial s}  \right) \ ds \right) dt
    = f(x, y)+G_{2}(x)+H_{2}(y)+C_{2}
    を得ます。つまり、微分して積分した関数は、元の関数と比べて、元の関数にあった G(x), H(y), C_{0} が微分によって除かれる代わりに、新たに、微分した f(x, y) の積分によって、G_{2}(x), H_{2}(y), C_{2} が加えられることになります。前者にある一変数関数と定数が任意に取れることに対して、後者は特定の一変数関数と定数しか取らないので、微分して積分した時に元の関数に戻らないような関数が存在することになります。ここに、
    1) f(x, y) は二変数関数で、
    2) G(x) x に関して微分可能な任意の x の関数で
    3) H(y) y に関して微分可能な任意の y の関数で、
    4) C_{0} は定数
    とします。

    なぜ、多変数関数に関して原始関数や不定積分が想定されていないのかと思いましたが、そう言えば確かに、二変数関数は一変数関数と違って、微分で消える関数が定数だけではなく一変数関数もある訳ですから、重積分で関数の部分が復元できないことを根拠に原始関数などが想定されないとするならば、そう言うことになるだろうなぁ、と考えます。

    永井さんが引用されたところにあるものを見ていきますと、偏微分方程式の解について書かれているようですね。その中で、引用されたところを解釈しますと、偏微分方程式の解を得るのに、境界値条件として、一変数関数の微分方程式の場合と違って任意の定数だけでなく微分で 0 になる任意の関数にも依存すると言う意味で一変数関数ほどには有用ではないものだろうとしながらも、多変数関数の偏微分方程式の解として不定重積分が、境界条件が指定されていない一般解に対応すると言う意味で、与えられた質問 “Is there such a thing as an indefinite multiple integral? ” (不定重積分のようなものがありますか) に対して肯定しているようです。

    分析と総合については、古代ギリシャの哲学者が、全体を要素に分解した後に、全体を再構成するという手法を用いることで説明したように、微分と積分についても古代ギリシアの哲学者が用いたように説明できることだろうと理解しました。ただ、総合するときに分析する以上の情報が必要だと言う意味で両者の間に非対象性が存在するように、積分する時に微分する以上の情報が必要だと捉えました。分析が微分で、総合が微分することで被積分関数になる関数の全体なら、あきらかに後者の方が情報量が多いので、総合することで得た関数に適当な条件をつけて目的の関数を得るものだと理解しました。

    例えば、
    \displaystyle S(x):=\int_{a}^{x} f(t)\ dt
    は微分することで f(x) を得るので、S(x) f(x) の総合によって得られた関数のひとつですが、S(a)=0 と言う条件によって関数が定まります。

    再び、「こだわっている」と言われないように。そして、分析と総合についての更なる哲学的な側面を紹介したことに感謝します。

  28. 要は、分析と総合の間に情報の非対称性があるように、分析にあたる微分と総合にあたる積分との間に非対称性があるものだから、逆演算の関係にはないと言う考えでしょうか。加えて、「全体はたんなる部分の総和ではない」と言う永井さんの主張は、例えば関数 F(x) を用いて全体の総和が F(b)-F(a) と書かれるとき、他に G(x)=F(x)+C とおいて F(b)-F(a)=G(b)-G(a) と書かれて F(x) 以外にも表せる関数があるために、総合が分析よりも情報が必要で、そのために分析と総合の間には非対称性があると言うことでしょうか。

  29. 変化量という部分知から全体知を必ずしも復元することができない以上、分析と総合、微分と積分の間には完全な可逆性はなく、演算結果には情報量という点での非対称性があるということです。

  30. 変化量と言う部分知を元に全体知を復元しようとしても、復元できない何らかの要素があるために、全体知が復元できないと言うことですね。それで、情報量の非対称性のために、分析と総合の間には非可逆性があると言うことですね。

    微分と積分について言及するなら、元の関数を微分すると言う分析をすることで導関数が得られたとしても、その情報だけでは、総合するときに元の関数が復元できないと言うことを意味することだと解釈しました。

    上に書いた言葉を数式で表すなら、元の関数 F_{0}(x) に微分を行う写像 \textsl{Diff} を施して F_{0}(x) の導関数 f(x) が得られたとしても、
    \textsl{Diff}(G(x))=f(x)
    を満たす G(x) を探すことをもとに元の関数を見つけるときに、
    \textsl{Diff}(G(x))=f(x)
    を満たす関数 G(x)
    F_{0}(x)
    の他に存在するために、元の関数が復元できないことを意味するものだと捉えました。復元できないのは積分定数によるものだから、復元のためには他の情報が必要なものだと捉えました。

    ちなみに、復元するときは、定数 a f(x) F_{0}(a) を使って
    \displaystyle H(f(x)):=\int_{a}^{x} f(t)\ dt + F_{0}(a)
    と定義すれば、\displaystyle H(f(x))=F_{0}(x) が成り立ちます。これが、永井さんが指摘されるところの

    永井俊哉さんが書きました:

    一対一対応は情報保存的(information-preserving)であるが、多対一対応は情報喪失的(information-losing)である。被積分関数を積分する時、原始積分なら原始積分定数、すなわち初期値の情報が、不定積分ならそれに加えて不定積分定数、すなわち下端の情報が必要である。これらの情報は、微分の際に失われている。しかし、もしもこれらの情報を得ることができるなら、微分してから積分しても元の関数を復元することができる。

    のところだと考えます。

  31. 9月10日に私が投稿したものについて、少し補足します。

    分析と総合についての写像について言及するならば、分析が微分を表す写像 \textsl{Diff} で、総合が \textsl{Diff} の逆像 \textsl{Diff}^{-1} のことだと考えています。分析と総合が非可逆的なのは、分析を表す写像が単射ではないからです。つまり、
    \textsl{Diff}(G(x))=f(x)
    を満たす関数 G(x) が複数存在します。この事によって、微分と言う部分知のみで元の関数が復元できません。写像 \textsl{Diff} が単射ではないことから全単射ではないので、この事でもって、分析と総合は非可逆的であると言う主張があるものだと捉えています。

  32. こんにちは。相変わらずのmonozukiです。単に疑問があって質問しただけですが、永井さんが定義した不定積分
    \displaystyle \int_{a}^{x} f(t)\ dt=F(x)-F(a)
    を使うことで求められる定積分
    \displaystyle \int_{a}^{b} f(t)\ dt=F(b)-F(a)
    は、従来の積分の定義、例えば高校生が学ぶ方法でしたら区分求積法、を使うことで求められる積分
    \displaystyle \int_{a}^{b} f(t)\ dt=\lim_{n\to\infty} \frac{b-a}{n} \sum_{k=0}^{n-1} f\left( a+\frac{(b-a)k}{n}\right)
    とどのような関係があるでしょうか。

    ここで、f(x) を連続関数、F(x) f(x) の原始関数として、a, b を定数かつ x を変数とします。

    この点を問うたのは、そもそも積分が、リーマン積分(または区分求積法)ないしルベーグ積分を使って求められるものだと言う認識があるので、単純に、永井さんの定義とどのように結び付くかなぁ、と思って質問しただけです。他意はありません。

    宜しくお願いします。

  33. 区分求積法でも、定数bを変数xにすれば、不定積分になります。区分求積法は、文字通り、面積や体積を求める方法で、高校教育では、面積を求める方法として教えられています。それでも、なぜ積分で面積を求めることができるのか、疑問に思う高校生が多いようです。それは、区分求積法に先立って、「積分は微分の逆演算」と教わるからなのだろうと思います。

    高校生は、積分を学ぶ前に微分を学び、導関数を曲線の傾きを表す関数として教わります。次に、積分は微分の逆演算だと学びます。その後に、定積分で面積が求められると教わると、首をかしげます。「傾きを求める微分の逆演算で、なぜ面積が求められるのか」というわけです。

    今、y=f(x) という曲線があって、この曲線を下端(a)から上端(x)まで積分した結果を F(x) としましょう。区分求積法からわかる通り、 F(x) は、曲線 f(x) と x 軸とで囲まれた領域のうち、a から x までの面積を表します。F(x) を微分すると、f(x) に戻りますが、微分の定義では、これは x における面積の変化率を表します。x が微小量増えた時、どれだけ面積が増えるかということです。そして、この面積の変化率をもう一度微分して、初めて曲線の傾きになります。

    要するに、「傾きを求める方法」として教わる微分と「面積を求める方法」として教わる積分は、逆演算の関係にはなく、面積を求める関数を二回微分して初めて接線の傾きを表す関数になるということです。高校では、こうしたことは教えないし、だから高校生たちは混乱してしまうのです。

    数学とともに物理も勉強している高校生に対しては、面積、面積の変化率、面積の変化率の変化率が、変位、速度、加速度に相当するということを、すなわち、v-t図(縦軸が速度、横軸を時間とする平面グラフ)において、t0 から t まで積分すると、t0 から t までの変位が求められ、それを t で微分すると、時点 t における速度が求まり、それをさらに t で微分すると、時点 t における加速度が求まるということも教えると、理解が深まると思います。

    日本の高校では、微分と積分を物理では使ってはいけないことになっています。それで、高校生は、変位と速度と加速度が微積分の関係にあることも知らずに、公式を学びます。もしも文科省が「総合的な学習」を本気で推進する気持ちがあるなら、こうした科目間にある不毛な壁を取り払ってもらいたいものです。

  34. 正直、私も、「積分が微分の逆演算であること」を学んだ後に「不定積分を使って定積分を求める方法」について疑問を抱いたことがあります。「どうして、積分が微分の逆演算だと言えるだろうか。そして、微分の逆演算の積分を使うことで、どうして、面積が求められると言えるのか」と言う疑問です。

    この問いに対しては、「微分方程式を使って、定積分に必要な不定積分を求めるため」だと考えます。つまり、
    \displaystyle \frac{dS(x)}{dx}=f(x) かつ S(a)=0
    を満たす関数 S(x) の解を探すことで不定積分を求めようと言うものです。解が、区分求積法を使って定義された不定積分 S_{0}(x):=\int_{a}^{x} f(t)\ dt のみで与えられることから、具体的な S_{0}(x) を求めるべく
    \displaystyle \frac{dS_{0}(x)}{dx}=f(x)
    を根拠にして f(x) の原始関数 F(x) と定数 C を用いて書かれた
    S_{0}(x)=F(x)+C
    に含まれる C を、S_{0}(a)=0 を根拠にすることにより求めているものだと考えます。

    「積分が微分の逆演算であること」の部分は、\frac{dS_{0}(x)}{dx}=f(x) を満たすことから
    S_{0}(x)=F(x)+C
    と書くことができると言えるための布石だと考えます。つまり、「\frac{dS_{0}(x)}{dx}=f(x) によって S_{0}(x) の原始関数(または、積分)が F(x)+C だから、C に関する方程式と見ることで
    S_{0}(x)=F(x)+C
    と書くことができる」と言うことだと考えています。

    区分求積法にあまり深入りすることなく不定積分が微分方程式を使うことで求められるメリットがある一方、この方法では、区分求積法と不定積分との関係が漠然としていて分からないために微分方程式を使って不定関数が求められることに「しっくり来ない」と言う側面があります。加えて、不定積分を求めるのに使われる「積分が微分の逆演算であること」の部分も、同様に「しっくり来ない」と思います。

    もし、区分求積法と関連付けて定積分を求めるならば、被積分関数 f(x) とその原始関数 F(x) に対して
    \displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{hf(x)-\{ F(x+h)-F(x)\} }{h}=0
    が成り立つことを使うことで求められます。実際、任意の \varepsilon>0 に対して h>0 が十分に 0 に近いときに
    -h\varepsilon < hf(x)-\{ F(x+h)-F(x)\} <h\varepsilon
    が成り立つので、閉区間 [a, b]\ (a<b) の分割 [x_{k}, x_{k+1}]\   (x_{k}<x_{k+1}, x_{1}=a, x_{n+1}=b ) の幅 \| \mathit{\Delta}\|
    \|\mathit{\Delta}\|:=\max\{ x_{j+1}-x_{j} : 1\leqq j\leqq n \}
    を狭めることで
    f(x_{k})(x_{k+1}-x_{k})

    F(x_{k+1})-F(x_{k})
    に近くなるので(つまり
    -(x_{k+1}-x_{k})\varepsilon
    < f(x_{k})(x_{k+1}-x_{k})-\{ F(x_{k+1})-F(x_{k})\}
    <(x_{k+1}-x_{k})\varepsilon
    )、このとき
    \displaystyle \int_{a}^{b} f(t)\ dt
    \displaystyle =\lim_{\|\mathit{\Delta} \|\to 0} \sum_{k=1}^{n} f(x_{k})(x_{k+1}-x_{k})
    \displaystyle =\lim_{\|\mathit{\Delta} \|\to 0} \sum_{k=1}^{n} \ (F(x_{k+1})-F(x_{k}) )
    \displaystyle =F(b)-F(a)
    が成り立ちます。これが微分方程式を使わずに区分求積法と関連付けて定積分を求める方法です。

    物理学を学ぶ人が微分/積分などの数学の知識と関連付けて学ぶ必要があるとする考えに対して完全に同意します。物理学を学べば自ずと微分/積分の知識が必要になる(力学、電磁気学など)ものだから、微分/積分と切り離して物理学のみを学ぶべきだとする考えは、文科省の人ならば、そうはならないはずです。だからこそ、永井さんがおっしゃったように、科目間の壁を取っ払って物理学などの知識が深化できればいいなぁって思うんです。仮に、文科省が本気で「総合的な学習」に取り組めばの話です。しかし、どうして、物理に微分/積分の知識を使ってはいけないことになっているのかと思います。

  35. monozukiさんが書きました:

    どうして、物理に微分/積分の知識を使ってはいけないことになっているのかと思います。

    たぶん、物理の履修が微積分を教えるより前に始まるからでしょう。日本の学校のカリキュラムは硬直的で、数学を全部教えてから理科を始めるとか、まだ習っていない数学を物理の授業でそのつど教えるとかといった柔軟な対応ができません。

  36. 文部科学省の官僚には、東京大学卒を始め、京都大学卒や大阪大学卒などのエリートが少なからずいる訳ですから、柔軟なカリキュラムにすることの重要性を特に強く認識していると考えます。カリキュラムで習っていないならば、例えば「物理のための数学」と称して、物理学と並行してを学ぶことができないのかと思います。確かに学んでいないものを根拠に教えられませんし、学ぶ者のとって新たに学ぶ者が増えると言う意味では負担ですが、それでも力学などの物理学を学ぶのに微分/積分の知識が必要だと考えます。

    「微分方程式を使って、定積分に必要な不定積分を求める方法」について、以前の投稿では「積分(原始関数を求めること)を求める動機」について分かりにくいところがあったので、その点をなくすべく、補足をしたいと思います。

    不定積分を求めるのに微分方程式を使う理由は
    1))) 区分求積法を使って定義された不定積分
    \displaystyle \int_{a}^{x} f(t)\ dt
    が微分方程式
    \displaystyle (*)\ \frac{dS(x)}{dx}=f(x) かつ \displaystyle S(a)=0
    の解 S(x) のひとつとして与えられるからと言うものでした。

    「どうして、不定積分を求めるのに積分(原始関数を求めること)を用いるのか」については、(*) の前半部分
    \displaystyle \frac{dS(x)}{dx}=f(x)
    のみを満たす解 S(x) f(x) の原始関数 F(x)+C で与えられるからです。

    (*) の解 S(x) は、上述の (*) の前半部分に加えて、(*) の後半部分を使うことで C=-F(a) を得るので、(*) の解 S(x) は次で与えられます:
    2))) S(x)=F(x)-F(a) \ .

    1))) にある不定積分 S_{0}(x):=\int_{a}^{x} f(t)\ dt を求めると、(*) を満たす S(x) が唯一つ存在する (この証明の方針を 3))) に書きます) ので、1))) と 2))) を使うことで、不定積分が次で与えられます:
    \displaystyle \int_{a}^{x} f(t)\ dt = F(x)-F(a) \ .

    (*) を満たす S(x) が唯一つ存在することの証明の方針:
    3))) S_{1}(x), S_{2}(x) (*) を満たすとします。S_{3}(x):=S_{1}(x)-S_{2}(x) と置いて、(*) を使って
    \frac{dS_{3}(x)}{dx}=0 かつ S_{3}(a)=0
    を示すことにより、x の値に依らず S_{3}(x)=0 を示すことです。

  37. 今井利治さんが書きました:

    暗記秀才の出来損ないがトップに収まるような3流官庁と揶揄される文科省が教科書検定に口出しするからこうなる。地理と歴史を分断し暗記科目に仕立てたのも彼ら。人間の営みは自然環境の中で育まれてきた。その中で人が何を見て何を感じ何を目指し何を行ったかこれらを語れば地理と歴史が切り離せないのは必然。子供たちは目を輝かせて学ぶ楽しさを知ることだろう。これを奪い、法律違反の天下りや裏口入学に手を染めるするような凡そ公僕の名に反するような恥ずべき官僚集団の文科省は百害あって一利なしと言うべき。即刻解体して廃止すべきです。江戸時代の先人の教育を再学習すべきです。当時ですら数学の世界では世界最先端のレベルにあったのです。

    三流官庁と言われる文科省にも潜在的には能力のある人材が多数います。問題は、人材の質ではなくて、官僚というシステムにあります。「総合学習はなぜ失敗したのか」でも書いたことですが、総合学習を推進している文科省という官僚組織の在り方が、総合学習の理念と全く逆なのです。総合学習の理念は、教科や科目の垣根を越えて、先入見にとらわれずに、自らの頭で考えるところにあるのですが、縦割り、前例踏襲、上意下達といった総合学習の理念と逆のことをやっている官僚たちにやらせて、まともな総合学習が実現するはずがありません。従来からあるタコツボはそのままにして、「総合的な学習の時間」という新しいタコツボを作って、そこで意味不明な体験学習をさせるというお粗末な結果にしかならないのです。

  38. 潜在的に能力のある人材が多数いても、「官僚」と言うシステムに問題があるために、文科省が三流官庁と言われる訳ですか。残念なことに、そのシステムによって、十分に彼らの能力が発揮できないでいるんですね。

    考えれば、科目別の学習が縦の繋がりで総合的な学習を横の繋がりとするなら、縦割りを重んじる官僚システムは横の繋がり(教科や科目の垣根を越えること)に不得手なところがあるかも知れません。

    定積分の話をしますが、なぜ、定積分で面積が求められることに首を傾げるかと言えば、区分求積法を使った面積の導出と不定積分を求めることで得られる定積分との間に関連性が見えづらいからです。いきなり、被積分関数 f(x) の原始関数 F(x) と定数 C を用いて
    \displaystyle \int_{a}^{x} f(t)\ dt=F(x)+C
    と書かれれば理解できなくて当然です。微分方程式のためだと思いますが、説明を変えればいいのにと思います。

  39. 本文で記したとおり、

    • 原始関数:微分する前の関数
    • 不定積分:下端が定数で上端が変数の積分
    • 定積分:下端と上端が定数の積分

    と定義します。

    一変数関数の場合、

    (\alpha )\;  \frac{dS(x)}{dx}=f(x)

    を満たす S(x) は f(x) の原始関数であり、

    (\beta)\;  \frac{dS(x)}{dx}=f(x) \wedge S(a)=0

    を満たす S(x) は f(x) の不定積分で、一つしか存在しないと言えます。

    しかし、多変数関数の場合は、そうではありません。例えば、

    (\gamma  )\;  S(x, y)=xy+(x-a)^{2}+(y-b)^{2}-ab

    は、f(x, y)=1 の原始関数の一つで、

    (\delta )\;  \frac{\partial ^{2}S(x, y)}{\partial x \partial y}=f(x, y) \wedge S(a, b)=0

    という条件を満たすにもかかわらず、不定積分

    (\epsilon   )\;  \int_{a}^{x}\left (\int_{b}^{y} 1 ds  \right ) dt =xy-bx-ay+ab

    とは異なります。

  40. 返信ありがとうございます。

    そりゃ、多変数関数の場合だと一変数関数と違って変数が複数あるために自由度が上がって、そのために、一変数関数の場合のようには上手く事が運ばないからだということでしょう。つまり、二変数関数の微分と初期値だけでは、一変数関数と違って二変数関数がひとつには定まらないと言うことです。

    二変数関数 f(x, y) の不定積分
    \displaystyle \ \ S_{0}(x, y):=\int_{a}^{x} \left( \int_{b}^{y} f(s, t)\ dt\right) ds
    を考えたとき、
    \displaystyle \ \ \frac{\partial^{2} S_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S_{0}(a, b)=0
    が成り立ちますが、例えば、
    \ \ S_{1}(x, y):=S_{0}(x, y)+(x-a)+(x-b)
    と置けば、S_{0}(x, y)\neq S_{1}(x, y) にも拘わらず
    \displaystyle \ \ \frac{\partial^{2} S_{1}(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S_{1}(a, b)=0
    が成り立ちます。

    つまり、
    \displaystyle (*)\ \ \frac{\partial^{2} S(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S(a, b)=0
    を満たす二変数関数 S(x, y) が複数あると言うことです。

    原因は、T_{0}(x, y):=S_{1}(x, y)-S_{0}(x, y)
    \displaystyle \frac{\partial^{2} T_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=0\wedge T_{0}(a, b)=0
    を満たすからです。つまり、
    \displaystyle (#)\ \ \frac{\partial^{2} T(x, y)}{\partial x\partial y}=0\wedge T(a, b)=0
    を満たす二変数関数 T(x, y) が複数あるために、(*) を満たす二変数関数 S(x, y) がひとつに定まらないと言うことです。

    一変数関数の不定積分の話をしようかと思います。高校の教科書では、
    \displaystyle \ \ \frac{d}{dx} \left( \int_{a}^{x} f(t)\ dt\right) =f(x)
    を満たすことを理由に \int_{a}^{x} f(t)\ dt f(x) の原始関数であるとして、f(x) の原始関数 F(x) と定数 C を用いて
    \displaystyle (1)\ \  \int_{a}^{x} f(t)\ dt=F(x)+C
    と書かれるものでした。しかし、これだと分かりにくい。

    分かりやすく解釈できるように (1) を書き換えると、
    \displaystyle (2)\ \ \frac{dS(x)}{dx}=f(x)\wedge S(a)=0
    を満たす S(x)  を求めること、のように書き換えられます。つまり、一変数関数における微分方程式を解くことで、不定積分を見つけると言うものです。

    原始関数を用いたのは \frac{dS(x)}{dx}=f(x) を満たす S(x) を探すためで、S(a)=0 を使って S(x) を見つけるためでしょう。

    ただ、これでも分かりにくいと思うなら、他の方法を使って不定積分/低積分を求める必要があると言うことでしょう。定積分を求めるのにどの方法が分かりやすいのか分かりません。永井さんなら、F(x) f(x) の原始関数として、
    \displaystyle \ \ \int_{a}^{x} f(t)\ dt = F(x)-F(a)
    で定義する方法を使うと言うことですし、私なら、h 0 に十分近いとき、hf(x) F(x+h)-F(x) に十分に近いことを使って、区分求積法を使うことで定積分を求める方法を使います。

    ともあれ、高校生の反応も参考にしながら、不定積分の求め方を考えないといけませんね。

  41. 返信ありがとうございます。投稿の時に画像の表示にエラーを起こしたので再投稿します。すみません。

    そりゃ、多変数関数の場合だと一変数関数と違って変数が複数あるために自由度が上がって、そのために、一変数関数の場合のようには上手く事が運ばないからだということでしょう。つまり、二変数関数の微分と初期値だけでは、一変数関数と違って二変数関数がひとつには定まらないと言うことです。

    二変数関数 f(x, y) の不定積分
    \displaystyle \ \ S_{0}(x, y):=\int_{a}^{x} \left( \int_{b}^{y} f(s, t)\ dt\right) ds
    を考えたとき、
    \displaystyle \ \ \frac{\partial^{2} S_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S_{0}(a, b)=0
    が成り立ちますが、例えば、
    \ \ S_{1}(x, y):=S_{0}(x, y)+(x-a)+(x-b)
    と置けば、S_{0}(x, y)\neq S_{1}(x, y) にも拘わらず
    \displaystyle \ \ \frac{\partial^{2} S_{1}(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S_{1}(a, b)=0
    が成り立ちます。

    つまり、
    \displaystyle (*)\ \ \frac{\partial^{2} S(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S(a, b)=0
    を満たす二変数関数 S(x, y) が複数あると言うことです。

    原因は、T_{0}(x, y):=S_{1}(x, y)-S_{0}(x, y)
    \displaystyle \frac{\partial^{2} T_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=0\wedge T_{0}(a, b)=0
    を満たすからです。つまり、
    \displaystyle (**)\ \ \frac{\partial^{2} T(x, y)}{\partial x\partial y}=0\wedge T(a, b)=0
    を満たす二変数関数 T(x, y) が複数あるために、(*) を満たす二変数関数 S(x, y) がひとつに定まらないと言うことです。

    一変数関数の不定積分の話をしようかと思います。高校の教科書では、
    \displaystyle \ \ \frac{d}{dx} \left( \int_{a}^{x} f(t)\ dt\right) =f(x)
    を満たすことを理由に \int_{a}^{x} f(t)\ dt f(x) の原始関数であるとして、f(x) の原始関数 F(x) と定数 C を用いて
    \displaystyle (1)\ \  \int_{a}^{x} f(t)\ dt=F(x)+C
    と書かれるものでした。しかし、これだと分かりにくい。

    分かりやすく解釈できるように (1) を書き換えると、
    \displaystyle (2)\ \ \frac{dS(x)}{dx}=f(x)\wedge S(a)=0
    を満たす S(x)  を求めること、のように書き換えられます。つまり、一変数関数における微分方程式を解くことで、不定積分を見つけると言うものです。

    原始関数を用いたのは \frac{dS(x)}{dx}=f(x) を満たす S(x) を探すためで、S(a)=0 を使って S(x) を見つけるためでしょう。

    ただ、これでも分かりにくいと思うなら、他の方法を使って不定積分/低積分を求める必要があると言うことでしょう。定積分を求めるのにどの方法が分かりやすいのか分かりません。永井さんなら、F(x) f(x) の原始関数として、
    \displaystyle \ \ \int_{a}^{x} f(t)\ dt = F(x)-F(a)
    で定義する方法を使うと言うことですし、私なら、h 0 に十分近いとき、hf(x) F(x+h)-F(x) に十分に近いことを使って、区分求積法を使うことで定積分を求める方法を使います。

    ともあれ、高校生の反応も参考にしながら、不定積分の求め方を考えないといけませんね。

  42. 返信ありがとうございます。投稿の時に書き損じがあったので訂正したものを再投稿します。すみません。

    そりゃ、多変数関数の場合だと一変数関数と違って変数が複数あるために自由度が上がって、そのために、一変数関数の場合のようには上手く事が運ばないからだということでしょう。つまり、二変数関数の微分と初期値だけでは、一変数関数と違って二変数関数がひとつには定まらないと言うことです。

    二変数関数 f(x, y) の不定積分
    \displaystyle \ \ S_{0}(x, y):=\int_{a}^{x} \left( \int_{b}^{y} f(s, t)\ dt\right) ds
    を考えたとき、
    \displaystyle \ \ \frac{\partial^{2} S_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S_{0}(a, b)=0
    が成り立ちますが、例えば、
    \ \ S_{1}(x, y):=S_{0}(x, y)+(x-a)+(y-b)
    と置けば、S_{0}(x, y)\neq S_{1}(x, y) にも拘わらず
    \displaystyle \ \ \frac{\partial^{2} S_{1}(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S_{1}(a, b)=0
    が成り立ちます。

    つまり、
    \displaystyle (*)\ \ \frac{\partial^{2} S(x, y)}{\partial x\partial y}=f(x, y)\wedge S(a, b)=0
    を満たす二変数関数 S(x, y) が複数あると言うことです。

    原因は、T_{0}(x, y):=S_{1}(x, y)-S_{0}(x, y)
    \displaystyle \frac{\partial^{2} T_{0}(x, y)}{\partial x\partial y}=0\wedge T_{0}(a, b)=0
    を満たすからです。つまり、
    \displaystyle (**)\ \ \frac{\partial^{2} T(x, y)}{\partial x\partial y}=0\wedge T(a, b)=0
    を満たす二変数関数 T(x, y) が複数あるために、(*) を満たす二変数関数 S(x, y) がひとつに定まらないと言うことです。

    一変数関数の不定積分の話をしようかと思います。高校の教科書では、
    \displaystyle \ \ \frac{d}{dx} \left( \int_{a}^{x} f(t)\ dt\right) =f(x)
    を満たすことを理由に \int_{a}^{x} f(t)\ dt f(x) の原始関数であるとして、f(x) の原始関数 F(x) と定数 C を用いて
    \displaystyle (1)\ \  \int_{a}^{x} f(t)\ dt=F(x)+C
    と書かれるものでした。しかし、これだと分かりにくい。

    分かりやすく解釈できるように (1) を書き換えると、
    \displaystyle (2)\ \ \frac{dS(x)}{dx}=f(x)\wedge S(a)=0
    を満たす S(x)  を求めること、のように書き換えられます。つまり、一変数関数における微分方程式を解くことで、不定積分を見つけると言うものです。

    原始関数を用いたのは \frac{dS(x)}{dx}=f(x) を満たす S(x) を探すためで、S(a)=0 を使って S(x) を見つけるためでしょう。

    ただ、これでも分かりにくいと思うなら、他の方法を使って不定積分/低積分を求める必要があると言うことでしょう。定積分を求めるのにどの方法が分かりやすいのか分かりません。永井さんなら、F(x) f(x) の原始関数として、
    \displaystyle \ \ \int_{a}^{x} f(t)\ dt = F(x)-F(a)
    で定義する方法を使うと言うことですし、私なら、h 0 に十分近いとき、hf(x) F(x+h)-F(x) に十分に近いことを使って、区分求積法を使うことで定積分を求める方法を使います。

    ともあれ、高校生の反応も参考にしながら、不定積分の求め方を考えないといけませんね。

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