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集団的自衛権の行使は危険か

2014年8月25日

明治維新以降、日本の外交は、親アングロサクソンの保守が権力を掌握している時は安定し、反アングロサクソンの革新が権力を掌握すると危機に瀕するという傾向がある。当時「革新」と呼ばれていた反米リベラルが惹き起こした太平洋戦争を本当に反省しているのであれば、現在反米リベラルが反対しているのとは逆のことをするべきである[1]

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問題提起
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年8月25日(月) 18:23.

太平洋戦争を振り返る報道や行事を行うことは、我が国では夏の風物詩となっているのだが、今年の夏は、7月1日に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定が行われたこともあり、安倍内閣が推進する「積極的平和主義」を意識した発言が見られた。例えば、田上富久長崎市長は、8月9日の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で読み上げた平和宣言で、集団的自衛権に言及し、「被爆者たちが自らの体験を語ることで伝え続けてきた、その平和の原点がいま揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が、急ぐ議論の中で生まれています。日本政府にはこの不安と懸念の声に、真摯に向き合い、耳を傾けることを強く求めます」と述べて政府を批判し、物議を醸した

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各国が領有権を主張する南沙諸島の地図。安倍政権が集団的自衛権の行使に積極的なのは、南沙諸島における有事に備えるためであり、またそうすることにより、中国の海洋進出を牽制するためである。[2]

集団的自衛権に反対するリベラル勢力は、それが太平洋戦争というかつて日本が犯した過ちを繰り返すことにつながることを警戒している。朝日新聞も、2014年5月16日の社説「集団的自衛権―戦争に必要最小限はない」で「戦争の反省から出発した日本の平和主義が根本的に変質する」と言って、集団的自衛権の容認に踏み切った安倍政権を批判している。憲法改正をしなければ不可能なことを閣議決定で決めたという手続きに関する批判も根強い。だが、こうした批判は妥当なのだろうか。

実は、7月1日に閣議決定された集団的自衛権の内容は、戦後日本の安保政策を大きく転換させるようなものではない。長谷川幸洋が指摘するように、「日本は少なくとも1960年に日米安保条約を改定したときから事実上、集団的自衛権の行使を容認してきた」。容認していたどころか、1947年に戦争の放棄を謳った日本国憲法が成立してから3年後に始まった朝鮮戦争で、日本は集団的自衛権を実際に行使した。日本の海上保安庁は、連合国最高司令官指令に基づいて、特別掃海隊を派遣し、元山や釜山などで北朝鮮が敷設した機雷を、交戦中であるにもかかわらず、除去した。「国際的な機雷掃海活動への参加」は閣議決定された集団的自衛権の事例の一つで、安倍総理は、7月14日の衆院予算委員会で、集団安全保障で機雷処理ができると答弁したが、これも実際には過去に行ったことの追認でしかない。

集団的自衛権に反対している人たちは、特別掃海隊の派遣は憲法違反であり、日本は朝鮮戦争に際して中立を維持するべきだったと言うかもしれない。しかし、もしも日本があの時米国を支援することを拒否していたなら、その後の日本はどうなっただろうか。リッジウェイ米軍司令官が後に回想している通り、日本の協力がなければ、朝鮮半島における米軍は三カ月ももたなかっただろう。そうなれば、朝鮮半島全体が共産主義の手に落ち、次に日本が狙われただろう。その場合、韓国を共産主義の攻撃から守ることに協力しようとしなかった日本を、はたして米国は守ろうとしただろうか。

実際の歴史では、日本は、朝鮮戦争において米国側の兵站基地として最大の貢献をした。米国にとっての日本の位置付けは、1948年以降《武装解除するべき敵国》から《アジアにおける反共の砦》へと変わっていたが、この時の事実上の参戦は、1951年のサンフランシスコ平和条約による主権回復と日米安保条約の締結をもたらす上で決定的な役割を担った。日本が戦後長期にわたって平和を維持することができたのは、リベラルがそう主張するような憲法九条のおかげではなくて、日米安保条約のおかげである。このことを考えるなら、朝鮮戦争における集団的自衛権の行使は、日本の平和と繁栄につながったと評価することができる。

この一例が示すように、戦争に参加することは、必ずしも日本の平和と繁栄を破壊することはない。もちろん、太平洋戦争は間違った戦争であり、私たちはその間違いを繰り返さないように、大いに反省しなければならない。しかし、問題は、何を反省するかだ。戦争をしたこと自体なのか、それとも戦争の仕方なのか。第二次世界大戦に対する反省に立って制定された日本国憲法では、戦争が放棄されている。これは戦争それ自体が悪だという思想の表明である。しかしそれなら、なぜ私たち日本人が反省する戦争は、いつも第二次世界大戦であって、第一次世界大戦ではないのか。もしも戦争それ自体が悪ならば、第一次世界大戦に参戦したことも、同様に反省しなければならないことではないのか。

私は「太平洋戦争における保守と革新」で、近代日本が行った戦争には、保守の戦争と革新の戦争があり、日本を破滅に追い込んだ戦争は、満州事変以降行われた革新の戦争であって、日清戦争から第一次世界大戦に至る保守の戦争ではなかったということを指摘した。日本は、英国、後には米国というアングロサクソンの覇権国と協調している間は繁栄し、敵対すると没落するというのが明治維新から現代にいたるまで日本を支配してきた外交法則である。

私たちが太平洋戦争に関して反省しなければならないことは、戦争をしたことそれ自体ではなくて、覇権国を敵に回したことである。もしも日本が、革新勢力の台頭を抑制し、保守主義の外交を続けていたならば、すなわち、第二次世界大戦において、英米側に立って参戦していたならば、日本はその参戦を「反省」することはなかっただろう。この観点から太平洋戦争の過ちを反省するならば、安倍内閣が推進する集団的自衛権は、むしろ肯定するべきであるということになる。なぜなら、それは太平洋戦争の時とは逆に、覇権国との協力関係を強化するからである。

例えば、朝日新聞がそうであるが、太平洋戦争の当時「革新」と呼ばれていた反米リベラル、あるいは私がそう名付けたところのプロレタリア型右翼は、日本の戦争がアジアの共産主義化をもたらす時には、それに賛同し、アジアに共産主義国家が誕生し、日本の戦争がその脅威となるや否や日本に平和主義を求めるようになった。しかし、戦後の日本では革新が政権を取ることはほとんどなく、親米保守が長い間政権を担ってきたがゆえに、日米安保条約は維持され、軍事的空白となった日本が共産主義の餌食になるという事態は起きなかった。

もっとも例外的な時期もあった。例えば、2009年から一年弱続いた鳩山由紀夫内閣の時期がそうである。鳩山由紀夫本人は、反米リベラルという意識は持っていないのかもしれないが、2009年8月27日にニューヨーク・タイムズに掲載された鳩山由紀夫の論文「日本の新しい道(A New Path for Japan)」を読めば、そこでの「東アジア共同体」の提唱は、大東亜共栄圏を提唱した頃の日本の主張を髣髴とさせるような反米リベラルと評せざるを得ない。そしてこの政権のわずか一年弱の間に悪化した日米関係が、その後の日本の外交にどのような危機をもたらしたかは今更語るまでもない。

明治維新以降、日本の外交は、親アングロサクソンの保守が権力を掌握している時は安定し、反アングロサクソンの革新が権力を掌握すると危機に瀕するという傾向がある[3]。もちろん、英米の選択が常に正しいということはないし、日本は米国が行うすべての戦争に参戦するべきでもない。米国の間違った判断に対しては、日本は異議を申し立てるべきである。しかし、そうしたことは、日米が対等の関係にあってこそ可能なのであり、日米の関係を対等にしようとするなら、日米安保条約をより双務的にしなければならないし、また米国以外の米国との同盟国とも安全保障上の関係を強化しなければならない。

中国を封じ込めることは可能なのか?
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年9月09日(火) 10:28.

失政による民衆の経済的不満が中国の支配体制への直接攻撃に向かうことをなんとかして「しのぎたい」というのが、中国共産党にとっての最大テーマだろう。もちろん、経済的なてこ入れにより、民衆の不満を押さえ込み、体制の延命をしたいところだが、半端な市場経済がうまく機能するはずもなく、遅かれ早かれ、その不満を外に向かわせ、政治的に押さえ込むしかなくなる。つまり、「戦争」だろう。うまくいかないのは、「アメリカ」や「日本」のせいに「決まっている」のだから、中国の「国内事情だけ」で、戦争は不可避に思える。この戦争を前提に、この戦争に勝利した「連合国」による戦後処理や国際秩序を構想すべきだろう。軍事的な優位を維持できれば、「短い戦争」で中国共産党を崩壊させることができるだろう。問題は、その後の受け皿になるような政権が成立するかだ。中国が適正な規模の国家に分裂するのは、不可避なように思える。制空権や情報戦で、常に軍事的な優位を保つことが、「短い戦争」を実現でき、戦後の速やかな秩序回復に貢献するように思う。そういう意味で、中国のスティルス開発や情報戦への積極的な関与は、中国共産党にとっての「生命線」なので、ある意味当を得ていると思う。最終的に戦争が長引き、全面的な総力戦になり、核兵器が使用される事態になれば、「最悪」だ。「最悪」を、避けるのが政治だと思いたい!

アジア版NATO
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年9月10日(水) 13:15.

米国のGNP(当時はGDPよりもこの指数で計測された)は、第二次大戦後に全世界のGNPの半分を上回ったこともありました。しかし、2011年現在、米国のGDPが世界のGDPに占める割合は、21.4%です。日米のGDPの合計も、バブル最盛期には世界に占める割合が半分程度になったことがありましたが、2011年現在では、30%弱です。

これらの事実を考えるなら、米国が、今後とも一国だけで「世界の警察」の役割を果たすことは無理であり、米国の納税者も米国だけが過大な負担を引き受けることに納得しないでしょう。またそれゆえに、日米同盟だけに日本の安全保障を委ねることもリスキーです。中国の脅威にさらされている他の国々(韓国は除く)とアジア版NATOを形成する必要があります。そうすると、他の国との戦争に巻き込まれてしまうと懸念する人もいるでしょうが、各国がが個別的自衛権しか行使しないのであれば、中国によって各個撃破されてしまいます。そしてより多くの国を併合すればするほど、中国は強大になっていき、その脅威が増します。

大きすぎる銀行はつぶせないことを“Too big to fail”と言いますが、それになぞらえて言うなら、集団的安全保障とは、“Too big to war”とでもいうべき状態を作り出して戦争を防ごうとする方法だと言うことができます。核兵器を持っている大国同士が全面戦争ができないのも、戦力が大きすぎて戦争ができないからです。このことは、核兵器を持っていない国となら戦争はできるということであって、核武装できない国にとっては、集団的安全保障によって「大きすぎて戦争できない」という状態を作るしかありません。

2014年3月6日に、石破茂幹事長(当時)は、「中国の国防予算が伸び、米国の力が弱まる。この地域では中国とのバランスを取らねばならない」と述べ、アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設構想を披露しました。この構想は実現せず、結局これが、石破氏が安保法制担当相を断る原因の一つとなったようです。自民党が公明党と連立を組んでいる限り、アジア版NATOは無理でしょうが、今後は真剣に考えなければならないでしょう。

中国による「世界新秩序の夢」!?
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年9月12日(金) 17:54.

中国共産党と言ってもその実態は、いくつかのグループの既得権益の調整組織でしかない。中国の長期的な国益を最大化するために、粘り強い対外的な経済交渉をやり遂げる組織が、権限と予算を握っている必要があるのだが、そんな組織が中国の中枢に形成されているとはとても思えない。それどころか、外交交渉を「ろく」にしないうちに「軍事的な圧力」という誘惑に身を任せる。要するに、中国共産党の少数民族や反体制派に対する弾圧と同じ手法を対外的にも踏襲するしか能がないように思える。悪い意味での「中華思想」だ。豊臣秀吉の「朝鮮出兵から明の征服という夢」を彷彿させるのが、日本のファシズムだとするなら、今の中国の夢は、モンゴル帝国の再来を目指しているように思う。モンゴル帝国は、確かエジプトと日本で打ち返されたのだから、今度こそ日本とエジプトを突破してさらにその先のアフリカとアメリカをその掌中に収めたいに違いない。軍事的に。中国の経済の「奇跡的」成功が、国民に「全能感」を根づかせ「世界征服」の夢を現実的なものにしたともいえる。しかし、中国の経済的な成功は、持続可能だろうか。歪んだ人口構成だけでもアヤウイ話に思える。もちろん、中国の既得権益をになうグループは、その権益を増大あるいは維持することにしか興味はないので、当然のごとく中国の長期的な国益を損なう政治的な決断、軍事的な行動に踏み出すだろう。つまり、「中国による世界新秩序」という軍事行動だ。確かに、アジア版NATOは必要だ。しかし、そんなこととは関係なくやはり総力戦で長期の戦争になることも最悪シナリオとして設定し、核攻撃も想定して、何とか日本民族の存続を目指すべきだと思わずにはいられない。正直、なぜ日本は核武装しないのかと思ってしまう。私の「杞憂」であればいいと思う。

六場戦争
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年9月13日(土) 11:50.

ghostbusters さんが書きました:

豊臣秀吉の「朝鮮出兵から明の征服という夢」を彷彿させるのが、日本のファシズムだとするなら、今の中国の夢は、モンゴル帝国の再来を目指しているように思う。モンゴル帝国は、確かエジプトと日本で打ち返されたのだから、今度こそ日本とエジプトを突破してさらにその先のアフリカとアメリカをその掌中に収めたいに違いない。

現在の中国の悲願は、19世紀に列強によって奪われた清朝の領土を奪取し、中華秩序を再構築することです。清朝は、満州民族の国家で、漢民族の国家ではありませんが、現在の満州民族(中国では満族と呼ばれている)は民族固有の言語を失って、中国と同化しているので、中国には失われた清朝の領土を回復する権利があると思っているのでしょう。これに対して、モンゴル人は、モンゴル語を話し、独立した国を持っているので、内モンゴル自治区を有するとはいえ、中国にとっては外国という扱いです。

中国の政府系新聞「文匯報(ウェンウェイポウ)」は、「曝光中國在未來50年裏必打的六場戰爭」という記事の中で、清朝の領土を回復し、新中華秩序を打ち立てるために、今後2020年から2060年にかけて、中国は、台湾、ベトナム、インド、日本、モンゴル、ロシアと「六場戦争」を戦うことになると予想しています。

中国 対日・対ロ戦争開始の時期を明らかに (date) 2014年1月6日 (media) The Voice of Russia:

新聞の主張では、今後50年の間に中国は、6度の戦争に勝利することになる。まず最初は2020年から25年にかけての「国民統一のための戦争」で、これはつまり台湾との戦いだ。これに続くのが、2028年から2030年までのベトナムとの戦争で、スプラトリー諸島に対する支配を取り戻す戦いである。

その後2035年から40年まで、中国は、南チベットを手に入れるため、インドと戦火を交える。そして2040年から45年までは「中国固有の領土」である尖閣諸島や琉球を取り戻すため日本との戦争が想定されている。またモンゴルが中国との合併を平和裏に同意しなければ、事実上すぐさまモンゴルは中国の攻撃を受ける事になる。

こうした一連の軍事行動は、ついにロシアとの大規模紛争勃発をもって終了する。その時期は、2055年から2060年とされている。まさにこの時、中国はロシアに、かつて中華帝国から奪った160万平方キロの土地に対する答えを迫るとの事だ。

現在の国際情勢で中国の味方になる立場のロシアまで敵に回しているのですから、戦略的にばかげているようにも思えるのですが、中国からすれば、これらはすべて失地回復運動という点で正当化されることなのです。台湾は日清戦争まで清朝の支配下にあったし、ベトナム(阮朝)や沖縄(琉球王国)は清朝の冊封体制下にありました。インドとの関係では、ネパールとミャンマー(アラウンパヤー朝)が清朝に服属していました。そして、アイグン条約以前ではアムール川左岸が、そして北京条約以前では沿海州が清朝の領土でした。中国にとって、台湾は現時点で自国の一部という意識ですが、それ以外は、ベトナム、インド、日本、ロシアという、中華思想の用語を用いるなら、南蛮、西戎、東夷、北狄から中原の神聖な領土を取り戻すといったところでしょう。

中国は、米国に対して、ハワイより東と西で太平洋の支配領域を分割することを提案しています。中国は日本(沖縄県以外)を併合するというよりも、ちょうど現在米国が日本を支配しているような形で日本を支配するつもりのようです。つまり、東アジア全域を自分の冊封体制下に置こうとしているのでしょう。

Inside the Ring (date) August 17, 2007 (media) Washington Times さんが書きました:

太平洋空軍司令官は今週、太平洋を分割し米国と中国が管理するという中国軍の提案に冷水をかけた。

ポール・V・ヘスター司令官は、太平洋地域の西側を中国の管轄にする代わりに東側を米国に与えるという中国の最近の計画に関して尋ねられた。

ヘスター司令官は「空間を誰にも譲らないのが我々の方針だ」とハワイから電話記者会見で述べた。

彼は「領土の一部を割譲してその管理を彼等に頼む事によって、委任統治を失うような事に反対するなら、西太平洋地域に米国が存在する必要がある」と語った。

この提案は、ティム・キーティング米太平洋軍総司令官が最近訪中した時に持ちかけられた。

The senior Air Force commander in the Pacific this week threw cold water on a Chinese military proposal to divide up the Pacific Ocean into U.S. and Chinese spheres of influence.

Gen. Paul V. Hester was asked about China’s recent plan to give the United States control of the eastern Pacific region, while China would control the western Pacific.

“Our policy is not to cede space to anyone,” Gen. Hester said in a telephone press conference from Hawaii.

He said the United States “needs to be” in the western Pacific, “as opposed to running through a proxy, if you will, by ceding a certain part of territory and asking them to take care of it for us.”

The proposal was made to Adm. Tim Keating, the overall commander of U.S. forces in the Pacific, during a recent visit to China.

この当時、米国はたんなる冗談と受け取っていたようですが、2014年7月9日に北京で行われた第6回米中戦略・経済対話で、中国の習近平国家主席がオバマ米大統領に「広大な太平洋には中国と米国という二つの大国を受け入れる十分な空間がある」と言って、両国間の「新たな大国関係」を求めたことからもわかる通り、どうやら真面目にそう考えているようです。この野望を阻止するには、日米豪と中国と領有権争いをしているインドや東南アジアの国々とアジア版 NATO を結成する必要があるでしょう。

日本版「朝貢貿易」のすすめ。
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年9月13日(土) 21:25.

冊封体制で思い出しだしたのだが、中国との朝貢貿易は、その相手国にとって物凄く「お得な」貿易だったそうだ。なぜ中国はそんな「大損」な貿易をしたかというと、対外戦争に備えて軍備を維持するより「大盤振る舞い」で、平和的な関係を隣国と維持することの方が結局「得」だからという極めて大人の判断によっていた。結局、ヨーロッパ近代の領土的な野心に燃える帝国主義には、通用しなかったのだが、アイデア自体は悪くはなかったはずだ。日本が、その「積極的な平和外交」を推進するというならば、この「朝貢貿易」こそお手本にすべきではないかと思う。中国の軍事的な脅威を利用して、日本が「朝貢貿易」による中国包囲網を築くことが出来れば、アメリカの後の覇権が日本に転がり込んでくる可能性もある。インドやバングラディシュでの外交成果は、継続的で広いものにすべきだろう。中国は、日本のファシズムの失敗に学ぶべきだし、日本は中国の朝貢貿易の成功に学ぶべきだろう。

衒示消費としての朝貢
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年9月14日(日) 12:02.

ghostbusters さんが書きました:

冊封体制で思い出しだしたのだが、中国との朝貢貿易は、その相手国にとって物凄く「お得な」貿易だったそうだ。なぜ中国はそんな「大損」な貿易をしたかというと、対外戦争に備えて軍備を維持するより「大盤振る舞い」で、平和的な関係を隣国と維持することの方が結局「得」だからという極めて大人の判断によっていた。

中国は、清朝末期に至るまで周辺諸国より豊かな国だったから、中華思想を抱くのは自然なことだったし、朝貢のような金で名誉を買うようなこともできました。朝貢は、ソースティン・ヴェブレン(Thorstein Veblen)が謂う所の「衒示消費(Conspicuous Consumption)」で、それによって武力による安全保障が完全に不要になるということはありませんでした。

ghostbusters さんが書きました:

結局、ヨーロッパ近代の領土的な野心に燃える帝国主義には、通用しなかったのだが、アイデア自体は悪くはなかったはずだ。

四夷が領土的な野心に燃え、中原を乗っ取ることは過去にもありましたが、中原の経済的優位が続く限り、中華思想がなくなることはありませんでした。ヨーロッパの産業革命により、中国の経済的優位がなくなったことが、中華思想消滅の原因だろうと思います。現在、中華思想が復活しつつあるのは、このままの調子でいけば、中国が世界一豊かな国になるという幻想に基づいています。

ghostbusters さんが書きました:

日本が、その「積極的な平和外交」を推進するというならば、この「朝貢貿易」こそお手本にすべきではないかと思う。中国の軍事的な脅威を利用して、日本が「朝貢貿易」による中国包囲網を築くことが出来れば、アメリカの後の覇権が日本に転がり込んでくる可能性もある。

朝貢のような「金で名誉を買う行為」なら、日本はこれまでもやってきました。OECD を通じての無償援助などがそうです。でも、衒示消費だけで平和が実現することはないし、ましてや、それで覇権を得ることができるということもない。覇権は最高の科学技術とそれによってもたらされる生産性の高さに依拠しており、覇権国には衒示消費をする余裕があるとは言えても、衒示消費をすれば覇権国になれるというのは、因果関係が逆でしょう。

衒示消費は本当に無駄なのか?
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年9月19日(金) 11:01.

永井氏のご指摘通り、日本のODAに見られるように、日本の海外援助は「衒示消費」としても、無効としか思えず、バカみたいだと思う。ただ、遣唐使がわが国にもたらした革新は、無視できないものがある。要するに、金のバラマキ方が下手なのではないか?「衒示消費」の本質は、馬鹿げた浪費により過剰な生産力を誇示すると同時に、その衒示によってもたらされる「豊かさの幻想」が、さらなる生産性の高さを生み出す需要を喚起するともいえる。そういう意味でハリウッド映画のようなアメリカの「正しい衒示消費」は、アメリカの生産性の高さや覇権と無縁ではない。さらに言えば、「覇権は最高の科学技術とそれによってもたらされる生産性の高さに依拠」しているばかりでなく、それ以上に「正しい衒示消費」にも大きく依存しているように思える。要するに、私は麻生元首相により垣間見せられた、日本アニメによる「世界制服」を夢見ているオタクなのだと自覚した。各国にアニメのセンターを寄贈し、アニメのノーベル賞を創設、世界のガキが、タダでアンパンマンやピカチュウやドラエもんでもを見れるようにインフラを整備すればかなりのインパクトがある気がする。

政府による衒示消費は生産性の向上をもたらさない
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年9月20日(土) 12:05.

ghostbusters さんが書きました:

永井氏のご指摘通り、日本のODAに見られるように、日本の海外援助は「衒示消費」としても、無効としか思えず、バカみたいだと思う。ただ、遣唐使がわが国にもたらした革新は、無視できないものがある。要するに、金のバラマキ方が下手なのではないか?

ばらまく側とばらまかれる側、援助する側と援助される側の話が混同されています。遣唐使において、日本は援助された側ですから、日本が他の国を援助する時に同じことが起きるとは言えません。なお、近代以前の日本人は中国に行くと、皇帝から下賜された財宝を中国で売り、その金で書籍を買い漁り、中国の先進的知識を日本へ持ち帰ったそうです。これが日本文化のイノベーションをもたらしたことは事実です。今日、日本から技術を教わった国には技術革新が起きるでしょうが、それが日本でも起きるということはないのです。

ghostbusters さんが書きました:

「衒示消費」の本質は、馬鹿げた浪費により過剰な生産力を誇示すると同時に、その衒示によってもたらされる「豊かさの幻想」が、さらなる生産性の高さを生み出す需要を喚起するともいえる。そういう意味でハリウッド映画のようなアメリカの「正しい衒示消費」は、アメリカの生産性の高さや覇権と無縁ではない。さらに言えば、「覇権は最高の科学技術とそれによってもたらされる生産性の高さに依拠」しているばかりでなく、それ以上に「正しい衒示消費」にも大きく依存しているように思える。

ハリウッド映画は、黒字であることを目指している営利活動で、衒示消費ではありません。

ghostbusters さんが書きました:

要するに、私は麻生元首相により垣間見せられた、日本アニメによる「世界制服」を夢見ているオタクなのだと自覚した。各国にアニメのセンターを寄贈し、アニメのノーベル賞を創設、世界のガキが、タダでアンパンマンやピカチュウやドラエもんでもを見れるようにインフラを整備すればかなりのインパクトがある気がする。

日本の漫画やアニメは、海外のマニアの間で高い評価を受け、高い値段で売れているのにもかかわらず、流通での中間搾取が大きくて、日本の漫画家やアニメ制作のスタッフたちは貧困にあえいでいます。これでは、有能なクリエイターが育ちません。今後中国や韓国がそこそこの品質で安いアニメや漫画を売れば、家電と同様、日本は中国や韓国に負けることになるでしょう。そうなる前に、ボトルネックが不当に中間搾取を行っている閉鎖的な日本の流通システムを変える必要があります。

日本の漫画やアニメは、皮肉にも、日本政府が「クール・ジャパン」を言い出した頃から失速しています。一般的に言って、官僚が産業を「振興」しようとすると、その産業は寄生虫に取りつかれた生物のように、生気を失って衰弱し始めます。漫画やアニメについても同じことが言えそうです。日本政府は、官主導の産業振興策がことごとく失敗に終わってきた過去の事例をよく反省し、民主導のイノベーションが起きるように、不当な介入を止めるべきでしょう。

賄賂政治!
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年9月22日(月) 11:49.

いつものごとく、話がザツで申し訳ない。要するに、日本にとって圧倒的に不利な条件を受け入れて貿易をしても、それによりもたらされる利益が中国の既得権益層に富をもたらし、それが日本との戦争を躊躇あるいは先延ばしさせる効果があれば、長期的には、中国との戦争は回避できないにしろ、戦争の全面化や長期化が回避され、戦争による損が最小化できるということが言いたいわけ。日本としては、国防への投資がを減らせる分、他への投資が可能になるんじゃないかということ。平和の配当とかいうヤツ。要するに、中国の実権を握っている連中への実質「賄賂」だね。例えば、アニメで儲けさせて、戦争を先延ばしていれば、中国はそのうち超高齢化社会に突入するわけで、もはや戦争する元気もなくなる可能性が高まる。先延ばし戦略は日本にとっていい選択に思える。もちろん、逆に中国の軍備増強が促進されるだけかもしれない。その程度に意味で「朝貢」といいました。北朝鮮の幹部への資産凍結とかが結構外交的に有効だったりするのをみていて、あほらしく、図体はでかいが、中国の政治の軽さや個人商店的、同族経営的な発想が北朝鮮と似たような感じに思えて仕方がない。永井さんご指摘の中国の「領土回復戦争」など、酔っ払いのたわごととしか思えない!!

平和の配当
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年9月22日(月) 14:22.

ghostbusters さんが書きました:

要するに、日本にとって圧倒的に不利な条件を受け入れて貿易をしても、それによりもたらされる利益が中国の既得権益層に富をもたらし、それが日本との戦争を躊躇あるいは先延ばしさせる効果があれば、長期的には、中国との戦争は回避できないにしろ、戦争の全面化や長期化が回避され、戦争による損が最小化できるということが言いたいわけ。日本としては、国防への投資がを減らせる分、他への投資が可能になるんじゃないかということ。平和の配当とかいうヤツ

日本の対中ODAは、1979年に開始され、2009年度までに有償資金協力(円借款)を約3兆3,165億円、無償資金協力を1,544億円、技術協力を1,704億円、総額約3兆円以上のODAを実施してきました。中国に対する援助は現在も続けられていて、今年も日本政府が、「中国国民の環境意識の向上と両国の協力関係の強化」のためと称して、食用油を回収してせっけんに再生するプロジェクトに一千万円余りを供与しました。こうした援助の結果、日本は「平和の配当」を手に入れることができたでしょうか。2014年3月28日に、岸田外務大臣は、11年ぶりにODAを見直すことを表明しましたが、敵に塩を送ることはそろそろやめた方がよいかと思います。

俺のところには来てないよ!(習近平)
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年9月22日(月) 15:47.

中国内部の権力闘争や派閥争いの詳しいところは知らないが、日本のODAは、「習の一族」のところには少ししか届いていないじゃないのかね。どこかの閥に独り占めされていた利権を、それを面白くないと思う連中たちがつるんで今度は実権を握ることに成功した。だから、ODAの円借款を復活させ、習一族のふところにゲンナマ入れてやれば、日本に対する風当たりも今よりはましになる気がする。中国の政治は要するに「一族」の繁栄のみを目指しているという意味で一貫しているのだろうから、日本もぶれないでこの実権を握った連中への賄賂を継続すればいいような気がする。要するに、日本の中国へのODAは、それなりに抑止力になっていたという外務省と同じ見解を持つ。中国への援助見直しは、逆に中国を硬化させる気がする。日本で一儲けという既得権益を奪われるわけで面白かろうはずはない。権力を握ったヤツに媚を売るという「商人国家」でいいのではないか!?

習近平が日本からのわいろを受け取るのか
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年9月28日(日) 18:57.

日本から賄賂を受け取ると、日本に弱みを握られることになります。その気になれば国内でいくらでも不正蓄財できる習近平が敢えてそのようなハイリスクな賄賂を受け取るとは思えません。「虎だろうが、ハエだろうが、腐敗幹部はすべて取り締まる」と公言して人民の支持を得ている習近平にとって、不正蓄財の事実がばれることは、この上なく不都合なので、暴露されるリスクを最小限にしようとするでしょう。

ちなみに、香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、習近平はこれまでに計20億元(約334億円)に上る金を汚職によって不当に得たとのことですが、賄賂を贈る側が中国の支配下にあるなら、情報統制によって封じ込めることも可能です。外国政府のような中国によって統制不可能なところから金を受け取るならそうはいかないでしょう。

日中議会交流を再開!「先生たち」出番ですよ!
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年10月14日(火) 10:31.

yomiuri on lineによると「日中議会交流を再開へ、逢沢氏らが中国側と合意」したそうだ。米中の軍事的な均衡が成立したので、「外交」に戦場が移ったということのようだ。私は、自民党の派閥政治や一党独裁から中国指導部は多くを学ぶべきだと思っている。香港は、おそらく軍事的に制圧されることになるだろうが、へたすりゃ「地雷」を踏むことにもなる。中国の外交や内政に対して、自民党の退役した「政治家」は「政治顧問」として日本のおける経験を伝授した方がいい。中国語が堪能な加藤紘一など最適ではないかと思う。中国の軍閥が、日米の軍事力にびびっているうちは、「外交」の出番だろう。この議会交流外交の目的は、戦争の先延ばしである。この間に、中国に負けない最新兵器の開発に邁進すべきだ。彼等が、戦争の判断を先延ばしすればするほど、中国の兵士は「高齢化」するので、戦争は短く局地的になるような気がしている。共産党による中国支配は100年も持つまい!歴代王朝と比べれ、安定感に欠ける。

加藤紘一
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年10月15日(水) 18:16.

ghostbusters さんが書きました:

香港は、おそらく軍事的に制圧されることになるだろうが、へたすりゃ「地雷」を踏むことにもなる。

報道によると、香港警察は15日未明に、幹線道路を占拠していたデモ隊の強制排除に乗り出し、45人を逮捕したそうです。

ghostbusters さんが書きました:

中国語が堪能な加藤紘一など最適ではないかと思う。

加藤紘一はかなり中国寄りなので、鳩山由紀夫や野中広務などと同様に、日中間の外交交渉で活用しない方がよい。彼は、2013年2月13日の日本記者クラブでの会見でも、中国海軍艦艇によるレーダー照射問題について、「ほんとに(中国は)やったのかな」と述べ、映像や写真などの証拠があるとする日本政府の主張に疑念を示しました。また、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島をめぐっても、政府の「領土問題は存在しない」という立場と異なる主張を展開しています。

ghostbusters さんが書きました:

彼等が、戦争の判断を先延ばしすればするほど、中国の兵士は「高齢化」するので、戦争は短く局地的になるような気がしている。

日本も同様に高齢化しています。

習近平の小遣い稼ぎ、象牙の密輸?
投稿者:ghostbusters.投稿日時:2014年11月10日(月) 11:03.

習近平が象牙の密輸で、小遣い稼ぎをしたという報道が流れた。タンザニアに行った時だ。運んだのは、政府専用機なんだから、「お土産」のつもりだったのかなと思う。朝貢貿易みたいな感じだ。見返りに、タンザニアは、賄賂や利権と交換したのだから、もちろん悪い話ではない。サンゴをとっちゃ駄目とか、象牙を輸入しちゃ駄目とか帝国主義者や西欧植民地主義者が勝手に決めたルールなんかに「正当性」などあるわけもなく、従う必要もない。もちろん、表向きは両政府とも「否定」しているし、いつもの「謀略」に決まっているので、「無問題」で処理されるだろう。「美人はみんな僕の妻」の世界であり、都合の悪いことは、全て敵の「謀略」なのだ。香港の騒動ももちろん、「謀略」に決まっているのだ。日本が、交渉しようとしている相手は、そういう相手なんだということを理解した方がいい。なかなか「ワイルド」な相手ということは、はっきりしている。中国が、インフラ金融で周辺国へのアクセスを強めている。日本が中国へのインフラ整備に貢献したお陰で、今日の中国の成長が促進されたという「経験」から学んだのだとしたら、結構なことだ。日本もこの分野で、中国に負けるわけにはいかないだろう。

中国官僚の腐敗
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年11月11日(火) 11:21.

それは、たぶん、習近平本人がやったことではなくて、専用機の管理にあたっているものが職権を濫用してやったのでしょう。サンゴの密漁も、密漁者たちが末端の役人を買収してやっているらしい。要するに中国の官僚組織ではハエから虎に至るまで幅広く腐敗が起きていて、それらを全部叩いていたら政府の役人はほとんどいなくなってしまうほどということです。

中庸は最善か
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2015年2月09日(月) 17:40.

2015年1月17日に、安倍首相がカイロで演説し、イスラム国と戦う国のための人道支援として二億ドルを拠出することを表明した。するとその三日後、この表明に対する報復として、72時間以内に身代金の支払いがないと拘束中の二人の日本人を殺害するとイスラム国のジハード・ジョンが宣告する動画[ISIS Japanese Hostages: Yukawa Harukana & Goto Kenji Threatened to Death or Pays $200 Million Ransom]が公開された。

結局二人とも殺害され、その結果、安倍首相がカイロで行った演説が適切であったかどうかの議論が国内で巻き起こっている。リベラルたちは、戦争の一方の当事者に加担したことで、日本がテロに巻き込まれるリスクが高まったと言って首相を批判しているが、同盟国を見捨てて何もしなかった場合に発生するリスクと比べてどちらが大きいのかをよく考えてみる必要がある。もしも他の国が侵略を受けている時に日本が何もしないなら、日本が侵略を受けた時に他の国が何もしてくれないというリスクが高まる。このことを計算に入れなければならない。

ところで、安倍首相は、演説の中で、中東の和平のためには「中庸が最善」であることを何度も繰り返して訴えた。過激派を牽制するための言葉なのだが、同盟国のために武力行使に参加するのでもなければ、何の協力もしないのでもなく、非軍事的な貢献を行うという日本の選択もまた、「中庸が最善」という価値観に基づいているということができる。安倍首相だけでなく、多くの日本人も、同盟国に対する非軍事的な貢献という中庸が最善であると信じているが、非軍事的な貢献は、敵からは恨まれるが、味方からは感謝されないという一番損な役回りであることを考えると、本当にこのような中途半端な方法が国益にかなうのかどうかを考え直す必要がある。

1991年1月から始まった湾岸戦争で、日本は総計135億ドルを拠出したが、クウェートが戦争終了後に出した感謝決議の中に日本は入っていなかった。1950年6月から始まった朝鮮戦争で日本は本格的な参戦を拒否し、韓国の後方支援を行ったが、北朝鮮が日本を参戦国の一つとして非難したのに対して、韓国は日本を支援国として感謝しなかった(韓国は今でも感謝しておらず、2013年7月27日に韓国政府が朝鮮戦争の支援国26カ国を招待して開いた休戦協定締結六十周年記念式典で、韓国側は日本政府関係者を招待しなかった)。

湾岸戦争が起きた1991年の時点では、日本の一人当たり GDP(28,540.8ドル)は、米国のそれ(24,405.0ドル)を上回っていた。こうした所得格差がある時は、日本が米国の軍事サービスを金で買うことには経済合理性がある。しかし、2013年現在、日本の一人当たり GDP(38,633.7ドル)は、米国のそれ(53,042.0ドル)を大幅に下回っている。金持ちが貧乏人を傭兵として雇うことは理に適っているが、貧乏人が金持ちを傭兵として雇うことはそうではない。

戦争のような人命にかかわる問題を経済原理で解決しようとするのはけしからんと思う人もいるかもしれない。しかし、人命を守るためなら、経済を無視してよいという主張には同意できない。日本では毎年三万人前後が自殺しているが、そのうち少なからぬ割合は経済的な問題を原因としている(だから、景気が良くなると自殺者は減る)。今回殺害された日本人の一人も、会社経営に失敗して将来を絶望し、いわば死に場所を求めてシリアに向かったのではないかと推測されている。イスラム国に加わろうとして逮捕された大学生も似たような心境だった。人命を守りたいなら、経済を疎かにしてはいけない。

日本共産党は、昔から庶民の生活を守るために軍事費を削減しろと主張してきた。他方で、集団的自衛権の行使や武器輸出には強固に反対している。だが、この二つの主張は両立しない(国防などどうでもよいというのなら話は別だが)。軍隊のようなめったに使わないリソースは、複数国で共有した方が効率が良いし、国内メーカーに同盟国への武器輸出を認めた方が、量産による価格下落により、国内での調達価格は低くなる。日本のリベラルたちは、非現実的な理想を掲げてばかりにせず、もっと経済合理性をも考慮するべきだろう。

国連カラ脱退セヨ
投稿者:ペンペン.投稿日時:2015年3月29日(日) 19:16.

「国連とは、田舎の信用組合みたいなものだ。」(Ⓒ西村直己)UNの本質は軍事同盟だ。日米軍事同盟があるのに、UNに加入しているというのは、山口組と住吉会の両方に みかじめ料を支払っているようなものだ。ついでにODAも廃止してくれ。ODAは、総合商社のメシのタネになっているが、その総合商社は 節税により法人税をほとんど払っていない。そもそも、公的債務がGDPの2倍もあるのに、外国に資金援助するなんてクレージーだ。

アジアインフラ投資銀行
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2015年3月30日(月) 10:37.

国際連合(United Nations 連合軍)は第二次世界大戦によってできた秩序と利権を維持するための機関であり、主要な戦勝国である五つの国が特権を享受し、その憲章にいまだに敵国条項が残る連合軍組織に多額の分担金を支払うことは、日本の国益に反していると言えます。国連は、1991年にソ連が崩壊し、冷戦が終結した段階で、歴史的役割を終えており、ソ連という脅威がなくなったこの時が、日本にとって国連脱退のチャンスでした。

国連を脱退すると、日本は国際的に孤立すると危惧する人もいるかもしれません。それなら、代替組織を作ればよいのです。特定国家が特権を享受する国連に対する一般加盟国の不満は大きく、国連改革を促すためにも、ライバルを作る必要があります。当時スイスはまだ国連に加盟していなかったので、ジュネーブに本部があった国際連盟を復活させ、国連加盟国に二重加盟を容認して参加を呼び掛ければ、中国によるアジアインフラ投資銀行設立の時と似たようなことが起きたでしょう(以下の記事を参照)。

アジア投資銀行 部外者のままでいいか(社説 2015年3月30日)北海道新聞 さんが書きました:

中国が主導して年内の創設を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加をめぐり、日本が対応に苦慮している。中国は、運営の中心として関与できる「設立メンバー国」の参加期限を今月末としている。日本はこれには間に合わず、当面、判断を先送りする見通しだ。日本はAIIBに批判的な米国に同調して距離を置いてきたが、英国、ドイツ、フランス、イタリアの欧州主要国に続き、韓国、ロシアも参加を表明した。日本が繰り返し指摘してきた通り、AIIBは融資基準や組織運営の不透明さといった問題を抱えていることは否めない。しかし、アジアの開発資金需要に応じる国際的金融機関として陣容を整えつつあるAIIBに対し、日本が部外者のままでいいのだろうか。参加も含めて関与の仕方を真剣に模索するべきだ。中国も数々の疑問点の解消に努めなければならない。AIIBには既に、東南アジア諸国連合やインド、中東諸国など30カ国以上が参加を決めた。アジアのインフラ整備には年間7700億ドル(約92兆円)が必要とも言われ、日米主導のアジア開発銀行(ADB)だけでは資金需要に対応できない事情もある。欧州4カ国や韓国が日米の制止を振り切って参加するのも、AIIBを巨大なアジア市場に食い込む商機とみているからだ。一方、資本金の大半を出す中国の恣意(しい)的な運営を警戒する声は多い。理事会を常設しないとされ、審査体制の不備、癒着や環境破壊につながる融資の横行といった懸念が消えない。欧州各国は組織運営の透明性を向上させる方針を示している。先進国の加盟が新銀行の信用力を格段に高める以上、中国もこうした要求を尊重せざるを得まい。日本も欧州勢と協力して、内部から国際的な基準を浸透させることも選択肢の一つだろう。中国がAIIB設立に動いた背景には、アジアでの影響力強化の意図に加え、国際金融秩序の中で経済規模に見合った発言権が得られていないとの不満がある。ADBの出資比率を上げる要望はかなえられず、国際通貨基金(IMF)の改革案も米議会の反対で実現していない。現在の事態は日米が招いたとも言える。もはや新銀行設立の流れは変えられない。国際ルールにAIIBを調和させるため、さまざまなルートで働きかける必要がある。

中国にとって、米国主導の国際通貨基金(IMF)で発言力を高めるよりも、対向組織を作ってそれを無力化する方が容易です。米国はIMFの議決権の16.7%を有しており、IMFの組織改編に対して事実上の拒否権を持っています。一方、中国の議決権割り当ては3.8%しかなく、中国は発言権拡大を狙っているものの、米国議会の反発で進んでいません。IMF 改革は、国連改革と同じで、既得権を持っている国が拒否権を発動するので、内側からの改革は、非常に困難です。

日本では、地道に国連改革に取り組むべきだという議論が多いけれども、国連を中から改革するよりも、外に対抗組織を作って実質的に無力化する方が簡単です。もっとも、国力が衰退した時期に日本がそういうことをしても、反響はないでしょう。冷戦崩壊直後なら、日本はまだ「日が昇る国」として認識されていたから、追従国が出たでしょうが、今日本が国連を離脱するのは時機を逸しています。中国は、経済成長の絶頂期にアジアインフラ投資銀行を設立しました。中国は、チャンスを逃さない国だということができます。

相互確証破壊(mad)
投稿者:ghostbuters.投稿日時:2015年6月16日(火) 20:04.

アメリカだけが核兵器を独占していた世界では、アメリカの政治的あるいは経済的な要求には軍事的な裏付けなり脅しがあった。説得力といっても同じだろう。ところが、ソ連それから中国と核武装するとアメリカの核独占は不可能になった。その後に追求されたのが、ソ連や中国から核攻撃されても生き残った核兵器で相手を殲滅できるだけの反撃力を蓄積することだ。当然ソ連もアメリカの後を追い、相互確証破壊といわれる状況を生み出した。これで、冷戦という名の「平和」を実現した。相手国への核攻撃が、文字通り自殺行為であるがゆえにまともな政治指導者なら核兵器の使用を躊躇する「はず」だからだ。このロジックは、冷戦時代には、それなりに有効だったし現実でもあった。ところが、核が拡散し、敵が見えにくくなるとどうなるかわからないとしか言いようがない。よく言われることだが、東京を標的に核攻撃された時に、アメリカが日本に代わって核による報復してくれる保証はない。しかし、報復しないという確証もない。そのことがある意味重要なのだ。日米同盟に挑戦する国を牽制するために、とりあえず安全保障を強化する必要がある。

参照情報
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注釈一覧
  1. ここでの議論は、システム論フォーラムの「集団的自衛権の行使は危険か」からの転載です。
  2. 标示出各国在南沙群岛及其周边海域的声索区,以及各国驻军现状" by 红袍萤火虫. Licensed under CC-BY-SA.
  3. 拙著「太平洋戦争における保守と革新」(2009年8月2日)を参照されたい。"戦後の日本人は、保守と革新が右派と左派の関係にあり、保守勢力が好戦的であるのに対して、革新勢力は平和主義者であると考えがちである。しかし、戦前の日本を満州事変以降の自滅的な侵略戦争に駆り立てたのは、保守勢力ではなくて、一見すると右翼的であるが、実は左翼的な革新勢力であった。"