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『エントロピーの理論』を出版しました

2019年6月10日

私の著作『エントロピーの理論』の解説動画、書誌情報、販売場所、概要、読者との質疑応答などを掲載します。本書に関してコメントがありましたら、このページの下にあるコメント・フォームに投稿してください。誤字脱字の指摘から内容に関する学問的質問に至るまで幅広く受け入れます。

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1. 解説動画

エントロピーとは何なのか、エントロピーにはどのような法則があるのか、その法則は熱力学の対象を超えて適用できるのかといった問題を取り上げ、私の著作『エントロピーの理論』を読む人のための導入とします。Source: YouTube.

2. 販売場所

販売価格は小売店によって異なることもあります。リンク先で確認してください。

3. 表紙画像

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『エントロピーの理論』の表紙画像

4. 書誌情報

  • Title :: エントロピーの理論
    • Furigana :: エントロピーノリロン
    • Romaji :: Entropy no Riron
  • Author :: 永井俊哉
    • Furigana :: ナガイトシヤ
    • Romaji :: Toshiya Nagai
  • Author bio :: 著作家。インターネットを主な舞台に、新たな知の統合を目指す在野の研究者。専門はシステム論。1965年8月、京都生まれ。1988年3月、大阪大学文学部哲学科卒業。1990年3月、東京大学大学院倫理学専攻修士課程修了。1994年3月、一橋大学大学院社会学専攻博士後期課程単位修得満期退学。1997年9月、初めてウェブサイトを開設。電子書籍以外に、紙の本として『縦横無尽の知的冒険』(2003年7月, プレスプラン)、『ファリック・マザー幻想』(2008年12月, リーダーズノート)を出版。
  • Language :: ja
  • Page :: 626ページ
  • Release Date :: 2019-06-09
  • Identifier (Publisher)
    • ISBN :: 9780463501139 (Smashwords, Inc.)
    • ASIN:: B07SSP3P2G (Nagai, Toshiya)
    • GGKEY :: URRFGWYLJ4W (Nagai, Toshiya)
    • 楽天商品番号 :: 1230003269626 (Nagai, Toshiya)
  • BISAC :: Book Industry Standards and Communications
    • Science / System Theory
    • Social Science / Sociology / General
    • Philosophy / Social
    • 社会科学 > 社会学 > 一般
    • 哲学 > 社会哲学
  • Tags :: キーワード
    • Japanese :: 哲学、歴史学、エントロピー、システム論、文明論、戦争論、コミュニケーション、複雑性、オートポイエーシス、スケープゴート、社会哲学
    • English :: philosophy, history, entropy, system theory, civilization, communication, complexity, autopoiesis, scapegoat, war

5. 短い概要

エントロピーはたんなる物理学の概念ではない。エントロピーの理論は、生命システム、意識システム、社会システムといったあらゆるシステムを貫く理論とすることが可能である。本書は、オートポイエーシス、超越論的自己関係性、コミュニケーション・メディア、ファルス、スケープゴート、貨幣のシステム論的分析を行いつつ、さらにエントロピー史観から人類史を概観する。

6. 長い概要

エントロピーはたんなる物理学の概念ではない。熱力学第二法則を非熱力学的分野に拡張することで、エントロピーの理論は、生命システム、意識システム、社会システムといったあらゆるシステムを貫く理論とすることが可能である。本書は、拡張されたエントロピーの概念で物理学の領域を超えた事象を説明しようとする哲学的な試みである。

どのような開いたシステムも、自らの低エントロピーな構造を維持するためには、環境のエントロピーを増大させなければならない。生命システムは、自己準拠的に自己自身を創作し、数を増やすことで全滅するリスクを低下させている。この点で、他の非生命システムとは異なる。生命のうち、自己保存のための選択が、不確定な情報エントロピーの縮減に基づくシステムは意識を持つ。

意識を持つシステムは、相互に相手の不確定性に依存する社会的エントロピーに晒される。この社会的エントロピーを縮減してくれる媒介的第三者が、コミュニケーション・メディア(文化システムにおける記号、経済システムにおける貨幣、司法システムにおける刑罰、政治システムにおける票)である。

コミュニケーション・メディアの起源は、系統発生的にはスケープゴートであり、個体発生的にはファルスである。境界上の両義的存在者の抹殺はシステムのエントロピーを縮減することに貢献する。その貢献ゆえに、いったん排除されたスケープゴートは媒介的第三者として機能する。また去勢以降、母子を結びつけるファルスも、その非存在ゆえに媒介的第三者として機能する。

本書は、最後に、エントロピーの経済学を概説した後、人類史のマイルストーンを振り返る。人類は、太陽活動が低迷し、物質的エントロピーが増大し、情報エントロピーが減少する時に、つまり革命を起こす必要があり、かつ起こす能力がある時に革命を起こす。このエントロピー史観の法則に基づいて、人類誕生から現代資本主義の成立にいたる歴史のシステム論的説明を試みる。

7. 関連著作

熱力学的な、つまりオーソドックスな一般向けのエントロピーの解説に関しては、

などがある。本書では取り上げることができなかったが、エントロピーと環境問題に関しては、

を参照されたい。エントロピーと情報の関係については、

が詳しい。ただ、エントロピーの大きさをそのまま情報量と考え、でたらめの効用を説くのは、受け容れられない。

が、指摘するように、でたらめさをたくさん否定すれば否定するほど情報量が大きくなると考えるべきである。この本は、物理学者が書いた本だが、経済学への適用も試みており、少し古いけれども、お薦めの入門書である。