試論という意味でのエッセイ。ここに掲載した試論は、改訂して書籍の一部として組み込む予定。

試論編

太陽に、太陽黒点数の増減によって計測される活動の変動があることはよく知られている。しかし、太陽活動の変動が地球の気候や人類社会にどのような影響を及ぼすのかはまだよくわかっていない。本稿では、太陽物理学、地球科学、生気象学、経済学などの ...

試論編

日本では、農林水産業(広義の農業)は斜陽産業の象徴のように思われ、先進産業と見なされた工業から後進産業と見なされた農業への所得再配分が行われてきた。しかし、先進国に農作物輸出国が、途上国に農作物輸入国が多いことからもわかるとおり、農業 ...

試論編

古代ローマ帝国は、いわゆる五賢帝時代に最盛期を迎えた後、徐々に衰え、大移動を開始したゲルマン民族に蹂躙され、滅んだ。なぜ古代ローマ帝国は持続不可能になったのか。諸説を検討しながら、私の仮説を提示したい。

試論編

日本は、覇権国と同盟関係を築き、その先進文明を取り入れると、国運が隆盛に向かい、覇権国との同盟関係を解消したり、覇権国と戦おうとしたりすると、国運が衰退に向かうという傾向がある。この傾向を過去の歴史で確認しつつ、今後日本が世界とどう向 ...

試論編

日本には、中央卸売市場という地方公共団体等が農林水産大臣の認可を受けて開設する官製マーケットが存在するが、日本の政治家でその存在を疑問視する人はほとんどいない。代表的な中央卸売市場である築地市場の移転問題においても、豊洲新市場に移転す ...

試論編

カロリー制限(calorie restriction)とは、摂取する食物のカロリーを削減することである。カロリー制限は、栄養失調をきたさない限り、様々な生物で老化の防止、加齢性疾患の減少、寿命の延長をもたらすことが確認されている。ダイ ...

試論編

ウイルス進化説とは、進化はウイルスの感染によって起こるという仮説のことである。「ウイルス進化説」あるいは「ウイルス進化論」は、中原英臣と佐川峻による命名であるが、この仮説は海外では二人が提唱する前からあり、それらを含めた包括的な説とす ...

試論編

生物には、カゲロウのように短命のものもあれば、ヒトのように百年近く生きるものもある。また同じヒトでも、現在は過去よりも平均寿命が長いし、現在においても、先進国の方が途上国よりも平均寿命が長い。この違いはなぜ生まれるのか。また、ヒトの寿 ...

試論編

ピーナッツは、植物性タンパク質、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維、植物ステロールを豊富に含む食品で、適量を日常的に摂取する習慣が死亡率を下げることが判明している。しかし、同じことは木の実の摂取についても言える。では、ピーナッツ ...

試論編

老害批判は昔から存在するが、近年、若年者層に対する高齢者層の人口比率が増え、若年者層が高齢者層を支えるという日本の社会保障の理念が維持不可能になってきたため、高齢者叩きと社会保障制度批判が激しくなってきた。高齢者の延命よりも、もっと子 ...

試論編

現在、地表面の約4分の1が砂漠となっており、さらに毎年約600万ヘクタールの割合で砂漠化が進行している。このまま砂漠化の進行を放置すれば、生物の食料基盤と居住基盤はどんどん減っていくことになる。砂漠化を食い止めて、地球を緑化するには私 ...

試論編

維新が幼児教育から高等教育に至るまでのすべての教育を無償化する憲法改正案を発表して話題になった。現行の公教育を無償化しようとすると、財政負担が重くなりすぎるが、公教育を廃止するなら、教育の質を下げることなく、すべての教育を無償化しても ...

試論編

もしも企業が、業界最高の人材を集めながら、業界最低の業績しか出せないことに気付いたなら、企業は直ちに経営の在り方を抜本的に見直すに違いない。さもなくば、従業員たちは安い給料に不満を募らせて職場を去り、その会社の経営は立ち行かなくなるか ...

試論編

多くの人は、マテリアル・リサイクルこそが本物のリサイクルであり、サーマル・リサイクルは偽物のリサイクルだと思っている。しかし、もしもリサイクルを、バージン材料から作った製品と同じ品質の製品をもう一度作るという厳密な意味で理解するなら、 ...

試論編

ジョージェスク・レーゲンは、地球のような閉じたシステムでは、物が散逸するエントロピーは不可逆的に増大するという「熱力学第四法則」により、地球上に住む私たちは熱死ならぬ物死を先に迎えると予言し、さらに、リサイクルによって持続可能な経済を ...

試論編

クラウジウスは近代熱力学の創始者の一人であり、「エントロピー」という用語の発案者であるが、この言葉を創る前は「変換の等価値」という呼称を用いていた。今日物理学の専門用語として使われているエントロピーは、交換の対価という経済学的な発想か ...

試論編

熱機関とは、熱エネルギーを継続的に運動エネルギーに変える装置である。熱機関が、私たちにとって有用な正の仕事をするためには、温度格差と膨張率の高い作業物質が必要である。高温熱源との接触による膨張と低温熱源との接触による圧縮が直接仕事を行 ...

試論編

ガリレオは、アリストテレスの解釈ばかりをしていた中世のスコラ学者とは異なり、実験と観察を行うことで、古典力学の基礎となる力学法則を独自に発見したとかつて思われていた。たしかに、ガリレオは、自分をそのように見せようとしていたのだが、実際 ...

試論編

ローマ・カトリック教会は、地動説を提唱したかどでガリレオを有罪にした。キリスト教が地動説を異端視したのは、たんにそれが『聖書』の記述に反するからだけではない。ユダヤ教やキリスト教は、母権宗教の克服により成立した父権宗教であり、ローマ・ ...

試論編

西欧の近代化は、14-16世紀のルネサンスから始まるというのが一般的な見解であるが、西欧は、この時に突然、暗黒時代から古典文化復興の時代に突入したのではなかった。古代ギリシャの文化遺産は、サーサーン朝ペルシアやイスラム帝国によって受け ...

試論編

現在私たちが使っているグレゴリオ暦や西暦にはゼロが存在しない。だから、ゼロ年やゼロ月やゼロ日はない。これは西暦やグレゴリオ暦の原型であるローマ暦が最初に考案された当時のヨーロッパでは、ゼロという数字がなかったからである。しかし、今日私 ...

試論編

古来より磁力や静電気力はオカルト的な遠隔作用として認識されており、魔術を禁止するキリスト教の力が強かった時代に磁力や静電気力の研究は廃れた。しかし、ルネサンス期以降、敢えて魔術に取り組む研究者が現れ、彼らが近代的な電磁気学や力学の基礎 ...

試論編

シュメール人が六十進法を用いたのは、60 に約数が多いからとか、60 まで両手で数える方法があるからとかいった理由からだけではない。60 は、両手の指の数である 10 と一年における月の朔望周期の回数である 12 との最小公倍数として ...

試論編

紀元前2世紀に現在のインド西北部を支配したギリシア人のミリンダ王は、仏僧のナーガセーナとの問答を通じて仏教に帰依し、出家したと『ミリンダ王の問い』は伝える。この書は、西洋の有の哲学に対する仏教の無の哲学の優位を示すものとして有名である ...

試論編

パラダイムの本来の意味は「模範」であり、クーンは、科学教育において学生が模範として模倣する教科書的な理論や実験方法をパラダイムと名付けた。正常科学においては、科学者はパラダイムに基づくパズル解きに従事するが、これは軽蔑するべき非生産的 ...

試論編

学術雑誌が紙媒体を用いて論文を出版していた頃、紙面による制限ゆえに、掲載する論文を専門家による査読で選別することに意味があった。しかし、インターネットの普及とともに、低コストの出版が可能となり、こうした査読システムは時代遅れとなった。 ...

試論編

コペルニクスが、当時支配的だったプトレマイオスの天動説に反して地動説を主張したことは、宗教的迷信に対する科学の勝利と呼べるものではなかった。コペルニクスのモデルはプトレマイオスのモデルよりも正確でもなければ単純でもなかった。それにもか ...

試論編

不定積分とは、下端が定数で上端が変数の積分であり、たんに原始関数を求めるだけの原始積分とは区別されるべきである。また、原始積分に含まれる原始積分定数と不定積分の下端が作りだす不定積分定数も区別されるべきである。積分は微分の逆演算とよく ...

試論編

微積分学が創設された当時、極限は無限小や無限大といった無限概念を用いて求められていた。しかし、初期の頃の手法には矛盾が含まれており、この矛盾を解消するために ε-δ(イプシロン-デルタ)論法や超準解析などの方法が考案された。数学者たち ...

試論編

ライプニッツは、自分の形而上学を予定調和説と名付けていたが、この形而上学の学説は神の存在論的証明を前提にしている。存在論的証明は神の遍在を説く汎神論を帰結し、そこからさらに、連続律に基づいて、神に当てはまることをすべての実体に当てはめ ...

試論編

神は完全な無限者であり、その神がたんに観念的で現実に存在しないならば、完全な無限者とは言えないので、神は現実に存在する。このような神の存在の証明を存在論的証明と言い、アンセルムスやデカルトなどによって行われてきた。カントは、存在論的証 ...

試論編

フロギストン説とは18世紀に支持されていた化学の仮説である。この理論によると、可燃物にはフロギストンと呼ばれる可燃元素があって、ある物質が燃えると、フロギストンがその物質から放出され、燃えた後に残る灰は、その物質本来の形であると考えら ...

試論編

直交座標システムは、デカルト座標システムとも呼ばれるが、その名は、フランスの数学者にして哲学者のルネ・デカルトに因んで付けられている。しかし、デカルトは、最初にデカルト座標システムを考案したのでもなければ、最初にデカルト座標システムに ...

試論編

18世紀のスコットランドの哲学者、デイビット・ヒュームは、因果関係の客観性や道徳命題の妥当性を疑った懐疑論者として有名である。しかし、原因と結果、「である」と「するべき」は異質で、その結合は主観的であるがゆえに不確定であるという懐疑論 ...

試論編

哲学は、古代のギリシャにおいて、アルケー、すなわち万物の根源は何かという問いから始まった。哲学としてのシステム論の結論は、世界がそこから立ち現れ、哲学がそこから始まるところのアルケーとは、不確定性であるというものだ。アルケーが、あれや ...

試論編

立法、行政、司法全体に直接民主主義を適用することは不可能であり、国政全体を民主化するには、直接民主主義と間接民主主義の長所を取り入れたハイブリッド民主主義を考案する必要がある。また日本人の選択の自由をさらに増やすには、地方分権が必要で ...

試論編

生活保護の水準以下の生活を送っている勤労者がいる反面、ギャンブルや覚醒剤に支給金を使っている生活保護の受給者がいるとか、ホームレスよりも刑務所の受刑者の生活水準の方が高く、刑務所に入るために犯罪に手を染める生活困窮者が続出するなど、日 ...

試論編

任那(みまな)日本府とは、『日本書紀』に記されている、朝鮮半島南部に存在したとされる倭の統治機関である。韓国学界は、古代の朝鮮半島に倭の領土があったことを否定しているが、文献的資料と考古学的事実は、卑弥呼の時代から倭の五王の時代にかけ ...

試論編

大和(やまと)は、本来「山処」で、「山のような高い場所」という意味なので、日本神話における「高天原」の概念と同じである。アマテラスが高天原に君臨していたという神話は、卑弥呼が邪馬台国を都としていたという史実に基づいている。そして、≪甘 ...

試論編

卑弥呼の墓がどこにあったかは、邪馬台国がどこにあったかを決める上で重要な問題であり、畿内説では、奈良県桜井市にある箸墓古墳が、九州説では、福岡県糸島市にある平原遺跡1号墓が有力候補である。現在歴史学界で最も有力視されているのは、箸墓古 ...

試論編

豊かな家庭に生まれた子供は、恵まれた教育を受けて、多くの遺産を受け継ぐことができるので、貧しい家庭に生まれた子供よりも有利である。このため、親の世代にできた格差が、次の世代にまで引き継がれ、公平な競争が損なわれてしまう。この弊害を取り ...

試論編

崇峻天皇は、蘇我馬子が放った刺客、東漢直駒に弑逆されたと『日本書紀』は伝えている。人臣が天皇を殺害したことは、空前絶後であり、このため、蘇我馬子は稀代の逆臣と謗られてきた。だが、実際には、この事件は東漢直駒の個人的犯行にすぎず、馬子黒 ...

試論編

英語における進行形は、継続や進行や反復を表す相と一般には認知されているが、もっと本質的なことは、他のようでもありうる不確定性を示すための相であるということである。英語における進行形の現代的用法は、18世紀の末、産業革命が進行する中、確 ...

試論編

冠詞は中世ヨーロッパの共通言語であったラテン語には存在しなかったし、英語をはじめとするヨーロッパの近代言語でも、最初から独自の品詞として存在したわけでもなかった。定冠詞は「あれ」を意味する指示形容詞から、不定冠詞は「一つの」を意味する ...

試論編

老子(老聃)は、春秋時代の中国の思想家で、『老子道徳経』の著者とされているが、長い間その実在が疑問視されてきた。はたして老子は実在したのか、それとも『老子道徳経』は後世の偽作か。『老子道徳経』で論じられる「道」とは何のことか。反儒教と ...

試論編

近衛文麿は、日中戦争を拡大させた首相として知られるが、他方で、日米開戦を回避するための活動も行った。果たして彼は、太平洋戦争の回避に努めた皇室の藩屏だったのか、それとも敗戦を通じて日本に革命をもたらそうとした共産主義者だったのか。近衛 ...

試論編

戦後の日本人は、保守と革新が右派と左派の関係にあり、保守勢力が好戦的であるのに対して、革新勢力は平和主義者であると考えがちである。しかし、戦前の日本を満州事変以降の自滅的な侵略戦争に駆り立てたのは、保守勢力ではなくて、一見すると右翼的 ...

試論編

従来、左翼は弱者の思想で、右翼は強者の思想と考えられてきたが、現代では、弱者であるがゆえに右翼的な思想を持つ、プロレタリア型右翼とでも呼ぶべき、新しい右翼が増えてきた。知識人たちは、こうした右翼を権威主義的パーソナリティー論によって説 ...

試論編

今日、韓国と北朝鮮は、太平洋戦争の被害者と称して、日本に対して謝罪と賠償を求めている。しかし、当時の朝鮮人は、太平洋戦争を熱烈に支持し、侵略戦争の被害者というよりもむしろ加害者としての役割を果たしていた。では、なぜ反日的なはずの朝鮮人 ...

試論編

ネット上で発生する祭りは、伝統的な祭りとどのような共通点を持つのか。2ちゃんねるで神と呼ばれるのはどのような人たちか。なぜ2ちゃんねるには「クマー」が出没するのか。2ちゃんねるでのフィールドワークを通して、祭りの民俗学的分析を行い、こ ...