ヒトはなぜ難産なのか
ヒトにとって出産は痛くて苦しくて、場合によっては命にかかわる危険な営みであるが、他の動物にとってはそうではない。奈良貴史著の『ヒトはなぜ難産なのか』によると、直立二足歩行と頭脳の巨大化のおかげで、ヒトの出産は難産になった。難産という代償を払ってもこうした形態変化が起きた理由は何かを進化論的に考えたい。加えて出産の医療化という近年の傾向が新たな問題を作り出していることも取り上げたい。
「人はなぜ性器を隠すのか」について
このページでは、2002年11月1日にメールマガジンで公開した「なぜ人は性器を隠すのか」の初出原文とその後の改訂の経緯を説明する。また、この記事に関する読者との質疑応答もここにまとめる。
なぜヒトの体毛は少ないのか
哺乳動物の毛皮には、温度調節、保湿、紫外線遮断などの機能がある。だから、毛皮を失った個体がたまたま生まれても、そうした機能を持たないがゆえに、子孫を残さずに死滅するはずだ。では、なぜ人間は、他の霊長類とは異なって体毛が極端に少ないのか。島泰三が『はだかの起原―不適者は生きのびる』で提唱した新たな仮説の妥当性を検討しよう。
人はなぜ性器を隠すのか
私たち人間は、自分の性器が他者、とりわけ異性の他者に見られることに強い羞恥心を感じる。植物は、自分の性器である花を、それこそ「はなばなしく」誇示し、動物も、自分の性器の露出を恥ずかしいとも何とも思っていない。なぜ人間だけが恥ずかしそうに自分の性器を隠さなければならないのか。
ヒトは海辺で進化したのか
人間は、海中生活を送ることで、直立二足歩行や無毛性といった人間特有の性質を獲得したとエレイン・モーガンは言う。このアクア説は、学界ではほとんど支持されていないが、はたして正しいのだろうか。彼女の説を詳しく検討しよう。