『システム論序説』を出版しました
私の著作『システム論序説』の解説動画、書誌情報、販売場所、概要、読者との質疑応答などを掲載します。本書に関してコメントがありましたら、このページの下にあるコメント・フォームに投稿してください。誤字脱字の指摘から内容に関する学問的質問に至るまで幅広く受け入れます。
複雑性とは何か
自然科学における複雑系ブームのおかげで、あるいは社会学におけるルーマンのブームのおかげで、複雑性概念はポピュラーになった。しかし、多くの研究者は、複雑性とは何かに関して、漠然とした考えしか持っていない。複雑性と複合性の区別を通して、複雑性を厳密に定義したい。
オートポイエーシスとは何か
オートポイエーシスは、もともと生物学から生まれた概念だが、哲学や社会学でもよく使われるようになった。オートポイエーシスとは何かを、自己組織化、自己指示、自己反省など隣接概念との意味の区別を通じて考えていきたい。
複雑性と進化の関係
進化というプロセスは複雑性の増大なのかそれとも複雑性の縮減なのか。ルーマンによれば、進化に伴う差異化は、複雑性の増大であるのみならず、それと同時に複雑性の縮減の新しい形式を可能ならしめる。私も、進化とは複雑性の増大による複雑性の縮減であると認識しているが、それはルーマンとは異なる意味である。違いは、複雑性を複合性と解釈するか不確定性と解釈するかにある。
機能的システム論と超越論的目的論
ルーマンは、1973年の著書『目的概念とシステム合理性』で、目的論的合理性とシステム合理性を区別し、彼の機能システム論を前者からではなくて後者から説明しようとする。通常我々は、「機能」と聞いて目的に対する手段的有用性を連想するし、「合理性」でもって最も適切な手段の選択を理解している。ルーマンは、なぜこのような伝統的な目的合理性による解釈を拒否するのか。このページでは以下、第一節で「機能」、第二節で「合理性」についてのルーマンの理解を検討し、第三節でシステムが目的論的合理性に基づかなければならないことを主張する。
ルーマンのシステム理論の問題点
今日社会システム論を論じる上で、ニクラス・ルーマンは避けて通ることはできない。このページでは、主著『社会システム論』を中心に、ルーマンのシステム論を検討しつつ、妥当性と規範についての問題を提起する。その際、ルーマンがシステム論的な術語で《複雑性》と名付ける不確定性をどう理解し、またシステムがそれをどのように確定化するかが問題となる。