資本の限界効率逓減の法則
資本の限界効率(投資の限界効率とも呼ばれる)とは、資本を1単位追加投資した時に期待できる資本の利潤率(事業の予想収益率)のことである。企業が複数の事業の候補から投資先を決定する時、予想収益率の高い事業を優先する。このことを逆に考えるならば、投資総額が増えれば増えるほど、予想収益率の低い事業にも投資せざるを得なくなるので、投資の限界効率は減少する。これを資本の限界効率逓減の法則という。株式の予想配当率や銀行預金の金利なども、事業の予想収益率に基づくのだから、この法則が成り立つと考えることができる。だが、資本の限界効率逓減の法則に対して、疑問を持つ人も少なくない。さまざまな批判を吟味することで、この法則の本質を考え直してみよう。
無差別曲線とは何か
無差別曲線分析は、ミクロ経済学の教科書の定番であるが、同時に「役に立たないミクロ経済学」の象徴でもある。無差別曲線にはどのような問題があるのか。そして、無差別曲線を有益にするには、どのような解釈が必要か。
効用を測ることはできるか
経済学では、消費者が商品の消費から得られる主観的満足を効用(utility)と呼んでいる。功利主義(utilitarianism)は、効用を量的に計算しようとしたが、現代の多くの経済学者たちは、そうした量的計測は不可能だと考えている。しかし、価値がエントロピーの低さだとするならば、その大きさは、定量的に測定可能なはずだ。
限界革命はどこが革命なのか
1870年代に、メンガー・ジェボンズ・ワルラスの三人が、独立に限界原理を提唱した。彼らの仕事は、当初は異端として無視されたが、その後、経済学の主流となる近代経済学の出発点として位置付けられ、限界革命と呼ばれている。では、限界革命は、どこが革命的だったのか。