『言語行為と規範倫理学』を出版しました

私の著作『言語行為と規範倫理学』の解説動画、書誌情報、販売場所、概要、読者との質疑応答などを掲載します。本書に関してコメントがありましたら、このページの下にあるコメント・フォームに投稿してください。誤字脱字の指摘から内容に関する学問的質問に至るまで幅広く受け入れます。
個体の本質は何か

不定冠詞や「すべて all」や「いくつかの some」などがついた、複数の個体を指示することができる述語を不確定記述というのに対して、固有名詞によって指示されるような、世界に一つしかない個体を指示する、定冠詞のついた述語を確定記述という。では、確定記述は個体の本質を同定できるであろうか。そして固有名詞は確定記述で置換可能であろうか。
ヴィトゲンシュタインの言語哲学

分析哲学は、ラッセルやムーアを中心としたケンブリッジ分析学派による言語分析に端を発し、フレーゲの言語哲学やウィーン学団の論理実証主義の影響を受けつつ、ヨーロッパで広まり、第二次世界大戦後、英語圏で主流となった哲学である。哲学史家の間で、分析哲学の創始者が誰なのかに関しては意見が一致しないのとは対照的に、もっとも影響力があった哲学者が誰であるかに関しては、ほぼ意見が一致している。ヴィトゲンシュタインである。このページでは、ヴィトゲンシュタインと彼以降の言語哲学の成否を超越論的哲学という観点から検討したい。