女性の労働力を活用するにはどうすればよいのか
待機児童問題を解消するためにするべきことは、認可保育所を増やすことではない。認可保育所と認可外保育施設との格差を解消するために、認可制を廃止して、バウチャー制を導入することを提案する人もいる。良い保育所と悪い保育所の選別は、本来官僚ではなくて消費者が行うべきであり、そういう点ではバウチャー制の方が認可制よりも優れているが、財政錯覚を生じさせるという点では同じである。
最低賃金法は必要か
私たちが働く目的には、金を稼ぐ以外にも、自己実現や他者との交流や規則正し生活を送るためのメリハリなどいろいろある。仕事は百パーセント仕事でなければならず、趣味は百パーセント趣味でなければならないと政府が勝手に決めて、それを法で国民に強制するのは不当な介入である。
公的年金制度は必要か
老後は働かずに年金生活を送りたいという人は、自分で民間保険会社が提供する私的年金に加入すればよいのであって、国家が老後働かないという特定のライフスタイルを国民全員に制度的に強制することは、多様なライフスタイルを選択する自由を否定することになり、好ましくない。したがって、加入が義務である公的年金制度は不要である。
男女共同参画を推進する本当の狙いは何か
1999年に男女共同参画社会基本法が成立し、2001年には内閣府男女共同参画局が設置され、国も自治体も女性の社会進出に向けて取り組んでいる。だが、政府が推進する男女共同参画社会とは、左翼系フェミニストが期待しているような、女性労働者の地位の向上を保証する平等な社会ではなく、むしろ資本家を儲けさせるための格差社会である。
どうすれば労働者の待遇は良くなるのか
2008年6月8日に、将来に絶望した派遣社員、加藤智大が秋葉原で無差別殺傷事件を起こしたことで、派遣社員の劣悪な労働条件に世間の注目が集まった。事件後、舛添要一厚生労働相は、日雇い派遣を禁止する方針を打ち出し、2008年秋の臨時国会に、労働者派遣法改正案が提出される予定である。しかし、こうした法的規制で問題は本当に解決するのか。派遣社員を含めたすべての労働者の待遇を改善するにはどうすればよいのか、抜本的な解決策を探りたい。
ゆとり教育とゆとり労働
1980年代、日本が世界最強の経済大国だった頃、「日本のサラリーマンは働きすぎだ」あるいは「日本の子供は勉強しすぎだ」といった非難が海外から浴びせられた。海外から指摘されるまでもなく、過労死につながるような長時間労働や、青少年から考えるゆとりを奪ってしまうような受験勉強は望ましくない。その意味で、ゆとり教育とゆとり労働は理念としては間違っていない。しかし、日本政府がこの理念を実現するためにとった政策手段は、賢明なものだったとは言い難い。