地球は熱機関としてどのような仕事を行うか
熱機関とは、熱エネルギーを継続的に運動エネルギーに変える装置である。熱機関が、私たちにとって有用な正の仕事をするためには、温度格差と膨張率の高い作業物質が必要である。高温熱源との接触による膨張と低温熱源との接触による圧縮が直接仕事を行うこともあれば、体積変化に伴う密度変化が惹き起こす対流が間接的に仕事を行うこともある。私たちに有用な仕事を行ってくれる熱機関は、人工の熱機関に限らない。地球もまた熱機関として、生命にとって有用な仕事をしている。すなわち太陽放射の熱を高温熱源とする熱機関は空気と水の循環を、地球内部の熱を高温熱源とする熱機関は無機塩類の循環を生み出している。
熱塩海洋循環の停滞は何をもたらすのか
地球温暖化によって、将来、熱塩海洋循環が停滞ないし停止するのではないかと言われている。熱塩海洋循環が停滞すると、何が起きるのか。たんにヨーロッパが寒くなるだけなのか。ヤンガードリアス・イベントの影響を参考に考えて見たい。