崇峻天皇を暗殺したのは蘇我馬子か

崇峻天皇は、蘇我馬子が放った刺客、東漢直駒に弑逆されたと『日本書紀』は伝えている。人臣が天皇を殺害したことは、空前絶後であり、このため、蘇我馬子は稀代の逆臣と謗られてきた。だが、実際には、この事件は東漢直駒の個人的犯行にすぎず、馬子黒幕説は、馬子を悪者に仕立て上げようとする政治的意図から、藤原不比等によって捏造されたものである可能性が高い。
天皇と日食

かつて、中世の日本には、日食/月食に際して天皇の御所を席で裹む風習があった。なぜこのようなことが行われたのか。私は、以前、アマテラス=卑弥呼説に基づいて、天皇の起源がスケープゴートにあったことを主張したが、この観点から、この問題に答えてみたい。
仏教はなぜ日本で普及したのか(振り仮名付き)

2001年に私が書いた「仏教はなぜ日本で普及したのか」には読みにくい漢字があるので、別途振り仮名付き版を作成しました。但し、原文は改訂されているので、原文とは内容が多少違います。違いはそれほど大きくはないので、漢字が苦手な方はこちらのページをお読みください。
十六菊花紋の謎

紀元前3500年ごろに世界最古の都市文明を築いたシュメール人は、紀元前2004年にウル第三王朝が滅亡した後、歴史の表舞台から消えたと言われていたが、実は、その後、日本列島に上陸し、弥生人になったという説がある。江戸時代に来日したエンゲルベルト・ケンペルが最初に唱え、戦前から熱心な支持者がいる日本人シュメール起源説は本当だろうか。岩田明が『十六菊花紋の謎―日本民族の源流を探る』で挙げる根拠を検討しながら考えてみよう。
柿本人麻呂はなぜ死んだのか

柿本人麻呂は、持統朝時代を中心に活躍した宮廷歌人であった。後に歌聖として崇められ、人麻呂を神として祀った神社が創建された。梅原猛の『水底の歌』によれば、神として祀られたことは、人麻呂が非業の死を遂げたということを暗示している。この梅原説は正しいだろうか。人麻呂の歌を分析して、私なりの結論を出したい。
仏教はなぜ日本で普及したのか

伝統的な神を祀る日本の天皇家にとって、異国の宗教である仏教を受け入れることは、自殺行為のように思える。それにもかかわらず、なぜ仏教は、日本では、上から下へと、権力者が推奨する中で普及したのか。気候的背景から考えてみよう。
天皇のスケープゴート的起源

天皇の起源がスケープゴートだったということは意外であろう。例えば極東軍事裁判がそうであるように、多くの人が天皇のスケープゴートにされてきたのだから。しかし黎明期における天皇は、未開社会における酋長と同じで、スケープゴートの色彩が強い。皇祖天照大神を卑弥呼に比定し、そのスケープゴート的起源を明らかにしたい。