ゼロから始まる暦の提案
現在私たちが使っているグレゴリオ暦や西暦にはゼロが存在しない。だから、ゼロ年やゼロ月やゼロ日はない。これは西暦やグレゴリオ暦の原型であるローマ暦が最初に考案された当時のヨーロッパでは、ゼロという数字がなかったからである。しかし、今日私たちが用いている十進法はゼロベースであり、ゼロベースではない付番システムで時点を同定すると、時間を変数とした演算がやりにくくなる。伝統的なシステムをむやみに変更するべきではないが、数学が後進的であった時代のヨーロッパで作られた時間システムに人類がこれからも拘束され続けることは好ましいことではない。そこで、暦をゼロベースにするにあたって、どのような暦にすれば最も理想的になるかを考えてみよう。
デカルト座標はなぜデカルト的か
直交座標システムは、デカルト座標システムとも呼ばれるが、その名は、フランスの数学者にして哲学者のルネ・デカルトに因んで付けられている。しかし、デカルトは、最初にデカルト座標システムを考案したのでもなければ、最初にデカルト座標システムに基づいた解析幾何学を創設したのでもなかった。しかしそれでもなお、デカルト座標システムという呼称は不適切とは言えない。なぜならば、デカルト座標は、デカルトの哲学を数学へと応用したものだからだ。