総合学習はなぜ失敗したのか

「生きる力」が、私たちが獲得しなければならない最も重要な力であることは、言うまでもない。しかし、だからといって、学校教育において、体験学習を通じた「生きる力」の育成にもっと時間を割くべきだという結論にはならない。そうした考えは、人は学校以外で学習することはないという間違った前提に基づいている。
世代を超えた格差の固定化を防ぐ方法

豊かな家庭に生まれた子供は、恵まれた教育を受けて、多くの遺産を受け継ぐことができるので、貧しい家庭に生まれた子供よりも有利である。このため、親の世代にできた格差が、次の世代にまで引き継がれ、公平な競争が損なわれてしまう。この弊害を取り除くために、相続税の強化や公教育の充実が提案されることがあるが、こうした方法は、世代を超えた格差の固定化を防ぐ方法として望ましいだろうか。
日本の高等教育の現状を批判をする理由

私が、日本の高等教育(大学や大学院)の現状を批判する理由は、私が博士課程にまで進学したにもかかわらず、大学教員になれなかったことに対する私怨ではない。高等教育を脱社会主義化することが、国家の競争力向上のために重要であると考えているからである。政府の高等教育に対する補助金を今以上に増やしても、日本の高等教育が抱えている構造的な問題の解決にはならないし、日本政府が財政破綻した時に、道連れになるリスクを高めるだけだ。