シュメール人はなぜ六十進法を用いたのか
シュメール人が六十進法を用いたのは、60 に約数が多いからとか、60 まで両手で数える方法があるからとかいった理由からだけではない。60 は、両手の指の数である 10 と一年における月の朔望周期の回数である 12 との最小公倍数として意味のある数だからである。そして、この点のおいてメソポタミアの六十進法と六十年周期の中国の干支は同じ構造を持っており、後者は前者の文化的影響で成立したと推定できる。今日、メソポタミアの六十進法も中国の干支も、木星と土星が同じ黄道上の位置で合接する 60 年の周期で説明されることがあるが、それは占星術が発達した時代に考えられた解釈であり、そうした後世の解釈で本来の意味を見失ってはいけない。
吉村作治の古代エジプト講義録
文明以前の古代エジプトにはどのような宗教があったのか。ピラミッドは何のために建造されたのか。出エジプトに描かれているモーセの奇跡は史実だったのか。『吉村作治の古代エジプト講義録』を読みながら、考えてみよう。
十六菊花紋の謎
紀元前3500年ごろに世界最古の都市文明を築いたシュメール人は、紀元前2004年にウル第三王朝が滅亡した後、歴史の表舞台から消えたと言われていたが、実は、その後、日本列島に上陸し、弥生人になったという説がある。江戸時代に来日したエンゲルベルト・ケンペルが最初に唱え、戦前から熱心な支持者がいる日本人シュメール起源説は本当だろうか。岩田明が『十六菊花紋の謎―日本民族の源流を探る』で挙げる根拠を検討しながら考えてみよう。
インダス文明の謎を解く
インダス文明は、パキスタンが政情不安であることもあって、学術調査が進んでおらず、今でもまだわからないことが多い。この文明の担い手は誰なのか。紀元前2600年頃に完成度の高い都市文明が突然誕生したのはなぜなのか。他の四大文明と同じ大河文明だったのか。なぜ紀元前1900年に消滅したのか。
都市文明はなぜ生まれたのか
文化(culture)が、「土地を耕す」「栽培する」を意味するラテン語 colere に由来するのに対して、文明(civilization)は、「市民」を意味するラテン語 civis に由来する。文化が農村的であるのに対して、文明は都会的である。前回、農耕文化の誕生を論じたので、今回は、都市文明の誕生をエントロピー理論に基づいて分析することにしよう。