カロリー制限はなぜ老化を遅らせるのか

カロリー制限(calorie restriction)とは、摂取する食物のカロリーを削減することである。カロリー制限は、栄養失調をきたさない限り、様々な生物で老化の防止、加齢性疾患の減少、寿命の延長をもたらすことが確認されている。ダイエット目的で行われることもあるが、この言葉は、主として抗老化医学の分野で用いられる。本稿では、カロリー制限はなぜ老化を遅らせ、寿命を延ばすのか、カロリー制限にはメリット以外にデメリットもないのかについて考えてみたい。
ウイルス進化説は正しいか

ウイルス進化説とは、進化はウイルスの感染によって起こるという仮説のことである。「ウイルス進化説」あるいは「ウイルス進化論」は、中原英臣と佐川峻による命名であるが、この仮説は海外では二人が提唱する前からあり、それらを含めた包括的な説とするなら、今日ウイルス由来の遺伝子が哺乳類の進化をもたらしたことが実証されているので、部分的には正しいということがわかっている。
高木由臣の有性生殖論

ゾウリムシの研究者、高木由臣は、2014年に出版した著書『有性生殖論』で、ゾウリムシのオートガミーを根拠に、有性生殖の機能を遺伝子の多様化に求める通説を否定し、有性生殖を、無性的一倍体化と無性的二倍体化を起源とする、蓄積した突然変異の有用性を検証する仕組みとする新説を提示している。高木の新説は正しいのかどうかを考えよう。
人はどのような知を求めるのか

私たちは、必ずしも役に立つ知だけを求めているのではない。一見すると何の役にも立たない知を求めることもある。しかし、これは人類の生存にとって不利には働かない。なぜなら、種の存続には、環境適応のみならず、変化適応も必要だからだ。「よく遊びよく学べ」とはよく言ったもので、前者は変化適応力を、後者は環境適応力を高めよという教えとして解釈することができる。環境適応にばかり力を入れてると、環境が変化した時、それに適応できなくなるから、バランスが必要だ。
環境に適応するとはどういうことか

生物学や社会学でよく用いられる「環境に適応する」という表現は、システム論的に分析するならば、何を意味しているのか。たんに周りに合わせることが、環境に適応するということなのか。私は、そうではないと思う。