日本の農林水産業はどうあるべきか
日本では、農林水産業(広義の農業)は斜陽産業の象徴のように思われ、先進産業と見なされた工業から後進産業と見なされた農業への所得再配分が行われてきた。しかし、先進国に農作物輸出国が、途上国に農作物輸入国が多いことからもわかるとおり、農業は先端的な技術を持つ先進国のほうが有利なハイテク産業である。自然環境に恵まれ、技術立国を自負する日本は、本来農業を先進産業に育成することができたはずなのに、そうならなかったのはなぜなのか。日本の官僚は、規模が小さいから競争力がないと考え、大規模化と集約化を進めているが、日本の農業の根本問題は、規模の小ささよりも、むしろ規模の大きさにある。
日本はアジアのモナコになれるか
福祉国家と社会主義の崩壊により、個人単位での貧富の格差が増大しつつある。それにともなって、ビジネスのあり方も、大衆のために安く大量に商品を作るフォーでリズム的なやり方よりも、金持ちのために高額な商品を少量作る前近代的なやり方のほうが有望になっている。そんな時代の流れを反映して『日本の富裕層』という本が出た。著者は「日本はアジアのモナコになれ」と言うが、それが可能かどうかを考えてみたい。
北マリアナ諸島知事の就任式に出席
2006年1月9日、北マリアナ諸島知事の就任式に招待されて行きました。生まれて初めての海外旅行です。新知事は、破綻寸前の財政を建て直すためには、日本から観光客と投資を呼び込むことが必要だと演説の中で言っていました。日本に熱い視線を向けているこの国の未来を考えてみましょう。
江戸幕府とブルボン王朝
日本とフランスは、18世紀、徳川綱吉とルイ14世という浪費家の君主のおかげで財政が危機に瀕したが、徳川幕府が1868年まで続いたのに対して、ブルボン王朝は、1789年に滅びた。何が両者の明暗を分けたのだろうか。
バブルはなぜ生まれるのか
バブルは、しばしば、人間の強欲やギャンブル熱で説明される。だが、バブルは、そうした個人心理で説明することはできない。なぜなら、それは、金融政策の失敗から生まれる経済現象であり、個人心理はたんなる結果に過ぎないからだ。
至上原理としての市場原理
市場原理に対する論壇の評価は、89年に東欧で、91年にソ連で社会主義体制が崩壊した時に頂点に達したが、その後、97年にアジア経済危機が、98年にロシア経済危機が始まると、グローバル市場経済に対する懐疑的な見方が広がった。それにもかかわらず、経済・政治の原理として、市場原理以上の原理がないという意味で、市場原理は至上原理である。