権力の脱中心化

一般的に言って、寒冷化はシステムの集権化をもたらし、温暖化はシステムの分権化を促す。中世温暖期から近代小氷期にかけて社会システムは中央集権化したが、その後の温暖化により社会システムは脱中心化しつつある。本稿は、近代小氷期に集権化した情報システム、政治システム、経済システムという三種類の社会システムが、現代において分権化している現状を指摘する。
植物型情報システムの時代

動物の神経システムが求心的であるのに対して、植物の情報伝達システムは分散的である。従来のマスメディアが中央集権的に管理されているのに対して、インターネットは脱中心化されている。だから、マスコミに代わってインターネットが台頭しているということは、人類の情報システムが、動物型から植物型に移行しつつあるということである。なぜこのような現象がおきるのか、その時代背景を探ってみよう。
地方分権は望ましいのか

日本の地方分権論の主流は、教育や福祉といった対人サービスが政府の役割であることを前提にし、住民により身近な存在である地方政府にそれらの権限を大幅に与えよというものだが、こういった地方分権論では地方政府はいつまでたっても自立できない。
マルチメディアがもたらす私たちの暮らしの変革

政治システムであれ、経済システムであれ、文化システムであれ、従来のヒエラルヒー型社会の上下を差異化してきたものは、《たんなる中間情報媒介業》の高コスト性である。インターネットは《たんなる中間情報媒介業》を極めて低価格で時間がかからないものにし、こうしたピラミッド型社会の弊害を取り除いてくれる。