実存と本質の違いは何か

実存と本質の関係は実存主義哲学のテーマであるが、ここではこのテーマを言語哲学的に考えてみたい。
認識のシステム

神秘的一元論者は、近代の哲学者たちの二元論的な認識論を批判する。しかし、私たちは、二元論か一元論かという対立地平を克服し、二元論から成り立つ多元論化を目指さなければならない。
包摂の構造

個を普遍へと包摂することは、一方では認識論的な概念《正当化》であると同時に、他方で権力論における基礎概念である《服従》でもある。正当化と服従は、一見すると正反対に見えるが、実は同じ包摂の二つの側面にすぎない。このページでは、以下第一項で前者を、第二項では後者を論じつつ、第三項では、正当化=服従における「包摂する=包摂される主体」の問題を考察する。
サールの言語行為論

サールは、米国生まれの哲学者だが、オックスフォード大学で博士号を取得したこともあり、オックスフォード大学の日常言語学派の一人と目されている。同じオックスフォード大学のヘアーとは異なり、事実と価値の二元論を否定し、言語行為論を通じて倫理学を自然化した。だが、その試みは正当化されるのだろうか。哲学的に考えてみたい。
ヴィトゲンシュタインの言語哲学

分析哲学は、ラッセルやムーアを中心としたケンブリッジ分析学派による言語分析に端を発し、フレーゲの言語哲学やウィーン学団の論理実証主義の影響を受けつつ、ヨーロッパで広まり、第二次世界大戦後、英語圏で主流となった哲学である。哲学史家の間で、分析哲学の創始者が誰なのかに関しては意見が一致しないのとは対照的に、もっとも影響力があった哲学者が誰であるかに関しては、ほぼ意見が一致している。ヴィトゲンシュタインである。このページでは、ヴィトゲンシュタインと彼以降の言語哲学の成否を超越論的哲学という観点から検討したい。