なぜ都会には犯罪が多いのか
農村と都市との間には、人口密度が低いか否か、農業に従事しているか否かという以上の違いがある。両者の違いの本質はどこにあるのか、それがなぜ犯罪発生率の違いに結びつくのかといった問題をシステム論的観点から考えてみたい。
江戸時代の人口調整方法
江戸時代中期以降の日本の人口には、あまり変動がなかった。武士など特殊階級を除く全国の人口は、幕府が調査を始めた1721年で2600万人、最も少ない時で2489万人(1792年)、最も多い時で2720万人(1828年)で、きわめて安定的に推移した。もし何も制約がなければ、人口は等比数列的に増えるはずである。では、江戸時代の日本では、どのようなメカニズムが人口爆発を抑制したのか。