9月 282012
 

フォーラムから“日本維新の会”を転載します。

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投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年9月29日(土) 16:44.

地域政党「大阪維新の会」を母体に結成され、2012年9月28日に発足した国政政党「日本維新の会」に関するスレッドです。

政党概略(発足時)

政党名:日本維新の会(Japan Restoration Party)
代表:橋下徹(大阪市長)
幹事長:松井一郎(大阪府知事)
本部所在地:大阪府大阪市中央区島之内1丁目17番16号
所属国会議員:以下の7名

衆議院議員(3名)

  • 松野頼久(熊本1区、当選4回)元民主党
  • 松浪健太(比例近畿、当選3回)元自民党
  • 石関貴史(群馬2区、当選2回)元民主党

参議院議員(4名)

  • 水戸将史(神奈川選挙区、当選1回)元民主党
  • 小熊慎司(比例代表、当選1回)元みんなの党
  • 上野宏史(比例代表、当選1回)元みんなの党
  • 桜内文城(比例代表、当選1回)元みんなの党

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年9月29日(土) 17:25.

新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は、2012年9月23日に開かれた政策討論会で、竹島の領有権問題に関して、「(韓国の)実効支配を武力で変えることはできない。どうやったら(日韓の)共同管理に持ち込むかという路線にかじをきるべきだ」と発言した。27日には、尖閣諸島や北方領土の海域や地下資源についても、周辺国と共同管理するルールを設けるべきだとの考えを示した。

尖閣・北方領土も「共同管理を」…橋下氏が提案 (date) 2012年9月28日 (media) 読売新聞 さんが書きました:

橋下氏は「竹島も尖閣も日本の固有の領土」としたうえで、「領土問題は存在しないとする韓国に(竹島を巡って)国際司法裁判所に出てこいと言うなら、日本も尖閣について領土問題はないとは主張できない」とした。

政府が固有の領土としてロシアからの返還を求めている北方領土についても「法と正義の解決なんて、第三者機関を使わないとできない」と述べ、これらの領土について「日中韓露で、裁判所(ICJ)での解決を目指していったらいい」と話した。

さらに橋下氏は、「共同管理とは、領有の問題とは別に利用の問題だ。国益として考えないといけないのは周辺海域だが、海底資源も魚も含めて利用についてのルールが決められていない。(共同管理の)ルールを作るべきだ」と述べた。

共同管理と言えば、聞こえが良いが、共同管理だと責任の所在が曖昧になるという欠点がある。そもそも、大阪府と大阪市の二重行政、すなわち同じ大阪市を二つの自治体が「共同管理」する弊害を説き、その弊害を克服するために大阪都構想を掲げ、大阪維新の会を設立した橋下がこういう提案をするのは、矛盾している。二つの統治者が協力的である、あるいは両者の主従関係がはっきりしているならば役割分担ができるのだが、ライバル関係にある時、統治をめぐって争いが起き、しかもそれを仲裁する第三者が存在せず、それぞれが勝手に統治しようとする結果、重複や衝突が生じ、それでいて問題が起きた時にはお互いに相手に責任のなすりつけを行うという現象が起きることは、「府市合わせ」においても、領土の二国による共同管理でも、同じことである。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年10月01日(月) 11:51.

2012年9月に行われた民主党代表選と自民党総裁選の結果を受けて、様々なメディアが世論調査を行っているが、メディアの露出度が相対的に下がったせいもあって、日本維新の会の支持率が低迷している。

テレビ東京と日本経済新聞が行った緊急世論調査[自民躍進 支持率37% (date) 2012年9月28日 (media) ニュースモーニングサテライト:テレビ東京]によると、政党支持率は自民党が37%で先月と比べプラス12ポイントと大きく伸び、民主党は19%で2ポイントのマイナスとなったものの、日本維新の会の4%を大きく上回った。

9月28日~30日に行われた日本テレビの世論調査[日本テレビ世論調査 (date) 2012年9月30日 (media) 日本テレビ]でも、日本維新の会の政党支持率は、以下のように、自民、民主の支持率を大きく下回っており、第三位とはいえ、公明党と大して変わらない水準である。

(1) 民主党 17.6 %
(2) 自民党 33.4 %
(3) 国民の生活が第一 0.3 %
(4) 公明党 2.4 %
(5) 共産党 2.6 %
(6) 社民党 0.8 %
(7) みんなの党 1.9 %
(8) 新党きづな 0.0 %
(9) 国民新党 0.1 %
(10) たちあがれ日本 0.1 %
(11) 新党大地・真民主 0.2 %
(12) 新党日本 0.0 %
(13) 新党改革 0.0 %
(14) 減税日本 0.0 %
(15) 日本維新の会(大阪維新の会) 3.1 %
(16) その他 0.2 %
(17) 支持政党なし 32.2 %
(18) わからない、答えない 5.2 %

無党派層好みの政党であるから、比例代表の投票先では、比較的高い数字が出るのだが、それでも、自民党や民主党を大きく下回っていることに変わりはない。

(1) 民主党 18.9 %
(2) 自民党 39.7 %
(3) 国民の生活が第一 0.6 %
(4) 公明党 2.8 %
(5) 共産党 3.1 %
(6) 社民党 1.1 %
(7) みんなの党 2.5 %
(8) 新党きづな 0.0 %
(9) 国民新党 0.0 %
(10) たちあがれ日本 0.0 %
(11) 新党大地・真民主 0.3 %
(12) 新党日本 0.0 %
(13) 新党改革 0.0 %
(14) 減税日本 0.0 %
(15) 日本維新の会(大阪維新の会) 5.7 %
(16) その他 0.2 %
(17) 投票しない 5.0 %
(18) わからない、答えない 20.2 %

毎日新聞が9月29-30日に行った世論調査[本社世論調査:安倍自民総裁に「期待する」40%どまり (date) 2012年09月30日 (media) 毎日新聞]によると、自民党の政党支持率は25%(9月15-16日での調査と比べて、6%上昇)、民主党が11%(同、2%下落)であったのに対して、日本維新の会は8%(同、3%下落)となっている。地域別にみると、地盤となる近畿では21%で、民主、自民両党を抑え最も高いが、東京では2%、北海道・東北、南関東では4%と東日本での支持率は低い。

自民党の支持率は上昇したものの、新しく総裁に選ばれた安倍晋三に対する評価は高くなく、「期待する」との回答は40%にとどまり、「期待しない」の55%を下回った。但し、自民支持層で安倍氏に「期待する」と答えた人は63%で、「期待しない」の34%を大きく超えた。これに対して、日本維新の会の支持層は「期待しない」が57%に上り、「期待する」の41%を上回った。橋下と松井は、安倍を新党の党首にしようとしたが、その判断が正しくなかったことを示している。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年10月04日(木) 00:09.

これまで借りたきた猫のようにしていた松浪健太が、日本維新の会の正式な所属議員となったのをきっかけに、橋下の「竹島の共同管理」発言に異論を唱えた。事の発端は、松浪の公式ブログでの以下の発言である。

第3回公開討論会~橋下独裁にはしない~ (date) 2012年9月29日 (author) 松浪健太 さんが書きました:

3回目となる公開討論会が開催された。

昨日、正式に政党としての届出を行ったので、公党としては初めてだ。もはや、最初と違ってお客さんではない。言うべきことは、忌憚なく言わせてもらうことにした。

前回は、竹島をめぐる橋下代表の「共同管理」発言で、随分と批判があった。

今回、ナショナルパーティとして発足した以上、外交・安全保障に関してはまず、国会議員団で議論すべきことを確認した。

また、国会議員団と代表の意見がねじれた場合の対処方を明確にしていく。

ただ、日本維新の会は分権の党である。よほどのことがない限り、国政における決定は議員団ですべきことを橋下代表も認めた。

また、竹島については、竹島自体の共同管理ではなく、領有権についての判断を国際司法裁判所が判断するまで、付近の暫定水域を一定のルールの下に共同管理すべきだということだとの、説明があった。

会議後、改めて国会議員団で議論してほしいとのオファーがあった。

橋下代表と国会議員団は、今後はテレビ電話やメーリングリストなどを駆使して意思疎通を頻繁に行うことになった。

しかし、「意思疎通」はうまくいかなかったようで、橋下は松浪を批判するコメントを行っている。

橋下氏、松浪議員のブログ主張に不快感 (date) 2012年10月2日 (media) 読売新聞 さんが書きました:

橋下氏は1日、市役所で記者団からブログの感想を問われ、「国政課題に地方サイドが何でもかんでも口を出すのは違う。国会議員団が中心になるのは間違いない」としたうえで、「国会議員団の大きな方針に有権者がついてくれるのであれば、日本維新の会に所属しなくてもいい」と突き放した。さらに、「松浪議員だって維新の会に所属しなければ、ブログを(メディアに)チェックされなかった」と皮肉った。

すると、松浪はトーンダウンして、早々と白旗を上げた。

マッチポンプな報道 (date) 2012年10月2日 (author) 松浪健太 さんが書きました:

あくまで、議論は激しく行って、プロセスもオープンにし、決めるときには決める。これが維新のスタイルだと思っている。

大きな戦略や方針について、代表が決めるのは当然である。加えて、道州制を己の存在意義として活動してきた私にとって、この政策を世に広めた橋下徹という政治家は特別な存在である。

地方分権論者は中央政府と地方自治体の上下関係を否定し、両者の関係は対等でなければならないとしばしば言う。しかし、もし本当に両者が対等ならば、両者の役割分担をめぐって見解が対立した時、どうそれを調節するのだろうか。国家間に主権を巡る領土問題があるように、役所間には管轄を巡る縄張り争いがある。こうした争いは「共同管理」では解決しない。だから、これまで日本の行政は、中央を主、地方を従とする主従関係で問題を解決してきた。

他方で、維新の会では、今回の騒動が示すように、地方が主で、中央は従である。これまでにも大阪維新の会と日本維新の会との間にたびたび不協和音が発生しているが、橋下という地方に軸足を置いた「特別な存在」のおかげで、党の分裂を免れている。では、維新の会は、党運営だけではなく、日本の政治にも、地方が主で、中央は従という関係を構築しようとしているのだろうか。「維新八策」はこの点を明確にしていないが、「維新八策」で「条例の上書き権(憲法94条の改正)」が提唱されていることを考えると、地方が主で、中央は従という関係を考えているのではないか。

ちなみに、憲法94条とは「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」というもので、これを改正するということは、国の法律よりも地方自治体の条例の方が優位に立つようにするということになるだろう。松浪は「道州制を己の存在意義として活動してきた」と言うが、「国政における決定は議員団ですべき」とも言っており、地方が主で、中央は従という逆転関係まで想定していないのではないか。今後も日本維新の会と大阪維新の会の力関係を観察していくことにしよう。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年10月22日(月) 15:50.

10月19日~21日に行われた日本テレビの世論調査[日本テレビ世論調査 (date) 2012年10月21日 (media) 日本テレビ]では、日本維新の会の政党支持率は、さらに下がり、自民、民主のみならず、公明党をも下回り、みんなの党と同じ水準にまで落ちている。

(1) 民主党 14.0 %
(2) 自民党 29.3 %
(3) 国民の生活が第一 0.4 %
(4) 公明党 2.9 %
(5) 共産党 1.7 %
(6) 社民党 1.5 %
(7) みんなの党 2.3 %
(8) 新党きづな 0.1 %
(9) 国民新党 0.0 %
(10) たちあがれ日本 0.0 %
(11) 新党大地・真民主 0.1 %
(12) 新党日本 0.1 %
(13) 新党改革 0.0 %
(14) 減税日本 0.1 %
(15) 日本維新の会(大阪維新の会) 2.3 %
(16) その他 0.1 %
(17) 支持政党なし 38.3 %
(18) わからない、答えない 6.8 %

比例代表の投票先の割合も前回より落ちている。

(1) 民主党 13.9 %
(2) 自民党 36.1 %
(3) 国民の生活が第一 0.5 %
(4) 公明党 3.5 %
(5) 共産党 2.4 %
(6) 社民党 1.4 %
(7) みんなの党 3.6 %
(8) 新党きづな 0.1 %
(9) 国民新党 0.0 %
(10) たちあがれ日本 0.1 %
(11) 新党大地・真民主 0.3 %
(12) 新党日本 0.1 %
(13) 新党改革 0.1 %
(14) 減税日本 0.0 %
(15) 日本維新の会(大阪維新の会) 4.8 %
(16) その他 0.3 %
(17) 投票しない 3.5 %
(18) わからない、答えない 29.5 %

2012年10月5-8日に時事通信が行った対面調査による世論調査(政党支持率)では、自民党が、16.8%、民主党が7.3%、公明党が4.4%であったのに対して、初めて調査対象に加えられた日本維新の会は1.2%で、みんなの党と同じであった。これ以外の各種世論調査においても、民主党の支持率は自民党の半分以下、日本維新の会やみんなの党の支持率は民主党の半分以下という傾向がみられる。この傾向が総選挙まで続くなら、日本維新の会は小選挙区でほとんど議席が取れないだろう。

政治アナリストの伊藤惇夫は、日本維新の会の起死回生策として、石原新党との連携を予測した。実際、10月13日に、東京都内のホテルで橋下徹と石原慎太郎が極秘会談し、17日にはたちあがれ日本の平沼赳夫代表が記者会見で、「西は橋下、東は石原」という形での連携を提案した。しかし、橋下は、石原との提携に否定的である。伊藤をはじめとして、マスコミは、人気者同士が手を組めばそれで支持率が上がると思っているようだが、石原の思想は橋下とは異なっており、提携すれば、日本維新の会の本来の支持者は逃げるだろう。

石原は憲法破棄が持論であり、その意向を受け、都議会の会派、東京維新の会の代表で維新塾の塾生でもある野田数都議が、同会派の二人とともに都議会で現憲法破棄と大日本帝国憲法の復活を求める請願に賛成した。しかし、日本維新の会は、合法的な憲法改正を目指しており、これをきっかけに、日本維新の会は東京維新の会との連携を停止した。これは当然の措置である。もしも大日本帝国憲法の復活に賛成したら、日本維新の会は、本当に「維新」の政党になってしまう。

橋下徹も大前研一も「維新」という言葉をたんに体制の抜本的改革という意味で使っているようだが、「維新」という言葉は彼らが目指すリバタリアンな改革とは本来相容れない意味を持っている。すなわち、「維新」という言葉は、『詩経』に登場する「周雖旧邦 其命維新」に由来するが、これは「周は、古い国とはいえ、新しい天命を受けている」という意味である。明治維新にしても昭和維新にしても、古い天皇制を新たに蘇らせようとする王政復古運動という意味で「維新」という言葉が使われている。日本維新の会の英語表記は“Japan Restoration Party”であるが、ネイティブがこれを見たら「日本王政復古党」と受け取るだろう[誤訳か妙訳か 日本維新の会、英語名に思わぬ議論 (date) 2012年10月15日 (media) 朝日新聞]。

歴史に無知な若者は何とも思わないだろうが、年配の有権者は、「維新」と名のつく政党名を聞くと、君側の奸に天誅を加え、クーデターで天皇親政を実現しようとする右翼政党と思うかもしれない。橋下が石原やたちあがれ日本と提携したら、日本維新の会がそういう類の政党だと誤解する人が増えるだろう。だから、もしも日本維新の会の支持率を上げたいと思うのであれば、橋下は石原や平沼といった国家主義者とは距離を置き、自由主義者としての側面を強調するべきだ。

尖閣諸島問題が国民の関心事となったおかげで、自民党の支持率が上昇しているが、他方で復興予算流用問題も新たな関心事として浮上している。これは民主党の問題として認知されているが、自民党が主張する国土強靭化や公明党が主張する防災・減災ニューディールに配慮したものであり、三党に責任があると言わなければいけない。「国民の生活が第一」というキャッチフレーズに表れているように、民主党は年金生活者や子育てをする主婦といった生活者に金をばらまく大きな政府を志向しているのに対して、自民党はゼネコンや農協といった生産者に金をばらまく大きな政府を志向しており、ばらまき先が異なるだけで、両者とも大きな政府を志向していることには変わりがない。増税と浪費という大きな政府の欠陥が明らかになるにつれて、小さな政府を志向する政党が再び注目を集めることになるだろう。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年10月26日(金) 09:15.

昨日石原慎太郎が、東京都知事を辞任し、新党を結成することを表明した。石原は橋下との連携に意欲的だが、橋下は慎重であるようだ。

石原新党、維新と連携模索 衆院選へ第三極乱立 (date) 2012年10月26日 (media) 日経新聞 さんが書きました:

橋下氏は25日、大阪市内で記者団に「石原氏のパワーがないと今の日本の統治機構を変えるのは難しい」と評価。ただ選挙協力に関しては「まずは政策の一致。政策がずれたままでは既存政党と変わらず、有権者にそっぽを向かれてしまう」と慎重に言葉を選んだ。

維新はみんなの党との選挙協力に動いている。石原新党と両にらみで連携を探るが、両者はいずれも関東を地盤とする。維新幹部は同日、「石原新党は維新の選挙区調整や擁立規模にも影響する。頭が痛い」と語った。

政策では保守色をどの程度強めるかが焦点だ。石原氏は記者会見で、尖閣諸島の実効支配の強化について「私が国会議員になって監督していきたい」と強調した。たちあがれ日本には、核武装論など「右寄り」に傾きすぎると、幅広い支持を失うとの声もある。

石原は安倍晋三と政治理念が類似した国家主義者であり、石原新党が憂国系の票の一部を自民党から奪う可能性がある。記事では維新幹部が影響を憂慮していると報じているが、橋下は、竹島共同管理発言のおかげで、憂国系の有権者の支持を既に失っており、連携でもしない限り、石原新党の影響をあまり受けないだろう。

知事時代の石原には、褒めるべき功績がないわけではないが、新銀行東京の設立やオリンピック誘致など失政が目立つ。石原は、これまで世間の関心を集める問題提起を数々行ってきており、作家としての才能があることは確かだが、政治家としても有能とは言えない。政治家に求められるのは結果だからだ。国会議員になっても、与党入りしないなら、評論家的な活動しかできないだろう。都知事として行政を担うよりもその方が無害でよいのだが。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年10月30日(火) 13:38.

日本維新の会の国会議員団代表である松野頼久が、石原新党との連携に意欲を示している。10月28日の日曜日に出演したテレビ番組『新報道2001』で、「連合はできる。中央集権打破で一致すれば方向性は見いだせる」などと発言していた。松野をはじめとする日本維新の会の国会議員団が石原新党との連合を望む理由は二つある。一つは、議員団が思想的に石原に近いということであり、もう一つはみんなの党を牽制することができるということである。

松野は鳩山由紀夫の側近であったが、思想的には国家主義的で、TPP にも反対しており、石原慎太郎やたちあがれ日本の思想に近い。そもそも日本維新の会の国会議員団は、安倍晋三との連携を前提に集めたので、安倍とスタンスが近い石原と思想的に近くなるのは当然のことなのである。国会議員団幹事長の松浪健太も、安倍の懐刀である菅の腰巾着と言われ、安倍との結びつきが強い[維新の会「松浪議員の乱」に自民党の影? (media) 週刊朝日 2012年10月19日号]。

橋下本人の思想は、石原よりも渡辺善美に近く、それでみんなの党との連携を再度模索したのであるが、これに対して、みんなの党は、日本維新の会に合流した比例当選組の元党員3人の議員辞職を要求した。3人が議員を辞職すれば、比例名簿から次点候補が繰り上げ当選となり、みんなの党の参院議席数は、単独で参院に法案を提出することが可能な11議席を維持できるというのが理由である。それで、橋下は、3人の議席を返上すると発言してしまい、このため、日本維新の会の国会議員団に動揺が生じた。彼らが、東日本でのパートナーとして石原を選ぼうとすることで、みんなの党の要求を牽制し、仲間の切り捨てを防ごうとすることは当然のことである。

みんなの党が単独で法案を提出しても、どこからも相手にされないのだから、そのような権限は有名無実である。3人は、衆議院の解散と同時に失職する予定であるから、議員辞職を急ぐ必要はない。目先の小さな利益にこだわって、維新を石原新党に奪われるなら、それはみんなの党にとって、長期的な視点からするとより大きな利益を失うことになるだろう。みんなの党がするべきことは、3人の即時議員辞職の要求を取り下げ、維新と連合し、かつその連合にこれ以上不純分子が混ざらないようにすることである。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年11月03日(土) 14:12.

橋下は、消費税の地方税化に関して新しい提案をしている。

橋下大阪市長:消費税6%分を格差是正財源に (date) 2012年10月30日 (media) 毎日新聞 さんが書きました:

橋下徹大阪市長は30日、自らが提唱する「消費税の地方税化」について、消費税を11%に引き上げ、うち6%を地方間の税収格差を是正するための財源にすれば、各自治体で現在の税収を確保できるとの試算を明らかにした。近く、自らが共同代表を務める「道州制推進知事・指定都市市長連合」で発表する。

消費税の地方税化は、国が地方自治体に交付する地方交付税(約17兆円)を廃止する代わりに、消費税を全額、地方の財源として分配し、地方の自立を促す政策。橋下市長が代表を務める日本維新の会や、みんなの党が掲げている。ただ、大都市と地方で税収格差が生じるとの指摘があり、格差是正が課題になっていた。

橋下市長は市役所で記者団に、「消費税を11%に引き上げ、5%を地方の独自財源、6%を調整財源として配分すれば、現在の財源分は確保できる。国を立て直す起爆剤になる」と話した。維新の公約に盛り込まれるかどうかは未定という。

これでは、自治体経営を改善しようとする動機に悪影響を与えると思えるのだが、それはともかくとして、調整財源の配分は誰がどのような権限で決めるのか。本日放送された読売テレビの「ウェークアップ!ぷらす」に出演した橋下は、関西広域連合のような地域ごとのブロックで決めると言っていたが、ではブロック間で生じた利害は、誰が調節するのか。全国知事会なのか。関西広域連合にしても、全国知事会にしても、対等な首長の集まりであり、関西広域連合長や全国知事会会長には強い権限はない。一種の「共同管理」の状態であり、共同管理には、このスレッドで指摘した問題がある。全国知事会会長に強力な権限を与えれば、知事間の利害対立を調停できるだろうが、それなら従来の中央集権的な統治機構と大差がない。いやそれどころか、それ以上に不公平なシステムになりそうだ。知事会会長を選ぶ選挙は従来よりも重要になるが、各自治体の人口が大きく異なるので、一票の格差が問題になるからだ。

Re: 日本維新の会

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年11月18日(日) 11:01.

昨日(2012年11月17日)、日本維新の会は、太陽の党(旧たちあがれ日本)が解党して維新に合流したと発表した。新代表には太陽の党共同代表であった石原慎太郎共同代表が就き、もう一人の共同代表であった平沼赳夫は国会議員団代表に、日本維新の会代表だった橋下徹大阪市長は代表代行に就任するとのことである。八項目の政策で合意したというが、旧たちあがれ日本のメンバーが本当に合意したかどうか怪しい。少し前まで、たちあがれ日本の政策は大阪維新の会の政策とは全く異質だったのである。

維新の会と太陽の党合流 「脱原発」の文字消える (date) 2012年11月18日 (media) 東京新聞 さんが書きました:

合流は、人間関係の不安材料もある。維新は、小泉改革を主導した竹中平蔵元総務相がブレーン。一方、維新の国会議員団の代表となった平沼赳夫・太陽の党共同代表は、竹中氏が主導する郵政民営化に反対して自民党を離党した。天敵ともいえる二人が合流により「呉越同舟」することになった。平沼氏は同日の記者会見で「竹中氏の主義主張が日本の国是にあうかという問題もある。今後、考えをぶつけていかなくてはならないと思う」と語り、依然としてしこりが残っていることをうかがわせた。急ごしらえで手を結んだ連携からは、早くも亀裂の芽が見える。

両党が合意した八項目の中には、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加がある。交渉に参加する以上、加入を目指すことになるのだが、TPP に加入するということは、たんに関税を引き下げるだけでなく、国内における公平な競争の阻害要因を取り除くことに同意することを意味する。当然のことながら、民業圧迫となる郵政三事業なども完全民営化が求められることになる。だから、今年の4月には、以下のようのことがあった。

郵政民営化見直しがTPPの火種に 米が猛反発 (date) 2012年4月11日 (media) 産経新聞 さんが書きました:

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への日本の交渉参加問題をめぐり、米国が日本の郵政民営化見直しに不満を募らせている。完全民営化路線の後退で、米保険業界の参入が一層阻害される懸念を強めているためで、日本の交渉参加に大きな足かせとなる恐れが強まってきた。

米通商代表部(USTR)のカーク代表は10日、訪米中の玄葉光一郎外相と会談し、郵政民営化法改正案について、「米国の議会や利害関係者が強い関心を有している」と表明。米側は特に保険分野を問題視、今後、両国で継続協議することになったという。

改正案では、かんぽ生命保険株式の完全売却義務が努力目標に後退。米保険業界にはかんぽ生命が政府の信頼をバックに営業を続ける可能性が残ることに猛反発。米国生命保険協会は「公正な競争条件の確保を求めてきた業界の懸念を無視した」と非難声明を出している。

訪米中の民主党経済連携プロジェクトチームの議員調査団と10日会談したマランティスUSTR副代表も懸念を表明。TPP推進派の吉良州司衆院議員は米側から公正な競争条件の確保と市場開放を強く促されたことを明らかにした。

マランティス副代表は、日本の交渉入りに向けて米議会が承認するための明確な条件はない、としながら「議会と業界が納得する姿勢」を日本が示さない限り、調整は難航する可能性を示唆したという。

日米の事前協議では、自動車や農業と並び、郵政と保険をめぐるせめぎ合いが激しさを増しそうだ。

もっとも野合ということで言えば、実はたちあがれ日本の結党自体が野合であった。結党時のメンバーのうち、平沼赳夫、藤井孝男、中川義雄は完全民営化に反対していたが、与謝野馨と園田博之は賛成していた。平沼と与謝野は、麻布高校の同級生で、個人的なつながりがあったと言うが、政策の不一致よりも出身高校の一致を優先したというのだから、政策軽視も甚だしい。

私はかつて、間接民主主義の弊害を指摘し、有権者の直接投票を可能にするハイブリッド民主主義を提案したことがあるが、政党への投票が政策への投票につながらない現在の政界の現状を見ていると、ますますそうした政治システムの抜本的変革が必要だと思うようになる。

日本維新の会が分党

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年6月10日(火) 15:29.

2014年6月9日に、日本維新の会が分党を正式に決定した。6月中に解党の党大会を開催するとのことである。いったん党を解散して二つの新党を結成することで、政党交付金が所属議員数に応じて分配されるようにするというのだから、円満離婚と言える。新党の名称はまだ決まっていないが、橋下新党には37名が、石原新党には23名が参加する予定だ。

みんなの党から分裂し、日本維新の会と合流する予定だった結いの党との共通政策案に自主憲法制定を明記するかどうかをめぐって意見が対立したことが原因とマスコミは報道しているが、石原にとっての分党の原因はそうした政策の不一致ではなかった。そもそも、日本維新の会と太陽の党が合併した時から、もともと政策は一致していなかった。日本維新の会は合法的な改憲を目指していたのに対して、石原慎太郎は現憲法の破棄が持論であり、その違いを「自主憲法の制定」というあいまいな表現で隠していたのである。他方で、結いの党の江田憲治は、みんなの党の幹事長をしていた頃、憲法改正を容認する立場を示しており、この点で橋下との間に本質的な見解の相違はない。

日本維新の会と太陽の党(たちあがれ日本)は、これ以外にも、原発政策、TPP、統治機構改革など多くの政策課題で見解が異なっていたが、石原にとってはそれは重要なことではなかった。なぜなら、石原にとって、政党とは政策や理念の共有で成り立っている集団ではなくて、人間関係でつながっている自民党の派閥のような集団であったからだ。だから、自分とは政治理念が異なる結いの党との合併にも、四月の半ばごろまでは賛成していた。自民党の派閥と同様に、手下が多ければ多いほどよいという考えだ。

ところが、橋下が結いの党との合併で目指していたことは、石原が考えていたようなたんなる党勢拡大ではなかった。実際、結いの党の議員数を加えても、橋下にとっては所属議員数は減ることになるのだから、現時点では党勢拡大にはなっていない。橋下が目指したのは、むしろ政策集団としての党の純化にあると見ることができる。橋下の周辺では、旧たちあがれ日本のベテラン議員が日本維新の会の国会議員団を牛耳っていることに不満を持つ者が少なくなかった。政策的に自分たちに近い結の党の議員を入れることで、平沼赳夫たちから党運営の主導権を奪い返そうとしたと見ることができる。

2014年5月29日の会見で、石原は、当初から「小さな亀裂」が橋下との間にあったと述べている。合流前に行われた石原や平沼らとの会談の場で、橋下が「私たちが必要としているのは石原さん一人で、平沼さんたちはいらない」と話したことを挙げ、「その時の心理的な亀裂が尾を引いていろんな形になったことは否めない」と言っている。橋下と離婚はしたくなかったが、平沼を切り捨てたくはなかったというのが石原の思いだ。要するに、石原にとって重要なことは、人間関係であったということである。

分裂後、橋下が自民党に対抗できる野党を作ろうとしているのに対して、石原は政権与党への接近を試みている。この点で、日本維新の会の分裂はみんなの党の分裂と似ている。但し、みんなの党の場合、政策をめぐる大きな違いは党内になかったので、この点では日本維新の会とは事情が異なる。みんなの党は、維新との連携をめぐって意見が対立して、分裂したとマスコミは報道しているが、これは本質的なことではない。そもそも、党内で維新との連携に最も熱心だったのは、渡辺善美であり、江田はむしろ冷淡ですらあった。

みんなの党が分裂したのも、党の運営を巡る主導権争いからだった。2012年12月の総選挙時に、渡辺代表の不倫疑惑が原因で離婚騒動が起き、離婚は回避したものの、それ以後渡辺代表は夫人に頭が上がらなくなった。これをきっかけに夫人が以前にもまして党務に介入するようになった。最初の異変は、渡辺善美の先代から仕えていた古参秘書の追放という形で現れた。これは、公党を私物化しようとする代表夫人とそれを諌めたがゆえに疎外される重鎮という点で、江田幹事長追放の前兆となる現象だった。江田幹事長は「みんなの党」の名付け親であり、江田が試みるように、みんなの党を文字通りの「みんなの党」にしようとするのか、それとも「渡辺夫妻の私党」のままにするのかという党運営をめぐる主導権争いが、みんなの党の分裂につながった。

同じ党内における主導権争いに起因する党の分裂であっても、日本維新の会の場合は、政策面での純化が進んだのだから、有権者にとっては歓迎するべきことだが、みんなの党の場合はそうではないのだから、望ましいこととは言えない。渡辺善美が政治資金問題で代表を辞任したことで、松野頼久幹事長代行が呼びかけたように、みんなの党が、橋下新党に加わることができるようになったかと言えば、そうとは言えない。みんなの党にとって、安倍政権への接近は既定路線で、これは安倍政権にとってもメリットがあるからだ。

自民党では、現在集団的自衛権をめぐって公明党ととの協議が難航している。自民党が公明党を無視できないのは、自民党の議席が参議院で単独過半数に達していないからである。しかし、もしも、集団的自衛権を容認するみんなの党が連立政権入りをするなら、自民党+みんなの党だけで、参議院の議席数が127となり、過半数となるから、今ほど公明党に配慮する必要はなくなる。一方石原新党の参議院での議席数は3なので、自民党と連立を組んでも、過半数には届かない。みんなの党にとって、13名の参議院議員は政策実現のための大きな武器であり、橋下新党に加わって埋没するよりも、与党に影響を与える方が存在感を出せると考えているのだろう。

他方で、橋下新党は、与党との対決姿勢を強めることになりそうだ。民主党の前原誠司元代表は6月7日に、読売テレビの番組で、橋下新党との将来的な合流の確率が100%だと述べた。しかし、前原を筆頭に民主党の非労組系議員が今すぐ大挙して新党に参加するかと言えば、そうはなりそうにない。現在の民主党にはブランド価値はないが、金はあるので、所属議員はなかなか民主党を離れることができない。日本維新の会のように、円満な分党をすることもできない。もっとも政党助成金による拘束が効くのは今年の末までだ。来年以降は統一地方選挙や近づく国政選挙を見据えた野党再編が活発になるだろう。

桑原宏史さんの見解

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年6月10日(火) 15:52.

当フォーラムのメンバーで、日本維新の会の桑原宏史さんが今回の分党について、次のような見解を出しています。

Facebook (date) June 6 at 2:27pm (media) Hiroshi Kuwahara さんが書きました:

日本維新の会分党につきましては、これまでご支持、ご期待頂いた皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしまして申し訳なく感じております。今後多くのご批判を頂くかもしれませんが、私は、コメントが新聞報道されましたように、今回の分党を前向きに捉えさせて頂いております。私はかねてより日本維新の会が力を入れなければならないのは統治機構改革、既得権の打破であり、その為の地方分権であり、規制緩和であることを訴え続けて参りました。分党により、それぞれの党の理念が明確になることは有権者の皆様に対する責任を果たす上でも必要であったと受け取っております。私はこれからも橋下徹と共に、原点回帰した改革政党で戦い抜いて参ります。

私も今回の分党を歓迎しています。石原系議員が出て行ってくれたおかげで、以前よりも日本維新の会が支持しやすくなりました。最初から日本維新の会と太陽の党が合併していなければ、もっと良かったのですが、今さらそういうことを言っても仕方がありません。たぶん両党が合併していなかったら、太陽の党は23名も国会議員を当選させることはできなかったでしょうし、日本維新の会は37名よりももっと多くの国会議員を当選させることができたことでしょう。

日本維新の会以上にごちゃまぜ状態の民主党も労組系リベラルと非労組系保守に分裂しそうな気配です。有権者の立場からすれば、政策本位で純化してくれることは望ましいことです。もっとも、あまりたくさんの政党が乱立することは小選挙区制では現実的ではないでしょうから、さしあたり「大きな政府を目指す保守」、「大きな政府を目指すリベラル」、「小さな政府を目指す保守」の三つに分かれるのが適当かと思います。橋下新党は、三番目の勢力のコアとなるでしょう。

付録(1)

関連トピックとして、フォーラムから“チルドレン議員の大量当選は有害か”を転載します。

チルドレン議員の大量当選は有害か

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年6月28日(木) 01:23.

小泉チルドレンや小沢チルドレンなど、一時的なブームで大量当選した新人議員は、その時のリーダーの名前を取って「××チルドレン」と呼ばれる。議員本人の資質ではなくて、リーダーの人気やカリスマのおかげで当選するのだから、適性に問題がある議員が当選することがよくある。この現象は、世界的に見られ、英語では「上着の裾効果(coattail effect)」と呼ばれている。

橋下徹人気で当選した大阪維新の会所属の大阪府議や大阪市議、所謂橋下チルドレンの中にも、そうした議員が出てきている。捏造されたリストを根拠に労組の政治活動や労使の癒着を追及した杉村幸太郎大阪市議が有名だが、この他、市職員に口利きをする大阪市議なども問題となった。

大阪維新の会が、2012年1月に、次期衆院選の候補者を養成しようと維新政治塾の受講生を募集したところ、応募者は3326人に上った。2012年6月25日には、この中から、888人が政治塾生として正式に選ばれ、今後、これら塾生や現職国会議員らを対象に最終的な候補者を選ぶ予定であるが、素人から大量に候補を選ぶことを危惧する人もいる。

橋下門下生のレベル低く橋下政権誕生したら民主党よりも悲惨説 (media) 週刊ポスト2012年6月15日号 (author) 大前研一 さんが書きました:

いま日本人の多くは、もしかすると橋下徹大阪市長が国政を変えてくれるかもしれないと期待しているようだが、それは無理だ。なぜなら、国を運営するにはそれなりの仕掛け、言い換えれば何百人かの人材と組織が必要だからである。

わかりやすい例は、独裁政権や長期政権に対して民主化を求める国民の反政府運動が起きたエジプト、シリアなどである。「アラブの春」と持て囃されたこれらの国々は現在、国を動かす仕掛けがなくなったため、すべて混沌としたミゼラブルな状況になっている。

橋下市長の場合も同様だ。もし彼と「大阪維新の会」が次期総選挙に勝利して政権を取ったとしても、配下の大半は小泉チルドレンや小沢チルドレンよりもレベルの低い促成栽培の“橋下ベイビーズ”である。

田中直紀防衛相よりも“素人”のベイビーたちが大臣になったら、野党から次々と問責決議案を突き付けられて首相の任命責任が問われるのは間違いない。したがって「橋下政権」が誕生した時は、今の民主党政権よりも悲惨な事態になると思う。

橋下市長が大阪で機能しているのは、彼が大統領的に選ばれた首長であり、国会で過半数を握って選ばれた首相ではないからだ。日本ではどんなに首相が優秀でも、数十人の議員が造反して反対側に移れば政権は崩壊する。細川内閣以来、国政の混乱が続いているのは、議員たちが政局を揺さぶる醍醐味を覚えたからだ。

エジプトやシリアが混乱しているのは、旧勢力を倒したからではなくて、完全に倒しきれないために起きている。また、大量造反による政局の流動化は、小沢チルドレンには当てはまるが、小泉チルドレンには当てはまらない。郵政造反組を復党させるなど抵抗勢力との妥協を続ける執行部に対して、小泉チルドレンが反旗を翻して大量に造反するということはなかった。

大前の議論は粗雑なのだが、本題と関係のない話は措くことにしよう。大前は、橋下チルドレンのレベルが低いと断定するが、大前は部外者なので、維新政治塾の塾生のレベルを知っているわけではない。過去の経験則から、そう推測しているだけのことである。

“橋下塾”候補者の決め方バカげている (date) 2012.06.24 (author) 大前研一 さんが書きました:

維新塾は、事前アンケートで「立候補に必要な供託金を出せますか」と尋ね、「出せない」と回答した人は全員落選したという。橋下氏が、人物の人間性などを理解して国政に送り込もうとしているとは到底思えない。

私は1994年に「一新塾」を開塾し、すでに4000人の卒塾生が出ているが、国政に送り出したい人はせいぜい1%だろう。その経験から言うと、いい人材がそんな簡単に集まるとは思えない。アンケートで立候補者を決めていこうなんて、ちょっと人をバカにした話だと思う。

大阪維新の私設応援団長を自認する私でさえ「ふざけるな」と言いたい気持ちだ。民主党は10年間、国会の場で野党を経験してきても人材不足でこのザマ。維新政治塾もすぐに馬脚を現すだろう。

塾生の選抜は、アンケートだけではなく、面談を通じて行われており、選抜基準は、最初から通告されていた資金力以外にもいろいろあったようで、大前の認識にはここでも間違いが多い。それはともかく、1%という数字を当てはめるなら、888人の塾生のうち、有能な国会議員となるのは9人程度ということになる。もしも9人も有能な国会議員を輩出することができるのなら、維新政治塾の成果は十分にあったと評価するべきである。

大前は、「促成栽培」された橋下チルドレンが、小泉チルドレン以下のベイビーズだと言うが、杉村太蔵などの小泉チルドレンは、公募の後、論文審査や面談で選ばれただけだから、「促成栽培」すらされていなかった。小泉本人も彼らを育てる気はなくて、小泉が言うとおり「使い捨て」の駒にすぎなかった[小泉前首相「国会議員も使い捨て覚悟を」 (date) 2006年11月8日 (media) 日テレNEWS24]。

では、チルドレン議員というものは、一般に一回限りの使い捨てで終わるものなのかと言えば、必ずしもそうではない。特に1993年に日本新党ブームで当選した細川チルドレンの中には、現在も政界の第一線で活躍する人が多い。チルドレン議員の悪口を言う人は、小泉チルドレンと小沢ガールばかりを取り上げるが、細川チルドレンも取り上げないと不公平である。

以下のリストは、第40回衆議院議員選挙の時に、日本新党公認で当選した議員のリストである(括弧内は選挙区は中選挙区時代のもの)。

  • 荒井聡(北海道1区)
  • 遠藤利明(山形1区)
  • 木幡弘道(福島3区)
  • 茂木敏充(栃木2区)
  • 今井宏(埼玉1区)
  • 五十嵐文彦(埼玉2区)
  • 武山百合子(埼玉4区)
  • 枝野幸男(埼玉5区)
  • 海江田万里(東京1区)
  • 石井紘基(東京3区)
  • 山田宏(東京4区)
  • 鮫島宗明(東京5区)
  • 渡邉浩一郎(東京7区)
  • 鴨下一郎(東京10区)
  • 伊藤達也(東京11区)
  • 野田佳彦(千葉1区)
  • 須藤浩(千葉2区)
  • 長浜博行(千葉4区)
  • 中田宏(神奈川1区)
  • 永井英慈(神奈川2区)
  • 中島章夫(神奈川3区)
  • 小泉晨一(神奈川4区)
  • 小沢鋭仁(山梨全県区)
  • 牧野聖修(静岡1区)
  • 河村たかし(愛知1区)
  • 近藤豊(愛知5区)
  • 前原誠司(京都1区)
  • 藤村修(大阪3区)
  • 山本孝史(大阪4区)
  • 樽床伸二(大阪7区)
  • 高見裕一(兵庫1区)
  • 小池百合子(兵庫2区)
  • 松岡満寿男(山口2区)
  • 中村時広(愛媛1区)
  • 山崎広太郎(福岡1区)
  • 初村謙一郎(長崎1区)
  • 細川護煕(熊本1区)
  • 矢上雅義(熊本2区)

細川護煕や小池百合子のように、参議院議員から鞍替えしたものもいたが、現総理大臣の野田佳彦をはじめ、ほとんどはこの時初めて国会議員として当選した。彼らの中には一期だけで政界を去った人もいるが、ブームで当選した割には、その後の出世率はかなり高い。今でこそ有力政治家として認知されている細川チルドレンも、当時は細川人気、日本新党ブームのおかげで当選した無名の新人であったことを忘れてはいけない。

以下のリストは、1989年の第15回参議院議員選挙で「おたかさんブーム」に乗って初当選した元祖土井チルドレンであるが、参議院である点を差し引いても、その後の活躍という点で、細川チルドレンとは雲泥の差がある。

会田長栄,翫正敏,菅野寿,喜岡淳,北村哲男,旭堂小南陵,日下部禧代子,国弘正雄,栗村和夫,小林正,篠崎年子,清水澄子,庄司中,谷畑孝,谷本巍,種田誠,角田義一,堂本暁子,西岡瑠璃子,野別隆俊,肥田美代子,深田肇,細谷昭雄,堀利和,前畑幸子,三石久江,村田誠醇,森暢子,山田健一

細川護煕は、松下政経塾の評議員を務めており、松下政経塾の塾生と個人的なコネがあったことが、人材確保の点で有利に働いたと言うことができる。だが、日本新党は、政界では初の試みとなる公認候補の公募も行った。約500人の応募があり、そのうち公認されたのは2人で、当選したのは1人、枝野幸男(現在、経済産業大臣)であった。維新政治塾の応募者は3326人なので、単純に計算すると、この中から6人程度が枝野幸男並に国会議員として出世するということになる。

だから、国会議員としては素人のチルドレン議員であるからといって、必ずしも無能とは言えない。竹中平蔵(小泉政権下で初当選した彼も広義の小泉チルドレンである)のように、一年生議員でありながら、小泉長期政権の大黒柱として活躍した有能な素人議員もいれば、田中直紀のように、衆議院議員を三期務め、参議院議員も三期務めたにもかかわらず、大臣の職務を満足に遂行することができなかった無能なベテラン議員もいる(大前は田中直紀を素人議員と誤解しているようだが)。

もちろん、竹中平蔵は例外的なケースで、当選回数主義がはびこる永田町では、一年生議員がいきなり重要なポジションに就いて活躍するということは稀である。しかし、それを根拠に素人を議員にするべきでないと主張するのは、倒錯している。結局のところ、有能な人材は、初当選で大臣に就任しても職務を立派にこなすし、無能な人材は、何年国会議員をしていても、大臣の職責を十分に果たすことができない。当選回数に比例して政治家としての能力が向上するというのは年功序列の幻想である。

では、もしも次期衆議院選挙で橋下チルドレンが当選すると仮定して、そのうちどの程度が有能な人材と推測されるか。これは、当選する数による。選挙プランナーの三浦博史の予測によれば、大阪維新の会の当選議席数は、サプライズなしで29とのことである[本日発売のサンデー毎日で総選挙予測 (date) 2012年5月7日 (media) 選挙プランナー三浦博史の選挙戦最新事情]。他方で、日本みらい研の事務局長の試算によれば、大阪維新の会がみんなの党と連携するというベストシナリオで、両党合わせて最大140名になるとのことである[久しぶりの選挙分析 (media) 日本みらい研 (author) 高松重雄]。もしも29人程度の当選なら、それなりの質が期待できるが、100人近くとなると、適性に問題がある議員が混ざる確率が高くなるだろう。

大阪維新の会やみんなの党が躍進して「小さな政府」を実現してくれるならば、それは望ましいことであるが、コートテール効果で、適性のない人間が国会議員になるというのは好ましくないことである。この問題は、現行の選挙が、政策の選択なのか人の選択なのかがはっきりしないところから生じる。私が提案した「ハイブリッド民主主義」は、こうした弊害を除去するためのものであるが、ハイブリッド民主主義の実現には憲法改正が必要であり、容易には実現しない。

そこで、民意を反映しつつ、質の低い議員を当選させないための、もっと簡単な方法を提案したい。それは比例代表の議席に議員を一人ずつ割り当てずに、党首の持ち票にするという方法である。例えば、ある政党の比例代表の数が19ならば、その政党の党首の投票は、20としてカウントされるという制度である。現在国会では、「身を切る改革」ということで、衆院比例代表定数の削減が提案されている。しかし、衆院比例代表定数を削減すると、中小政党が議席を獲得できなくなり、民意の反映が十分でなくなるという問題が生じる。比例代表議席持ち票制はこれらの問題をすべて解決することができる。すなわち、比例代表の議席に議員を割り当てないのだから、大幅に議員歳費を削減できるし、比例代表制度自体は存続するので民意の反映を歪めることもないし、ゾンビ議員復活阻止による議員の質の向上も期待できる。比例代表で当選しながら、党執行部に造反したり、離党したりするという問題も解決する。

維新政治塾の塾生の名簿

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年8月14日(火) 12:48.

2012年8月6日発売の『週刊ポスト』に、維新政治塾の塾生888人の名簿が掲載された。名簿流出自体はスキャンダルであるが、これにより、塾生の実態がわかってきた。

維新塾に地方議員68人 全国で「即戦力」多数 (date) 2012年8月12日 (media) 中国新聞 さんが書きました:

橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が次期衆院選をにらみ立ち上げた政治塾に、少なくとも27都道府県の現職地方議員68人が参加していることが11日、共同通信の取材で分かった。

選挙経験があり、衆院選候補として「即戦力」(幹部)となり得る地方議員を全国に多数擁している実態が裏付けられ、既成政党には大きな脅威となりそうだ。

参加議員のうち現段階で国政進出に前向きな姿勢を示したのは20人超にとどまるが、否定的な議員も維新の会の躍進を期待する意見が多数を占めている。維新の会は衆院選に向け、全国で政治活動を展開する足掛かりとしたい考えだ。

塾生約880人のうち、11日までに確認できた地方議員の地域別内訳は、北海道2人、東北3人、関東15人、北陸信越2人、東海11人、近畿23人、中国3人、九州9人。都道府県別では大阪府が9人と最多で、次いで東京都と千葉県、兵庫県が5人。また68人のうち都県議が12人、市区町村議が56人となっている。匿名を条件に取材に応じた人を含む。ほかにも塾生とみられる地方議員は全国に十数人いる。

政党別では無所属が多く、維新の会と協力関係にあるみんなの党所属が9人いた。政治塾が発足した今春以降に民主、自民両党を離党した議員が複数おり、地方議会レベルでも既成政党不信の受け皿として第三極が期待されている実態が浮き彫りになったと言える。

地方議員の経験者なら国会議員の資質もあるとは必ずしも言えないが、プロの政治家であることは確かであり、彼らに関しては、「ベイビーズ」という評価は正しくない。

維新の会は、現職国会議員の取り組みにも力を入れている。

維新と合流へ新党検討=民・自・み議員が勉強会 (date) 2012年8月14日 (media) 時事ドットコム さんが書きました:

民主、自民、みんな3党の中堅・若手の衆参両院議員10人以上が次期衆院選前の新党結成を検討していることが14日、関係者の話で分かった。民主党の松野頼久元官房副長官らが参加する勉強会「道州制型統治機構研究会」が基盤で、橋下徹大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」との合流も模索している。

松野氏らは、維新に対する世論の期待感を踏まえ、維新と合流する形で新党を結成し、次期衆院選を有利に戦いたいとの思惑があるとみられる。維新側は国政進出に向け、選挙運動を展開しやすい公職選挙法上の政党要件を満たすため、現職国会議員5人以上の確保を目指しており、双方の利害が一致し、新党への協議が進む可能性もある。 

勉強会は松野氏が会長代行、自民党の松浪健太衆院議員が幹事長を務めており、会長は空席。民主党の石関貴史衆院議員や自民党の西村康稔、平井卓也両衆院議員、みんなの党の上野宏史、小熊慎司、桜内文城各参院議員ら10人以上が参加し、既に20回以上の会合を重ねている。設立趣意書には、一院制や首相公選制といった、維新と共通する政策が掲げられている。

松野、石関、松浪、小熊、上野の5氏は11日、大阪市内で橋下氏と会談。関係者は「橋下氏を勉強会の講師として招いた」としているが、新党結成をめぐっても意見交換したとみられる。

一方、「新党結成に向けた勉強会」との位置付けには否定的な声もあり、各党の参加者にも温度差がある。維新側は「松井一郎幹事長(大阪府知事)に一任している。(他党との合流は)衆院選向け公約『船中八策』に協調できるかで、うちから擦り寄る考えはない」(幹部)としている。

「政党要件を満たす」ことが直接の目的なのだろうが、「素人集団」と呼ばれないようにするための方策とも解釈できる。

付録(2)

関連トピックとして、フォーラムから“道州制の「道」は地方分権の精神に反する”を転載します。

道州制の「道」は地方分権の精神に反する

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年4月24日(火) 22:39 .

道州制は、これまで提唱されることはあっても実現には結びつかなかったが、大阪維新の会の台頭により、これを法制化しようとする動きが中央政界でも出てきている。

自民が道州制骨子案=今国会提出目指す (date) 2012年3月27日 (media) 時事ドットコム さんが書きました:

自民党の道州制推進本部は27日の総会で、都道府県を10程度の道と州に再編する道州制基本法案の骨子を提示した。地域政党「大阪維新の会」が道州制を打ち出したことを踏まえ、従来の公約を具体化する必要があると判断した。党内論議を踏まえて公明党などに協議を呼び掛け、今国会への共同提出を目指す。

みんなの党は既に法案を提出している。

道州制基本法案を提出=みんな (date) 2012年3月29日 (media) 時事ドットコム さんが書きました:

みんなの党は29日、道州制移行のための基本方針や目標時期などを定めた基本法案を参院に提出した。同法案は、外交、防衛などを除く国の事務を、都道府県を再編した道と州に移譲すると規定。道州の自主財源確保のため新たな税制や財政制度をつくる方針を盛り込んだ。

橋下大阪市長も他の自治体の首長とともにこの動きを加速させようとしている。

道州制推進で首長連合設立=共同代表に橋下大阪市長ら-東京 (date) 2012年4月20日 (media) 時事ドットコム さんが書きました:

道州制に積極的な知事、政令市長ら24人の首長で構成する「道州制推進知事・指定都市市長連合」の設立総会が20日、東京都内で開催された。総会では、石井正弘岡山県知事と橋下徹大阪市長を共同代表に選出。今後、道州制実現に向け、政府・与野党に働き掛けることを確認した。

このように道州制はにわかに脚光を浴び始めたのだが、ここは言語学フォーラムなので、道州制の政策論的な是非ではなくて、行政単位の名称の言語学的な是非を考えてみたい。

道州制とは、現在の都道府県よりも広域的で、かつより大きな権限を持つ行政単位を設置する地方分権制度のことで、その行政単位の名称を北海道だけ道で、それ以外は州とすることから道州制という名が付けられている。もっとも提案者の中には、行政単位の名称を統一するべきという人もいて、その場合、「道」で統一するか「州」で統一するかが問題になるのだが、地方分権の本来の趣旨を考えるならば、「道」よりも「州」の方が望ましいということになる。

日本が中国の行政区分であった「道」を導入し、全国を五畿七道に区分けしたのは天武天皇の時代においてである。天武天皇は、壬申の乱後の国土を統一し、天皇親政の中央集権的な体制を構築するために、以下の図に示されるような畿内から放射状に延びる七道駅路(東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道)を建設した。そして五畿七道という行政区分はこの七道駅路にそってなされた。長らく蝦夷の一部という位置付けだった北海道は、明治時代になって、他の七道に倣ってそう呼ばれるようになった。

画像
五畿七道と七道駅路の概略図[百楽兎の図を基に作成]。

中国で行政区分としての道を導入した唐の太宗も天武天皇も道教の熱心な信者であった。だから「道」には道教的な意味がある。私は、老子における「道」の本来の意味をこの世とあの世をつなぐ通路と解釈した[老子 (author) 永井俊哉]。地方の民にとって、都にいる皇帝や天皇はあの世の神と同じで、両者をつなぐ通路は「道」と呼ぶにふさわしい。

天武天皇が建設した七道駅路は古代の高速道路で、各七道駅路には30里ごとに駅が置かれ、駅ごとに駅馬が常備され、中央から地方に公文書を伝達する駅使がそこに到着すると、乗り継ぎの駅馬や案内の駅子が提供された。このように、「道」は、中央集権的な上意下達を象徴する行政単位であり、中央集権的な上意下達を批判する地方分権論者がこの単位を用いようとすることは滑稽なことなのである。

現在用いられている行政単位の「県」という字は、旧字では「縣」と書き、「懸」と同族で、「つなぐ」という意味と「隔てる」という意味がある。だから、土地にこの字を使うと、首都から隔てられたところにあるが、首都とつながっているという意味を持ち、「王畿の外の綴落、農耕地、直接の支配地、公有地」[字通 (author) 白川静]ということになる。これに対して、州という字は、川によって区画されたデルタ状の地形という意味を持つ字で、中央集権的な意味合いはない。フランスのような中央集権的な国の行政単位が「県」と訳され、米国のような地方分権的な国の行政単位が「州」と訳されるのはこのためである。

「道」よりも「州」の方が地方分権にふさわしい行政単位であるにもかかわらず、道州制が唱えられるのは、多くの案で北海道を独立した行政単位とし、かつ「北海道」という定着した呼称を放棄したくないからなのだろう。しからば「北海道州」という名称にしてはいかがだろうか。

北海道の「道」が行政単位だから、それにさらに行政単位である「州」を付け加えることは剰語的だと反論する人もいるだろうが、それなら「京都府」という現在用いられている呼称もそれ以上に剰語的ではないのか。平安京の「京」が固有名詞化し、それに「都」が付き、さらに「府」まで付いたのだが、そもそも「京」も「都」も「府」も「みやこ」という意味の漢字であり、「京都府」という呼称は「みやこのみやこのみやこ」という三重の剰語なのである。にもかかわらず、「京都府」という呼称が不自然でないのは、「京都」が固有名詞化しているからである。

では、「北海道」の場合、「北海」が固有名詞として扱われているかといえば、そうとは言えない。「北海」は、イギリスとヨーロッパ大陸の間の海を表す言葉で、北海道という行政単位が管轄する地名ではない。「北海道」が固有名詞化しているのだから、「北海道州」という州名は問題ないと思う。

行政単位を「州」で統一する場合、一番困るのは九州である。九州は九つの州(筑前国・筑後国・肥前国・肥後国・豊前国・豊後国・日向国・大隅国・薩摩国)という意味であって、九という固有名詞に州という行政単位が付いているのではない。もっとも、九州は島を構成する9国の総称で、現在の沖縄県を含まないので、九州を島の名称として保留し、九州と南西諸島などの周辺諸島を包摂する名称で、州名を考えればよいであろう。

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