ウェブマガジン『連山』で連載を開始
2006年7月より、株式会社チーム連山が運営するウェブマガジン『連山』で、資源問題や環境問題に関するコラムを連載することにしました。このウェブマガジンは、2006年8月1日から、サイトデザインを一新して、正式にスタートしますが、その前より、私を含めた有志6人で、不定期で、投稿していきます。
1. 連載の趣旨
この連載のテーマは、「資源問題と環境問題への解決策」です。私は、これまでエントロピーという観点から一般システム論を研究してきました。資源問題や環境問題を論じる上でも、このアプローチは役立つと思います。資源問題と環境問題は、畢竟、環境で増大するエントロピーに抗して、いかにしてシステムのエントロピーを縮減し続けるかという問題に行き着くからです。
以下のキャプチャーは、『連山』における私が投稿したコラムの一覧のページです。
2. 追記(2007年9月7日)連載終了のお知らせ
ウェブマガジン『連山』で連載していた「資源問題と環境問題への解決策」は、契約期間(1年間)の満了に伴い、2007年8月末をもって終了しました。
連載コラムのうち、重要なものを選んで、目次表を作りました。新しい順に並んでいます。
人類の文明を、何千年、何万年と持続させるためには、再生可能なエネルギー源による循環型社会を構築しなければならない。再生可能なエネルギーには多くの候補があるが、主力となるのは、バイオマスであろう。
地球の沙漠化は、おそらく最も深刻な環境問題ということができる。過去の多くの文明は、森林伐採と土地の酷使によって滅んだ。現代文明が滅びないようにするには、持続可能な農業の方法を確立しなければならない。
人類文明を持続可能にするには、(1)人口増加の抑制、(2)植生の維持と回復、(3)再生可能エネルギーの利用が必要である。三つの課題に対する私の提案を三回にわたって連載することで、本シリーズ「資源問題と環境問題への解決策」の結論としたい。今回は、まず人口爆発問題を取り上げる。
京都議定書には、負担の分担が不公平である、吸収源を軽視している、多目的事業を不利にするといった欠陥があることを指摘した。最後に、これらの欠陥を克服し、地球温暖化問題を含め、トータルに環境問題を解決する新制度を提案したい。
京都議定書の温室効果ガス排出削減規制には、金融メカニズムと呼ばれる柔軟性措置があって、国内で削減目標が達成できなくても、他の国での削減実績でそれを補填することができる。しかし、このメカニズムにおける吸収源と追加性のルールに関しては、問題がある。
京都議定書の企図は、米国が批准を拒否したことで、骨抜きとなり、事実上失敗した。京都議定書にはどのような欠陥があったのか。温暖化を有効に防止するには、どのような制度が必要なのか。今回より三回にわたって、京都議定書の欠陥を分析し、その欠陥を克服する新たな議定書を提案したい。
これまで8回にわたって、地球温暖化の現状、原因、影響を分析してきた。このシリーズを終えるにあたって、良い温暖化と悪い温暖化を区別することで、地球温暖化問題の本質は何なのか、対策としてどのようなことをするべきかを論じたい。
前回に引き続き、地球温暖化が与える影響について検討する。気温上昇は、降雨量、植生、洪水や暴風といった異常気象の発生、熱塩循環(深層海流)にどのような影響を与えるのかを考えよう。
地球温暖化は様々な問題を惹き起こすと考えられているが、大きく分類すると、温暖上昇がもたらす問題と温度変化がもたらす問題の二つに分類できる。今回は、まず、温度変化がもたらす問題、すなわち、温暖化であれ、寒冷化であれ、気温が変動することで生じるリスクについて考えてみたい。
植物は、海洋とともに、重要な二酸化炭素吸収源である。人口爆発により、森林伐採と沙漠化が世界中で進んでいる。こうした植生の後退は、二酸化炭素濃度を上昇させることで、地球温暖化を悪化させていると考えられているが、これに異論を唱える人もいるので、植物が果たす役割について、改めて考えてみたい。
メタンは、水蒸気と二酸化炭素についで、最も影響力のある温室効果ガスである。しかし、メタン濃度変動のメカニズムは、二酸化炭素濃度変動のメカニズムほどよくはわかっていない。メタン濃度の不可思議な変動は、研究者の間で、メタンミステリーと呼ばれているが、このメタンミステリーを解くことを試みよう。
地球温暖化をめぐる論争で最も大きな争点は、温暖化は人間活動が原因なのか、それとも自然現象なのかという問題である。温暖化の原因の有力候補は、人間が大気に放出する温室効果ガスと太陽活動である。両者の気温に与える影響力を吟味しつつ、どちらの影響がより強いのかを考えてみたい。
1980年代から今日に至るまで、対流圏下層が温暖化しているという事実を確認した。では、現代の温暖化は、過去と比べてどの程度異常であるのか。現在の温暖化のスピードは、過去に例がないほど急激であるのか。現在の地球温暖化の異常性を検証する。
今日、地球温暖化を人類文明にとっての脅威とみなす風潮が強いが、それに疑問を持つ科学者もいる。地球温暖化脅威論への懐疑論には、地球温暖化の事実そのものを疑う懐疑論、温暖化の原因が人間活動であることを疑う懐疑論、温暖化が人間社会に悪影響を及ぼすことを疑う懐疑論と三種類ある。後の二つは、後ほど扱うことにして、今回は、本当に地球は温暖化しているのかという問題を取り上げる。
地球温暖化は、今日最もポピュラーな環境問題である。今月開催されたハイリゲンダム・サミットでも、地球温暖化対策は、最も重要な議題の一つだった。その注目度の大きさゆえに、地球温暖化に関しては、全九回の連載で、詳しく論じたい。初回では、地球温暖化が世界的な関心となったプロセスを振り返る。
汚いかきれいかという判断は価値的で主観的であるが、これを物理学的、かつ定量的に表現することは可能だろうか。私たちは、不正を「汚い行為」と表現することもあるが、こうした非物理的な汚さは、物理的な汚さと何らかの共通点を持っているだろうか。
「象徴的に一般化されたコミュニケーションメディア」は、ルーマンの社会システム論における重要な概念の一つである。社会学におけるルーマンのメディア論が占める学説的位置を確認しつつ、ルーマンの批判的継承のための方向性を打ち出したい。
脱中心化シリーズの三回目として、経済システムを扱う。前近代における労働集約的経済から近代の資本集約的経済への移行過程で経済システムの中心化が進み、ポスト近代の知識集約的経済への移行過程で脱中心化が進みつつある。
近代ヨーロッパの絶対王政において中央集権化された政治システムは、その後の民主化の流れの中で、脱中心化されていった。情報システムの脱中心化と政治システムの脱中心化は、どのように関連しているのか、ウェブ2.0に対応する民主主義の制度とはどのようなものなのかを考えたい。
近代ヨーロッパにおいて中央集権化された社会システムは、現在、脱中心化されつつある。このトレンドは、1970年代以降の情報化社会においてとりわけ顕著である。知のシステムが脱中心化される思想史的背景を探ろう。
ジュグラー・サイクル、コンドラチェフ・サイクル、キチン・サイクルといった景気循環のサイクルは気候変動のサイクルに対応している。なぜ、気候変動のサイクルが景気循環に影響を与えるのかを考えよう。
サイパンに首都を置く北マリアナ連邦(米国自治領)は、事実上財政が破綻している。かつては日本から多くの観光客が訪れ、経済的に豊かだったこの国は、なぜこんなに落ちぶれたのか。その原因は、住民の未来のことを何も考えないアメリカの統治政策と持続可能な開発を考えない住民の安易な生活習慣にあった。
これまで、私は、気候が文明の盛衰に及ぼす影響を断片的に取り上げてきたが、今回は、これまでの議論を整理し、気候と文明の間に成り立つ一般的な関係を模索してみたい。
ハイチは、かつて西半球で最も豊かな植民地だったが、現在では西半球で最も貧しい国になっている。世界で最初に独立した黒人共和国という輝かしい歴史を持つハイチ共和国が、なぜこんなに貧しくなったのか。隣のドミニカ共和国では森林資源が豊富にあるのに、なぜハイチでは森林資源が枯渇しているのか。その原因を独立の精神に求めることができる。
倭国大乱とは、中国の複数の史書に記述がある、2世紀末に日本(倭国)で起こった大規模な戦争のことで、卑弥呼が即位することで収拾したと伝えられている。この戦争はなぜ起きたのか。王位継承をめぐる政治的闘争という通説に代わる新たな仮説を提示したい。
ゲルマン民族の南下を惹き起こしたのが寒冷化であったのに対して、なぜヴァイキングは、中世温暖期に南下したのか。なぜ中世初期のキリスト教国は、北に向かって膨張しなかったのか。ヴァイキング活躍の背景を探ろう。
人類は、700-600万年前にアフリカ大陸に誕生して以来、長い間この大陸から出ることはなかった。約180万年前にホモ・エレクトゥスがアフリカ大陸を出たが、北京、グルジア、スペインが北限で、それよりさらに北に移住して、アメリカ大陸にまで渡ることはなかった。人類が氷期に全大陸に進出するには衣服の発明が必要であり、そのきっかけになったのは、7万2千年前に起きた巨大火山噴火であった。
イースター文明を造ったのは、どこから来た民族だったのか。あの巨大な石の人像は、何のために作られたのか。あの巨石文明は、なぜ崩壊したのか。人々は、崩壊を防ぐために、どのような努力をしたのか。イースター文明にまつわる謎を解こう。
アラブ首長国連邦は、ペルシャ湾南部に面する中東の国である。世界有数の原油生産国であるが、石油依存からの脱却を図り、産業の多角化や新エネルギー産業の開発にも努力している。2007年1月27日から2月2日にかけて、取材のためにアラブ首長国連邦に滞在したので、その時の体験も交えながら、この国の文化と歴史と将来の戦略を紹介したい。
水素は、現在、石油精製所、鉄鋼プラントなどから副生されているが、そのほとんどは自家消費されており、本格的な燃料電池の燃料供給源にはならない。燃料電池を普及させるには、どのようにして安価に、かつ環境を破壊することなく、水素を製造するかが課題となる。さまざまな水素製造方法を検討しながら、有力候補を探っていこう。
燃料電池の燃料である水素は、水素脆化をもたらすので、貯蔵が難しい。また石油のように常温常圧で液体ではないから、気体のままでは、エネルギー密度が低すぎて、自動車のような可動体の燃料にはならない。では、どのようにして燃料電池の燃料を貯蔵し、運搬すればよいのか、現在開発が進められている各種の方法を検討してみよう。
燃料電池は、次世代の発電機として注目を浴びているが、どのタイプの燃料電池が普及するかは、現時点ではまだわからない。伝統的に、燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、固体高分子形、アルカリ電解質の五つに分類されるので、この分類にしたがって、各種の燃料電池の長所と短所を確認しつつ、有力候補を探ってみたい。
グーテンベルクによる活版印刷技術の発明以来、紙の本は、知のメディアとして重要な役割を果たしてきた。しかし、他方で、紙の本を製造、運搬、保管するのに、多くの資源が消費され、かつ半数近くが売れ残り、破棄されているというのも事実である。電子書籍の普及は、資源の節約という観点からも、重要である。
MIT教授で、エコノミストのレスター・サローは、グローバリゼーションを生き延びるためには、知識依拠型経済への移行が必要であると言う。知識依拠型社会とは何か。日本はどうすればよいのか。世界的にどのような取り組みが必要なのかを考えよう。
電気自動車や燃料電池自動車の登場で、将来の自動車は、より静かで、騒音を出さないようになると期待されている。しかし、反面、無騒音だと、接近しても、歩行者は気がつきにくくなるという新たな問題が発生する。この問題を解消するにはどうすればよいか。 交通システムの将来像を思い描きながら、考えよう。
原子力発電とは、核分裂や核融合といった原子核反応時に出るエネルギーを利用した発電の総称で、現在商用化されている原子力発電は、核分裂から発生する熱エネルギーで、蒸気タービンを回し発電している。原油価格の上昇や地球温暖化問題への関心の高まりを背景に、原子力発電が再び脚光を浴びるようになったが、果たして、原子力発電は、エネルギー問題を解決する上で有効な手段となりうるだろうか。
古代ローマ帝国は、いわゆる五賢帝時代に最盛期を迎えた後、徐々に衰え、大移動を開始したゲルマン民族に蹂躙され、滅んだ。なぜ古代ローマ帝国は持続不可能になったのか。諸説を検討しながら、考えよう。
2006年11月29日と30日の二日間にわたって、大阪国際会議場で、第二回 FC EXPO セミナー(主催:経済産業省など)が開催されたので、燃料電池の開発状況を取材するために、セミナーに参加した。各講演の内容を報告しつつ、私の感想を述べたい。
世界には、高度に発達した産業を持ち、生活水準が高い先進国と、そうでない発展途上国がある。勤勉で教育水準の高い国民もいれば、そうでない国民もある。自由と民主主義が可能な国家もあれば、そうでない独裁的国家もある。この違いはなぜ生まれるのか、地理的環境的要因を考えてみよう。
なぜ近代資本主義は、世界の他の地域ではなくて、ヨーロッパから始まったのか。マックス・ウェーバーは、プロテスタンティズムの倫理、遡っては、古代ユダヤ教のエートスにその原因を求めた。ウェーバーは権威のある社会学者で、この説は、社会学界では定説のようになっているが、私は、これとは全く異なる仮説からウェーバーが立てた問いに答えたい。
現在日本では、電力会社とガス会社が、一般住宅での顧客獲得をめぐって激しく競争している。かつて、電力会社は電気を、ガス会社は熱を供給して、棲み分けていたが、相互に相手の分野にも進出することで、競合する関係になってしまった。電力会社はオール電化に「エコキュート」、ガス会社はオールガス化に「エコウィル」と紛らわしい愛称をつけているが、本当にエコロジカルでエコノミカルなのはどちらだろうか。
2003年のヨーロッパの夏は、観測史上最も暑い夏となり、熱中症などで2万人以上が死んだと推定されている。2006年の夏も再び尋常ではない熱波がヨーロッパを襲っている。この異常な熱波 の原因は何なのか。温室効果ガスの濃度の上昇による温暖化だけで説明できるのか。他にも原因はないのかどうか考えてみよう。
田中康夫氏を長野県知事選で破り、新しく知事に就任した村井仁氏は、田中氏の「脱ダム宣言」を批判し、ダム建設の検討に入る考えを示唆している。しかし、ダム建設は本当に必要なのだろうか。ダムが、洪水調整、水供給、発電といった目的を果たす上で最善の手段であるかどうかを検討しよう。
中国第二の大河、黄河の下流が断続的に干上がるという現象が90年代以降、顕著に見られるようになった。中国では、これを黄河断流という。最近は状況が改善されてきたようだが、黄河断流は、動植物の生態系や流域に住む1億7000万人の生活に大きな影響を与えるので、黄河が消滅しないように、有効な対策を採ることが望まれるが、そのためにも、まず原因が何であるかということころから考えなければならない。
シュメール人は、世界で初めて都市文明を築いた。現在の地球文明の原型はシュメール文明にある。シュメール文明はなぜ成立したのか、なぜ滅んだのかを分析しながら、文明のあり方を考えよう。
前回、リサイクルが、ごみを減らす以上に増やし、資源を食いつぶし、環境を悪化させることがあることを指摘したが、今回は、その対策として廃棄物発電による未利用資源の有効活用を考えてみよう。
多くの人は、リサイクルをすれば、ごみが減り、資源が有効に活用され、環境がきれいになると思っている。しかし、リサイクルは、往々にして、ごみを減らす以上に増やし、資源を食いつぶし、環境を悪化させる。なぜこのようなことが起きるのか、エントロピーの観点から考えよう。
1973年にオイルショックが起きた時「石油はあと30年で枯渇する」と言われていた。それから既に30年以上たっているが、石油の可採年数は逆に伸びている。 いったい石油はいつ枯渇するのか。石油の枯渇に備えて、私たちは、今から何をしなければいけないのか。
旧石器時代と新石器時代を画期する、採取経済から農耕経済へ、狩猟経済から牧畜経済への移行は、いかにして行われたのか。旧石器時代では男女が平等だったのが、なぜ新石器時代では男尊女卑になったのかを考えよう。
約500万年前に地上に現れたヒトの進化の歴史は、長期的な寒冷化、つまり環境悪化の流れの中で進行した。さらにその歴史をよく調べると、画期的なイノベーションは、短期的な寒冷化によって惹き起こされている。過去40万年間の氷河時代において、10万年ごとに訪れる氷期が、ヒトにどのようなイノベーションをもたらしたのかを整理してみよう。
大気循環およびそれによって惹き起こされる水の循環は、私たちが生きていく上で、きわめて重要な仕事をしている。しかし、大気循環は完全に恒常的ではなくて、活発になったり、停滞したりすることがある。その原因は、複数あるが、一番大きな影響を与えているのは、太陽である。太陽が、1. 自分自身の活動の変動 2. 自分と地球との位置関係の変動によってどのように大気循環に影響を与えているかを説明しよう。
天然資源の枯渇と資源環境の破壊は、急速に拡大を続ける私たち生命の存続を脅かしている二つの大きな問題である。これらの二つの問題は、そして生命を維持する問題自体も、実際には、エントロピーの問題という一つの問題に収斂する。資源問題と環境問題の本質が、そして二つの問題を解く鍵が、いかにしてエントロピーを減らすかにあることを示したい。
現在、地表面の約4分の1が沙漠となっており、さらに毎年約600万ヘクタールの割合で沙漠化が進行している。このまま沙漠化の進行を放置すれば、私たちの食料基盤と居住基盤はどんどん減っていくことになる。沙漠化を食い止めて、地球を緑化するにはどうすればよいのか。この問いに答えるには、そもそも人間はエコシステムにおいてどのような役割を果たしていたのか というところから考え直さなければならない。
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