メールマガジンはなぜ読まれるのか
メールマガジンは1990年代の後半に日本で主流となったプッシュ型メディアで、その流行はテレホーダイ(深夜早朝の時間帯に限り、通話料金を一定にする日本特有の料金体系)で説明できる。当時、その時間帯にメールを受信し、時間帯外にはオフラインでメールマガジンを読むことで電話料金を節約するという読書スタイルが流行った。その後、常時定額のネット接続サービスが普及したことでプッシュ型メディアの主流ではなくなったが、今でもなお利用者がいる理由を考える。

1. 創刊号(1999年9月25日)
みなさんはじめまして。『教養のためのコラム』発行人の永井です。創刊号から購読してくださいましてありがとうございます。ホームページに、9月の主題は精神分析と書きましたが、創刊号にふさわしい自己言及的な特殊なテーマをと考え、本日は「メールマガジン」をテーマとして取り上げることにします。[1]
メールマガジンは、日本でのみ流行しているユニークなプッシュ型サービスである。アメリカでも CNET NEWS.COM のように、電子メールで無料のニュース配信をしている会社もあるが、日本のまぐまぐのように、多数の発行者と読者を媒介するサービスはまだ現れていない。
もちろんプッシュ型サービス自体は、アメリカで生まれたコンセプトだ。プッシュとプルについて、いまさら説明する必要もないかもしれないが、簡単に説明すると、ユーザーがわざわざWWWサーバーにアクセスして、情報を持ってくるというような、従来のサービスのあり方(プル型サービス)に対して、プッシュ型サービスとは、WWWサーバーが自動的に情報を送ってくるというものである。
97年10月には、ポイントキャスト・ネットワークが日本に上陸し、当時ブラウザ市場のシェア争いをしていたインターネットエクスプローラとネットスケープナビゲータの両陣営は、あの頃盛んにプッシュ型サービスへの適応を喧伝していたものだった。
しかし鳴り物入りで登場したウェッブベースのプッシュ型サービスは、まったくの空振りに終わった。ポイントキャスト・ネットワークは、時事ニュース、株価情報、産業情報、天気概況、スポーツニュース、芸能や海外エンタテインメント情報などを無料で提供したが、当時の通信速度の遅さのもとでは、ポイントキャスト社のサービスは、ユーザからすれば「できの悪いテレビ」でしかなかったのである。
そもそもテレビが普及している中、インターネットが、テレビと比べて我慢できないほどスピードがのろいのにもかかわらず、ブームになったのは、インターネットがテレビのようにプッシュ型ではなく、プル型であったからだ。ポイントキャスト・ネットワークは、そういう原点を忘れていた。
もちろんインターネットと放送の一体化は今後進むことが予想される。しかしそれにしても、ワープロで仕事をしている最中に、ポイントキャスト・ネットワークからの情報が画面を覆ったりすると、たとえその情報が求めていたものであったとしても、多くのユーザーはわずらわしく感じることであろう。プッシュ型サービスには、取り込み中にかかってくる電話と同じわずらわしさがある。
これに対して、メルマガは、プッシュ型サービスのわずらわしさとプル型サービスの面倒くささという二つの欠陥をうまく克服したハイブリッドのサービスである。ユーザは、自分が暇なときにメールボックスを開けてコンテンツを読むことができる。留守番電話やテレビ放送のビデオ録画と同じく、受信者が受信時間を選べるメリットがある。またプル型のネットサーフィンと違って、毎回こちらから出かける必要がない。接続料金が従量制である人にとっては、短時間でダウンロードして、オフラインでゆっくり読むことができる点も魅力だ。日本でメールマガジンが流行する理由として、電話料金の高さを挙げる人もいる。
メルマガが成功したもう一つの要因として、メールソフトというインターネットユーザーなら誰でも持っているアプリケーションを使った「コバンザメ戦略」を挙げることができる。常用しているプライベートメールのついでにメルマガをという人も多いはずだ。
もちろんメルマガが主で、私用は従という逆のタイプの人もいる。昔、私が電子メールを始めた頃、一週間に一回ぐらいしかメールが来なかった。だからめったにメールボックスを開けることがなく、そのため、重要なメールを受信する時機を逃すなど苦い経験を何度かした。しかしメルマガを購読設定してからは、毎日最低一回は受信トレイをのぞく習慣が身についた。こういう意外な効用もメルマガにはある。
ポイントキャスト・ネットワークは、テレビとの競争に負けたが、メルマガは既存のメディアに対して強い競争力を持っている。紙の本や雑誌と違って無料という点で読者にとって魅力的であり、地上波テレビと違って一万誌以上の選択肢があるので、個人の特殊なニーズに答えることができる。
メルマガの問題点としては、多くのメールソフトがhtml文書に適応していないことを指摘しなければならない。テキスト文書の限られた表現手段でグラフィックなイメージを作ろうとして、メルマガの世界では妙な技法が発達しているが、メールソフトが将来ブラウザ並みの表現力を持つようになることを期待したい。またメールを「全画面表示」で読むボタンも作ってもらいたいものだ。
今年8月25日時点でのバガボンド社の調査によると、メルマガ市場における市場占有率(読者登録数/総読者登録数)は、まぐまぐがだんとつで、85.31%なのだそうです。以下、第2位はCLICKINCOMEで、10.17%、第3位はPubzineで、2.14%、第4位はMacky!で、1.77%
となっています。
Macky!は、多くの会員を持つニフティが経営しているのに、なぜこんなに低調なのでしょうか。私はその原因が、Macky!の「メールマガジン作者規約第3条第4項」にあると思います。そこには、「ヘッダー、フッターにニフティのサービスの案内等の情報を挿入する」とあります。メールマガジンを配信した際、自動的にメールマガジンの文面の最初と最後の部分に、ニフティ側で制作したヘッダー3行、フッター5行のインフォメーションを入れるというわけです。しかしそれでいて、「ニフティからメールコンテンツ制作、配信等に関する費用はお支払いいたしません」とも言っています。現在まだ実施していないということですが、要するにただで広告を載せるつもりなのです。
8月25日現在、Macky!から発行されているメルマガは750誌で、これは、Pubzineの1,892誌やココデ・メールの1,754誌と比較しても少数です。以前、ジオシティーズが、「ウチで公開しているウェッブページの著作権は我が社に属する」と発言したために、多くのウェッブマスターがジオシティーズから亡命しましたが、もしもMacky!が、「ウチで発行しているメルマガの著作権は我が社に属するので、ニフティには無料で広告を掲載する権利がある」と考えているのなら、いつまでたっても、発行誌の数は増えないでしょう。
そういうわけで、この『教養のためのコラム』も、上位3位までの発行機関から出すことにします。
大場さん:初めまして、大場と申します。しっかりした文章、内容の濃縮度、大変興味深いものがあります。ところで質問なのですが、『プッシュ型』と『プル型』についてよく理解できません。例を挙げて講義お願い出来ないでしょうか。
永井:プッシュ型とプル型の違いは、情報に対して受動的であるか能動的であるのかの違いです。もしテレビの電源をつけて、たまたま目に入った番組を見ているだけなら、典型的なプッシュ型サービスを受けていることになります。放送局がプッシュして来た情報を完全に受動的に受け入れているだけですから。もし番組表を見て、ビデオに録画予約するのなら、視聴者が情報収集に関して能動的になるので、プル型に近づきます。サーチエンジンを使って積極的に情報をプルするネットサーフィンは、典型的なプル型情報収集です。プッシュ型とプル型の違いを分かりにくくしている原因としては、二つの動詞の主語が、前者は情報発信者、後者は情報受信者というように、異なっていることを挙げることができます。もっと分かりやすい名称があれば良いのですけれども。
MIKEさん:私は永井さんの「超越論的哲学」も少しずつ読ませていただいておりますが、ゆっくりじっくりでないとなかなか理解できません。カント哲学の理解は生涯の課題だと考えていますが、私の頭ではなかなかついていかないのが現状です。最近「複雑系」の勉強をしているうちに、現象学へ導かれ現在は少し現象学をかじろうと思っています。今後ともご指導お願いします。
永井:私も複雑系に興味がありますし、このメルマガでもいつか取り上げるつもりです。今後ともよろしくお願いします。
2. 追記(2012年10月9日)
以上は、私が最初に発行したメールマガジン創刊号の本文とそれに寄せられたメールの内容です。但し、毎号共通のヘッダーとフッターの部分は省略しています。私が最初にメールマガジンを発行した当時のタイトルは「教養のためのコラム」で、1年後の2000年9月には、タイトルを「教養大学」に変え、2003年6月には、当時出版した書籍名と同じ「縦横無尽の知的冒険」に変えました。2005年1月以降は、本文そのものを記載せずに、更新情報のみを掲載し、現在に至っています。
文中に出てくるプッシュ型とプル型という言葉は最近では使われなくなりましたが、両者の違いは、情報に対して受動的であるか能動的であるのかの違いです。もしもテレビの電源をつけて、たまたま目に入った番組を見ているだけなら、放送局がプッシュして来た情報を完全に受動的に受け入れているだけだから、典型的なプッシュ型サービスを受けていることになります。もし番組表を見て、ビデオに録画予約するのなら、視聴者が情報収集に関して能動的になるので、プル型に近づきます。サーチエンジンを使って積極的に情報をプルするネットサーフィンは、典型的なプル型情報収集です。
メールマガジンは日本でのみ主流となったガラパゴス的プッシュ型メディアで、その流行はテレホーダイという日本特有の料金体系で説明できます。テレホーダイとは、深夜早朝の時間帯(23時~翌日8時)に限り、通話料金を月極の一定にする、1995年から始まったNTTのサービスで、テレホーダイ全盛期には、その時間帯にメールを受信し、時間帯外にはオフラインでメールマガジンを読むことで電話料金を節約するという読書スタイルが流行りました。
しかし、2001年頃から、ADSLなど、24時間定額のブロードバンド・インターネット接続が日本でも普及し始め、メールマガジンをオフラインで読むメリットがなくなり、インターネットの中心が、メールからウェブへと移りました。メルマガの最盛期は、2002年頃で、当時私は10社の発行機関(まぐまぐ, melma!, pubzine, Emag, メル天, カプライト, CoCo, メロン, Macky, Tiara)からメルマガを発行していましたが、その後、マイナーな発行機関は次々にサービス停止に追い込まれました。2005年頃からブログが日本で急激に普及し、フィード・リーダでブログを読むという新しいプッシュ型メディアがメールマガジンにとって代わりました。
以下のグラフは、データが継続的に得られるまぐまぐとメルマ(旧CLICKINCOME)における『縦横無尽の知的冒険』の読者数の推移を示しています。ピークは、2004年3月1日に発行した164号「浦島物語の起源は何か」で、7発行機関合計で、13264名となりました。それ以降、読者数は減り続けています。また、発行機関の多くもサービス停止に追い込まれています。

メールマガジンは、インターネット・メディアの主流ではなくなりましたが、今後も、電子メールが使われる以上、消滅することなく、傍流メディアとして存続し続けるものと予想されます。海外でも、電子メールによるニューズレター(email newsletter)やメーリングリスト(mailing list)という形でのコンテンツ配信は存在しており、ウェブ・パブリシングを補完する役割を果たすことでしょう。
最近台頭したプッシュ型メディアとしてツィッターなどのソーシャルメディアを挙げることができます。ツィッターは、短いテキストを書くだけでよいという手軽さゆえに多くの書き手が参入したという点で、メールマガジンに似ていますが、同時にそれが限界にもなっています。本文にも書いたように、メールマガジンは、基本的にテキストベースです。HTMLメールマガジンの試みもありましたが、セキュリティ上の理由から普及しませんでした。Facebook や Google+ は、長文投稿に加え、画像や動画も含めることができるので、ツィッターよりも表現力が高いということができます。
2012年現在、私はメールマガジンに加え、Twitter, Facebook, Google+ といったソーシャルメディアで、コンテンツの本体ではなく、コンテンツの更新情報を配信しています。それはこれらのメディアの本来の使い方ではないのですが、私としては、過去の苦い経験から、自分が作成したコンテンツを他社が管理しているプラットフォームに置きたくないので、自分が書いたものは自分のサイトで保存するようにしています。いちいちリンクをクリックするのは面倒という方も多いと思いますが、ご了承をお願いします。
3. 追記(2021年11月22日)
前回の追記を書いてから、9年が経ちます。たくさんあった発行機関も次々にサービス停止に追い込まれ、2020年3月13日には、業界二位だった melma! までがサービス終了となり、私が使用しているメルマガ発行機関はまぐまぐだけになってしまいました。2001年に小泉内閣が創刊した首相官邸メールマガジンも、2021年9月13日を最後に発行が停止となり、日本では、メルマガは時代遅れのメディアであると思われています。私も、最近まではそう思っていたのですが、海外では、逆にメールマガジンが人気を集めるようになりました。
メールマガジンは和製英語で、海外ではニューズレターと呼ばれていますが、コンセプトは同じです。昨今のサブスクリプション・ブームに乗って、有料ニューズレターの購読が流行しています。ニューズレター配信サービスの最大手は、2017年創業のSubstack ですが、2021年1月に、Twitter がオランダ発のニューズレター配信企業、Revue を買収し[2]、6月からは、Facebook が独自のニューズレター配信プラットフォーム、Facebook Bulletin を立ち上げる[3]など、ニューズレターは、海外IT業界の新たなトレンドとなりつつあります。
スマートニュース執行役員の藤村厚夫は、海外でのニューズレターのブームを「メルマガ・ルネサンス」と呼び、その理由を「定期的に読者の受信箱に届くメルマガは、読者の閲覧を習慣化するのにぴったりで、忙しい現代の消費者にメリットがある[4]」と説明していますが、同じことは、日本の従来型メルマガについても言えることで、なぜ海外で「メルマガ・ルネサンス」が起きているかの説明になっていません。サブスクリプション・ブームの背後に広告依存のメディア運営を見直そうとする業界のトレンドがあることは確かですが、クリエイターたちがニューズレター発行を重視するのには、別の理由があると思います。
それは、プラットフォームに依存しない流通経路の確保です。クリエイターが、Facebook, Instagram, Twitter, YouTube でどれだけたくさんのフォロワーを獲得しても、プラットフォーム運営者がサービスを停止したり、アカウントを凍結したりする途端、クリエイターはコンテンツ消費者との接点を失ってしまいます。これに対して、Substack や Revue の場合、クリエイターは、集めたメールアドレスのリストにアクセスできるので、プラットフォーム運営者がサービスを停止しても、メールアドレスのリストを持ち出して、直接あるいは別のプラットフォームを使って配信を続けることができます。クリエイターがメールアドレスを持ち出すことができないまぐまぐなど日本の従来型メルマガ発行機関とはこの点で大きく違います。日本と海外とで「メルマガ・ルネサンス」に温度差があるのは、この違いが原因でしょう[5]。
プラットフォームに依存しない個人メディアとしてかつて主流だったのはブログでした。独自ドメインを取得して、自分でサーバーに WordPress をインストールすれば、第三者によって勝手に発言の場を奪われることがないオウンド・メディアを誰でも所有できます。しかし、ブログはプル型であって、プッシュ型ではありません。RSSフィードを使えば、プッシュ型になりますが、今日、RSSフィードを使ってブログを読んでいる人は少数です[6]。これに対して、電子メールは、2019年現在、日本人の8割近くが利用しているので、このインフラを使うメルマガの方がプッシュ型としては有利です。
それでも、かつてブログがメルマガよりも個人メディアとして好まれていたのは、プル型としては優れていたからです。内容が良ければ、検索エンジン経由で個人ブログにも多くのアクセスがありました。しかし、近年、個人ブログからプル型としての優位性が失われるようになりました。検索エンジンでシェア90%以上を誇る Google が、YMYL(Your Money or Your Life 人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ)を中心に E-A-T(Expertise 専門性, Authoritativeness 権威性, Trust Worthiness 信頼性)を重視するアルゴリズムを採用するようになったからです[7]。その結果、検索結果の上位を、有名企業、公的機関、大学など、運営者に権威があるドメインのページが占めるようになり、そこに個人ブログが入ることが難しくなりました。個人ブログの流行が下火になった背景には、こうしたアルゴリズムの変更があります。
本来、消費者がどのコンテンツを選ぶかは、消費者が自分の判断で決めるべきで、第三者が勝手にコンテンツの流通経路を遮断すべきではありません。この点で、ニューズレターは理想的なメディアの形式なのです。もとより、各メディアにはそれぞれ一長一短があります。Facebook, Instagram, Twitter, YouTube といったソーシャル・メディアには、プラットフォーム依存のリスクがある一方で、個人の情報発信の場としては依然として有効で、かつ集客力が優れています。ブログのようなオウンド・メディアには、集客力で劣るというデメリットがある一方で、過去のコンテンツを長期にわたって保存するのに向いているというメリットがあります。それゆえ、私としては、ブログやソーシャル・メディアも続けつつ、それと並んで、ニューズレターの配信も行いたいと思います。
私は、既に、Twitter による配信も行っていることから、ニューズレターのプラットフォームとして、Twitter との親和性が高い Revue を使うことにします。ニューズレターのタイトルは、「永井俊哉ニューズレター」です。登録は、japanese.nagaitoshiya.com からできます。
永井俊哉ニューズレターは、HTMLメールマガジンなので、メーラーがHTMLメールに対応している必要があります。配信は不定期ですが、月に一回程度の配信回数を予定しています。完全無料で、いつでも配信を解除できるので、お気軽に試してください。japanese.nagaitoshiya.com にあるフォームにメールアドレスを入れて、“Subscribe now” をクリックし、送られてくるHTMLメール “永井俊哉ニューズレター: Confirm subscription" の “Confirm subscription now" をクリックすれば、登録は完了します。提供されたメールアドレスは、メルマガ配信以外の目的では使用しませんので、ご安心ください。
4. 追記(2023年01月04日)
私はこれまでニューズレター発行機関として、Revueを使用してきましたが、2023年以降は、Substackを使用することにします。Revueがサービス停止を発表したからです。その背景を説明しましょう。米国でニューズレターがブームになったのは、2020年のことです。パンデミックによる広告収入の落ち込みが引き金となって大手メディアから解雇されたジャーナリストたちが、読者に課金する独立個人メディアをSubstackで続々と立ち上げました。2021年になると、TwitterがRevueを買収したり、Meta(旧Facebook)がBulletinという独自のニューズレター配信プラットフォームを設立したりするなど、ソーシャル・メディア大手もこのブームに追従しました。
ところが、2022年になると、欧米でパンデミックのパニックが終息したために、ネットビジネスにとって追い風となった巣ごもり需要が減退し、加えて、FRBが金融引き締めに舵を切ったことで、ネットビジネスの経営環境が悪化しました。イーロン・マスクが、買収したTwitterの経営立て直しのため、様々な改革をしていることは皆さんご承知の通りです。Revueのサービス停止はその一環と思われます。Metaの経営悪化も深刻で、ザッカーバーグは、経営資源をメタバース事業やTikTokとの競合事業の強化に集中すべく、Bulletinの終了を決めました。結局のところ、Substackのようなパイオニアは、ネットワーク外部性ゆえに優位性を持ち、後から参入した模倣者は、大手であってもその優位性に勝てなかったということです。日本でも、まぐまぐが成功した後、多くの企業が模倣サービスを始めましたが、生き残ったのはまぐまぐだけでした。
幸い、日本のメルマガとは異なり、米国のニューズレターでは、発行人にメール・アドレスの管理権があるので、Revue終了後も、発行者は、メール・アドレスをSubstackに移転して、そのまま発行を続けられます。私も、2023年以降、Substackで「永井俊哉ニューズレター」の発行を続けます。固定URLの https://japanese.nagaitoshiya.com は https://janagai.substack.com/ に転送されます。なおサブドメインの"janagai"は、"japanese.nagaitoshiya"の略です。ニューズレター登録の解除方法は、以前と同じで、メール文末の"Unsbscribe"をクリックすればよいだけです。登録してくださっている読者の皆様には、今後ともよろしくお願いいたします。
5. 参照情報
- 大山祐矢『読者ゼロからのメルマガ成功術: たった5日間、9通のメールから640万円稼いだメルマガ運用法』2019/6/17.
- 山田文美『自店のファンを10倍ふやす「ニュースレター」の書き方・送り方』セルバ出版 (2017/11/24).
- Ray『リストマーケティング戦略講座: メルマガで10年以上稼ぎ続ける方法』2019/1/15.
- こもりまさあき『レスポンシブEメールデザイン ― マルチデバイス時代の魅せるメルマガの作り方』角川アスキー総合研究所 (2015/1/16).
- ↑永井俊哉『教養のためのコラム』創刊号. Melma! 1999/09/25.
- ↑Kayvon Beykpour and Mike Park. “Making Twitter a better home for writers.” Tuesday, 26 January 2021.
- ↑CNET Japan 編集部. “Facebook、ニューズレター配信サービス「Bulletin」を提供開始.” 2021年06月30日 10時24分.
- ↑藤村厚夫. “メディアに「メルマガ・ルネサンス」!? 読者との絆、復活の切り札.”『日本経済新聞』2019/3/18.
- ↑日本でも、theLetter のようなクリエイターがメールアドレスを持ち出せるプラットフォームが誕生しつつありますが、一般的ではありません。
- ↑2021年10月に、Google Chrome が、新規タブに、フォローしているページの最新記事が表示されるRSSフィード機能を追加しました。しかし、これでRSSリーダーが復活するかどうかはわかりません。
- ↑YMYLカテゴリーが導入されたのは、2014年ですが、特に大きな変動結果をもたらすアルゴリズムの変更が実施されたのは、2020年です。
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