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どうすれば論文捏造を見抜くことができるのか

2012年10月3日

査読付き学術雑誌は、検閲付き放送局と同様、集権型メディアの時代の遺物であり、論文捏造の問題は、集権型メディアの強化によってではなくて、むしろ逆に分権型メディアへの解体によって解決されるべき課題である。[1]

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問題提起
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年10月03日(水) 17:12.

2012年2月に東邦大学は、麻酔科医で同大学准教授だった藤井善隆を、論文捏造の疑いで、諭旨退職処分にした。データに捏造の疑いがあるとして撤回された論文は、少なくとも172本あり、一人の著者の撤回数としては世界新記録となった。もっとも、藤井が発表した論文は、マイナーな学術雑誌に掲載されていたため、影響という点ではそれほど大きくはない。世間に与えた影響という点で世界最大の論文捏造スキャンダルと言われているのは、シェーン・スキャンダルである。

シェーン・スキャンダルは、ノーベル賞受賞は確実と言われていたドイツ人物理学者、ヤン・ヘンドリック・シェーンの高温超電導に関する「世紀の大発見」が実は捏造によるものだったことが発覚したことで起きた。このスキャンダルは、NHK の番組「史上空前の論文捏造」で放送されたので、それで知っている人もいるかもしれない。この番組は、バンフテレビ祭でのロッキー賞を始め、国内外の四つの賞を受賞し、さらに、制作した村松秀の執筆によって『論文捏造』として書籍化された。スキャンダルの詳細に関しては、この本に譲ることにして、ここでは簡単にその概略を書こう。

オーストリア出身のシェーンは、1997年にコンスタンツ大学で博士号を取得後、恩師のコネで科学の殿堂と評価が高かったベル研究所に就職し、2000年に、有機物における超伝導転移温度の最高記録である52Kで超伝導を観測したと『サイエンス』で発表し、2001年にはこの記録を117Kに更新したと『ネイチャー』で発表するなど、画期的な成果を科学雑誌の双璧である『サイエンス』と『ネイチャー』に交互に掲載した。『サイエンス』と『ネイチャー』は、シェーンの大発見を載せようと競争し、このため、不正に対するチェックも甘くなったのではないかと村松は推測している。

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Peer Review" by AJC ajcann.wordpress.com. Licensed under CC-BY-SA.

『ネイチャー』と『サイエンス』は、投稿採用率が極めて低くて、それゆえ厳格な査読を行うトップ・ジャーナルとして知られる。それなのになぜ編集者たちはシェーンの捏造に気が付くことなく、安易に掲載してしまったのかという問題意識から、NHK の取材班は、両雑誌の編集部にインタビューを試みている。以下は『ネイチャー』の物理部門の編集チーフ、ジーメリスの反応である。

論文捏造 p. 134-135 (author) 村松秀 さんが書きました:

「実際に捏造された論文を掲載してしまい、そのことによって多くの研究者たちの時間やお金を無駄にさせてしまったことは申し訳なく思っています。

しかし、私たちは警察ではありません。論文のひとつひとつを、不正ではないかと疑いの目で見てすべて調べることなど、実際にはできません。私たちの責任の範囲ではないと思います」

意外な答えだった。ジェーンの論文を掲載したことによって学界に混乱を来たした点については、潔くその非を認めた。しかし驚いたことに、科学ジャーナルが掲載した論文の内容については当然、ジャーナル側か責任を持って不正がないかどうか調べ、チョイスし載せているもの、という考えは間違いで、実態はそうではない、というのである。膨大な数の論文が編集部には送られてくる。そのうちの選りすぐりのものだけを科学的にしっかりと精査した上で掲載している、という私たちのイメージは勝手な思い込みに過ぎない、というのだ。つまりは、科学ジャーナルは、不正のチェックはしていない、ことになる。

ジーメリスは続けてこうも言った。

「私たちにできることには限りがあります。広報活動や不正行為の問題についての議論などを通じて科学者の意識を向上させることならばできると思います。しかし、不正行為を止められるような仕組みなど、私たちには想像すらできません。その人たちが仕事をしている研究所自体がそれに気づかないのであれば、関わりのごくわずかな外部者である私たちがどのように不正行為の摘発ができるか、わかりません」

世界中の科学者の憧れである『ネイチャー』誌。しかし、これほどの雑誌でありながら、不正行為に対してはノーチェックなのだ。いったい、権威ある最高峰の科学雑誌の意味とは、何なのだろう。

今回の事件を通じ、読者は『ネイチャー』誌に対して失望した部分があると思うか、という質問に対して、ジーメリスは自信たっぷりにこう答えた。

「いいえ、まったくないでしょう。

ただ、それと同時に、私たちが掲載する論文はすべて100パーセント間違いなく正確である、というのは非現実的だと思います。私たちが掲載する論文の多くは、いろいろな解釈が可能で、問題の部分的な解釈を提示するものであり、さらにたくさんの質問を提起するものもあります。最終的に決着がついたものではないのです。数年後には、科学的に間違っていたことがわかる場合だってあります」

たしかに、不正ではなく、科学的な間違い、ミスが生じてしまうことはままあるであろう。が、それは当然のことなのだ、という言い分には、大きな違和感を抱いた。その違和感とは、精査を受け、選ばれた論文のみが掲載される超一流の科学ジャーナルが、実は論文の科学的な内容の正しさ、再現性を担保してくれてはいない、ということである。

この後、取材班は『サイエンス』の編集部にもインタビューを行っているが、返ってくる答えは同じで、査読では巧みな不正を見抜くことはできないというものである。

村松は、両編集部の開き直った態度にあきれているが、それが査読システムの限界なのだということを理解しなければならない。査読者にできることは、読んだだけでわかる単純なミスの指摘を除けば、せいぜい過去の研究成果を踏まえているかどうか、独創性があるかどうかの判断ぐらいで、編集者も読者が興味を持ってくれるか否かぐらいしか考えていない。査読は無償サービスであり、再現実験による追試といった費用のかかる検証はできない。だから、意図的でない間違いがあっても、それを見抜けないことがしばしばある。

では、ジーメリスが言うように、シェーンが仕事をしていた研究所、すなわち、ベル研究所が捏造を見抜くべきだったのか。実は、捏造が発覚する前に、ベル研究所の上層部に内部告発があったことがわかっている。しかし、上層部は直接シェーンに事情を聴いただけで、彼の言い訳をそのまま信じ、それ以上立ち入った調査はしなかった。村松は、ベル研究所の消極的な姿勢を、親会社の方針の変更に求めている。ベル研究所は、もともとAT&Tの研究所であったが、分社化に伴い、ルーセント・テクノロジー社の研究所になった。ルーセント・テクノロジー社は、ドットコムバブルの崩壊により経営が苦しくなり、ベル研究所にも売り上げに貢献する研究成果を求めるようになった。

論文捏造 p. 188 (author) 村松秀 さんが書きました:

それまでのベル研究所は、一企業に所属しながらも企業利益ではなく「科学」そのものを追究する研究機関として活躍してきた。しかし、いつの間にか、研究資金を公共予算に頼らず自前で調達する、企業の研究所の複雑な事情がベル研を変質させていった。そして事態をより悪い方向へと向かわせてしまったのである。

要するに、ルーセント・テクノロジー社は、金儲け主義に走り、科学的厳密さよりも市場受けする研究成果の宣伝に力を入れ始め、その結果、シェーンのスキャンダルの追及には及び腰になっていたというわけである。

村松は、さらに事件の背景として、米国の科学界に顕著な成果主義と競争主義を挙げている。

論文捏造 p. 298-299 (author) 村松秀 さんが書きました:

ジェーンは競争社会に生きる一科学者の典型だった。もともとはジェーンもベル研究所の契約研究員に過ぎなかった。しかし、一流科学雑誌に次々と論文を掲載するという際立った成果を上げると、すぐに正式な社員として採用される。そして、30歳そこそこの若さでヘッドハンティングの声がどんどんかかり、名門大学の教職ポストを次々と提示され、母国での研究所の共同所長という肩書きすら手に入れようとしていた。アメリカという成果絶対主義の国での功績が、ものを言ったケースである。問題はその成果がすべて捏造だった、ということだ。

ジェーンの親友、フェスが指摘したように、ジェーンは共同研究者やベル研、あるいは科学ジャーナルなとがら、インパクトのある成果を求める無言あるいは有言の強いプレッシャーを受けていたことは想像に難くない。極度の競争社会の中で、短い時間で最大限の研究成果を求める成果主義。身分の不安定な科学者たちにとって、研究で優れた成果を得ることはまさに自身の人生そのものを決めることにほかならない。そうした状況の中では、成果を求めるあまり、本当は得られてもいないデータを作り出してしまう捏造が生じやすいことも、また当然のことである。

こうしたアメリカ型の競争社会は、アメリカのみならず、日本でも科学界を席巻してきている。また、純粋に科学を追究する研究風上の強いヨーロッパですら、アメリカの競争原理と成果主義が幅を利かすようになってきている。いつのまにか競争が、グローバルスタンダード化してきているのである。

捏造がなぜ起きたのか、そしてなぜそれが長い間発見されなかったのかに関して、村松は、他にもさまざまな細かい要因を挙げているが、主要因としては、競争主義と成果主義という米国社会一般の背景、親会社が経営難の中、成果を出すよう圧力をかけられたベル研究所、インパクトのある論文を掲載しようと競争し合った科学雑誌というところだろう。

結局のところ、村松は、米国流の利益第一主義、競争主義、成果主義を止め、一流研究所や一流科学雑誌は、その権威にふさわしいチェック機能を果たすべきだと考えているようだが、これはきわめて NHK 的な発想である。NHK は、放送法に基づく特殊法人で、事前に内容の厳重なチェックを行い、公平・正確な放送をしているという前提で、国家から受信料を強制徴収する権利など特権的な待遇が与えられ、民間営利企業では当たり前の利益第一主義、競争主義、成果主義を免れている。

では、それで NHK が捏造の防止に成功しているかと言えば、そうでもない。『奇跡の詩人』、『プロジェクトX』、『JAPANデビュー』など、捏造が疑われている番組はいくつもある。衛星放送のマイナーなテレビ局がこういう番組を放送しても、大した影響はないが、NHK が放送する場合はそうはいかない。この点で、NHK は、ベル研究所や『ネイチャー』や『サイエンス』と同じ問題を抱えている。

NHK のような集権的メディアの対極にあるのが、分権的メディアの代表であるインターネットだ。インターネット上では第三者による検閲が行われないので、捏造された情報を発信することは容易にできるが、そもそも権威がないから、意外な情報を鵜呑みにする人は、初心者を除けば、いない。ネットには、無数の情報発信者がおり、間違いの指摘や批判は、ネットという公開の場で互いになされる。ネット・ユーザは、それらを読み比べながら、どれが最も信頼できるかを自分で判断するメディア・リテラシーが身に付く。

集権的メディアが、捏造を含めた虚偽情報をいかに事前のチェックにより防止するかに力を注ぐのに対して、分権的メディアでは、虚偽情報を防ぐことはできないという前提のもと、虚偽情報の無権威化と素早い訂正により虚偽情報によるダメージを最小化する。後者より前者の方が社会に混乱を与えないと思うかもしれないが、前者のような権威主義がメディアの主流である社会では、情報の消費者は権威に盲従し、かつ情報の生産者はその無謬主義により訂正に消極的になるがゆえに、虚偽情報の流布が社会に与えるダメージが大きくなってしまう。

集権的なメディアのあり方を極端に推し進めていくと、旧ソ連の新聞(共産党の機関紙)、『プラウダ』のようになる。プラウダとはロシア語で「真実」という意味で、まさに「真実」の名のもとに様々な捏造事実が全国民に一斉にに宣伝された。真理が一つのメディアによって独占されると、それを批判するメディアがなくなるので、捏造はやりたい放題になる。これは、メディアのあり方としては最も危険である。最も健全なメディアのあり方は、誰もが簡単にメディアに参入できて、どのメディアも特権的な地位を持たない状態で、相互批判を通じて競争している状態である。

村松は、利益第一主義、競争主義、成果主義が捏造の温床になっていると考えている。そういう側面があることは否定しないが、だからといって、利益第一主義、競争主義、成果主義を否定するのではなくて、むしろ捏造の発見それ自体に利益第一主義、競争主義、成果主義を導入するという発想を持ってほしいものだ。私が「査読付き学術雑誌の終焉」で提案した「再帰的投票システム」は、その発想に基づいて設計されている。査読付き学術雑誌は、検閲付き放送局と同様、集権型メディアの時代の遺物であり、論文捏造の問題は、集権型メディアの強化によってではなくて、むしろ逆に分権型メディアへの解体によって解決されるべき課題なのである。

小保方スキャンダルとシェーン・スキャンダル
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年3月24日(月) 20:58.

Nature に投稿された STAP 細胞論文に浮上した捏造疑惑(本ページの付録で詳しく取り上げる)のおかげで、このトピックに検索エンジン経由でアクセスする人が増えている。日本版シェーン・スキャンダルと評されることもあるが、たしかに、小保方晴子とヤン・ヘンドリック・シェーンが惹き起こした二つの騒動には、以下のような類似性がある。

  • 発表者は学生時代それほど優秀ではなかった。
  • 恩師のコネで出世し、超一流の研究所に就職できた。
  • 論文が、世界的に最も権威ある学術雑誌に掲載された。
  • マスメディアはノーベル賞級の大発見と報じ、称賛した。
  • 最初に捏造の可能性を指摘したのは匿名の告発者だった。
  • 研究所は本人の主張を信じ、疑惑の追及に消極的だった。

小保方スキャンダルがシェーン・スキャンダルと違うのは、発表から不正発覚までの時間が短かったことだが、これは、小保方の論文がシェーンの論文以上に杜撰だったことに加えて、現在の方が不正を指摘するネットでの活動が活発であることが原因である。小保方論文は、発表当初から疑問を呈する声が国内外にあったが、積極的に疑惑を追及したのは、11jigen を名乗る匿名のネットユーザだった。私は、

永井俊哉 さんが書きました:

最も健全なメディアのあり方は、誰もが簡単にメディアに参入できて、どのメディアも特権的な地位を持たない状態で、相互批判を通じて競争している状態である。

と書いたが、今回の件でもその思いを強くした。真偽を権威ある中央集権的で閉鎖的なシステムに委ねるよりも、無数の人が自由に批判できる分権的で開放的なシステムの方が、不正を指摘する上で機能する。

NHK の村松は、不正論文が生み出される背景として、米国流の成果主義と競争主義を挙げていた。科学ライターの緑慎也も、科学論文に不備が多い背景には、科学界の成果主義、競争によって早く論文を出さなければいけないというプレッシャーがあると指摘している。では、成果主義と競争主義を止めれば、不正が見抜けるようになるかと言えば、既に書いたとおり、そうとも言えない。

永井俊哉 さんが書きました:

NHK は、放送法に基づく特殊法人で、事前に内容の厳重なチェックを行い、公平・正確な放送をしているという前提で、国家から受信料を強制徴収する権利など特権的な待遇が与えられ、民間営利企業では当たり前の利益第一主義、競争主義、成果主義を免れている。それで NHK が捏造の防止に成功しているかと言えば、そうでもない。『奇跡の詩人』、『プロジェクトX』、『JAPANデビュー』など、捏造が疑われている番組はいくつもある。

今なら、このリストに NHK が放送したドキュメンタリー番組『魂の旋律〜音を失った作曲家〜』を加えることができる(『魂の旋律-佐村河内守』という本までNHK出版から出ている)。もちろん、NHK が意図的に捏造したのではなかったが、厳格な審査で信用を得ている NHK ですら、佐村河内の嘘を見抜けなかった。番組を制作したディレクターは、佐村河内に5年間寄り添ったというのだが、本当に何も気づいていなかったのだろうか。

11jigen はボランティアで不正の摘発をやっているというのだが、こういう活動をしている人には、何らかの報酬があってもよいのではないだろうか。「査読はどうあるべきなのか」で提案したシステムは、「捏造の発見それ自体に利益第一主義、競争主義、成果主義を導入するという発想」で設計している。ピアレビューの機能不全とネットにおける不正摘発の実績が積み重なれば、このシステムと似たようなシステムに移行せざるを得なくなるだろう。

なぜ不正の摘発は匿名で行われるのか
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年3月26日(水) 09:08.

Facebook Comment (author) Takuya Hamada さんが書きました:

匿名で不正を暴き正義ヅラするのはいかがなものかと…ボランティアとの名のもとでリスクヘッジするのは?チクリ屋のリコとかわりませんね(笑)

私が提案しているシステムでは、不正の摘発は匿名では行われません。現在のアカデミズムのシステムでは、実名で不正の追及をして恨みを買うと、ピアレビューや人事で報復される可能性があるから、彼らは匿名で行っているのでしょう。アカデミズムに限らず、内部告発をすると厳しい制裁を受けるのが日本の社会の一般的な現状なのです。現在のピアレビューや裁量人事といった私的復讐が容易な制度を廃止し、かつ不正摘発に対する報酬が制度的に保証されるなら、実名による摘発も可能になるでしょう。

市場原理主義
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年3月27日(木) 14:14.

Facebook Comment (author) Nob Chika さんが書きました:

裁量人事に代わる客観的データに基づいた人事制度とはどのようなものなのか、私には検討もつかなかったのですが、貴方の『査読はどうあるべきなのか』を読み、大まかなアイディアは理解しました。これも市場原理主義の応用と見てよろしいでしょうか。確かにそのような流れに移行するのは避けられないと思います。非常に民主的だと思います。貴方のレトリックでは市場原理主義的だと言うべきなのでしょうが。

査読はどうあるべきなのか」で提案していることは、「民主主義はどうあるべきか 」で提案していることと同様に、《市場原理としての民主主義》です。それはレトリックではなくて、同じ原理です。なお、「市場原理主義(Market Fundamentalism)」というのは、軽蔑語ですから、私は自分の立場を表す言葉としては使いたくありません。市場原理の聖典(そのようなものがあるとして)を一字一句字義通り解釈するという立場でもありません。市場原理至上主義、あるいは、もっと一般に使われている用語では、リバタリアニズムという言葉を使う方が適切かと思います。

Re: どうすれば論文捏造を見抜くことができるのか
投稿者:Katsuki Takaya.投稿日時:2014年4月03日(木) 16:02.

はじめまして。病院に勤務する薬剤師です。学生のときは成績がわるいので、研究は一切やっていないので
卒業論文はありません。研究に憧れていましたが。
論文をあれだけ追求し、監査するのはすごい才能ですが、論文そのものはそんなにたやすく検索できるのでしょうか。
論文検索機はものすごく高額であると学生時代にならいました。
様々な論文からデータ、文章を引用するには検索しなくてはいけませんが、それら論文を検索することも
すごく時間と、お金、労力が必要であると思います。
何か簡単にどのようにして、論文を検索し、転載、引用できるのか、皆平等にするべきだと思いますが。

論文検索のためのソフトとサービス
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年4月04日(金) 10:57.

Katsuki Takaya さんが書きました:

論文をあれだけ追求し、監査するのはすごい才能ですが、論文そのものはそんなにたやすく検索できるのでしょうか。

ここで謂う所の「検索」が無断転載などの不正追及のための検索なのか、論文執筆時における引用のための検索なのかわかりませんが、前者の場合なら、以下のような有料ソフトあるいは有料サービスがあります。

  • コピペルナー:9500-69120円
  • CROT:45000円
  • iThenticate:年会費80/300万円

ま多二つの文を比較し、同じ個所を摘出する無料ソフトとしては、difff《デュフフ》があります。このソフトは、STAP 騒動でも活躍しました。

Katsuki Takaya さんが書きました:

論文検索機はものすごく高額であると学生時代にならいました。様々な論文からデータ、文章を引用するには検索しなくてはいけませんが、それら論文を検索することもすごく時間と、お金、労力が必要であると思います。

論文執筆時における引用のための検索なら、Google Scholar で無料でできます。ただし、論文全文を読もうとすると課金される場合があります。これを回避するために、最近では、オープン・アクセスの制度が試みられていますが、まだ不十分です。

Katsuki Takaya さんが書きました:

何か簡単にどのようにして、論文を検索し、転載、引用できるのか、皆平等にするべきだと思いますが。

転載は著作権者の許可が必要なので、簡単にはできません。簡単にするための提案としては、“定額式超流通の提案|システム論アーカイブ試論編|永井俊哉”をご覧ください。

Re: どうすれば論文捏造を見抜くことができるのか
投稿者:Katsuki Takaya.投稿日時:2014年4月04日(金) 23:17.

返事を大変ありががく思っております。本当にありがとうございました。
別に今更、論文を書こうとは思いませんが、容易にできるみたいですね。
正に芸術でいう盗作ですね。いいとこどりですね。

付録:STAP細胞
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年1月30日(木) 23:06.

小保方晴子(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター・研究ユニットリーダー)らによる新しい万能細胞の作成方法、STAP(stimulus-triggered acquisition of pluripotency)の発見が大きなニュースとなっている。弱酸性の水溶液に浸すだけで成人の細胞が万能細胞化するという事実は、専門家ほど信じられないに違いない。

もしもこれが人間に応用できるなら、従来の万能細胞と比べて、より速く、より低コストで、より安全に再生医療を行うことができるのだから、全人類的観点から喜ばれるようなニュースなのだが、日本のメディアには、日本人の功績という点に脚光を当て、「また日本人科学者が成果」、「日本のリードがより強固になる」(産経新聞)などと報道しているところが多いようだ。

他方で、以下の引用に見られるとおり、米国では、全国紙の USA Today が、STAP の新しい研究を主導したのはハーバード大学関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院のチャールズ・バカンティ教授であると報道している。「小保方」の名前はどこにもなく、「日本とハーバード出身の研究者たち」とか「バカンティと同僚たち」といった表現しかない。これを読んだ米国人は、米国の業績という印象を持つことだろう。

Researchers turn adult cells back into stem cells (date) January 29, 2014 (media) Researchers turn adult cells back into stem cells さんが書きました:

In two papers published Wednesday in the journal Nature, researchers from Japan and Harvard showed they could make stem cells cheaply and easily, simply by damaging mature cells with acid.

“If this pans out, that means (for) almost any person who has a medical problem, researchers could easily make stem cells from that person’s skin or blood, and those cells could be a really powerful therapy," said Paul Knoepfler, a stem cell biologist and associate professor at the University of California-Davis, who was not involved in the work.

In theory, a doctor could, say, scrape some cells off the arm of a heart attack patient and turn the cells into stem cells, which could then become healthy heart cells. Eventually the healthy heart cells could be implanted into the heart where they could take over for the damaged ones.

To date, the benefits of stem cells are mostly theoretical. Bone marrow transplants are the primary use of stem cells in therapy today, although clinical trials are underway for other uses.

The new research also suggests that the body has a previously unrecognized ability to heal itself, and upends our understanding of biology by suggesting that adult cells may be able to revert to stem cells after they’ve been damaged, said Charles Vacanti, the Harvard Medical School stem cell and tissue engineering biologist who led the new research.

Researchers might someday be able to capitalize on this healing ability to create effective treatments and even battle cancer, said Vacanti, also of Brigham and Women’s Hospital in Boston.

In the new research, Vacanti and colleagues produced cells they call STAP cells (for stimulus-triggered acquisition of pluripotency) by putting mouse white blood cells under various stressors, such as a low-pH, acidic solution. Vacanti said he has since made STAP cells from human skin cells.

『ネイチャー』の論文“Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency”では、著者を“Haruko Obokata, Yoshiki Sasai, Hitoshi Niwa, Mitsutaka Kadota, Munazah Andrabi, Nozomu Takata, Mikiko Tokoro, Yukari Terashita, Shigenobu Yonemura, Charles A. Vacanti & Teruhiko Wakayama”としているし、“Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency”では、“Haruko Obokata, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P. Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato & Charles A. Vacanti”となっている。ファースト・オーサーは小保方で、バカンティは、責任著者である。

バカンティの先駆者としての功績を否定することはできないが、バカンティは「ハルコがいなかったら、私たちはこの研究は達成できませんでした」と証言しており[2]、バカンティの名だけを出して、小保方の名を出さないのは、フェアではない。米国の変なナショナリズムによって USA Today の報道が歪められている。

もっとも、ハーバード大学のチームは、STAP の発見を受けて、脊髄損傷のサルを治療する研究を既に始めており、人間の細胞を使った作製も研究しているというのだから、今後は米国がこの技術の開発を主導する可能性がある。世界知的所有権機関(WIPO)のサイトによると、国際特許は、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院、東京女子医科大学、理研の三者が合同で米当局に出願しているらしい。

ところで、日本では、ハーバード大学以上に関係がないところが「おらが村自慢」をしている。J-CAST の報道によれば、小保方博士が早稲田大学理工学部の卒業生であることから、今回の発見が早大の評価向上につながると出身者が期待しているとのことである。

「万能細胞」小保方晴子さんは早稲田大理工卒 出身者は「私大初のノーベル賞だ」「慶応に一矢報いた」大はしゃぎ (date) 2014/1/30 (media) J-CAST さんが書きました:

ネット上でも、さっそく同学部出身者から「これはうちの学科の評価もうなぎのぼりや」という声があがったほか、早くも「私大初のノーベル賞とれそうだね」「日本の私立大学から、初のノーベル賞受賞となれば早稲田大学の評価は、大きくアップすると思う」として「iPS細胞」の山中伸弥京都大学教授に続くノーベル賞受賞を期待する声も数多くある。また、ライバルの慶應義塾大学と比較して「医学部持つ慶応はショックだろよ」「なんとなく慶応に一矢報いた感じがしてすごい嬉しい」と書き込む人もいる。

山中教授が、2012年にノーベル整理医学賞を受賞したことで在職していた京都大学の評価は高まったが、出身大学である神戸大学や出身大学院である大阪市立大学はそうはならなかった。2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士が卒業したのは長崎医科大学附属薬学専門部(現在の長崎大学薬学部)だったが、受賞によって受験生が増えたということはなかった。結局のところ、たんに出身大学というだけで、その研究に貢献していない大学は評価されないということのようだ。

Re: STAP細胞
投稿者:tanza.投稿日時:2014年1月31日(金) 21:26.

下記リンクのブログ記事、参考までに。

新たな万能細胞「STAP細胞」の開発の黒幕!?:ヴァカンティ4兄弟!?

ノーベル賞
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年2月01日(土) 02:10.

著者に名前を連ねていない兄弟までが受賞するはずはないでしょう。脊髄損傷のサルを治療する研究や人間の細胞を使った作製が成功したとしても、ノーベル賞は先駆的なオリジナリティを持つ研究を優先するから、この研究が受賞対象となるなら、ファースト・オーサーも受賞すると予想されます。もちろん、チャールズ・バカンティ教授は STAP の先駆者でもあるのだから、もしも受賞するなら、ちょうど山中教授がジョン・ガードン博士と共同受賞したように、共同受賞になるという可能性が一番高い。

エイズ疑惑
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年2月01日(土) 02:55.

Oki Mikito さんが書きました:

エイズウイルス発見の時とおなじような構図ですね。
あの時は確かフランスが米国にトロフィーを奪われた。。。

ジョン・クルードソンが『エイズ疑惑―「世紀の大発見」の内幕』で真相を暴露したおかげで、結局のところ、フランスのパストゥール研究所のリュック・モンタニエがノーベル賞を受賞したけれども、そうでなければ、アメリカの国立保健研究所のロバート・ギャロとの共同受賞ということになっていたでしょうね。ただ、STAP の場合、論文の著者という点でも、特許という点でも共同ということで合意ができているからもめることはないとは思います。

新事実の発見と理論構築
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年2月02日(日) 18:39.

ノーベル賞の事典』の著者、秋元格は、STAP の発見は万有引力の発見に匹敵すると言っている。

「STAP細胞」小保方さん 日本人女性初ノーベル賞の期待 (date) 2014年1月31日 (media) 日刊ゲンダイ さんが書きました:

早ければ5年後くらいにノーベル生理学賞を受賞できるかもしれません。今回の小保方さんの発見はニュートンの万有引力、キュリー夫人の放射能に匹敵する大発見だからです。ただ、実際に受賞するには、クリアすべき壁がいくつもある。現在、生後1週間の無菌状態の若いマウスの細胞でしか成功していない実験を、成長したマウスや、ウサギ、牛などさまざまな検体でも成功させ、研究の普遍性を証明してみせなければなりません。それには研究チームの総合力が求められるし、運も左右します

これは比喩としては適切ではない。科学の業績には、新事実の発見と理論構築の二種類があるが、ニュートンの万有引力の「発見」は、事実の発見というよりは、重力場における既知の事実(例えば、加速度運動の法則)を普遍的に説明する新しい理論的枠組みの提供と評するべきである。これに対して、ガリレオが望遠鏡での観測により木星に衛星があるとか、月面に凹凸があるとかいったこと発見したのは、事実の発見に属する業績である。

キューリー夫人は放射能を発見したと言われるが、現象的な事実の発見自体はベクレルの功績であり、キューリー夫人の功績は、その現象の原因を突き止めたところにある。STAP は、その事実が発見されただけで、そのメカニズムについてはまだよくわかっていないので、理論構築は今後の課題である。新事実の発見と理論構築のどちらが重要であるかは、経験論と合理論で評価が分かれるところだが、両方が必要であることは、言うまでもない。

科学とナショナリズム
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年2月02日(日) 19:47.

Nob Chika さんが書きました:

確かにそう書いていますが、共著なのだから事実に反するという訳でもないと思います。

「事実に反する」とは書いていません。「バカンティの名だけを出して、小保方の名を出さないのは、フェアではない」と書いたまでです。USA Today は、全国紙といっても大衆紙だからあまりまじめに取り上げる必要はないのかもしれませんが、ノーベル物理学賞受賞につながったカミオカンデによるニュートリノの検出というニュースでも、当時の米国メディアは日本の名前は出さずに、国際的な科学者のチームによる発見というような報道(これもたしかに事実には反していない)をしていたことを記憶しています。ソースはよく覚えていないし、たまたま私が見たメディアがそうだったというだけなのかもしれませんが、米国人には、自分たちが科学研究の世界的中心であるというイメージを毀損したくないという心理が働いているのかもしれません。微積分法発見のプライオリティをめぐるイギリスとドイツの論争を思い起こすまでもなく、本来人類の営為として評価されるべき科学的な業績がナショナリズムを発露する対象として利用されることはあろうかと思います。

疑惑浮上
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年2月15日(土) 09:55.

小保方ら日米の研究チームの論文について、インターネット上で「不自然な画像データが使われている」と指摘があり、理研は、外部の専門家も加えて調査を始めたと明らかにしたとのことである。

「不自然な画像」指摘受け理研が論文を調査 (date) 2月15日 (media) 毎日新聞 さんが書きました:

調査対象は、1月30日付の英科学誌ネイチャーに掲載された論文2本。マウスのリンパ球に刺激を与えるだけで、体のあらゆる細胞になる多能性を獲得するという内容だ。

しかし、ネット上のさまざまなサイトで、▽論文の画像データの一部が過去の論文の画像を流用した可能性がある▽STAP細胞から作ったとする胎盤の写真が使い回しされている--などと指摘された。このため、理研は複数の専門家による調査を13日に開始した。結果はまとまり次第、公表する方針。

理研は13~14日、小保方さんらに聞き取り調査も実施し、「現時点では研究成果は揺るぎないと判断しているが、外部から指摘があったため調査を始めた」と述べた。

具体的なことは、「小保方晴子が筆頭著者の論文の不適切さについて」に写真付きでまとめてあるのでそれを参照されたい。毎日新聞の記事によると、理研は「研究成果は揺るぎない」と言っているようだが、まだそう断言できる段階ではない。STAP NEW DATA(Knoepfler Lab Stem Cell Blog) で外部の研究者による追試の結果が掲載されているが、今のところ八件とも失敗であるとのことである。バカンティが脊髄損傷のサルの治療や人間の細胞を使った作製に成功したというのも噂の域を出ないから、成功した追試としてカウントすることはできない。

他方で、日本の週刊誌の中には、既にこの疑惑の検証に動き出したところもあるそうだ。

STAP細胞・小保方晴子さん 囁かれる「論文捏造」の怪情報 (date) 2014年02月14日 (media) IRORIO(イロリオ) さんが書きました:

「いま研究者の間で『小保方さんの複数の論文に捏造疑惑がある』といった噂が広まっているのです」と語るのはフリージャーナリストのA氏。「週刊誌は来週号の掲載に向けて全力で動いてますよ」と驚きの証言を始めた。

にわかには信じられない小保方さんの「論文捏造疑惑」。「実は2月上旬の段階で”週刊S”誌の記者は、この情報をキャッチしていました。捏造があったとされるのは早稲田大学時代からの複数の論文。情報はとある国立大学の研究者からのタレコミです。しかし専門性の高い領域なので真偽の検証できず掲載は見送りとなったようです」とA氏は言う。

「その事もあってか”週刊S”誌は『小保方さんは思い込みの激しい性格だった』という記事を載せたといいます。今週になって、知人の科学ライターの所にも、別の週刊誌から『小保方さんの捏造疑惑の検証をしてほしい』という依頼が来たようです」

”週刊S”誌というのは、週刊新潮のことで、次号で捏造スクープを掲載する予定らしいが、まだ捏造と決まったわけではないので、もう少し調査結果を待つことにしたい。

その後の情勢
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年2月28日(金) 10:50.

週刊新潮の記事が出版された。

徹底検証!「STAP細胞」は幻か? 未だ再現不能! 「小保方博士」が着せられた「灰色割烹着」 (date) 2014/02/27 (media) 週刊新潮 さんが書きました:

胎盤にさえなりうる「STAP細胞」発見のニュースは、割烹着の「ドクター小保方」のキャラクターと相俟って、「iPS細胞」に優るとも劣らない大発見として扱われた。しかし、一報から1カ月、その熱気は急速に冷めている。論文の写真使用に誤りが見つかり、世界中で行われた検証実験では未だ、同じ結果が得られていない。人類の未来に大きく貢献するはずの「夢の細胞」は本当に見つかっていたのか。

小保方論文のみならず、[1]。時間とともに疑惑が強まっているが、中には擁護しているメディアもある。

小保方晴子さんの「STAP細胞論文捏造疑惑」アンチ勢力の陰 (date) 2014.02.25 (media) 週刊ポスト2014年3月7日号 さんが書きました:

これだけの騒動に発展した背景には、一定の“アンチ小保方勢力”の存在が見え隠れする。再生医療の分野には、出身学部を異にするグループが存在する。大きく分けると「医学部出身の研究者」と「それ以外(理学部、農学部、工学部出身など)」だ。ある医療関係者の話。

「医学部出身者の中には、遺伝子や細胞の分野とはいえ、人体を扱う医療分野で医学部出身者以外が実績を上げることを面白くないと感じている人は少なくない」

[中略]

いま、再生医療分野においては、医薬品や新技術の土台となる論文は「カネに直結する」といわれている。アベノミクスの成長戦略の中核に医療があるが、その中で最注目されているのが再生医療なのだ。

政府は2013年度から10年間で、再生医療に対し約1100億円もの支援を決めている。今、この支援金を巡って、各研究機関で争奪戦が行なわれているという。

「早速、2014年度、iPS細胞研究に政府から150億円の支援が下りることが決まっています。そのほとんどが山中伸弥教授のいる京大の研究所に払われる。再生医療で結果を出せば、莫大な研究費が入るわけです。もし、STAP細胞が認められれば、理研や小保方さんグループに大量の研究費が投入されることになり、その分他の研究機関に回らなくなる。それを阻止する動きがあってもおかしくない」(同前)

小保方さんの論文にケチがつくことによって得をする勢力があるとしたら、実に生臭い話である。

共著者の若山照彦山梨大教授は、2月24日に、産経新聞の取材に対して、単純ミスによる画像の誤掲載があったとして、論文を修正すべきだとの考えを明らかにしたが、研究の成果自体に問題はないと言っている。チャールズ・バカンティは、「いくつかのパネルの取り違え」があったことを認め、すでに訂正を申請しているが、この論文のデータ、結論やその他の部分に影響を与えるものではないと言っている。

また、実験結果が再現されないことに関しても、単に実験プロトコルが複雑なだけだという指摘がある。

理化学研究所、STAP細胞論文の調査に着手 (date) 2014年2月17日 (media) Nature さんが書きました:

若山と若山研究室の1人の学生は、今回の論文発表の前に、実験を独自に再現することに成功している。ただし成功にこぎ着けたのは、小保方の指導を十分に受けた後のことである。しかし、山梨大学に移ってからは再現に成功していない。「酸を加えるだけですから簡単な手法に見えるのですが、それほど簡単ではないのです」と若山は言う。

若山は、小保方の実験結果を独自に再現できたことで、この手法の有効性を十分に確信していると話す。また彼は、受精卵以外で胎盤形成が可能な細胞は、今のところ小保方が作製した細胞しかないので、細胞のすり替えはあり得ないとも説明する。「私はこの手で実験を行い、この目で結果を確かめました。実験結果は100%正しいと確信を持っています」と若山。

数人の科学者が、この実験プロトコルの詳細を1人ないし複数の論文著者に問い合わせているが、今のところ回答は得られていない。北京大学(中国)に所属する幹細胞生物学者Hongkui Dengは、「論文著者がまもなくプロトコルの詳細を発表する」という話を聞いている。Vacantiによれば、実験は問題なく再現されており、「実験結果にばらつきが生じて、混乱が起こる余地をなくすため」に、小保方が実験プロトコルを発表することになるだろうと話している。

だが、肝心の小保方は沈黙を保っている。疑惑を晴らすには、本人が表に出て釈明するのが一番だろう。

理化学研究所の中間報告
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年3月15日(土) 16:46.

昨日、理化学研究所の野依良治(理研理事長)らが都内で会見し、指摘されていた小保方論文の諸問題の大部分を認めた。理研の竹市雅俊(発生・再生科学総合研究センター長)は会見で、著者たちに論文撤回を勧告し、小保方(ユニットリーダー)をはじめとする理研の三人の著者は論文撤回に同意しているとのことである。若山照彦(山梨大教授)は、これよりも早い段階で論文の撤回を要請していた。

他方で、論文共著者の米ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授と小島宏司医師は、論文を撤回する意思がないことを表明している。バカンティは、さらなる追試を促すために、STAP 細胞の詳細な作製手法をウェブサイトに公表すると言っているが、もう信じる人はいないだろう。現在日本はこのスキャンダルで大騒ぎをしているが、海外のメディアでこの疑惑を取り上げているところは少ない。USA Today も、最初の報道以降、何の記事も書いていない。

最終報告書
投稿者:永井俊哉.投稿日時:2014年4月02日(水) 22:18.

2014年4月1日に、理化学研究所の調査委員会が最終報告書を公表した。

ネイチャー論文に使われた電気泳動画像の切り貼りは改竄、博士論文に掲載した画像の転用は捏造にあたるという結論を下した。不正行為を行ったのは小保方のみで、笹井・若山・丹羽には(監督責任はともかくとして)不正行為はなかったという見解を示した。笹井・若山・丹羽は論文の撤回に同意しているが、小保方とバカンティは反対している。小保方は、改竄と捏造という調査委員会の結論に対して「承服できません」と言い、不服申し立てをする構えである。

この後の記者との質疑応答のビデオも見てみた。「小保方さんの思いはどうだったのか」といったワイドショー的な関心の質問をする記者もいたが、実験に使われたサンプルなど物証の調査がほとんど行われていないことを詰問する記者もいた。彼らの回答を聞いてみると、調査委員会は、実験の検証をしたのではなく、あくまでも論文の検証(しかも疑惑をもたれた六つの項目の検証)をしただけで、捏造といってもそれは論文の捏造で、実験の捏造ということではないということのようである。

理研は、実験自体が捏造だったのかどうか、STAP 現象自体がありえないことなのかどうかを調べるため、外部による追試任せにすることなく、丹羽が主体となって、約一年かけて再現実験を行うとのことである。これまで外部の研究者たちが再現実験に失敗しているが、これは理研やバカンティによる詳細なプロトコルの公表前であり、理研としては、これらのプロトコルに従えば、STAP 現象の再現ができるという可能性をまだ完全には捨てていないということである。

関連著作
参照情報
  1. ここでの議論は、システム論フォーラムのスレッド「どうすれば論文捏造を見抜くことができるのか」からの転載です。付録は「STAP細胞」というスレッドからの転載です。
  2. STAP細胞、共同研究の米教授「ハルコなしでは成功なし」(date) 2014/1/30 (media) TBS