4月 062011
 

フォーラムから“電力の供給不足にどう対処すればよいか”を転載します。

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日本の電力網の地図。東日本の商用電源周波数は五十ヘルツ、西日本は六十ヘルツと異なり、周波数変換所の能力が震災当時百万キロワットに限られていたため、電力の東西間融通に限度があった。これは東日本大震災後に起きた停電の一つの原因であった。”Power Grid of Japan” by Tosaka+Shigeru23 is licensed under CC-BY-SA

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2011年4月06日(水) 14:30.

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震によって、東京電力福島第一原子力発電所などの発電所が故障し、50Hz地域の電力供給に不足が生じた。この問題に対処するために東京電力と日本政府が取った手段は、輪番停電だった。しかし、この輪番停電は、停電予定の周知が不徹底であったり、予告しておきながら実施しなかったりしたために、無計画停電と似たような混乱をもたらした。

停電は物質的エントロピーを増大させるが、停電があるかどうかわからないという不確定性は情報エントロピーを増大させる。どちらのエントロピーも経済システムにはダメージを与えるので、予見可能性を高め、極力最小化する必要がある。

この点、輪番停電という配給経済的な方法よりも、電気料金の引き上げという市場経済のメカニズムを利用した方法のほうが優れている。電気料金を引き上げれば、個々の利用者は、それぞれ価格に見合わない電気使用を止めるようになる。その結果、不要不急の電気使用から順に需要が削減され、電気の供給不足を解消することができる。

政府は、さらに夏場での電力不足による大規模停電を避けるため、7-9月期に大企業に電力の使用制限令を発動する予定(4月5日現在)のようだが、こういう一律削減のようなやり方よりも、電気料金値上げの方が、付加価値の高い産業に優先的に電力を供給することになるから、望ましい。7-9月の昼間のピーク時だけ、単価を上げるということが可能なら、なお望ましい。

電気料金は、政府による認可制なので、政府がその気になれば、引き上げることができる。電気料金を引き上げると、経済に悪影響を与えると言って反対する人もいるだろう。しかし、値上げすることなく、原発事故の被害補償を税金で行えば、それによる国民負担が経済に悪影響を与えることになる。むしろ資源の最適配分によって、経済に対する悪影響を最小化するべきである。

被害補償を税金で行う代わりに、東電を国有化するべきだという意見もあるが、今回の問題は、電力会社が政府と癒着することで起きたのだから、この癒着を断ち切る方向で改革を行わなければいけない。私は、全国の電力網を政府が各電力会社から買い取り、スマートグリッド化し、すべての発電業者が対等の条件で参入できる電力売買のオープン・マーケットにすることを提案したい。そうすれば、東電は、送電網を売却した資金を賠償金の支払いにまわすこともできる。それでもなお、東電は破綻するかもしれないが、その場合、発電設備を他の民間業者に売却すればよい。送電網は国有化することになるが、運営は、発電業者とは別の民間企業に委託すればよい。

電気料金を引き上げ、電力市場を自由化すれば、様々な業者が参入し、供給不足は解消されるだろう。日本の電気料金は、現行料金でも割高だから、値上げすれば、海外の業者も多数参入してくるだろう。その時点で、電気料金も市場価格にすれば、料金が値下がりし、非効率な発電所は淘汰されていくだろう。環境に悪い発電所が生き残るといけないというのであれば、外部不経済を内部化し、買い取り価格をその分ディスカウントすればよい。

この方法は、新エネルギーに補助金を付ける従来の方法よりも良い。補助金制度だと、申請手続きが煩瑣で、頭の固い官僚を説得させるのに無駄な時間がかかる(場合によっては、天下りの受け入れを求められるかもしれない)ため、イノベーションは起き難い。電力料金引き上げ方式の方が、多様な発電業者が参入して、実力勝負になる。

私の提案を最も歓迎しないのは、東電をはじめとする既存の電力会社(電気事業法に規定する一般電気事業者)であろう。電力会社は、電力自由化によって電力供給の独占的地位を失うことを恐れている。彼らが、原子力発電を推進するのは、彼らの独占的地位を守るためだろう。原子力発電は、そのコストとリスクが大きすぎて、純粋な民間企業には担当が困難である。政府が国策として原子力発電を推進すれば、電力会社の独占的地位は安泰となる。電力会社は原発が地球温暖化対策になることを強くアピールしているが、彼らの本音は別のところにあるのだろう。

今回の事故に伴う停電は、原子力発電所のような中央集権型発電所に依存するリスクを再確認させた。リスク分散のためにも、地産地消の分散型発電所の建設が促進するべきだし、そのためにも電源三法交付金や使用済燃料再処理のためのコストを電気料金に上乗せするといった、原子力発電所にとって有利な現行制度は廃止されるべきだ。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:おかず.投稿日時:2011年6月16日(木) 13:37.

管総理は脱原発に向けてエネルギー政策の転換を目指す超党派の議員らの集会に出席し、自然エネルギーによる電力を電力会社が買い取る仕組みなどを定める法案を今の国会で成立させる決意をしたようです。["電力買い取り法案" 首相が決意 NHKニュース]電力不足を解消するために、電力業者の新規参入を促すことで発電所を分散する政策としては、それなりに評価できると思います。しかし、脱原発を目指す議員は、既存の電力会社の反発を恐れているのか、電力会社の独占を維持する形で妥協しているみたいです。

それにしても、池田信夫さんや藤沢数希さんのように小さな政府を志向しているのにも関わらず、原発を擁護する人がいたり、河野太郎さんは自民党の世襲議員にもかかわらず脱原発を目指していたりと、原発問題に関して意外な意見を持つ人が多いですね。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2011年6月19日(日) 15:37.

「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」は、たまたま東北地方太平洋沖地震が起きた日に経済産業省が公表したもので、概要は以下の通りです。

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案について,概要1 (date) 2011/03/11 (medium) 経済産業省 さんが書きました:

(1)電気事業者に対する再生可能エネルギー電気の買取りの義務付け

○太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気について、電気事業者に対し、経済産業大臣が定める一定の期間・価格により買い取る(調達する)よう義務を課すことで、発電事業者が再生可能エネルギー発電設備へ投資を行う際の回収リスクを低減し、新規投資を促す。

(2)買取費用の負担方法

○買取りに要した費用に充てるため各電気事業者がそれぞれの需要家に対して使用電力量に比例した賦課金(サーチャージ)の支払を請求することを認めるとともに、地域間でサーチャージの負担に不均衡が生じないよう必要な措置を講ずる。

(3)その他

○電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)は廃止する(ただし、所要の経過措置を講ずる)。

○少なくとも3年ごとに、再生可能エネルギーの導入量及びサーチャージ負担の与える影響等を勘案した見直しを行うとともに、2020年度を目途に廃止を含めた見直しを行う。

いかにも役所が考えそうな統制経済的なシステムです。経済産業省には、発送電を分離し、電力市場を自由化し、電力価格の決定を市場に委ねるという発想はないようです。「地域間でサーチャージ単価が同額となるよう、サーチャージ単価は国が定めるとともに、各電気事業者の買取費用の負担の不均衡を解消するため、国が指定する費用負担調整機関を通じて調整を実施する」[同概要2]とありますが、やはり、役所に制度設計をさせると、彼らの仕事を増やすようなシステムしかできないものです。

固定価格での買取を義務付けると、電力の供給過剰をもたらす可能性があります。3年ごとに見直すとありますが、市場原理ならもっと短期間で見直しが行われるので、電力の供給過剰を未然に防ぐことができます。

政府が民間のリスクを減らすために市場に介入し、保護主義的な政策を実施すると、国家レベルでより大きなリスクを抱え込むことになるということは、食糧管理法による稲作農家の過剰な保護がもたらした米あまりなどの過去の例から明らかです。だから、私は、電力の安定供給や再生可能エネルギーの普及を口実に、食糧管理法のエネルギー版を作ることには反対です。再生可能エネルギーだからといって一律に保護することなく、価格競争をさせ、非効率な発電が市場原理により淘汰される仕組みを作るべきだと思います。

ちなみに、総務省統計局や電気事業連合会が公表した ’08 年のデータによれば、日本の火力発電所の最大発電量は約1兆2266億kW/hですが、その稼働率は50%程度なので、稼働率を上げれば、原発で発電していた約2581億kW/hを補うことができます[緊急レポート 電力会社の利権を奪えば「脱原発できる! (date) 2011年06月12日 (medium) 現代ビジネス]。未利用バイオマスから、石炭や天然ガスの代替物を作って、それを火力発電所で使えば、新たに発電施設を建設しなくても、カーボンニュートラルな脱原発が実現できます。今、東北の被災地では、大量の木材系瓦礫が出ているので、あれを石炭の代わりに燃やせば、かなりの発電量になるでしょうし、瓦礫の処理にもなります。放射能で汚染された作物も、食品として出荷できなくても、バイオ燃料としてなら使えます。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:おかず.投稿日時:2011年7月01日(金) 00:28.

藤沢数希さんは、ソフトバンクの社長である孫正義が「合法的に鮮やかに大金を抜き取るスキームを作ろうとしている」ことを指摘しています。孫正義は、永井先生が反対している「食糧管理法のエネルギー版」の主犯格の一人です。しかし、残念ながら藤沢さんは原発を擁護しているために、彼の指摘は反原発派の耳には届かないでしょう。

それにしても、ソフトバンクは、閉鎖的で独占欲の強いことで有名なアップルとよく似ています。だから、iPhoneはソフトバンクでしか発売されないのですね。それに、孫正義は在日韓国人なので、日本を侵略して復讐心を晴らすのが長年の夢だったのでしょう。ソフトバンクのCMで日本人を侮辱しているぐらいですからね。

永井先生は、電力自由化を実現するために、TwitterやFacebookなどを利用して、脱原発派の人や影響力が高い人をフォローして説得してみてはどうでしょうか。例えば、いつもは哲学のことをつぶやきながら、たまに、あるつぶやきに対してコメントする形で。もしも、つぶやきが長くなりがちでしたら、茂木健一郎(@kenichiromogi)さんのように、長いつぶやきを切りがいいように分けながら投稿するといいです。

現在、若者を中心に反原発運動が起きたり、原発パニックが多発したりしていますが、このままでは、脱原発と共に電力網がソフトバンクに実質的に独占されてしまうでしょう。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2011年7月01日(金) 16:28.

孫正義さんは、独占禁止法の運用について、通信と電力という2大独占産業に対する規制が「まだまだ手ぬるい。不正競争の山である」[NTTの独占を許している制度の改正が必要~BBAの孫正義理事長が講演 (date) 2004/01/27 (media) INTERNET Watch]と指摘しており、彼のビジネスは、2大独占産業に対する戦いであると評価することができます。

孫さんは、「携帯電話しか使っていないお客さんでも、知らないままNTT東西によるメタル代の赤字補填として、負担金を払わされている」[独占的地位にあぐらをかき日本の競争力をなくしている……孫正義社長、NTTに再反論 (date) 2010/10/26 (media) RBB TODAY]とNTTによる独占の弊害を指摘していますが、原子力発電における使用済燃料の再処理費用や電源開発促進税のコストが上乗せされている電気料金の徴収に関しても同じことが言えます。

これまで、孫さんは、総務省の「光の道」構想に対し、NTTグループからの光回線事業の完全分社化を迫り、結局、完全分社化には失敗したものの、NTTの光回線を他社に貸し出す際の接続料を大幅に値下げさせました。私としては、孫さんが管総理に対して電力会社の発送電分離を迫ることを期待したいところです。

なお、ソフトバンクは2011年6月24日の定時株主総会で、自然エネルギーなどによる発電を事業内容に加える定款変更を承認させたので、もしも発送電分離を行うのであれば、送電網をソフトバンクが買収するということはないでしょう。発電会社が送電網を所有したり管理したりすることは、発送電分離の趣旨に反することです。私は、送電網の国有化を提案しました。送電網という担保があるのであれば、それを買い取るために国債を発行しても、国債の信認を低下させることにはなりません。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:gakuki.投稿日時:2011年7月03日(日) 01:55.

おかず さんが書きました:

それにしても、池田信夫さんや藤沢数希さんのように小さな政府を志向しているのにも関わらず、原発を擁護する人がいたり、河野太郎さんは自民党の世襲議員にもかかわらず脱原発を目指していたりと、原発問題に関して意外な意見を持つ人が多いですね。

池田信夫さんや藤沢数希さんは、1000年に一度程度の地震リスクに脅えて原子力発電をストップするのはナンセンスであると主張しています。また化石燃料の採掘や化石燃料の使用による大気汚染によって死亡する人が多過ぎることも、原子力発電が有利な根拠としています。

永井氏の主張は、「例え原子力発電が火力発電よりも大気汚染の影響が小さく、資源の採掘現場における死者数が少ないとしても、民間で負担しきれないリスクが存在する限り政府の介入を許すこととなり、そうなれば今回のように経済に大きすぎる損害を与えるので原子力発電を推進するべきでない。」というもので良いのでしょうか。あるいは使用済燃料の再処理費用や電源開発促進税のコストも勘案すると、原子力発電のコストが単純に高すぎるため、推進するべきでないという主張なのでしょうか。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2011年7月03日(日) 18:11.

gakuki さんが書きました:

池田信夫さんや藤沢数希さんは、1000年に一度程度の地震リスクに脅えて原子力発電をストップするのはナンセンスであると主張しています。

東京電力福島第1原発の事故の原因は、千年に一度の稀な天災ではなくて、もっと頻度の高い、ありふれた震度の地震が原因であったようです。政府と東電は、当初、原子炉は揺れに耐えたが、想定外の大きさの津波に襲われたことで電源が失われ、爆発事故になったと説明していましたが、この説明を否定する報道が成されています。

津波前に重要設備損傷か 福島第1原発1号機、地震の揺れで 建屋で高線量蒸気 耐震指針、再検討も (date) 2011.5.15 (medium) MSN産経ニュース さんが書きました:

東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内で東日本大震災発生当日の3月11日夜、毎時300ミリシーベルト相当の高い放射線量が検出されていたことが14日、東電関係者への取材で分かった。高い線量は原子炉の燃料の放射性物質が大量に漏れていたためとみられる。

1号機では、津波による電源喪失によって冷却ができなくなり、原子炉圧力容器から高濃度の放射性物質を含む蒸気が漏れたとされていたが、原子炉内の圧力が高まって配管などが破損したと仮定するには、あまりに短時間で建屋内に充満したことになる。東電関係者は「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波より前に重要設備が被害を受けていた可能性を認めた。

さらに、外部電源喪失の原因も、津波ではなくて、地震による揺れであったことが指摘されています。

外部電源喪失 地震が原因/吉井議員追及に保安院認める (date) 2011年4月30日 (medium) しんぶん赤旗 さんが書きました:

日本共産党の吉井英勝議員は27日の衆院経済産業委員会で、地震による受電鉄塔の倒壊で福島第1原発の外部電源が失われ、炉心溶融が引き起こされたと追及しました。経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は、倒壊した受電鉄塔が「津波の及ばない地域にあった」ことを認めました。  

東京電力の清水正孝社長は「事故原因は未曽有の大津波だ」(13日の記者会見)とのべています。吉井氏は、東電が示した資料から、夜の森線の受電鉄塔1基が倒壊して全電源喪失・炉心溶融に至ったことを暴露。「この鉄塔は津波の及んでいない場所にある。この鉄塔が倒壊しなければ、電源を融通しあい全電源喪失に至らなかったはずだ」と指摘しました。  

これに対し原子力安全・保安院の寺坂院長は、倒壊した受電鉄塔が「津波の及ばない地域にあった」ことを認め、全電源喪失の原因が津波にないことを明らかにしました。海江田万里経産相は「外部電力の重要性は改めて指摘するまでもない」と表明しました。

福島第1原発を襲った地震は、震度6強です。1996年末から2008年末までの12年間に、震度6弱以上の地震は、28回起きています[震度で見た地震回数とMで見た地震回数]。つまり、1年に2.3回の割合となります。震度6強以上の地震の頻度はこれよりも低いのですが、それでも、稀な震度とは言えません。だから、これをきっかけに、全国の原子力発電所の耐震性を再検討することは無駄なこととは言えないでしょう。

gakuki さんが書きました:

また化石燃料の採掘や化石燃料の使用による大気汚染によって死亡する人が多過ぎることも、原子力発電が有利な根拠としています。

現在日本で使用している火力発電の主な燃料は、天然ガスと石炭ですが、天然ガスの場合、原料が不純物をほとんど含まないために、世界中どこでも大気汚染の原因になっていません。石炭火力は、そのままではSOxやNOxを排出しますが、日本の場合、排煙脱硫装置や排煙脱硝装置を導入しているため、大気汚染をほとんど惹き起こしません。

石炭採掘の際、事故により多数の死者が出る場合があるのは事実ですが、ウラン採掘においても、放射線の汚染によって健康被害が出ていることを見逃してはいけません。ウラン鉱山で生じる鉱滓や残土は、現地で野晒しにされ、そのために住民が被爆しています(参考:インド、ジャドゥゴダ・ウラン鉱山周辺環境の放射能汚染)。

人類が原子力発電を始めてからまだ60年しか経っていません。原子力発電が安全だと主張する人は、過去の60年間を振り返ってそう主張しているのですが、放射性廃棄物が無害になるのに10万年かかるのだから、原子力発電がクリーンかどうかを論じる時には、過去の60年間だけではなく、今後の10万年間において、それが人間の健康に与える影響を評価する必要があります。

放射性廃棄物は、地層処分されるから、心配は要らないと思うかもしれませんが、放射性廃棄物の一部は、地層処理されずに、リサイクルされています。1992年に、台湾でアパートの鉄筋がコバルト60という放射能で汚染されていることが判明し、その後85棟以上の汚染住宅が見つかっています。今後、このようなケースがあちこちで見られるようになるでしょう。

gakuki さんが書きました:

原子力発電のコストが単純に高すぎるため、推進するべきでないという主張なのでしょうか。

コストも大きな問題の一つです。詳しいことは、「最も望ましいエネルギー源は何か」をご覧ください。原子力発電は、危険な上、安くありません。太陽や風力による発電は、電力単価が高すぎて、競争力がありません。またこれらには、需給に応じた出力調節ができず、それをしようとすると、コストがさらに上昇します。水力発電は、ダムによるせき止め型の場合、環境を破壊します。安くて、クリーンで、再生可能な有機物のエネルギーを利用するのが一番だと私は思っていますが、それを国策として促進しろと政府に言うつもりはありません。私は、政府に対しては、たんに電力市場を自由化しろとしか言いません。

原発推進派は、国策として原子力発電を推進しろと言い、反原発派は、国策として太陽光発電と風力発電を推進しろと言うことが多いのですが、彼らが共通して見逃していることは、どのような発電形態がベストであるかは、政府が決めることではなくて、市場が決めるべきことだということです。発送電分離、電力自由化を行えば、有機物発電が最終的に競争に勝ち残ると私は予想しています。

ところで、発送電分離は、現在意外な人物の手で推し進められています。

電力会社・崩れる牙城:東電解体、極秘プラン 政権幹部「発送電分離が焦点」 (date) 2011年7月3日 (medium) 毎日新聞 さんが書きました:

東京電力福島第1原発事故を受け、仙谷由人官房副長官ら政権中枢が「地域独占の電力供給のゆがみ是正と東電の体制見直しを本格検討する」と事実上の「東電解体」を目指す内部文書を作成していたことが分かった。原発事故の損害賠償で政府は6月、東電を支援する原子力損害賠償支援機構法案を閣議決定したが、文書は「あくまで応急措置」と明記。文書作成に携わった政権幹部は「東電の体制見直しは発電・送電事業の分離と原発国有化が焦点となる」と断言する。  

政府が東電の賠償支援策を検討していた4月から5月上旬にかけ、東電の勝俣恒久会長は、首相官邸で賠償問題を引き受けてきた仙谷氏とひそかに会談した。勝俣氏は「東日本大震災は原子力損害賠償法が『電力会社は免責』と定める巨大な天災地変」との文書を手に免責を訴えたが、仙谷氏は一蹴し、「東電を徹底的に『仕分け』する」と迫ったという。  

関係者によると、仙谷氏の構想は、東電の送電事業(送電・変電・配電)を売却し、原発は国有化して、東電は火力、水力などの発電事業だけにする。東電の総額7兆円超の電気事業資産のうち、1・6兆円程度しか残らない計算で「原発事故の背景となった官僚的体質の温床」と指摘される地域独占は崩壊する。また、送電事業の売却益を賠償費用に充てることも可能だ。

仙谷由人とというと、かつて全共闘の新左翼系学生運動家で、社会党出身の左翼というイメージが強いですけれども、新自由主義的な側面も持っており、公式サイトには次のような「政治理念」が書かれています。

仙谷由人 さんが書きました:

自由化すると、全てが元気になります。人間は、本来豊かになりたい、幸せになりたいと思っています。これに上(中央)からブレーキをかける、がんじがらめの規制を緩和しなければ、人が本来持つ向上力を奪ってしまいます。分権化・自由化すると、すさまじいエネルギーがわいてきます。規制緩和により、経済は発展します。

自民党政権時代に検討されたものの実現されなかった電力自由化が、元全共闘、元社会党の仙谷由人によって実現するなら、おもしろいですね。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:ペンペン.投稿日時:2012年1月15日(日) 21:50.

日本では、今後、新規に原発を建設することができないだろうし、定期点検に入った原発を再稼動させることもできないだろう。このため、今後は、石油や天然ガスの輸入が増大し、貿易収支は赤字になっていくだろう。GDPを超える国債残高を抱えながらも、日本国が破産しないのは、国際収支というか貿易収支が黒字であったことが原因のひとつと考えられていたわけだが、3.11を端緒とする原発の停止によって、日本国の破産が早まることになるかもしれない。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年1月16日(月) 23:57.

ペンペン さんが書きました:

GDPを超える国債残高を抱えながらも、日本国が破産しないのは、国際収支というか貿易収支が黒字であったことが原因のひとつと考えられていたわけだが、3.11を端緒とする原発の停止によって、日本国の破産が早まることになるかもしれない。

2011年になって、貿易収支は赤字になりましたが、所得収支(海外投資による利子・配当金収入等)が増加したため、経常収支は依然として黒字を維持しています[Source: 国際収支の時系列統計データ (media) 日本銀行]。これは、3.11 による結果だけでなく、円高による結果とも解釈できます。もとより、2007年以降、経常収支は下落傾向にあり、将来赤字に転落しないとも限りません。「最も望ましいエネルギー源は何か」でも書きましたが、日本は、国内に有機物資源を豊富に持っているのですから、これを活用して、エネルギー自給率の向上を目指すべきでしょう。もっとも、それには時間がかかるので、当面は、海外の安価な天然ガスに依存するしかありません。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:ひーろまっつん.投稿日時:2012年2月11日(土) 12:59.

私は、現在の政治状況を見て、電気料金の値上げには断固反対の立場をとります。

今のままで、国内の電力料金が上がると、その値段が上がった分だけ、日本国内で作られている製品の値段に反映されます。また、国内では、今現在、消費税増税の動きを見せており、日本国内で作られる製品の値段がさらに大きくアップすることになりかねません。 今の経済状況では、電力料金の値上げがもとで、国民の生活が脅かされ、そのうえ、電力会社の収入だけを増やすだけになりかねない というふうに考えます。そして、所得は依然、上がらないまま、国民の生活がさらに経済的に苦しくなることが予想されます。

また、家庭の電力料金も、値上げされたとしたら、国民は、主に食料などの生活費負担もままならない状況になるだけです。企業向け電力料金が、現在でも、今年4月から、17%も上がるとのことです。当然、電車の交通費などの値上げも予想されます。このままでは、国民の生活が、とても困窮するという、悪影響が出るだけです。エネルギー価格の上昇は、国民の所得の上昇には、ほとんど、つながらないために、さらに国民の経済状況の悪化の懸念があるため、当然のこと国益にもまったくならないことでしょう。

このように、電力料金値上げや、増税への動きは、国民の経済状況や生活を脅かすことに直結するため、ぜひとも避けるべきだと、私は考えます。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年2月13日(月) 12:55.

もしも発送電分離による電力自由化を行えば、東電がいくら値上げしても、電気の消費者は困りません。なぜならもっと安い価格で電気を提供してくれる発電業者が新規に参入するからです。これが私が最初の投稿で主張していることです。

電気料金が下がると私が推測する根拠は、天然ガス単価の世界市場における下落です。

シェールガス増産で米LNG安価に、日本の輸入価格引き下げ急務 (date) 2012年 02月 6日 (media) Reuters (author) 竹本能文 さんが書きました:

<シェールガス増産で米天然ガス価格は2年で半値以下、カタール産LNG余剰に>

米国では、地中の岩盤層から産出されるシェールガスの増産が急ピッチで進んでいる。米エネルギー省は1月、米国が2016年にLNGの純輸出国になるという予測を発表した。大増産を背景に米国の天然ガスの市場価格は過去2年間で半値以下に急落しており、現在100万BTU(英国熱量単位)当たり2.5ドル前後と、日本のLNG輸入価格と比べた場合8割も安くなっている。

このため米国は、同国向け需要をあてにしてLNG増産を進めてきたカタール産LNGの輸入が事実上不要となった。当初、カタール産LNGの受け入れ拠点を目指していたルイジアナ州サビーヌパスの輸入基地は、米国産ガスの輸出拠点に転換され、韓国ガス公社と契約した。契約価格は米国の市場価格に連動し、100万BTU(英国熱量単位)当たり4─5ドルと日本の3分の1程度とみられる。

<31年ぶり貿易赤字の裏に割高なLNG調達価格>

米国の増産により余剰となったカタール産LNGは、欧州などに転売されている。この結果、欧州はロシアとの天然ガス価格交渉で強気になり、世界的に天然ガスの価格低下が進んでいる。

これに対し、日本のLNG輸入価格は100万BTU当たり16ドル前後と世界で最も割高な水準だ。かつて原油価格が安かったことと、日本には指標となる天然ガスの市場がなかったことなどから、日本では値決め基準に原油の輸入価格連動方式を採用してきた。現在のように原油価格が中東情勢の緊迫で高止まりしていると、世界的な天然ガス価格の需給緩和による価格下落の恩恵を享受できない。

2011年に日本の貿易収支が31年ぶりに赤字に転落した要因として、原子力発電所の稼働停止に伴いLNGの輸入量が前年比12%と急増したためと説明されることが多い。しかし電力・ガス会社が地域独占を背景にコスト削減意識が希薄なため、割高な価格でLNGを輸入し続けてた事実も見逃せない。

電力会社をスポンサーとしている日本のマスコミは、この事実をほとんど報道しません。資源価格が上昇しているので、原発を再稼働せずに火力発電に依存していると電力料金の値上げは避けられないとか、貿易赤字が膨らむとかいった論調で、電力会社に有利な主張を代弁しています。ペンペンさんの主張も、こうした報道の影響を受けたものだったのでしょう。

電力会社は、なぜ世界で最も割高な価格で天然ガスを輸入しているのでしょうか。安定供給を重視した長期契約の縛りとか、電力料金は総括原価方式で決まるため、費用がいくら上昇しても電力会社の利益が減ることがないという現在の仕組みとかを理由として挙げることができますが、穿った見方をするならば、電力会社の本当の狙いは、それとは別のところ、すなわち、わざと割高な価格で輸入を続けることで危機を作り出し、国民世論を原発再稼働へと導こうとするところにあるとも考えられます。それは、原発を再稼働しないと、夏あるいは冬に電力が不足し、停電になるという脅迫と同じ効果を狙っているとみることができます。

原発関係者は、あらゆる手段を用いて、自分たちの利権を守ろうとします。私たち電気の消費者は、彼らの脅迫に屈することなく、諸悪の根源である独占を打破し、電力自由化を進めるべきです。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年9月06日(木) 18:17.

ようやくシェールガスを輸入する動きが出てきた。

脱原発に必須の天然ガス調達で 中部電と大ガスがあけた風穴 (date) 2012年8月27日 (media) ダイヤモンド・オンライン さんが書きました:

米国では近年、従来の天然ガスとは別の地層から産出される「シェールガス」が大量生産され、ガス価格が大幅に低下。これまで天然ガス価格は原油価格に連動するのが一般的だったが、米国だけ全く違う値動きをする「シェールガス革命」が起こっている。

一方、日本は原油価格連動で購入している上に、福島第1原発の事故以降、調達に走り回った結果、売り主に足元を見られて、LNGの高値掴みを余儀なくされた。日本の輸入価格は、米国の天然ガス価格の約6倍にも達し、「ジャパンプレミアム」と呼ばれるほどだ。

この構造を打ち破るべく動いたのが、中部電と大ガスだった。現在の価格で見ると、米国の天然ガスを輸入すると液化加工や輸送費を含めても通常の輸入価格より4割は安くなる計算。「既存の枠組みでの価格交渉には閉塞感もあり、突破口が欲しかった」と大ガス資源・海外事業部の揚鋼一郎ゼネラルマネジャーは動機を話す。

ただ、こうした動きは特に電力業界では珍しかった。「数年前まで米国のほうが価格は高かった」(電力会社幹部)と過去を振り返るだけで、中部電を除くと動きは皆無。資源エネルギー庁は「そもそも電力業界には1円でも安く調達しようという気合がない。中部電は異端だ」と指摘する。

市場原理が機能する業界なら、どこでも原料を1円でも安く調達しようという気合を持つものであり、そういう気合を持つ中部電力が異端視される電力業界こそ業界全体での異端である。では、なぜ中部電力は、シェールガスを輸入するという合理的な道を選択したのか。実は、原発がもともとゼロで供給不足問題が起きていない沖縄電力を除く日本の電力会社9社の中で、中部電力は原発依存度が最も低い(12.3%)。つまり、原発をあきらめて、天然ガス火力中心に路線を切り替えた時のサンク・コストが一番小さくて済む電力会社なのである。このことを逆に言うなら、他の電力会社は、脱原発に伴うサンク・コストの大きさゆえに、天然ガス火力中心に路線を切り替えることを躊躇しているということである。

最近政府は、原発をゼロにすると電気代が倍に跳ね上がるという試算を公表して物議を醸した。

電気代倍増、より厳しいCO2削減…エネルギー環境会議で「原発ゼロ」の課題を議論 (date) 2012年9月4日 (media) 産経新聞 さんが書きました:

政府は4日、エネルギー・環境会議を開き、将来的に原発ゼロを目指す場合の課題を議論した。2030年にゼロにする場合、原発を代替する再生可能エネルギーの普及に約50兆円の投資が必要と試算。電気代を含む家庭の光熱費は22年比でほぼ倍増し、月額3万円を超すとした。

政府は10日にも「将来的な原発ゼロ」を柱とする新たなエネルギー・環境戦略を決定する見通しだが、国民負担の増大や経済への悪影響は必至で、反発が強まる可能性もある。

会議の冒頭、藤村修官房長官が「国民の声を受け止め、政府として責任を持って決定する」と強調。枝野幸男産業相が原発ゼロに向けた課題を説明し、核燃料サイクル政策の見直しにより、青森県が再処理を前提に受け入れてきた使用済み核燃料の貯蔵場所が維持できなくなる可能性を指摘した。原子力の技術・人材の喪失なども論点とした。

会議で示された政府試算では、2030年に原発をゼロにする場合、再生可能エネルギー発電が2010年比で3倍超の3500億キロワット時必要になる。実現には1200万戸に太陽光パネルを設置するほか、風力向けに東京都の2倍の用地確保が必要という。

また、原発を使わずに温室効果ガスを削減するため「強制的な省エネ規制」(国家戦略室)も求められ、省エネ性能に劣る家電製品の販売禁止や中心市街地へのガソリン車乗り入れ禁止などが想定されるという。

これに対して、孫正義は次のように反論している。

電気料金の抑制「発送電分離が鍵」 ソフトバンク孫氏、シンポで (date) 2012年9月6日 (media) 日経新聞 さんが書きました:

自然エネルギー財団の孫正義会長(ソフトバンク社長)は6日に開いた国際シンポジウムでの基調講演で、原発比率をゼロにすると電気料金が高騰するとの懸念が浮上していることについて「甚だ疑問だ」と主張した。原発を利用し続けた場合の発電コストには「将来、原発事故が起きたときの除染費用や、老朽化した際の廃炉費用が含まれていない」と指摘。それらの費用を精査すれば原発比率をゼロにした場合の方がコストが低いかもしれないと述べた。

そのうえで「電気料金を抑制したいのであれば、むしろ(事業者間の)競争環境を整えてコスト削減の取り組みを促すことが重要で、(発電事業と送配電事業を分ける)発送電分離が鍵になるだろう」と強調した。

孫が指摘するように、電力料金の大幅上昇は、脱原発の結果というよりも、電力自由化を進めない結果なのである。また、孫は認めたがらないだろうが、電気代の高騰を防ぐには、太陽光や風力への補助金を抑制しなければならない。「最も望ましいエネルギー源は何か」で既に書いたように、温室効果ガスを増やさない最も安価な電力は、バイオマス発電や天然ガスのコンバインドサイクル発電(二酸化炭素回収・貯蔵)などの有機物発電である。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:@泥舟.投稿日時:2012年9月08日(土) 11:03.

いくつか質問いたします。

1.私の知る限りにおいては、昨年の福島第1原子力発電所の事故以降も、各国において原子力発電を推進する動きに特段の変化がないように思われます。ドイツやイタリアなどは1990年代からの脱原子力発電の国民的な支持に基づく動きがあるようですが、東欧、トルコ、カタール、ベトナムなどでは原子力発電所建設計画が継続しているようなのですが、これらの動向には単純なエネルギー政策やサンク・コストの問題に留まらない別の要素があるのでしょうか?

2.電力自由化の進め方において、原子力発電を禁止し電力自由化を進めると原子力発電施設は既存の各発電事業者にとって不良資産化すると思うのですが、どのように対処するのがよいとお考えでしょうか?

3.エネルギー需要の拡大やエネルギー資源の枯渇で資源価格の高騰する可能性をどのようにお考えでしょうか?この際には原子力発電も燃料であるウラン等の価格上昇も考えられますが、他の発電方法に対して技術的なハードルが高いことが有利に作用すると思えるのですがいかがでしょうか。

4.技術として確立はしていないのですが、核融合発電についてはどのようにお考えでしょうか?

よろしくお願いします。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年9月08日(土) 18:30.

1. ドイツやイタリアが脱原発の方向で動いているのは、これらの国は日本と同様、第二次世界大戦の敗戦国で、両国とも米国のニュークリア・シェアリングを受け、独自に核兵器を開発していないからです。そもそも原発は核兵器開発の副産物として出てきたもので、現在でも両者は密接な関係があります。日本の保守系の政治家がトラブル続きのもんじゅの廃炉に踏み切らないのは、使用済燃料の再利用という表向きの理由とは別に、核兵器用のプルトニウムを製造できる能力を保持したいという裏の理由があるからなのでしょう。日本が独自技術のロケット開発にこだわるのも、それが核ミサイルの開発を兼ねているからだと推測されます。もしも日本が日米安保を破棄し、中国や北朝鮮やロシアの核の脅威から自国を守ろうとするなら、核兵器や核ミサイルを自力で開発することが必要になるし、それならば、たとえ原発に経済的合理性がなくても、それを維持しなければならないということになります。なお、一部の発展途上国が自国での原発の稼働に意欲的であるのも、表向きの理由が何であれ、核武装に向けた布石を打っておきたいという裏の思惑があるからと考えられます。

2. 電力自由化は、文字通り「自由化」ですから、原子力発電を法で禁止するということはありません。但し、外部不経済を内部化する必要があるので、一定の安全対策、事故が起きた時のための保険加入、核廃棄物処理費の積み立てが義務付けられます。それでもなお、現在の原発の運転を続けた方が、新しい別の発電プラントを建設するよりも収益性が高いと判断するなら、そうすればよいと思います。ただ私は、そういう電力会社は、新規参入の電力会社との価格競争に負けて、最終的には市場から撤退する可能性が高いと予想しています。

3. 有機物燃料は光合成により再生可能であり、消費が生産を上回らない限り枯渇することはありません。これに対して、原発の燃料は再生可能ではないので、枯渇の問題はむしろ原発の方が大きいと思います。以下の図からもわかるように、ウラン資源は、エネルギー換算で、石油に比べて数分の一、石炭に比べて百分の一しかありません。

画像

4. 核融合による発電に関しては、まずは以下のリンク先をお読みください。

以下は核融合炉の問題点の要約です。

  1. 現在実用化が検討されている核融合炉の燃料は重水素と三重水素だが、三重水素を作るにはリチウム6が必要である。リチウムは海水中に大量に存在するが、濃度が0.1-0.2mg/L と低いので、海水からの抽出は実用化されていない。しかもリチウムに占めるリチウム6の割合は、7.5% しかなく、ここが燃料供給のボトルネックとなる。
  2. 核融合炉は中性子照射による脆化が軽水炉よりも激しいので、脆化耐性に優れた新しい材料が必要である。また、脆化以外にも材料が放射化するという問題もある。現在、低放射化フェライト鋼F82Hが有望視されているが、実用に耐えられるかどうかはまだわからない。
  3. 高温高圧力のプラズマを長時間保持することは技術的に困難であり、かつ、保持のために投入するエネルギーに比較して反応により得られるエネルギーが小さい。世界最大のレーザー核融合施設である米国国立点火施設(NIF)での実験では、エネルギー収支が赤字であった。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:@泥舟.投稿日時:2012年9月08日(土) 20:48.

ご回答ありがとうございます。教示いただいた情報などもあわせて考えてみたいと思います。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年9月09日(日) 00:25.

韓国電力が天文学的赤字、政府機関を提訴へ 政府は「実力社長更迭」で対抗か (date) 2012年9月6日 (media) Japan Business Press (author) 玉置直司 さんが書きました:

韓国の電力料金は、ざっと日本の3分の1と言われる。韓国は原発比率が高いとはいえ、もちろんそれだけが「低料金」の秘密ではない。実は電力コストを下回る価格で韓国電力が電気を供給しているのだ。

韓国の電力供給システムはこうだ。韓国電力は、政府機関である韓国電力取引所を通して、「発電会社」(今は韓国電力の子会社)から電力を購入する。この電力を、韓国電力が、企業や家庭に販売・供給することになっている。

韓国電力が購入するコストは、発電コストをもとに電力取引所などが算定する。一方で、韓国電力が販売する価格(電力料金)は、政府が決めることになっている。

物価抑制を重視する政府は、電力料金の引き上げに消極的で、韓国電力は、高い電力を購入して安く売るという「逆ザヤ」状態が続いている。

このように規制によって逆ザヤ状態を作る弊害は、電力会社が赤字になることだけではない。電力料金が不当に安いので、電力需要が増大し、結果として停電が起きる。今年の夏は、節電の強制で乗り切ったと言うが、節電の強制は生活の質を下げるし、生産者にとっても経営の不透明性を高めることになる。電気料金が安いからという理由で生産拠点を韓国に移そうと思っている日本企業は注意した方がよい。

韓国で起きているのと似た問題が米国のカリフォルニア州でも起きた。カリフォルニア州でも、電気の小売り料金を低く固定したため、需要が供給を上回り、停電が多発した。しばしばカリフォルニアで停電が多発したのは電力自由化が原因であると言う人がいるが、これは間違いで、実際には、自由化が不十分だった(つまり、電気の小売り料金を市場価格にしなかった)から停電が起きたのである。完全に電力を自由化しているニューヨーク州などは日本よりも停電時間が短い。電力自由化は電力供給を不安定にするとは言えないのである。

Re: 電力の供給不足にどう対処すればよいか

投稿者:ペンペン.投稿日時:2012年12月24日(月) 09:15.

永井俊哉 さんが書きました:

2. 電力自由化は、文字通り「自由化」ですから、原子力発電を法で禁止するということはありません。但し、外部不経済を内部化する必要があるので、一定の安全対策、事故が起きた時のための保険加入、核廃棄物処理費の積み立てが義務付けられます。それでもなお、現在の原発の運転を続けた方が、新しい別の発電プラントを建設するよりも収益性が高いと判断するなら、そうすればよいと思います。ただ私は、そういう電力会社は、新規参入の電力会社との価格競争に負けて、最終的には市場から撤退する可能性が高いと予想しています。

3・11以前は、原発反対を主張するのは、「週刊〇曜日」を購読するような左翼系の人がほとんどだった。(30年前に私が通学していた公立高校の社会科の教員も、「反原発」だった。)それはともかく、定期点検が終了した原発が、いつまでたっても再稼動しないのはなぜなのか。これは、再稼動するための法的な要件を満たしていないからではなく、政府による「口頭の」行政指導により、電力会社が自主的に稼動を中止しているからだそうだ。もちろん、地元の地方公共団体の長の意向など、再稼動の法的要件ではない。最近では、既存の原発の下に活断層が存在することが「発見」されてしまった。これは、科学技術の進歩により、新たに活断層が発見されたというわけではない。建設当時には活断層として扱わなかったものを、今回、活断層として扱おうということなのだ。その結果、当該原発はただちに廃炉することになるそうだ。これは、例えば、新築当時は適法な建築物だったものが、建築基準法の改正により違法な建築物になった、という話に似ている。役場の内部では、これを既存不適格と呼んでいるそうだ。ただし、このような建築物に対しては、ただちに解体を命ずるわけではない。建て替えの際には法改正後の基準で建ててくれ、というだけだ。原発に関して、日本は法治国家と呼べるのだろうか。

原発の耐震偽装問題

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年12月26日(水) 10:22.

ペンペン さんが書きました:

最近では、既存の原発の下に活断層が存在することが「発見」されてしまった。これは、科学技術の進歩により、新たに活断層が発見されたというわけではない。建設当時には活断層として扱わなかったものを、今回、活断層として扱おうということなのだ。その結果、当該原発はただちに廃炉することになるそうだ。これは、例えば、新築当時は適法な建築物だったものが、建築基準法の改正により違法な建築物になった、という話に似ている。役場の内部では、これを既存不適格と呼んでいるそうだ。ただし、このような建築物に対しては、ただちに解体を命ずるわけではない。建て替えの際には法改正後の基準で建ててくれ、というだけだ。原発に関して、日本は法治国家と呼べるのだろうか。

むしろ、2005年11月17日に発覚した耐震偽装問題と似ていなくはないでしょうか。この事件では、某一級建築士が検査した物件が、当時の建築基準法に定められた耐震基準を満たしていなかったため、既存不適格ではなく、違法建築ということになり、建て替えや修繕などが要求されました。原発の場合問題となっているのは、原発に関する委員会の複数の有力な委員が研究費という口実で電力会社に買収され、電力会社に有利な判定をしているのではないかという疑惑でしょう。活断層を活断層でないと誤審して、建設許可を出したとするならば、これは一種の耐震偽装であり、法的基準を満たすための何らかの措置が取られなければ、日本は法治国家とは呼べなくなります。

電力会社は原発を再稼動せよ

投稿者:ペンペン.投稿日時:2012年12月28日(金) 23:51.

電力会社は、経済産業省の不当な行政指導に屈服することなく、ただちに原発を再稼動せよ。原発が稼動中であろうと運転停止中であろうと、地震・津波による被害規模は同じである。そうであるなら、発電設備を遊ばせておくよりも、稼動させるべきだ。原発を新設することは、国民感情がそれを許さないだろう。しかし、現存する原発は、耐用年数が満了するまでは稼動させよ。原発が稼動中であっても、発送電分離、電力自由化、有機物発電を推進することは可能であるはずだ。

再稼働か廃炉か

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2012年12月29日(土) 10:25.

ペンペン さんが書きました:

原発が稼動中であろうと運転停止中であろうと、地震・津波による被害規模は同じである。そうであるなら、発電設備を遊ばせておくよりも、稼動させるべきだ。

廃炉にするという選択肢もあります。問題先送りは資源の浪費だから、再稼働するか廃炉にするか早く決断した方がよいということなら言えます。

ペンペン さんが書きました:

原発を新設することは、国民感情がそれを許さないだろう。

安倍総理は前向きなようです。

安倍総裁 原発新設 前向き姿勢 (date) 2012年12月22日 (media) 東京新聞 さんが書きました:

自民党の安倍晋三総裁は二十一日、山口県庁で記者会見し、原発の新増設に関し「国として新設をどう考えるのか。民主党政権が決めたことは決めたこととして、もう一度見直していきたい」と、建設を認めないとした民主党政権の方針を見直す考えを表明した。新増設もあり得るとの見解を示した発言だ。

安倍氏は今後の新増設について、再生可能エネルギーの普及を含め、十年以内に中長期的なエネルギー戦略を策定するとした自民党の衆院選公約に基づき、議論する方針を強調。その上で「新設をどう考えるか検討したい」と述べた。

連立パートナーの公明党は反対しているようですが、自民党には世論や連立相手の反対を押し切ってでも新増設しなければならない事情というものがあるのかと勘繰りたくなります。

ペンペン さんが書きました:

現存する原発は、耐用年数が満了するまでは稼動させよ。原発が稼動中であっても、発送電分離、電力自由化、有機物発電を推進することは可能であるはずだ。

民間企業は、どんな設備でも耐用年数が満了するまで使い切るということはしません。耐用年数未満であっても、スクラップアンドビルドの方が利益を大きくすることができる、もしくは、損失を小さくすることができると判断すれば、そうします。

俺も今日から「反原発」

投稿者:ペンペン.投稿日時:2013年12月23日(月) 16:45.

原発が稼動しなくなって、良いこともあるんだね。若狭湾の原発停止で北方系の魚介類が戻ってきた俺も今日から「反原発派」に転向だぜ。

温排水の影響

投稿者:永井俊哉.投稿日時:2013年12月31日(火) 17:16.

2004-2011年にかけて、原発から2kmの地点の水温が、湾内外の他の海域より2℃高くなっていたけれども、原発が停止したおかげで、元の温度に戻ったということですね。温排水で壊滅していた海藻が復活したのもよいことです。海水温が上昇すれば、海中に溶けていた二酸化炭素の一部が放出されるし、海藻の死滅による二酸化炭素吸収力の低下も考えるなら、やはり原発は二酸化炭素を排出しない発電であるとは言えません。

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