北朝鮮の金体制を崩壊させる最も簡単な方法
中国の同意のもと、米国が北朝鮮の核兵器の施設等を空爆し、北朝鮮を軍事的に無力化させる。中国が人民解放軍の地上部隊を北朝鮮に投入し、現政権を打倒し、そこに中国の傀儡政権を樹立させる。北朝鮮で中国式の改革開放路線を進め、生活水準を徐々に高めていく。このレジューム・チェンジは、周辺国にメリットがある。[1]

1. 北朝鮮の金体制を崩壊させる最も簡単な方法
北朝鮮が、核開発に対する国際的な制裁に反発して、米韓日に対する威嚇をエスカレートさせている。韓国や米国は対話を呼びかけているが、北朝鮮は対話の呼び掛けに対して、「対決的な正体を隠すためのずる賢い策だ」「対話の提案というものを見ても、何の内容もない」と非難し、対話を拒否している [2]。一方、日本の安倍総理は、対話では問題の解決にならないと見ている。
「2人だけで話をさせてもらえませんか?」
安倍晋三首相は15日、ケリー米国務長官との約1時間の会談が終わりにさしかかると突然、こう切り出し、会談に同席していた岸田文雄外相やルース駐日米大使に退席を促した。
首相とケリー氏の2人だけの会談は「予定にはなかった」(政府関係者)ハプニングだ。通訳だけを介した約7分間のやり取りで、2人がどんな会話を交わしたのかは不明だ。
しかし、2人きりになる前、首相がケリー氏に投げかけた次の言葉に謎を解くヒントが隠されている。
「北朝鮮は3代にわたり瀬戸際外交を繰り返してきた。『対話』というが何度も裏切られてきている。北朝鮮は危機を醸成してあるものを与えろ、というやり方だ。そのことを忘れないでください」
会談でケリー氏は「韓国、中国は北朝鮮の非核化を目指すという。関係国との協力で目的を実現したい」と述べていた。
対中融和派と目されるケリー氏の動きによっては、米国が北朝鮮との対話路線に急転回することもありうる-。こんな疑念を抱き、それを払拭するために、首相は7分間の会話で、ケリー氏にクギを刺そうとしたのではないか。[3]
たしかにここで北朝鮮と妥協しても、北朝鮮は、さらなる譲歩を引き出すために、再び瀬戸際外交をエスカレートさせることになるだろう。だから、根本的に問題を解決させるには、体制変革(レジューム・チェンジ)しかない。しかし、もしも米国がイラクに対して行ったことを北朝鮮に対して行うとしても、中国が反対するからできない。北朝鮮は、それがわかっているから、核やミサイルの開発を行って、いくらでも米国を威嚇することができるのである。

それゆえ、北朝鮮人民自らの手で体制を転覆させるのが一番であるが、それには時間がかかる。では、もっとてっとり早く金体制を崩壊させるにはどうすればよいのか。私は、以前、以下のように書いた。
アメリカは、北朝鮮を攻撃して、金正日体制を崩壊させた後、どうするつもりなのでしょうか。北朝鮮は、資源的に魅力がないので、イラク統治の方式はとらないでしょう。第二の独裁者が現れて、同じような問題が起きるかもしれません。
韓国が、所得水準が著しく異なる北朝鮮を統合するというのも難しいでしょう。ドイツが東西統合で大きな経済的負担を強いられたことを韓国人は知っていますから、韓国人は、統合に慎重なようです。また、中国は、北朝鮮という緩衝地帯を失うことに強く反対するでしょう。
アメリカが空爆を行った後、中国が、義勇軍による援助と称して地上軍を投入し、裏切って北朝鮮幹部を拘束し、北朝鮮を中国領朝鮮族自治区にするという裏技もあります。多分、これが一番コストのかからない方法でしょう。しかし、中国はアメリカにとって潜在的な敵だし、その前に韓国が黙っていないでしょう。[5]
その後、石原慎太郎東京都知事(当時)も似たような発言をした。
東京都の石原慎太郎(Shintaro Ishihara)都知事は13日、都内の日本外国特派員協会(Foreign Correspondents’ Club of Japan、FCCJ)で行った会見で、「中国が北朝鮮を合併することが一番楽だ」と発言した。
石原氏は、米国が主導している北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議に進展がみられない点などに触れ「中国が北朝鮮を合併することが、一番アメリカにとってもイージーで、一番楽で。まあ、そんな魂胆があるんじゃないかと思いますよ。中国も、それを決して拒否しないでしょう」と語った。
またそうした考えは、南北統一を望む韓国から、反発を招く可能性があるとの認識を示した上で、「韓国がそれで一致すれば、あの国(北朝鮮)は自然に崩壊して、市民社会を取り持つことができると思う」とも述べた。[6]
中国メディアも石原のこの発言を取り上げた[7]。以下は、この提案に対する中国人の反応である。
批准!(よし、それいこう!)
有道理。(いいアイデアだ)
别傻了,朝鲜谁敢要啊?(バカ言うな、誰があんな国いるかよ?)
把日本也吞了就更太平了。(日本も併合したら平和になるな)
石原慎太郎脑袋有问题吧?(石原慎太郎、頭おかしいんじゃね?)
并吞日本才是正道!!!!!!!!!!!!!!!!(日本併合の方が正しいだろ!!!)
流氓加流氓不知道等于什么(まて、ヤクザ国とヤクザ国が併合するとどんな国になるんだ)
早就应该这么做 连南韩一起吃了(もっと早くそうするべきだったな。韓国もいただいておこう)
把朝鲜吞并,无疑找个巨大的包袱…(北朝鮮を併合か、間違いなく巨大なお荷物だな。。。)
要那个穷地方干什么,那地愚民太多.(あんな貧乏くさくて、アホばっかりの国いるかよ)
朝鲜自古就是中国的附属国,应当收回(朝鮮は元来中国の属国だったから問題ないな)
石原慎太郎先生是一位很有远见的政治家!(石原先生は、なかなかいい事をおっしゃる!)
日本这计毒啊,是想把中国拖入朝鲜泥潭,活活拖死。(日本の計略もひどいな。中国に朝鮮の泥沼に入れってか。やなこった。)
谢谢石原的好意。我们中国可不想捡这样的拉圾包袱。(石原先生の好意には感謝します。でも中国もあんなゴミ拾いたくありません。)[8]
直接統治には賛否両論あるようだが、中国に従順な政権が誕生することによる間接統治なら異論はないだろう。そこで、以下の方法で、レジューム・チェンジを行ってはどうだろうか。金正恩は既に国内でも支持されておらず、米中が合同で作戦を行えば、損害を小さく抑えることが期待できる。
- 中国の同意のもと、米国が北朝鮮の核兵器の施設等を空爆し、北朝鮮を軍事的に無力化させる。
- その後、中国が人民解放軍の地上部隊を北朝鮮に投入し、現政権を打倒する。
- 北朝鮮を独立国家として形式的に存続させつつ、そこに中国の傀儡政権を樹立させる。
- 北朝鮮で中国式の改革開放路線を進め、生活水準を徐々に高めていく。
このレジューム・チェンジは、各国に以下の利益をもたらす。
- 特権階級は別だが、一般の北朝鮮人民にとっては、圧政が中国レベルにまで緩和され、北朝鮮の生活水準が中国並みに引き上げられるメリットがある。
- 中国にとっては、貧しい難民が流入するリスクを減らし、米韓との緩衝地帯を維持しつつ、北朝鮮の豊富な鉱物資源や安い労働力を利用することができるメリットがある。
- 韓国にとっては、戦争の脅威が減るのみならず、北朝鮮が独立を維持したまま生活水準を向上させることで、将来の南北統一の素地が整うというメリットがある。
- 米国にとっては、核攻撃の脅威が減り、さらに在韓米軍を削減することができるので、軍事的負担の軽減というメリットがある。
- 日本にとっては、戦争の脅威が減るのみならず、拉致問題等の解決も期待できる。
私は「北朝鮮は、資源的に魅力がないので、イラク統治の方式はとらないでしょう」と書いた。たしかにイラクのように石油が出るわけではないが、ウラン、マグネシウム、タングステン、鉄鉱石といった鉱物資源は豊富であるそうだ。北朝鮮をいきなり韓国並みの国にすることは不可能だが、まずは中国並みに開かれた国にし、その豊富な天然資源および安い土地と労働力を活用することは、東アジア全体、あるいは世界全体にとって利益になると言えるのではないだろうか。
北朝鮮は、既に傀儡政権なんじゃないかと見えなくもない。むしろ、中国が北朝鮮を抱え込むことで、中国国内が不安定化する事への中国の懸念が大きいのだろう。中国指導部は、かなりの疑心暗鬼と自信喪失の中にいるように見えてしょうがない。ちょっとしたことで、すぐビビる感じだ。表向きは強がっているので、その間隙をついて北朝鮮とか軍の現場サイドが暴走し、事後承諾をせざるを得ない状況に追い込まれている。北朝鮮の今度のミサイルを必ず発射せざるをえない。そうしないと、若き将軍は軍に殺されるだろう。その場合、日本領土の尖閣諸島周辺を狙う気がしている。中国としては、中国包囲網をけん制できる。国内の不満を日本に向けれるメリットもある。韓国や米国基地を狙っては、後々こじれるが、日本なら丁度いい標的だからだ。非常に危惧している。中国が黙認あるいは追認する形で、尖閣諸島周辺へのミサイル攻撃である。韓国はいい気味だと思うだろうし、アメリカは利用しようとするだろう。日本は、孤立する。ミサイルを撃ち落せなければ、日本の国内世論も軍事強化や核装備を求めそうだから、ますます国際的に日本が孤立する羽目になる。中国包囲網に対して中国が何もしないとは到底思えない!
現在の北朝鮮の体制は、中国の傀儡政権ではありません。核実験、ロケットと称するミサイルの発射実験、中国人漁民拉致などの最近の北朝鮮の暴走行為に中国は不満を持っていますが、北朝鮮は中国の言うことに従順に従いません。このうち、中国人漁民拉致事件はあまり知られていないので紹介しておきましょう。以下のような事件です。
今月8日に中国の専属海域で同国の漁船が「身分不明の北朝鮮人」に襲撃され、船員29人が身柄を拘束されたと報じられた件で中国国際放送局は18日、北朝鮮側に中国語を話す者や制服を着た者がいたとの情報から「国境マフィアと北朝鮮の軍、警察によるものか」と報じた。
事件発生当時2隻の漁船を出し、うち1隻がだ捕された船主は「北朝鮮の小型艇2隻が突然境界線を越えてやってきた。船にはアラビア数字とハングルで文字が書かれており、中国語を話す中国人と、制服を着た北朝鮮人が乗っていた。銃をもっていたので、漁民は反抗できなかった」と当時の様子を振り返った。
別の船主によると同海域では昨年より北朝鮮の取り締まり船が北朝鮮海域から中国漁船の操業を観測していたが、これまでトラブルは発生していなかったという。
当初は北朝鮮側が120万元(約1528万円)の身代金を要求していると伝えられたが、だ捕された漁船の関係者は、13日に拘束された船長からの衛星電話があり身代金が90万元に減額されたこと、15日には「2日以内に身代金を支払わないと、船も人も『処理』する」との連絡を受けたことを明らかにした。
中国政府、外交部の報道室は16日「関連報道を注視している。漁業事件と認識したうえで、北朝鮮とコミュニケーションを図り、早期解決を目指す」とのコメントを発表した。[9]
訪問の内容よりこの時期にアメリカの国務長官が来訪することに意味がある。実際問題としては、北朝鮮の暴発は複数のシナリオが描ける。ミサイルがどこに飛んでくるかによっても展開は違う。しかし、いずれにしろ北朝鮮がミサイルを発射した段階で、アメリカのシナリオで「戦後」処理を行うことを印象づける事になる。アメリカに対する直接攻撃なら、直ちに反撃する。この場合結果的に、永井氏のシナリオが最有力だ。しかし、日本あるいは韓国を標的にする場合、外交的には一切の妥協を拒否し、アメリカはさらに態度を硬化させ、アメリカを直接攻撃するように北朝鮮を挑発する。ここまで事態を緊迫させれば、仕方なく北朝鮮はアメリカを直接攻撃せざるを得ないか、中国の本気を引き出すことに成功することになる。中国は、北朝鮮に引きずられて、ババを掴みたくはないからだ。いずれにしろ、アメリカにとって得だ。
永井氏によれば、北朝鮮は中国に傀儡政権ではないらしいが、中国は、北朝鮮がミサイルでアメリカを直接攻撃はすることを先延ばしあるいは阻止する力はあるように思う。中国にとって、北朝鮮の核の脅威は存在せず、アメリカには存在する。中国としては、北朝鮮を使って、まず韓国か日本を攻撃してアメリカの本気度を試してみたくなる局面だろう。特に日本を攻撃した場合のアメリカの対応が、弱腰、話し合い路線なら、日本にとって目も当てられない。アメリカの外交の力量を疑うことになる。オバマの外交は今一つという噂を聞いた事がある。モンロー主義なんだろうな思うけど。
中国もアメリカも現状維持で事実上北朝鮮の核開発を容認、サポートしてきたといえる。しかし、軍事的な見通しが甘く、北朝鮮は本当に核搭載可能なテポドン二号の開発に成功しつつある。軍事的に容認できるレベルは、完全に超えている。アメリカの軍事、外交の失敗と言える。ただ、今回はアメリカも本気に見えるように努力している。また、本気でないと中国の本気も引き出せないだろう。
安倍がケリーに話すとしたら、日本が攻撃された時に、アメリカがビビッて妥協するとろくなことにはならない。一番ありそうな日本へのミサイル攻撃に対して、アメリカも本気で対応し、一切の妥協せず、態度をさらに硬化させ、軍事的にさらに挑発し、アメリカを直接攻撃するように仕向けることを提案したと思われる。当然、2人だけで話す内容だ。
ghostbusters さんが書きました:
永井氏によれば、北朝鮮は中国に傀儡政権ではないらしいが、中国は、北朝鮮がミサイルでアメリカを直接攻撃はすることを先延ばしあるいは阻止する力はあるように思う。
中国に説得されるまでもなく、北朝鮮ははじめから米国を攻撃するつもりなどありません。攻撃するつもりがあるなら、作戦会議と称するものを公開することはなく、真珠湾攻撃をした時の日本のように、秘密裏に計画を進めていたでしょう。偶発時から局地戦になる可能性ならありますが、本格的な戦争は体制崩壊の引き金になるので、北朝鮮としては避けたいところです。それにもかかわらず、金正恩が瀬戸際外交をしているのは、対外的な緊張を高めることにより、国内(特に軍)での求心力を強化するためと考えられます。朝鮮人民軍や朝鮮労働党の金正恩に対する不信感は強く、金正恩は暗殺の危機を感じ、自分の警護を強化したり、不満分子と彼が疑う勢力の粛清を繰り返していると伝えられています。
だから、周辺諸国が心配しなければならない事態は、金正恩が米国や韓国と戦争を始めることよりも、金正恩が暗殺されるか失脚するかして、権力闘争が始まり、内戦状態になることです。その場合、多くの難民が中国、韓国、日本等の周辺国に流れるという事態が予想されますが、それは周辺国としては避けたいところです。北朝鮮が内戦状態になったとき、もっともありうるシナリオは、中国が軍事介入し、傀儡政権を樹立するということでしょう。朝鮮人は、事大主義なので、傀儡政権を作ることは比較的容易と予想できます。
北朝鮮で金正恩が失脚し、国内が内戦状態となり、国境周辺に難民が殺到することが、もっとも危惧すべき事態だという永井氏の指摘、なるほどと思いました。しかし、アメリカが、何となく対話路線を目指しているのも、北朝鮮からの標的から外れているという軍事的安心感からなんでしょうか?
しかし、今回は違うのではないですか?
北朝鮮はやる気はないかもしれませんが、アメリカの方が、むしろやる気があるように思います。
アメリカが北朝鮮に妥協することは、更なる小型の実用的な核兵器開発を容認することに繋がるわけで、アメリカの外交的な失政にさらに失政を積み重ねることになる。核は、拡散しますね。北朝鮮の「人工衛星」をアメリカが容認することは、私にはあり得ない選択に思える。アメリカ世論を考慮すれば、やはり北朝鮮を挑発し、アメリカの領土、領海を攻撃させることがベストの選択に思える。アメリカとしては、更なる軍事的圧力と経済的な圧力をかけ、北朝鮮を挑発し続けるのではないか?そういう方向で既にアメリカ軍内部では決定されている気がする。核弾頭をグアムに一発落とされる可能性は少ないとはいえ、アメリカ軍がこうした事態の継続を容認することなどあり得ない。軍の総力をかけて、オバマに圧力をかけ、暴発させる方向に決定していても全くおかしくない状態でしょう。もちろん、対話のパーフォーマンスも忘れずに。どうしても、リメンバーパールハーバーの再来が近い気がしますね。
ghostbusters さんが書きました:
アメリカが、何となく対話路線を目指しているのも、北朝鮮からの標的から外れているという軍事的安心感からなんでしょうか?
最初に対話路線を打ち出したのは韓国であることに留意してください。北朝鮮の恫喝や開城工業地区の閉鎖により、韓国では海外資本の逃避などの経済的な損害が既に出ており、韓国としては早く事態を収拾したいというのが本音です。米国が韓国の対話路線を支持したのは、米韓の同盟関係からということもありますが、財政の崖という米国特有の事情もあります。米国は、財政赤字を減らすため、2013年3月から、国防費を中心に歳出を大幅に削減しなければならなくなりました。北朝鮮が恫喝を続けている間、同盟国を守るために軍の配備を手厚くしなければならず、戦争が起きなくてもそれだけコストがかさむことになるのです。もちろん、実際に戦争となれば、桁違いの支出が必要になります。これは、支出を削減しなければならない米国にとっては不都合なことです。
ghostbusters さんが書きました:
どうしても、リメンバーパールハーバーの再来が近い気がしますね。
私は、「ニューディールは成功したのか」で、財政赤字を懸念する議会によって頓挫したニューディール政策を続けるために、ルーズベルトが日米開戦を仕掛けたという説を出しました。世界恐慌以来と言われるリーマンショック後の現在の状況はその時と似ていると思うかもしれませんが、重要な違いがあります。当時は、財政支出の拡大によるリフレ政策しかなかったのに対して、現在では、バーナンキ議長による量的金融緩和政策が相当なリフレ効果を発揮しており、オバマ大統領は、もはや戦争ケインズ主義に傾斜する必要がなくなっています。オバマ大統領は、2009年末に決めたアフガン増派を除けば、軍事支出の拡大には積極的でありませんが、それももっともなことなのです。
永井氏の論によれば、「バーナンキ議長による量的金融緩和政策が相当なリフレ効果を発揮しており、オバマ大統領は、もはや戦争ケインズ主義に傾斜する必要がなくなっています。」となる。量的金融緩和策による戦争回避が歴史上初めて実現しそうということになる。これまた、意外な見通しでびっくりした 。オバマのやる気のなさもそのあたりから来ているのかと少し納得がいく 。この手法が今後踏襲されれば、長期の大きな戦争が起こることは無いと考えていいのだろうか?軍事的なバランスを維持することによってしか、平和を担保できないという発想はどこかおかしいのですかね ?
ghostbusters さんが書きました:
量的金融緩和策による戦争回避が歴史上初めて実現しそうということになる。これまた、意外な見通しでびっくりした 。
そんなにびっくりすることでしょうか。以下の引用にあるように、私は以前から、金融緩和によるリフレ型戦争の回避を提唱していたのですが。
戦争は合理的な経済の法則に従って起きる。だから戦争を防止するには、その対策は経済的でなければならない。私はこれまで、資源増大局面で、貨幣数量一定を前提に、デフレが起きると説明してきた。しかし、貨幣数量を増やせば、《物余り・金不足》の状態を相対的に解消することができる。人間には、太陽黒点数をコントロールする能力はないが、貨幣数量をコントロールすることならできる。おそらく金融緩和こそ、リフレ型戦争を回避する最も害の少ない方法に違いない。[10]
もちろん、バーナンキ議長は、オバマに戦争をさせまいとして金融緩和を行ったとまで言うつもりはありませんが、開放経済体制の小国の場合、固定相場制では、財政政策が有効で金融政策が無効だが、変動相場制では、財政政策が無効で金融政策が有効であるというマンデル・フレミング・モデルが現在の経済学の常識なので、バーナンキはその常識に従って、1929年の世界恐慌の時のようなことにならないよう、大胆な金融緩和を行ったということでしょう。オバマ大統領も、一期目に就任した当初、ルーズベルト大統領を意識して、グリーン・ニューディールという政策を掲げたり、アフガニスタン増派を決断したりしていましたが、そのうちそのような公共投資の拡大をしなくてもデフレから脱却できることに気が付き、最近では「ニューディール」という言葉を口にしなくなり、アフガニスタンからも2014年までに撤退することを決めるなど、通常モードに戻りつつあります。
ghostbusters さんが書きました:
軍事的なバランスを維持することによってしか、平和を担保できないという発想はどこかおかしいのですかね ?
経済的な理由による戦争とは別に政治的な理由による紛争もあるので、軍事的なバランスの維持は必要です。
米中会談で、米軍と人民軍との交流が合意された。軍事交流を定期化、制度化するそうだ。地域的な紛争が、長期化、全面化することを恐れての「合意」だと思う。軍事と言えば、国家の最高機密である。アメリカの想定する最大の敵である中国との「軍事交流」が、別の形での戦争であることは明らかだろう。
実際問題として、米中が太平洋の覇権をめぐって全面戦争になる危険は存在していると思う。中国の内政の矛盾が中国共産党の支配を揺るがせるようになれば、中国共産党が危険な賭けに出る可能性があるからだ。
その時、この「軍事交流」が中国の軍事的決断に影響力を持つようにすることが期待される。流石に、負けると戦う前からわかっていては、いくら「やれ」といっても、現場の将軍は『うん』とは言わない。どころかアメリカ軍に寝返る事さえ期待できる。軍事交流は、アメリカにとって得な話だ。
アメリカにこれほどまで付けこまれても「軍事交流」したい中国の本音は、やはりアメリカとの全面戦争は避けつつ、中国共産党の一党独裁を維持する事なのだろう。中国指導部としては、日本に軍事的なちょっかいを出さないで、経済重視の政策に変えたいところなのだろうが、「日本」カードを内政のガス抜きカードとして手放せないのも事実だろう。であるならば、軍事交流しておけば、日本とはちょっともめても、アメリカは動かない可能性がある。日本はアメリカにすれば、最前線基地であり、属州でもある。ついでに言えば自衛隊は州兵である。正直中国がちょっかいを出せば、黙ってはいられない。ただ、アメリカとて中国との全面戦争までして日本を死守したいわけでは全くない、できれば、避けたいのだ。軍事交流を通じて、中国の軍事的底力をアピールできれば、アメリカもそう簡単に軍を動かさないことが期待できる。何か口実をつけて、日本が妥協するように動いてくれるかもしれない。日米安保なんてその程度の約束でしかない。
日本は二つの大国に挟まれ、実にモテル国ではある。自衛隊も参加して、日米中で「軍事交流」してはどうだろうか?冷戦構造とは異なる別種の国際秩序が出来るものなのだろうか?北朝鮮をどうするつもりなのだろう?尖閣はどうなるの?それにしても、「軍事交流」てナニ!?「軍事同盟」に発展したりするのだろうか?
ghostbusters さんが書きました:
米中会談で、米軍と人民軍との交流が合意された。軍事交流を定期化、制度化するそうだ。
この情報の出所は何ですか。米中首脳会談の骨子は以下の通りです。
一、沖縄県・尖閣諸島問題を長時間協議。中国の習近平国家主席は領有権を主張、オバマ米大統領は緊張緩和と対話解決要請
一、環太平洋連携協定(TPP)の交渉情報を中国に提供する枠組みを構築
一、北朝鮮の非核化は米中共通目標。北朝鮮を核保有国と認めない
一、適当な時期に今回のような首脳会談を中国で開催(共同)[11]
米中の軍事交流でニュースを検索してみたけれども、以下の記事しか出てきません。もっともこれは1か月前の記事で、米中会談とは無関係に決まったことです。
米国が中国軍によるスパイ行為を非難したり、アジア太平洋地域で中国がますます強硬な態度を取ることに懸念を示したりする一方で、両国の軍事関係は緊密さを増している。
最初の主な雪解けの兆しは2011年、米ワシントンのケネディセンターで開催された米軍と中国軍のバンドによる合同コンサートだった。中国人民解放軍(PLA)の制服を着た著名な男性歌手と米軍の女性軍曹がデュエットを組み、オペラ「椿姫」を熱唱してみせた。
もう少し真面目な例を挙げれば、中国は今月に南京市で米軍当局者らと海賊対策を協議。また、米国は来年の環太平洋合同演習に中国を招待している。
防災や疾病対策といった分野で両国軍が互いの行動を知り、協力するといったコミュニケーションの強化は偶発的な衝突リスクを減少させることにつながる。
米太平洋軍司令部のマイケル・ケルツ少将は大きな変化を感じているという。ケルツ氏によると、同氏が2011年に中国当局幹部らと会談した際、中国側は事前に用意された要点を読み上げるだけで、場の雰囲気は堅苦しいものだった。「(会合や情報のやりとりにおいて)量・質ともにかなりの改善が見られる」とケルツ氏は語る。
長い間、軍事的に比較的孤立してきた中国にとって、外部との軍事協力強化は戦略の核心部分を占めている。中国は国連安全保障理事会の常任理事国5カ国の中で、国連平和維持活動に最も多く要員を派遣している。
米国にしてみれば、こうした状況は敵となりうる国についてより知ることができると同時に、中国をグローバルなシステムにさらに引き込めるという利点がある。
また、中国軍とのコミュニケーション強化は米国に、中国が封じ込めだと非難する自国のアジア重視路線を説明する機会を与えることになる。米太平洋軍司令部だけでも、軍事医学や合同救助演習など、今年は約40回の交流が予定されている。[12]
どうもルーズですいません。
ただ、利害が一致する分野では、協調進展の兆しもある。その一つが両国軍の意思疎通だ。米中経済が相互依存する中、全面紛争の可能性は低いが、偶発的衝突の防止が課題として浮上している。
習主席は「軍同士の関係を改善し、新しいタイプの関係を促進すべきだ」と指摘。オバマ大統領は「軍事分野では効果的に意思疎通できていたわけではない」と受け、軍事交流を「制度化、定期化する」と明言した。[13]
そうです。
ヤフージャパンに同じ記事があったので、そこからの引用にしておきました。
記事の内容から判断すると、会談前にアドホックに行っていたことを定期化しようということですね。冷戦時代の米ソも、偶然時から核戦争に発展しないようにホットラインを引いたけれども、そうした「意思疎通」は、中国とも必要ということでしょう。
北朝鮮の体制は、世襲制だ。今の若い将軍様が三代目。中国の国家主席は、最近は10年の定年制になっている。日本は、四年一回の衆議院選挙で政権が決まることになっている。自民党だけをみていると世襲制と定年制の組み合わせと見れなくもない。北朝鮮は一応独裁で側近政治ぽい気がするが、中国は集団指導体制だ。日本は、官僚がしっかりしているので、指揮者が誰でも何とかなる部分がある。
永井氏の北朝鮮の圧制を中国レベルにするという発言が刺激的で、思いついたのだが、来るべき北朝鮮の傀儡政権は、やはり持ちの良さそうな中国タイプの「世襲制と定年制と集団指導」体制がいいということになるのだろうか?中国の体制を共産党の一党独裁というが、その内実は、集団指導体制と定年制であり、政権交代が世代交代でもある「定年制」の存在が、民主主義における選挙と同じ「平和的」な権力委譲を可能にしている。さらに言えば、これにより「10年」という安定した政権運営が保証されている。このメリットは大きい。アメリカの大統領の二期8年とかを考慮すると、日本も安定政権として8年から10年を担保できることが望ましい。中国やアメリカと同期させて政権ができればなおよい。少しは「本気の」外交が展開できるのではないかと思いついた。
さらに思いつきを言えば、中国の体制は一党独裁で脆弱という印象は、必ずしもソウでもなさそうに思う。会社で言えば、同族会社のようなもので、上手く運営すれば、トヨタのように効率と安定を両立できる気がする、また、アジア人向きな気もする。一年交代で首相がころころ変わると「ロク」なことにならないと思う。国益に反する。
ghostbusters さんが書きました:
永井氏の北朝鮮の圧制を中国レベルにするという発言が刺激的で、思いついたのだが、来るべき北朝鮮の傀儡政権は、やはり持ちの良さそうな中国タイプの「世襲制と定年制と集団指導」体制がいいということになるのだろうか?
そういう意味で言ったのではなくて、いったん中国が謂う所の「社会主義市場経済」に移行してから、通常の市場経済を目指す方が現実的だということです。中国本体の体制自体が長続きせず、将来は崩壊するでしょうから、北朝鮮の傀儡政権もそれと同時に崩壊するでしょう。ちょうどソ連の崩壊とソ連の事実上の傀儡国家だった東欧の民主化がほぼ時を同じくして起きたように、中国と北朝鮮の共産主義体制も、崩壊は時を同じくして起きる可能性が高いということです。
ところで、日本では政治家の世襲がよく批判されるのですが、世襲かどうかということが政治家の質を本当に決める要因なのかということはよく考えてみる必要があります。世襲国会議員を親族(父・祖父・おじ・兄弟)が国会議員であったものと定義すると、平成の総理大臣で世襲でなかったのは、宇野宗佑(実家が造り酒屋)、海部俊樹(実家が写真屋)、村山富市(父が漁師)、森喜朗(父が根上町長)、菅直人(父がサラリーマン)、野田佳彦(父が自衛官)の6人ですが、この人たちがそれ以外の世襲総理大臣と比べて有能だったと言えるでしょうか。今の選挙制度をそのままにして、世襲や年齢制限の規制を強化しても根本的な問題解決にはならないというのが私の見解です。
北朝鮮で金正恩第一書記に次ぐ実力者であった張成沢(チャン・ソンテク; 장성택; 1946年2月6日 – 2013年12月12日)前国防委員会副委員長が失脚し、処刑された。判決文の中には張成沢の罪状として「後継問題を妨害する大逆罪を働いた」ことが挙げられている。張成沢は、金総書記の長男で中国などで活動する金正男を世話した経験もあり、金正恩の後継者就任に慎重だった。それで、金正恩は、張成沢が中国と結託してクーデターを起こし、金正男を新しい後継者にしようとしているのではないかと疑っていたようである。実際、金正恩暗殺未遂事件が起き、それを未然に防いだ女性警察官に「共和国英雄」の称号が授与されたとする情報がある。この時から金正恩は内偵を行い、背後に張成沢と中国がいると結論を下したのではないか。
判決文の中には張成沢の罪状として「石炭など貴重な資源をむやみに売り飛ばさせた」ことも挙げられているが、売った先は中国である。また北東部の経済特区、羅先港の使用権を中国やロシアに「50年期限で売り飛ばした」ことも「売国行為」として糾弾している。国名こそ明示していないが、間接的に中国を批判する内容となっている。これに対して、中国政府は表向き冷静を装い、今回の粛清劇を北朝鮮の内政に属する問題として論評を避けているが、内心では金正恩に怒りを感じている。
中国のある高官は、「青二才の金第1書記が中国と何の相談もなく一方的に親中派の張氏を粛清した」として不快感を示したと、最近外交ラインを通じて中国側と接触した韓国政府当局者が20日、伝えた。同当局者によると、中国高官は「金正日(キム・ジョンイル)総書記は、中国との関係を維持しつつ大きな問題を処理してきた」とし、「(このような過程が無視された張氏の処刑は)中国に対する無視であり挑戦だ」と断言したという。また、「(駐中北朝鮮大使である)池在竜(チ・ジェリョン)氏も召還が避けられないだろう」とし、「この場合、金第1書記が中国を訪問することは難しくなるだろう」と指摘した。[14]
北朝鮮における親中派の粛清はこれまでも何度かあった。代表的な例を挙げると、日中戦争時に中国共産党の本拠地である陝西省延安で毛沢東たちと行動を共にした延安派は、北朝鮮に帰国後、金日成首相(当時)との権力闘争に敗れ、1956年に粛清された。しかし、この年は、ニキータ・フルシチョフによるスターリン批判をめぐって中国とソ連の間でイデオロギー論争が起きていた時期であり、北朝鮮がソ連側に傾くことを恐れた毛沢東は、金日成政権に対する支援を続けた。だが現在の中朝関係はかつてないほど冷え切っており、中国が今後とも北朝鮮を支援し続けるという保証はない。実際、中国系香港メディアは、半島有事の際は中国が北朝鮮に軍事介入すると警告している。
香港の中国評論通信社は14日の社説で、張成沢氏を処刑した北朝鮮の金正恩労働党第1書記について「手法が強硬で、非常に不安定なところがある」と批判するとともに、朝鮮半島で軍事衝突発生の恐れがあると警告した。中国当局系の香港メディアが北朝鮮の危険性を指摘するのは極めて異例。北朝鮮の韓国に対する武力行使を警戒しているとみられる。
社説は、北朝鮮が国民の国内情勢への注意をそらすため朝鮮半島の緊張を高める行動に出るのではないかという韓国の懸念は「恐らくすぐに現実のことになるだろう」と予測。軍事衝突が起きた場合、「中国はこの地域の大国として、関与せざるを得なくなる」と主張した。[15]
講談社文化有限公司副総経理の近藤大介も、習近平主席が、張成沢処刑を聞いて激怒し、直ちに瀋陽軍区の第39集団軍を長白山一帯に派遣し、準戦時体制を敷いたことから、第二次朝鮮戦争勃発の可能性を指摘している。
ある中国共産党関係者は、次のように述べた。
「習近平主席は、常に『毛沢東主席ならどう考えるだろう』という発想で政策を考える。毛沢東主席は、建国の翌年に『歯がなければ唇寒し』と言って、朝鮮戦争への参戦を決断した。同様に、習近平主席も今後、人民解放軍を朝鮮に派遣するつもりなのではないか。
現在、中国は経済が停滞していて、軍の士気もすっかり緩んでいる。毛主席は『革命を継続せよ』と述べたが、戦争ほど国民を鼓舞する政策はない。張成沢を中心とした親中の経済改革派を除去した強硬な金正恩体制は、中国にとってもこの上なく有害なので、さっさと除去してしまえということだ」
つまり、金正恩体制の転覆を図るために、第二次朝鮮戦争を企図するということだ。もちろん中国にとって、今回の敵はアメリカではなく、北朝鮮である。
この中国共産党関係者が続けて言う。
「張成沢とともに中国が信頼を置いているのが、マカオに亡命させている金正男だ。すでにこの時に備えて、10年以上も金正男を『飼って』来たのだ。いまこそ活用すべき時だ」
すなわち、金正男を北朝鮮の「ポスト金正恩」に立てることも、今後有力な選択肢の一つとして考えていくということだ。[16]
中国と北朝鮮の関係が疎遠になるのとは対照的に、朴槿恵政権が親中反日路線を突き進んでいることもあって、中国と韓国は蜜月関係にある。北朝鮮は、12月 20日に、韓国が金正恩第一書記の威厳を傷付けるなら「予告なく無慈悲に攻撃する」と「予告」しているが、もしも北朝鮮が韓国を攻撃するなら、中国は北朝鮮を攻撃する可能性がある。
このトピックで、北朝鮮の体制を崩壊させる最も現実的な方法は、中国による北朝鮮への軍事侵攻であることを指摘した。たしかに中国としては、長年「飼って」きた金正男を後継者として指名し、北朝鮮に傀儡政権を作るという方法もあるが、韓国が米国と距離を置いて中国に軸足を移してくれるなら、韓国による朝鮮半島の統一すら容認するだろう。
中国にしてみれば、将来中国が台湾や琉球を併合する際に、朝鮮半島の政権が米国や日本に味方してくれなければそれでよいのであって、言うことを聞かなくなった金正恩体制をこれ以上守らなければならない理由はない。つまり、韓国が米国側の軍事ブロックから脱落してくれるなら、中国にとっては、北朝鮮だけが米国と対峙していたそれ以前の状況より好都合なのだから、親中離米の韓国による半島の統一を支援するというシナリオすら考えられるのである。
ノンフィクション作家の河添恵子は、そういうシナリオを支持している。すなわち、河添は「中国は正恩氏が後継者となった時点で『北朝鮮は制御不能だ』と思ったはず。その数年前から中国は『韓国から朝鮮半島全体を勢力下にする』という方針にシフトした。習主席が、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を厚遇しているのはこのため。張氏の処刑で、この傾向はさらに強まるはずだ」と語っている[17]。
もしも朝鮮半島全体が中国側に立つなら、それは尖閣諸島をめぐって中国と対立関係にある日本にとって軍事的脅威になる。半面、勢力拡大を続ける中国の動きは米国の警戒心を高め、日米の軍事的結束を強化させるという効果もあるかもしれない。もともと韓国は反日国家なので、安全保障面であてにしてはいけない国だったという見方もあるだろう。いずれにせよ、朝鮮半島情勢は、2014年以降も要注意である。
オバマが「ビジネスライク」に国賓として来日している。
TPP、北朝鮮情勢、ウクライナ情勢、サイバー攻撃、海洋安全保障、そして尖閣への安保の適用の明言である。
国内的にはTPPが大きな関心事だろうが、やはり「中国の力による一方的な現状変更の試み」が最大の問題だろう。
もっと言えば、中国とロシアの間に「クサビ」を打ち込めるのかが問題だ。
中国はロシアの「失敗」を教訓に、穏健な協調外交に復帰してくれるのが、理想的だ。
そのためには、軍事的なバランスをまず「確認」する必要がある。
一方、ロシアは北方四島で、北朝鮮は拉致問題で安倍の気を引き、アメリカと日本の間に隙間を作りたいところだろう。
アメリでさっぱり人気のない安部なら交渉相手として適任といえる。
今回のオバマの来日は、「尖閣への安保の適用」と引き換えに、日米の隙間を埋めることといえる。
日本の参加により、「ロシア」への経済的制裁はより過酷なものになるだろうし、その「失敗」が明白にもなる。
これにより、「力による現状変更」の試みを狙う勢力に対する「見せしめ」になる。
ウクライナ情勢がどうなるのかが、決め手だ。
特にウクライナ東部の帰趨がキーポイントになりそうだと思っている。
北朝鮮がどうなるかは分からないが、いよいよ最期が近いように思える。
2. 参照情報
- 礒崎敦仁, 澤田克己『北朝鮮入門―金正恩体制の政治・経済・社会・国際関係』東洋経済新報社 (2017/1/13).
- 篠原常一郎, 岩田温『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』扶桑社 (2019/12/27).
- ジョン・ボルトン『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』朝日新聞出版 (2020/10/7).
- ↑ここでの議論は、システム論フォーラムの「北朝鮮の金体制を崩壊させる最も簡単な方法」からの転載です。
- ↑“北朝鮮「対話提案は無意味」…朴大統領が強い遺憾表明“『中央日報』2013年4月15日.
- ↑首相「北朝鮮には何度も裏切られてきた」ケリー氏にくぎ刺す『産経新聞』2013年4月16日.
- ↑José Fernandes Jr. “Statues of Kim Il-sung and Kim Jong-il." Licensed under CC-BY-SA.
- ↑永井俊哉「アメリカが北朝鮮を攻撃する可能性」2005年5月13日.
- ↑“石原都知事、「中国が北朝鮮を合併するのが一番楽」“『AFPBB News』2009年01月13日.
- ↑“石原慎太郎:中国应吞并朝鲜以解决朝鲜核问题" 『搜狐新闻』2009年1月14日.
- ↑ansan’s. “石原都知事の「中国の北朝鮮併合が一番楽」で中国の反応“『楽しい中国新聞』2009年1月14日/
- ↑“中国漁民拉致、国境マフィアと北朝鮮当局が「グル」か"『サーチナ』2012年5月17日
- ↑永井俊哉「戦争はなぜ起きるのか」2002年1月19日.
- ↑“【米中首脳会談】両国関係の重要性を確認 尖閣、サイバー、北朝鮮など幅広く議論“『産経新聞』2013年6月11日.
- ↑“焦点:オペラから合同演習まで、米中で深まる軍事交流"『ニューズウィーク日本版』2013年5月10日.
- ↑“<米中首脳会談>「対等」巡り攻防 権益譲らず“『毎日新聞』2013年6月8日.
- ↑“中国高官「張成沢処刑は中国を無視する行為」“『東亜日報』DECEMBER 21, 2013.
- ↑「朝鮮半島で軍事衝突の恐れ=中国系香港メディアが警告」『時事通信』2013/12/14.
- ↑近藤大介「第二次朝鮮戦争勃発か、それとも金正男擁立か!? 張成沢粛清で中国を完全に敵に回した金正恩の未来や如何に」『現代ビジネス』2013年12月16日.
- ↑「北朝鮮の張成沢氏処刑で習近平主席のメンツは丸つぶれ 中国は韓国取り込み強化へ」『Zakzak』2013.12.16
ディスカッション
コメント一覧
トランプ政権になってから、米朝関係が再び緊張し始めた。マイク・ペンス米副大統領は、北朝鮮に対する「戦略的忍耐の時代」は終わったと述べ、トランプ大統領も「非常に大規模な紛争が起き得る」と発言するなど、北朝鮮に対して武力行使も辞さない姿勢である。
他方で、これまで北朝鮮を擁護してきた中国も、米国と協力する姿勢を示し出した。以下の記事を読むと、中国側にも、本ページで提案したアイデアを検討している向きがあるようだ。
金正恩政権を倒した後は、北朝鮮を、米国、中国、ロシアの3ヵ国による信託統治にするという計画がある[近藤大介. “アメリカが進める金正恩政権「転覆計画」の全貌”『週刊現代』2017年3月4日号]。またその場合、北朝鮮の再建のための費用として、日本は約1兆円を出すことになっているそうだ。