人権擁護法案

2005年4月24日

西尾幹ニのインターネット日録: 「人権擁護法」という狂気の法案」に対するコメント。西尾幹ニは、 ニーチェやショーペンハウアーを研究していた人だが、「自由主義史観」を唱えている「新しい歴史教科書をつくる会」の名誉会長としての活動のほうが有名です。

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在日特権を許さない市民の会(通称、在特会)による抗議集会。在特会がやっているような、在日コリアンに対するヘイトスピーチを規制することを名目に、人権擁護法の代替としてヘイトスピーチ禁止法を成立させようとする動きがある。"Indignation meeting" by MIKI Yoshihito. Licensed under CC-BY-SA

拉致被害者の家族の一人が政府と北朝鮮を非難する声明を出した。すると今までと違って、北朝鮮系の人たちが手をつないで輪になり、「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と口々に叫んだとする。直ちに「人権擁護法」第五条に基づく人権委員会は調査を開始する。第四十四条によってその拉致被害者家族の出頭を求め、自宅に立ち入り検査をして文書その他の物件を押収し、彼の今後の政治発言を禁じるであろう。第二十二条によって委嘱された、人権委員会は北朝鮮系の人で占められている場合がある。

もしも、人権擁護法が成立したら、こういう事態が起きるでしょう。現在、世界では70年前に起きたのと同じことが起きていますが、人権擁護法は現代版治安維持法であり、人権委員会は現代版特高警察になるかもしれません。

どうやら、北朝鮮は、武器を使わずに韓国と日本を乗っ取ろうとしているかのようです。実際、韓国は、既に北朝鮮に半ば乗っ取られた状態となっています。2001年に日本の人権委員会に相当する韓国国家人権委員会が設置され、翌年から活動を始めました。この国家人権委員会は、イラク国民の人権を懸念し、反戦声明を発表するなど、海外の人権問題についても発言しているにもかかわらず、北朝鮮住民の人権については、徹底して無視しています。韓国国家人権委員会がどこの国の意向で動いているのか推測できます。

情報鎖国状態を打破するために、韓国は、ラジオ電波を飛ばしたり、上空からビラをまいたりして啓蒙活動をしているが、ちょうど私たちが、北朝鮮のプロパガンダをいくら聞いても信じないように、北朝鮮の人々も、資本主義者たちのプロパガンダをいくら聞いても信じない。北朝鮮の人々は、今でも、資本主義社会が北朝鮮よりももっと悲惨だと信じている。

韓国が北朝鮮の情報統制を打破するどころか、逆に北朝鮮の情報統制のもとに組み込まれつつあるのではないかと懸念されます。

日本で人権擁護法が成立したら、次は、外国人への参政権付与でしょう。外堀は徐々に埋められつつあります。しかし、マスメディアは、この危険な法案をほとんど報道していません。だから、国民のほとんどはこの法案の危険性を認知していません。マスメディアが機能していない以上、私たちは、例えば、私が今こうやってブログを使ってやっているように、あらゆる手段を使って、この法案の危険性を広く知らせるべきでしょう。

追記(2015年)

これを書いてから約十年がたつが、幸い人権擁護法案はまだ成立していない。最近では、人権擁護法案ではなくて、ヘイトスピーチ禁止法案の形で、「人権擁護」をしようとする動きがある。実際、産経新聞が報じているように、保守派の議員は、これを第二の人権擁護法案として警戒している。

民主、社民両党などが参院に提出した特定の民族などへのヘイトスピーチを規制する法案をめぐり、自民、公明、民主、維新の4党は19日、法案への対応を国会内で協議した。「ヘイトスピーチは良くない」との認識で一致したが、自民、維新両党からは定義が曖昧だなどの慎重論が続出。表現の自由を規制する恐れもあり、「第2の人権擁護法案」との懸念も出ている。

4党の参院法務委員会理事らが参加した協議では、「何がヘイトスピーチか」が焦点となった。自民党の熊谷大氏は「(解釈の)間口が広がり、表現内容に踏み込むところもなきにしもあらずだ」と述べ、拡大解釈や表現の自由の規制につながることへの懸念を表明。民主党以外に法案に全面的に賛同する党はなく、定期的に協議を継続することを確認して終わった。

今月参院で審議入りした法案の名称は「人種差別撤廃施策推進法案」。特定の国籍や民族などを差別する言動を禁じる基本原則を策定する理念法で、罰則はない。政府が差別防止に向けた基本方針を作り、首相が任命した有識者による審議会を内閣府に設ける。

だが法案の「人種等を理由とする差別」の定義は曖昧で「不当な差別的扱い」「侮辱、嫌がらせ」も解釈が分かれる余地がある。自民党には法規制に慎重な意見が多く、党幹部は「人権擁護法案のようなことにしてはいけない」と警戒する。

こうした法案の支持者の多くが考えているように、「ヘイトスピーチ禁止法」を制定しなければ、ヘイトスピーチを処罰することができないということはない。2009年に起きた京都朝鮮学校公園占用抗議事件では、京都朝鮮学校校門前で抗議の街宣活動を行った在特会に対して、侮辱罪・威力業務妨害罪・器物損壊罪の判決が下った。特定の個人や集団を攻撃したのではない抽象的なヘイトスピーチは禁止されていないが、それまでも法律で禁止すると、健全な批判までをも委縮させる恐れがあるので、賛成できない。