人権擁護法案に問題はないのか
人権擁護法は現代版治安維持法であり、人権委員会は現代版特高警察になるかもしれません。日本で人権擁護法が成立したら、次は、外国人への参政権付与でしょう。外堀は徐々に埋められつつあります。しかし、マスメディアは、この危険な法案をほとんど報道していません。
1. 問題提起
「西尾幹ニのインターネット日録: 「人権擁護法」という狂気の法案」に対するコメント。西尾幹ニは、 ニーチェやショーペンハウアーを研究していた人だが、「自由主義史観」を唱えている「新しい歴史教科書をつくる会」の名誉会長としての活動のほうが有名です。
拉致被害者の家族の一人が政府と北朝鮮を非難する声明を出した。すると今までと違って、北朝鮮系の人たちが手をつないで輪になり、「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と口々に叫んだとする。直ちに「人権擁護法」第五条に基づく人権委員会は調査を開始する。第四十四条によってその拉致被害者家族の出頭を求め、自宅に立ち入り検査をして文書その他の物件を押収し、彼の今後の政治発言を禁じるであろう。第二十二条によって委嘱された、人権委員会は北朝鮮系の人で占められている場合がある。[1]
もしも、人権擁護法が成立したら、こういう事態が起きるでしょう。現在、世界では70年前に起きたのと同じことが起きていますが、人権擁護法は現代版治安維持法であり、人権委員会は現代版特高警察になるかもしれません。
どうやら、北朝鮮は、武器を使わずに韓国と日本を乗っ取ろうとしているかのようです。実際、韓国は、既に北朝鮮に半ば乗っ取られた状態となっています。2001年に日本の人権委員会に相当する韓国国家人権委員会が設置され、翌年から活動を始めました。この国家人権委員会は、イラク国民の人権を懸念し、反戦声明を発表するなど、海外の人権問題についても発言しているにもかかわらず、北朝鮮住民の人権については、徹底して無視しています。韓国国家人権委員会がどこの国の意向で動いているのか推測できます。
情報鎖国状態を打破するために、韓国は、ラジオ電波を飛ばしたり、上空からビラをまいたりして啓蒙活動をしているが、ちょうど私たちが、北朝鮮のプロパガンダをいくら聞いても信じないように、北朝鮮の人々も、資本主義者たちのプロパガンダをいくら聞いても信じない。北朝鮮の人々は、今でも、資本主義社会が北朝鮮よりももっと悲惨だと信じている。[2]
韓国が北朝鮮の情報統制を打破するどころか、逆に北朝鮮の情報統制のもとに組み込まれつつあるのではないかと懸念されます。
日本で人権擁護法が成立したら、次は、外国人への参政権付与でしょう。外堀は徐々に埋められつつあります。しかし、マスメディアは、この危険な法案をほとんど報道していません。だから、国民のほとんどはこの法案の危険性を認知していません。マスメディアが機能していない以上、私たちは、例えば、私が今こうやってブログを使ってやっているように、あらゆる手段を使って、この法案の危険性を広く知らせるべきでしょう。
2. 追記(2015年)
これを書いてから約十年がたつが、幸い人権擁護法案はまだ成立していない。最近では、人権擁護法案ではなくて、ヘイトスピーチ禁止法案の形で、「人権擁護」をしようとする動きがある[3]。実際、産経新聞が報じているように、保守派の議員は、これを第二の人権擁護法案として警戒している。
民主、社民両党などが参院に提出した特定の民族などへのヘイトスピーチを規制する法案をめぐり、自民、公明、民主、維新の4党は19日、法案への対応を国会内で協議した。「ヘイトスピーチは良くない」との認識で一致したが、自民、維新両党からは定義が曖昧だなどの慎重論が続出。表現の自由を規制する恐れもあり、「第2の人権擁護法案」との懸念も出ている。
4党の参院法務委員会理事らが参加した協議では、「何がヘイトスピーチか」が焦点となった。自民党の熊谷大氏は「(解釈の)間口が広がり、表現内容に踏み込むところもなきにしもあらずだ」と述べ、拡大解釈や表現の自由の規制につながることへの懸念を表明。民主党以外に法案に全面的に賛同する党はなく、定期的に協議を継続することを確認して終わった。
今月参院で審議入りした法案の名称は「人種差別撤廃施策推進法案」。特定の国籍や民族などを差別する言動を禁じる基本原則を策定する理念法で、罰則はない。政府が差別防止に向けた基本方針を作り、首相が任命した有識者による審議会を内閣府に設ける。
だが法案の「人種等を理由とする差別」の定義は曖昧で「不当な差別的扱い」「侮辱、嫌がらせ」も解釈が分かれる余地がある。自民党には法規制に慎重な意見が多く、党幹部は「人権擁護法案のようなことにしてはいけない」と警戒する。[4]
こうした法案の支持者の多くが考えているように、「ヘイトスピーチ禁止法」を制定しなければ、ヘイトスピーチを処罰することができないということはない。2009年に起きた京都朝鮮学校公園占用抗議事件では、京都朝鮮学校校門前で抗議の街宣活動を行った在特会に対して、侮辱罪・威力業務妨害罪・器物損壊罪の判決が下った。
特定の個人や集団を攻撃したのではない抽象的なヘイトスピーチは禁止されていないが、それまでも法律で禁止すると、健全な批判までをも委縮させる恐れがあるので、賛成できない。
3. 参照情報
- 坂東忠信『在日特権と犯罪』青林堂 (2016/10/8).
- 水野直樹, 文京洙『在日朝鮮人 歴史と現在』岩波書店 (2015/1/20).
- 板垣竜太, 木村草太 他『ヘイトスピーチはどこまで規制できるか』影書房 (2016/8/25).
- ↑西尾幹ニのインターネット日録: 「人権擁護法」という狂気の法案
- ↑永井俊哉. “制裁か援助かという不毛な選択肢.” 1999年12月18日.
- ↑その後、この法案は可決され、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」として2016年(平成28年)6月3日に公布された。
- ↑“ヘイトスピーチ規制法案は第2の人権擁護法案!? 民主など提出、自公民維が協議 「定義曖昧、表現の自由侵害」慎重論続出" 産経新聞. 2015.8.20.
- ↑MIKI Yoshihito. “Indignation meeting“. Licensed under CC-BY-SA
ディスカッション
コメント一覧
なんとなく、この記事での永井先生の懸念が、現実味を帯びてきている気がして、ちょっと怖くなってきたんですけど、日本は大丈夫でしょうか・・・?
民主党も「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」を出したことがあるし、成立に対する意欲も自民党よりも高いでしょう。特高警察の設置という戦前の間違いが繰り返されることを危惧します。
民主党がついに人権侵害救済法案を提出する方針を固めました。特高警察の設置という戦前の間違いが繰り返される可能性は非常に高くなるでしょう。
“政府・民主党は、不当な差別や虐待で人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権侵害救済法案」を次期臨時国会に提出する方針を固めた。
2002年に小泉内閣が提出(翌年に廃案)した人権擁護法案の対案として民主党が05年に作成した法案をベースに 修正を加える方針で、擁護法案で批判が強かったメディア規制条項はなく、早期成立を図る構えだ。
民主党は4月に人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム(川端達夫座長)を設置、今国会中に救済法案の骨子をまとめる予定だ。
政府は党の作業を踏まえ、人権侵害の定義、国と地方機関の組織のあり方などの制度設計を法務省で行い、
次期国会への提出を目指す考えだ。
自民、公明両党の連立政権時の擁護法案では
〈1〉人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省外局として設置
(2)取材を拒む被害者らを継続して待ち伏せることへの停止勧告――
などの内容に報道規制や救済機関の独立性への懸念が示され、自民党内でも異論があった。民主党対案は05年の衆院解散で廃案となり、同党は09年の衆院選政権公約(マニフェスト)に「人権侵害救済機関の設置」を掲げていた。 ”
[人権侵害救済法案提出へ、メディア規制なし : 読売新聞]
ところで、人権擁護法案では情報統制の問題がよく挙げられまれていましたが、人権侵害に対する救済が批判されるのは、同和対策事業によって同和利権やえせ同和問題が生まれたという苦い経験があるからでしょう。
それは、政府・民主党が人権侵害救済機関設置法案の今国会での提出を断念したというニュースだから、それ自体は良いニュースでしょう。民主党は、参議院で過半数の議席を、衆議院で2/3を超える議席を持っていないし、党内の保守派も反対しているのだから、次期臨時国会に提出しても、成立するとは限りません。もちろん、自民党をはじめ、野党内にも同和利権を擁護する議員もいるでしょうが、野党が、震災復興の分野を除いて、政府与党との対立姿勢を強めていることを考えると、与野党協調で法案が成立する可能性は低いと言えます。これまでどおり、与野党が、小さな違いを理由にそれぞれ相手の法案を否決し合って、いつまでたっても成立しないでしょう。この意味でも、大連立は望ましくありませんね。
“それは、政府・民主党が人権侵害救済機関設置法案の今国会での提出を断念したというニュースだから、それ自体は良いニュースでしょう。民主党は、参議院で過半数の議席を、衆議院で2/3を超える議席を持っていないし、党内の保守派も反対しているのだから、次期臨時国会に提出しても、成立するとは限りません。”
そうですか。今後、人権侵害救済機関設置法案が可決されるされる可能性は低いのですね。しかし、私はPC監視法が可決されて、平成の治安維持法の別の道が開かれる事を危惧しています。そもそも、震災をきっかけに全体主義が台頭してもおかしくないと思います。
“サイバー時代の治安維持法に道が開かれようとしている。「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」、通称・コンピューター(PC)監視法案が今国会での可決、成立に向けてまっしぐらなのである。
「原発・震災」のドサクサに紛れて5月23日に審議入りしたPC監視法案は30日午前、衆院法務委員会で可決されると、午後には本会議に緊急上程され可決した。民主、自民、公明党などによる圧倒的多数が賛成だからだ。
PC監視法が施行されるとどうなるか――
・捜査当局は令状なしで通信履歴の差し押さえができる。誰と誰が交信したのかが一目瞭然だ。通信の秘密などあったものではない。
・令状一本あれば、通信相手のデータも押収できる。例を挙げよう。嫌疑をかけられたのがAさんだとする。捜査当局はAさんの令状さえ取れば、Aさんの通信相手全員のデータ(通信内容つまり文面)を押収できるのである。通信相手が海外でも可能だ。
要するに権力にとって不都合な人間は「一網打尽」にできるのがPC監視法なのである。もっと端的な言い方は「ネット規制法」だ。捜査当局自身が目を見張るほど効率的な取り締まりを可能にする法律なのである。
憲法第21条が謳う「表現の自由」「通信の秘密」、第33条が定める「令状主義」を犯す可能性が高い。だが政府はそんなことお構いなしだ。
参院法務委員会の井上哲士議員によれば、与党は参院に送付されてくる前から「7日に採決してくれ」とせっついてきた、という。「自・公政権下でもこんな乱暴なことはなかった」と井上議員は眉間にしわを寄せる。
なぜ与党はここまで急ぎたがるのか。菅政権に対する不信任案が通り、解散総選挙になれば、郵政解散(2005年)で「共謀罪」が“流れた”のと同じ運命を辿ることを法務省、警察庁が危惧したためである。
PC監視法に反対するある弁護士は「エジプト市民革命の成功やウィキリークスによる政府情報の暴露が大きな背景にある」と見る。
ネットの普及で足元が危うくなりつつある新聞・テレビは、ネット監視法案の本質的な問題を伝えていない。(少なくとも筆者が新聞を読み、テレビを見る限りでは)
「民衆の力をつなぐのがネット。都合の悪いことは隠したがる権力はネットで真実が明らかにされるのを阻止したいのではなかろうか」。都内在住の男性(40代)は語った。”
[サイバー時代の治安維持法 ‐「PC監視法」成立目前 – 田中龍作ジャーナル]
「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」は、コンピュータ・ウィルス作成罪の新設などの罰則の整備が目的で、この法案が成立した後においても、捜査機関がコンピュータを差し押さえたり、プロバイダなどから、いつ誰が誰と通信を行ったかというような通信履歴を手に入れる場合には、これまでと同じように、裁判官の発する令状が必要です[いわゆるサイバー刑法に関するQ&A]。だから「平成の治安維持法」と呼べるものではないでしょう。
私は、近いうちに徹底的な情報統制が行われるようになる日は近いと思います。なぜなら、近いうちに管内閣が退陣して、自民党と民主党が大連立するからです。大連立の後に、復興を名目に大増税を行い、政府に文句を言う国民を大粛正して、恐怖心を植え付けます。そして、徹底的な情報統制を行います。まさに「赤信号。みんなで渡れば怖くない」です。治安維持法どころかロシア共和国刑法第58条の「反革命罪」に相当する法律ができてもおかしくありません。情報統制を行う背景には、FacebookやTwitterがきっかけでエジプトで革命が起こったと言われています。そして、利権者はソーシャルメディアを恐れています。
永井先生は「セーフティネットはどうあるべきか」や「民主主義はどうあるべきか」の論文を公開していますが、もう手遅れだと思います。自民党と民主党による恐怖政治が始まるだけではなく、東海地震が原因でもんじゅが爆発して日本が滅亡するか、財政破綻して日本人がIMFに隷属する運命なのですから。日本に未来はありません。
もうちょっと冷静に現実を見てはいかがですか。細かい話ですが、東海地震で事故を起こすと懸念されているのは、福井県敦賀市にあるもんじゅではなくて、静岡県御前崎市にある浜岡原発でしょう。
「冷静に現実を見なさい。」と言われても、日本に未来がないのは確かでしょう。
政府は、震災の影響で重大に事態になっているにもかかわらず、まともな政策を出さずに、権力闘争ばかり行っていることから分かる通り、政治家の頭にはカネと利権しかありません。
その一方で、若者たちは、脱原発の犠牲者が自分たちだということを知らずに、反原発デモを行っています。反原発デモの影響で、企業は海外に移動し、雇用がなくなり、日本人は貧しくなり、日本は自殺者と乞食で溢れるでしょう。そして、最終的には日本は財政破綻を起こし、日本人はIMFの奴隷になっていくでしょう。
永井先生は、「民主主義はどうあるべきか」のコメントで、財政が破綻すると、通貨価値の下落により、外国人は安価で観光旅行ができ、それを追い風に財政再建ができると述べていますが、原発事故の影響で観光業による財政再建は実質的に不可能です。
リンク先を見ましたが、「原発停止→電力不足→企業が出て行く→若年雇用が減る」という因果関係は、原発再開を望んでいる電力会社が、脱原発の動きを牽制するために吹聴しているストーリーです。むしろ、より根本的に原因を探るならば、「電力会社による地域独占→電力不足→企業が出て行く→若年雇用が減る」と考えるべきでしょう。発送電を分離して、電力を自由化すれば、供給不足の問題は解消します(電力の供給不足にどう対処すればよいか)。
それは観光が主要産業であるギリシャに関して言ったことです。日本は製造業が主要産業ですから、円安になれば、輸出産業が息を吹き返し、それによって経済の再建が可能になります。
“日本は製造業が主要産業ですから、円安になれば、輸出産業が息を吹き返し、それによって経済の再建が可能になります。”
それはどうでしょうか。世界中の市場で韓国企業の製品が席巻して日本企業を圧倒しています。それに、原発事故による風評被害で日本製品の買い控えが起きています。輸出産業による経済の再建は困難だと思います。やはり、橘玲さんが予想するように、日本にホームレスと自殺者で溢れかえり、日本人は異民族に隷属することになるでしょう。[シミュレーション 20XX年ニッポン「財政破綻」 | 橘玲 公式サイト]
話が別方向にそれてしまって申し訳ありません。
韓国の輸出企業が好調なのは、ウォン安政策のおかげです。デフレの時は、どの国も金融緩和と通貨安政策を採るものですが、日本政府と日銀は、デフレと円高を容認し続けています。
日銀総裁は、「通貨の収縮に歯止めがかからなくなり、激しいデフレが国民生活や経済活動を破壊する」ことは全く心配していないようです。
今日から侮辱罪の刑罰化が施行されるようです。これも何か問題があったりしますか?
侮辱罪の刑罰は既に存在します。きょうから始まるのは、侮辱罪の法定刑の引き上げ、つまり厳罰化です。何でも厳罰にすればよいというものではなくて、木村花さんの自殺を防ぐためにそれよりも必要だったのは、むしろ一人で大勢を装うことができるネットの匿名性の悪用の防止だったのではないかと思います。といっても、実名制を導入しろということではなくて、匿名性を維持しつつも、複数アカウントの同一性がわかるシステムが必要ということです。