最低賃金法は必要か
私たちが働く目的には、金を稼ぐ以外にも、自己実現や他者との交流や規則正し生活を送るためのメリハリなどいろいろある。仕事は百パーセント仕事でなければならず、趣味は百パーセント趣味でなければならないと政府が勝手に決めて、それを法で国民に強制するのは不当な介入である。[1]
1. 問題提起
最低賃金法は、1959年に公布された、最低賃金を保障する法律である。その第一条に、以下のように目的が記されている。
最低賃金法第一条
この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
しかし、政府が基準未満の賃金の雇用を禁止しても、水準に達しない生産性の低い労働者を失業させるだけで、それによって労働条件が改善されることはない。閉鎖経済なら話は別だが、グローバル経済の今日、企業は労働市場を全世界から自由に選ぶことができるので、最低賃金の基準を引き上げると、途上国に低賃金労働の雇用を奪われてしまう。
もっとも、1992年に米国ニュージャージ州が最低時給を $4.25 から $5.05 へと引き上げたところ、7-8か月後には、最低時給が $4.25 のままの隣接する州と比べて、ニュージャージ州のファーストフード店での正社員の雇用が増えたと報告する実証的な研究もある[2]。
たしかに、法的強制によって底辺労働の賃金が引き上げられると、求職者の数が増え、求人中の空きが埋まり、短期的一時的に雇用が増えるということがあるだろう。しかし、しばらくすると、採算が取れない事業者が撤退を始めるので、長期的には雇用が減ることになる。その後、より包括的な実証的研究が行われ、最低賃金の規制は、長期的には雇用に悪影響を与えるという結論が出されている[3]。
現在世界の多くの国が最低賃金を規制しているが、シンガポールのように最低賃金の規制がない国もある。シンガポールの失業率は、そのため非常に低く、2010年現在 2.2% で、5.1% の日本よりも(そして大半の先進国よりも)低くなっている。それでいて、シンガポールの一人あたりの GDP は、2011年現在 49,271ドルで、45,920ドルの日本よりも高い。シンガポールは、その代わり、所得格差が日本よりも大きいが、雇用政策という点では、日本より成功しているということができる。
日本では、最低賃金が生活保護の受給額を下回る逆転現象が問題視されて、2007年に最低賃金法が改正された。その結果、基準の引き上げ、違反業者に対する罰則の強化、適用除外制度の廃止と減額措置制度の新設など、規制が全般的に強化された。だが、こうした規制の強化が正しい選択だったとは言えない。むしろ、最低賃金の引き上げ→失業者の増加→生活保護受給者の増加→財政の悪化→増税→景気の悪化と企業の海外移転→失業者のさらなる増加→… という悪しき影響を及ぼすことになった。
2008年末から始まった年越し派遣村騒動をきっかけに、肉体的には働くことができる貧困者への生活保護支給が容認されるようになり、現在、その支給額の急増が社会問題化している。この問題を解決するために必要なことは、政府や自治体がよくやるような、自立支援と称して役所の業務を肥大化させることではない。余計な金をかけなくても、二つの制度変更だけで、この問題は解決できる。一つは最低賃金法を廃止することであり、もう一つは生活保護を就労意欲を高める制度に変更することである。
現行の日本の生活保護制度は、受給者の就労意欲を高めない制度となっている。以下の図は、日本の生活保護と米国の公的扶助(TANF=Temporary Assistance for Needy Families)における就労収入と総収入の関係を図解したものである。
日本では、受給者が働いても、就労収入金額が増えた分、支給額が減額されるので、総収入はほとんど変化しない。これに対して、米国のTANFでは、就労収入金額の増加に伴って総収入が増えるので、扶助が就労意欲を阻害することはない。日本の生活保護制度も TANF 型の仕組みに変えるべきである。
これに加えて、「セーフティネットはどうあるべきか」で既に提案したように、バウチャーによる支給を行えば、用途自由の現金に対する需要が増えるので、受給者の就労意欲はさらに高まる。最低賃金法を廃止すれば、就労意欲のある受給者のほとんどが就職することができるだろう。たとえ就労収入金額がわずかでも、その増加は支給金額の減少につながるので、それは財政支出の削減につながる。
最低賃金法廃止のメリットは、これ以外にもう一つある。それは、多目的な労働を可能にするということである。最低賃金法の制定者は、労働の目的は、金を稼ぐことだけだという前提に立っているが、この前提を疑わなければならない。私たちが働く目的には、他にも、自己実現や他者との交流や規則正し生活を送るためのメリハリなどいろいろある。それらを純粋に趣味あるいは消費活動として行うことも可能であるが、仕事と兼ねて実現することも可能である。にもかかわらず、仕事は百パーセント仕事でなければならず、趣味は百パーセント趣味でなければならないと政府が勝手に決めて、それを法で国民に強制するのは不当な介入というものである。
具体例を一つ上げよう。今一人暮らしの育児経験のある高齢女性が、孤独ゆえの寂しさを解消したいと思っているとしよう。ペットを買って飼育するというのも一つの方法であるが、それは百パーセント趣味であり、純粋な消費活動である。しかし、近所の乳幼児を預かって面倒を見るなら、それは労働しての性格を帯びる。低料金で託児を頼みたいが、認定保育園の定員が満員で困っている共働きの夫婦にとってそうした人が近所にいることはありがたいことであるが、両者を結び付ける事業は、最低賃金法などの規制によって阻まれている。
現代の日本では定年退職した高齢者の数が増えている。彼らの中には、低賃金でもよいから、趣味と実益を兼ねた仕事をしてみたいという人は少なくないが、そうした潜在的需要は、最低賃金法によって満たされない状態となっている。高齢化社会にふさわしい労働の多様化を促進するという観点からも、最低賃金法の廃止を考えたいものだ。
労働型目的であるということは、生活保護受給者に低賃金労働をさせる理由にもなる。低賃金であっても、働くことで、人は自分が社会に役立つ存在であるということを実感する。そして、自分が他者から必要とされている、感謝される存在であることを感じることが、人の精神を健全に保ち、人を自殺から防ぐ。
生活保護を受けている人の自殺率が、2009年は10万人当たり62.4人と、全国平均の2倍を超えることが9日、厚生労働省の調査で明らかになった。生活保護受給者の自殺率を出したのは初めて。うつ病など精神疾患がある人の割合が高いことが背景にあると見られる。
07年から09年について全国の福祉事務所の報告をまとめた。3年間の自殺者は計2465人で、10万人当たりの自殺率は07年が38.4人、08年が54.8人、09年が62.4人と年々増加。08年の全国平均(25.3人)を大きく上回った。
3年間に自殺した受給者の66.2%に精神疾患があり、全人口に占める精神疾患の人の割合(推計2.5%)と比べて高かった。同省は今後、福祉事務所に精神ケアの専門家を増やすことなどを検討する。[6]
役所というところは、いつも「精神ケアの専門家を増やす」など、政府支出を増大させる方法で問題を解決しようとするものだ。生活保護受給者の自立を促すために無料の職業訓練を行うなどの事業もそうである。そういう金のかかる解決策よりも、受給者を多目的労働に従事させる方が、たんに金がかからないだけでなく、より根本的か問題解決になる場合がある。
最低賃金法を廃止すれば、生活保護受給者が手にすることができる賃金は、最初はごくわずかであろう。それでも働いているうちに仕事に慣れ、コミュニケーション技術を身につけ、それに伴って、賃金も上昇し、最終的には、本当に自立することができるようになる。こうした職業訓練を兼ねた多目的労働も、最低賃金法の廃止によって容易になる。
もちろん、現行の最低賃金法でも、以下のような場合は、最低賃金減額措置の対象となる(第七条)から、現行法のもとでできなくはない。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試の使用期間中の者
- 職業能力開発促進法の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの
- 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者
しかし、これらの減額措置を受けるには、都道府県労働局長の許可が必要で、申請して許可を受ける側にも、許可を出してそれを監督する側にも相応のコストがかかる。賃金水準など、契約者が同意すればそれでよいのであり、政府という第三者が介入することで行政コストを高めなければならない理由は何もない。
最低保証をなくせばおっしゃるように失業率は良くなるが地域間の格差が中国みたいに決定的になると思う。
もともと仕事が少ない田舎では当然に賃金が右肩下がりになり地域は徐々に衰退。そして都会に労働者が流入するもいずれ労働力供給過多になるので都会の下層労働者も右肩下がりに。
田舎・都会ともに労働階級にお金が渡らなくなるのは消費者が減少することを意味するが、グローバル企業は社会に帰属性は皆無なので消費者がいなくなればそこに留まる理由は消え失せさっさと鞍替え。
寄生虫みたいに養分を吸いとり吸い尽くせば他の場所にいく。地域を破壊するようなグローバル企業を後押しするような政策に未来は暗いと思います。
これはコラムを読む前の持論です。(コラムを読んだ後に持論が影響されるのか実験してみようと思っています。)
契約とは、全く自由意志によって行われるべきだと思うのです。賃金を報酬とした雇用契約も基本的には同じだと思います。そもそも金銭感覚は個人の問題です。安い賃金でも、その仕事に意義を感じていたり、楽しいと思っている人もいるはずで、最低賃金を設定すると、そうゆう事業自体が存在できなくなります。その事は世の中の多様性を失わせてしまう事にもなります。国家や政府が、国民の最低の生活を保証しましょうという事自体、なんか社会主義的だし、単に政権与党側のコマーシャルに思えてしまいます。
コラム読了後の感想です。偶然、反対という同じ立場だったので、さらに反対という確信が得られました。
最低賃金法初めて読みましたが、まるで化石にしか思えません。
労働の多様化、偶然符合したので、うれしくなってしまいました。一方で、労働という概念自体が古臭く思えてきました。労働=生活の為の自己犠牲をともなう一種の奴隷的社会活動。もっとプラスのイメージを持った新語が必要かもしれません。
生活保護者のうつ病率、これは生活保護をうける事でうつ病になっている気がします。そうゆう意味で、”「精神ケアの専門家を増やす」”はやはり本末転倒。
弱者等も含め職業訓練については反対です。(弱者については別の配慮が必要です)そもそも職業訓練は結局雇用側の都合の良い低賃金労働者を作りだす事になると思います。現在の成熟し高教育水準の日本においては、新しい職業、サービス、事業を個人で創出できる可能性がおおいにあると思います。政府は、この職業における社会的イノベーションを起こりやすい環境を用意すればいいのであって、いまさら過去の旧態とした技能など教えても意味がないと思います。
”賃金水準など、契約者が同意すればそれでよいのであり、政府という第三者が介入することで行政コストを高めなければならない理由は何もない。”全く同感です。
サイモン さんが書きました:
最低保証をなくせばおっしゃるように失業率は良くなるが地域間の格差が中国みたいに決定的になると思う。
サイモンさんは地域間格差があることが悪だと思っているようですが、まずはこの常識から疑ってください。一般的に言って、農村部の平均賃金は都市部の平均賃金よりも低い。しかし、農村部では物価(とりわけ住居コスト)も低いので、生活は貧しくありません。もしも人々の移動が自由で、市場原理が機能し、かつ政府が余計なことをしなければ、都市部での生活の豊かさと農村部での生活の豊かさが同じになる均衡点で平均賃金の格差と地価の格差が決まるはずです。
ところが、歴代自民党政権は「都市部の人々は豊かで、農村部の人々は貧しい」という先入観に基づき、都市部で集めた税金を農村部にばらまくという政策を長期にわたって続けてきました。自民党が2012年6月5日に提出した国土強靭化基本法案を見ると、この政党の政策は相変わらずだということがわかります。彼らは「地方は弱者だから金をばらまかなければいけない」と思ってやっているようですが、実際には、逆に、政府が金をばらまくことで地方から経済的自立を奪い、その結果、地方が弱者になってしまっているのです。
サイモン さんが書きました:
もともと仕事が少ない田舎では当然に賃金が右肩下がりになり地域は徐々に衰退。
最低賃金法廃止の狙いは、本文に書いたように、途上国に奪われている低賃金労働の雇用を奪い返すことにあります。そして、その恩恵を受けるのは、都会よりも田舎でしょう。田舎ほど地価が安いので、その上さらに人件費まで安いのであれば、途上国の条件に近付くので、グローバル企業が生産拠点を建設しやすくなります(これ以外に金融政策による円高是正が必要なのですが、この話はここでは措いておきましょう)。
都会と田舎に当てはまる議論は、そのまま先進国と途上国に当てはまります。途上国の平均賃金は先進国の平均賃金よりも低い。しかし、途上国では物価も低いので、生活は賃金格差ほど貧しくありません。もしも人々の移動が自由で、市場原理が機能するならば、最終的には先進国での生活の豊かさと農村部での生活の豊かさが同じになるでしょうが、平均賃金や地価が同じになることはありません。
先進国における地方は、先進国の中の途上国のようなものであり、途上国とライバル関係にあります。だから、途上国との競争に負けないようにしてやらなければいけないのです。途上国での平均賃金はかつては非常に低かったけれども、最近はかなり上昇しています。グローバル企業を誘致することで、これと同じことを日本の地方でも起こせば、日本の地方も豊かになるでしょう。「地方の活性化」と称して無駄な公共事業をするよりも、民間主導の投資を促進する方が、自立的で持続可能な地域の発展をもたらします。
私が見るところ、サイモンさんは、リベラル派経済学者によく見られる二つの誤謬を犯しているように思えます。
- 政府は地域間、個人間、業界間等の経済的格差を是正しなければいけない。
- 政府は個人消費を増やすことで経済を成長させなければならない。
この二つの命題がなぜ間違っているのかに関しては、また機会を改めて詳述したいと思います。
途上国がライバルとありますがその通りだと思います。しかし田舎がたとえ低賃金になろうと途上国に勝てるとは思えません。グローバル企業が根を下ろすとは思えません。
理由は大きく分けて2つあります。まず1つめは、東アジアの途上国の多さです。まだまだ成長&バブルが期待できる国が近くに沢山あります。日本では既にシェアがある程度決定しているのでバブルは起きません。円グラフでいえば%が動くだけで円の面積自体が大きくなるわけではありません。一方途上国では面積が大きくなります。つまりバブルが起きやすい環境です。グローバル企業は社会に帰郷しません。資本に帰郷しています。それならば、途上国の方が魅力ある土地ではないでしょうか?
あと1つは前俊先生がおっしゃられておられますが、為替の問題です。日本は円です。この足枷があるかぎり低賃金労働力の国際競争で最初から勝てるわけがありません。では円高が足枷なら円安に誘導すれば勝てるのか?円安に誘導すれば今度は石油代が上がります。電気代とガソリン代が上がります。交通の便が悪い田舎は1人一台の車社会です。仕事は増えるが変わりに賃金は下がりさらにガソリン代が上がる。生活は困窮するのではないでしょうか?
田舎は円高なら仕事がなく、円安なら車社会が成り立たない。田舎を捨てそして都市に集まる。待ち受けるのはギリシャのような都市国家でしょうか?例に出しているシンガポールも都市国家です。そして成功しているのはそこにいる労働者ではなくグローバル企業だと思います。
国はグローバル企業の幸せを目指すのでしょうか?
サイモン さんが書きました:
日本では既にシェアがある程度決定しているのでバブルは起きません。円グラフでいえば%が動くだけで円の面積自体が大きくなるわけではありません。一方途上国では面積が大きくなります。つまりバブルが起きやすい環境です。
バブルは過剰な金融緩和によって起きる現象であり、1990年以降、日本でバブルが起きなくなったのは、日銀が羹に懲りて膾を吹いて、デフレを放置しているからです。日本でもバブルを起こそうと思えばいつでも起こすことはできます。もちろんバブルは起こしてはいけないのですが。
私は、この投稿で資産インフレターゲットを提案しましたが、この方法なら、バブルとデフレという両極端を排除して、日本経済を健全に成長させることができると思っています。またこの方法なら、円高も阻止することができます。詳しくはリンク先をご覧ください。
よく新興国との比較で「日本は成熟国家だから成長しない」といった主張をする人がいますが、そういう文明論的というか運命論的な諦めをしている人たちは、日本よりも資本主義の歴史が長い、その意味で日本以上の成熟国家である米国が日本以上に成長しているという事実をどう説明するのでしょうか。リーマン・ショックの当事者であるにもかかわらず、米国がこの危機を日本以上にうまく切り抜けることができたのは、金融政策が優れていたからと私は考えています。
サイモン さんが書きました:
グローバル企業は社会に帰郷しません。資本に帰郷しています。
グローバルだろうがローカルだろうが、企業に愛郷心とか愛国心を求めてはいけません。労働者に愛郷心や愛国心に基づく公益への利他的な奉仕の精神とかを求めてはいけないのと同じことです。企業も労働者も自分の利益を追求すればよいのです。
今、サイモンさんが想像するように、企業が利己的で、低賃金労働を搾取して大儲けしていると仮定しましょう。もしもそれほど儲かるのであれば、他にも企業が進出するでしょうから、労働者の奪い合いが起きます。そして労働者も利己的ですから、少しでも賃金の高いところに転職しようとします。その結果、賃金は適正な水準まで上昇します。
このように、市場原理が機能しているのであれば、企業も労働者も、利己的であるにもかかわらず、否それゆえに、共存共栄の関係を持ちうるのです。だから、企業が利己的に振る舞っているからといって、害悪視してはいけません。
サイモン さんが書きました:
日本は円です。この足枷があるかぎり低賃金労働力の国際競争で最初から勝てるわけがありません。では円高が足枷なら円安に誘導すれば勝てるのか?円安に誘導すれば今度は石油代が上がります。電気代とガソリン代が上がります。交通の便が悪い田舎は1人一台の車社会です。仕事は増えるが変わりに賃金は下がりさらにガソリン代が上がる。生活は困窮するのではないでしょうか?
まず、円高だから国際競争に勝てないとは必ずしも言えないということを確認しましょう。企業は賃金水準だけを基準にして投資を決めているのではなくて、労働者の質やインフラや治安など様々なファクタを勘案して決めます。だから、グローバル企業を誘致するために、日本の労働者の賃金の水準をバングラデシュやミャンマーのレベルにまで引き下げる必要はないのです。
もとより今(2012年6月)の円のレートは高すぎるので、これを引き下げる必要があると思います。円安を誘導するインフレ政策を実行すると、たしかに輸入しているエネルギーの価格は上昇しますが、他方で国産エネルギーは安くなるので、エネルギー自給率の改善が期待されます。日本には豊富な有機物資源があるにもかかわらず、輸入する有機物資源の価格があまりにも安いので、これまで十分活用されてきませんでした。インフレ円安政策をきっかけにエネルギーの地産地消化を進めれば、たんに輸送コストを削減することができるだけでなく、国内に雇用と富をもたらすのだから、悪いことではないでしょう。
永俊先生は低賃金労働で儲けている企業がいた場合、他の企業も進出し労働力の奪いあいが発生する。そして賃金は上がると言っていますが現実はどうでしょうか?
いま世界全体がデフレに向かっております。生産よりも需要の方が少ないのに労働力市場で適正な賃金になるような市場原理がうまく働くのでしょうか?
また円高に関しても、アメリカが輸出倍増計画の真っ最中ですがうまくいくでしょうか?
最低賃金を自由にしたとしてグローバル企業がやってくる見込みはないと思います。一見労働者にメリットがあるかのような言い方ですが、私には企業の犬にしか見えません。
サイモン さんが書きました:
永俊先生は低賃金労働で儲けている企業がいた場合、他の企業も進出し労働力の奪いあいが発生する。そして賃金は上がると言っていますが現実はどうでしょうか?いま世界全体がデフレに向かっております。生産よりも需要の方が少ないのに労働力市場で適正な賃金になるような市場原理がうまく働くのでしょうか?
デフレで下がるのは名目賃金であって、実質賃金ではありません。デフレを放置することは経済にとって問題ですが、それは別の理由によります。
サイモン さんが書きました:
また円高に関しても、アメリカが輸出倍増計画の真っ最中ですがうまくいくでしょうか?
オバマ大統領は、中国やインド向けの輸出を倍にすると言っていますが、日本には言及していません。もしも米国が日本への輸出を増やそうとするなら、アラスカで採掘される安価なシェールガスが有力な輸出品候補となります。
石油に連動した価格でアジアのスポット市場からLNGを購入している東京では、現在、100万ブリティッシュ・サーマル・ユニットあたり約16〜17ドルを支払っている。ブルッキングス研究所の調査によると、2020年にアラスカから日本へLNGを輸送する場合、コストは11ドル以下となり、輸入価格が大幅に下がり、アジアの高い需要が継続して確保され、アラスカの経済にも恩恵がもたらされるという。[7]
日本が中東の代わりにアラスカから天然ガスを輸入することができるようになれば、天然ガスの価格が3割以上下落する上、ホルムズ海峡を通る輸送路にエネルギー源を依存する地政学的リスクを引き下げることになるのだから、日本にとっては良いことだと思います。
もちろん、地政学的リスクをもっと引き下げるには、国内にエネルギー源を見出さなければいけません。そういえば、昨日こういうニュースがありましたね。
経済産業省は18日、新潟県・佐渡島の南西沖で来年4月から石油と天然ガスの掘削調査を実施すると発表した。埋蔵の可能性がある面積は約135平方キロで、埋蔵が確認されれば中東の中規模油田並みとなり、国内最大級となる可能性もある。2013年末まで掘削調査を進め、10年後の23年以降の商業化を目指す。[8]
いずれにせよ、エネルギー源は、リスク分散のためにも、多様化するべきでしょう。
元の話題に戻りますが、オバマ大統領は、輸出を増やすと言っていますが、輸入を減らすとは言っていません。米国は消費性向の高い国なので、輸出が増えれば、結果として輸入も増えるでしょう。リカードの比較生産費説を援用するまでもなく、自由貿易の拡大はすべての国の利益になります。
サイモン さんが書きました:
最低賃金を自由にしたとしてグローバル企業がやってくる見込みはないと思います。一見労働者にメリットがあるかのような言い方ですが、私には企業の犬にしか見えません。
たぶんサイモンさんは、労使の利害を対立的に考え、一方の利益は他方の損害になるというゼロサム的な発想にとらわれているのだと思います。こういう発想は経済においては不毛であり、雇用においても貿易においても、Win-Win の関係を自他の間に築き、全体の富のパイを大きくするという発想が必要です。最低賃金法を廃止し、生活保護受給者に職を与えることができるようになれば、それは、総収入を増やすことができる生活保護受給者にとっても、低賃金労働を活用できる企業にとっても、安い製品を買うことができる消費者にとっても、そして生活保護費用を拠出している納税者にとっても利益になります。
デフレを放置することは経済にとって問題とありますが、私には最低賃金引き下げはデフレを加速する政策そのものだと思いますが…
法整備にインフラ、労働者の勤勉さと様々な要因があるのは分かります。しかしデフレの世の中で市場を軽視しすぎではないでしょうか。
ミャンマーはピラミッドの低階層、しかし日本はピラミッドの中階層で勝負するから大丈夫とおっしゃられているように理解しますが、では中階層が作る商品は誰が買うのでしょうか?今までは日本とアメリカがその役割を果たして居たと思いますが、日本の消費者が居なくなれば(給料が減ったら)益々中階層の労働力は要らなくなるのではないでしょうか?
デフレで困っている国でデフレスパイラルを加速させる政策を唱えてどうなるか?ただでさえ需要ギャップが大きく消費が冷え込む市場に、更に大多数の労働者の給料を安くすればどうなるか?
また、例えば時給が半額になったとしましょう。既存の企業がその浮いた金で人件費でさらに人を雇うかといえば必ずしもそうではないでしょう。かといってグローバル企業が来たところでその数字はたかが知れています。本当に失業者数は減るのでしょうか?
私には若干雇用が増えるメリットより、市場が消えるデメリットの方が大きいと思います。なぜならば、数字をみれば分かりますが日本は外需依存ではなく内需の国だからです。つまり自らの市場で自ら商売をして雇用の大半を確保しています。
韓国は日本の半分の平均賃金で、外需依存の高く、さらに為替安の国です。永俊先生のおっしゃられついる内容に近いように私には感じられますが、現実はどうでしょうか?サムスンなど一部のグローバル企業に搾取され、まさに悲惨そのものです。
サイモン さんが書きました:
ただでさえ需要ギャップが大きく消費が冷え込む市場に、更に大多数の労働者の給料を安くすればどうなるか?
最低賃金法を廃止しても、最低賃金を超える賃金をもらっている労働者の賃金水準はほとんど変化しません。最低賃金と同じでないことからもわかるように、彼らの賃金は、この法律とは無関係な要因で決まっているからです。ボーダーライン近辺には影響があるかもしれませんが、水準未満だった失業者が賃金を得るようになり、また保険金や税負担の軽減もあって、国民全体の可処分所得が増えるのだから、結果として消費は増えることになります。
サイモン さんが書きました:
韓国は日本の半分の平均賃金で、外需依存の高く、さらに為替安の国です。永俊先生のおっしゃられついる内容に近いように私には感じられますが、現実はどうでしょうか?サムスンなど一部のグローバル企業に搾取され、まさに悲惨そのものです。
韓国の賃金が日本の半分以下だったのは10年以上前の話で、今ではあまり差はありません。以下のグラフは、2010年の米ドルで計測した過去20年間(1990-2010年)の日本と韓国の一人当たり実質GDPの変化です。韓国の伸びが3倍弱であるのに対して、日本はほとんど増えていません。インフレの影響を受ける名目所得では、上昇率の差がさらに大きくなります。所得の上昇という点では、日本の方が韓国よりもはるかに悲惨です。
ところで、サイモンさんが謂う所の「前俊先生」とか「永俊先生」というのは誰のことなのでしょうか。
“最低賃金を超える賃金をもらっている労働者の賃金水準はほとんど変化しない"とありますが、その中産階級を支えているのは国内の中産階級消費者層です。その支えている市場が少なくなるため影響がないはすがありません。どんどんボーダーに落ちていくでしょう。因に、例に上がった韓国では非正規雇用には最低賃は適用されまんが、ボーダーとも言える非正規雇用は全体の約4分の1にものぼります。
韓国の賃金が日本の半分以下だったのは10年以上前の話ではあまりせん。2011年当時のレートで342円です。
そして永俊先生はなぜか実質GDPの話にすり替えてますが、実質賃金はどうでしょうか?GDPの推移と同じとは言えず2010年までは三年連続で韓国の実質賃金は下がっています。
GDPとは企業の数字です。企業の数字が伸びても、個人の数字である実質賃金は同じようについていきません。
最低賃金の規制をなくしグローバル企業を誘致すれば幸せになるなど真っ赤な嘘です。グローバル企業は肥えますが賃金による還元がないため市場はむしろ痩せていきます。グローバル企業の依存度が高くなれば政治にくいこんできます。グローバル企業が最優先になった社会では過度の為替安や奴隷政策、環境破壊に向かうでしょう。メディアは買われ、政治家は買われ、税金は公的資金という企業を守るためにつかわれ、権力肥大した企業を前に民主主義は否定され企業主義にとってかわられると思います。
民主主義大国アメリカでさえ、シェールオイルの地下水汚染に対しなすすべがありません。ウォール街では毎日のようにデモがあります。
グローバル企業は決してホワイトナイトではありません。
サイモン さんが書きました:
“最低賃金を超える賃金をもらっている労働者の賃金水準はほとんど変化しない"とありますが、その中産階級を支えているのは国内の中産階級消費者層です。その支えている市場が少なくなるため影響がないはすがありません。
「最低賃金を超える賃金をもらっている労働者の賃金水準はほとんど変化しない」にもかかわらず、なぜ国内の中産階級消費者層の市場が少なくなると言えるのですか。「水準未満だった失業者が賃金を得るようになり、また保険金や税負担の軽減もあって、国民全体の可処分所得が増えるのだから、結果として消費は増える」という私の主張に対する反論になっていません。
サイモン さんが書きました:
因に、例に上がった韓国では非正規雇用には最低賃は適用されまんが、ボーダーとも言える非正規雇用は全体の約4分の1にものぼります。韓国の賃金が日本の半分以下だったのは10年以上前の話ではあまりせん。2011年当時のレートで342円です。
私は最低賃金ではなくて、平均所得のことを言っています。例えば、あるクラスと他のクラスの学力を比較する時、両者の平均の学力を比較するべきで、最下位の生徒の学力を比較しても意味がありません。賃金や所得に関しても同じことが言えます。
サイモン さんが書きました:
そして永俊先生はなぜか実質GDPの話にすり替えてますが、実質賃金はどうでしょうか?
生産=分配=支出という三面等価の原則からすれば、国内で生産された付加価値額の合計である国内総生産(GDP)、国内で新たに生産された財やサービスの付加価値額の合計である国内総所得(GDI)、国内所得で財やサービスを購入するために支出された合計金額にあたる国内総支出(GDE)は同じです。
サイモン さんが書きました:
グローバル企業は肥えますが賃金による還元がないため市場はむしろ痩せていきます。
グローバル企業が進出した新興国の国民所得がどうなったのか、現状をよく見てください。
サイモン さんが書きました:
グローバル企業の依存度が高くなれば政治にくいこんできます。
グローバル企業と政治の癒着は悪だが、国内企業と政治の癒着は善なのですか。私は、両方とも悪だと思います。企業と政治の癒着を減らす方法に関しては、「民主主義はどうあるべきか」をご覧ください。
サイモン さんが書きました:
民主主義大国アメリカでさえ、シェールオイルの地下水汚染に対しなすすべがありません。
民主主義国家だからこそ、そうした現政権にとって不都合な問題が取り上げられるのであって、独裁国家なら報道されることすらないでしょう。シェールガス採掘がもたらす環境破壊は、水圧破砕法(Hydraulic fracturing)が原因であり、技術的改良によって解決されるべき問題でしょう。
サイモン さんが書きました:
ウォール街では毎日のようにデモがあります。
これに関しては、拙著「オキュパイ・ウォールストリート」をご覧ください。
ところで、「永俊」というのは誰のことですか。私のことなのですか。私の名前は「永井俊哉」といいます。
「永俊」で検索したら、こういう人たちが出てきました。まさか、この人たちのことを言っているのではないとは思いますが。
- 住吉永俊:鎌倉時代の画家
- カタリナ永俊:江戸時代のカトリック鹿児島司教区
- 狩野永俊:江戸時代中期-後期の画家
- 山田永俊:明治-昭和時代の医師
- 李永俊:弘前大学教授
まず最初にあやまります。名前を間違えてすいません。そして、永俊先生としたのは別に気分を害するのが目的ではなく個人的に永井先生とお呼びしている方が既に居たためです。以降永井俊哉先生とお呼びさせていただきます。
ついでに
×ギリシャ ○古代ギリシャ
×需要ギャップ ○需給ギャップ
×因に ○因みに
他にも間違いがあるかもしれません。
なぜ中産階級の消費者が減るのかについてですが世帯単位で考えればその謎が解けるかと思います。2002年の古いデータではありますが、最低賃金労働者で一番多かったのが世帯年収は500万以上の世帯員です。その比率は50.5%とあります。このように世帯単位でみれば最低賃金労働者=貧困所得世帯という考えは間違いであり、永井俊哉先生がおっしゃられている中所得世帯に影響は無いというのは明らかに間違いであると分かります。
因みに影響を受けやすいと思われる非正規雇用ですが、労働人口6200万人のうち非正規雇用の数は1800万人にものぼります。
ゲスト さんが書きました:
なぜ中産階級の消費者が減るのかについてですが世帯単位で考えればその謎が解けるかと思います。2002年の古いデータではありますが、最低賃金労働者で一番多かったのが世帯年収は500万以上の世帯員です。その比率は50.5%とあります。このように世帯単位でみれば最低賃金労働者=貧困所得世帯という考えは間違いであり、永井俊哉先生がおっしゃられている中所得世帯に影響は無いというのは明らかに間違いであると分かります。
これは以下の箇所に対する批判でしょうか。それなら、的外れです。
永井俊哉 さんが書きました:
「最低賃金を超える賃金をもらっている労働者の賃金水準はほとんど変化しない」にもかかわらず、なぜ国内の中産階級消費者層の市場が少なくなると言えるのですか。「水準未満だった失業者が賃金を得るようになり、また保険金や税負担の軽減もあって、国民全体の可処分所得が増えるのだから、結果として消費は増える」という私の主張に対する反論になっていません。
私もサイモンさんも「貧困所得世帯」とか「中所得世帯」といった表現は使っていません。この引用文で使われているのは、「中産階級消費者層」という言葉ですが、これは、文字通り解するならば、「中産階級に所属する個人の集合」という意味であって、中所得世帯ではありません。そもそも階級の単位は、特に断らなくても、個人であって、世帯ではありません。だから、同じ世帯に中流階級の個人と下流階級の個人がいるということもありうるのです。
あるいは、あなたが言いたいことは、最低賃金法を廃止しても、中流階級の個人は直接には影響を受けないものの、中流階級の個人が最低賃金で働いている個人と同じ世帯に所属する時、後者の賃金の下落が世帯の所得の減少を、さらには前者の消費の減少を帰結するということなのかもしれません。たしかにそういう世帯もあるでしょうが、他方で、それまで職を見つけることができず、世帯主に扶養されていた世帯員が職に就くことができるようになって、世帯全体の消費が増えるということもあるでしょう。
私は、「ボーダーライン近辺には影響があるかもしれませんが、水準未満だった失業者が賃金を得るようになり、また保険金や税負担の軽減もあって、国民全体の可処分所得が増えるのだから、結果として消費は増えることになります」と書きましたが、生活保護受給世帯が勤労世帯に扶養されているように、勤労世帯内部でも働いていない世帯員が働いている他の世帯構成員に扶養されているのですから、同じことは中流階級の個人と下流階級の個人が同居している世帯についても言えます。その意味でもやはり「私の主張に対する反論になっていません」と言わなければなりません。
ゲスト さんが書きました:
因みに影響を受けやすいと思われる非正規雇用ですが、労働人口6200万人のうち非正規雇用の数は1800万人にものぼります。
これは、最低賃金の労働者の数が多いという印象を与えたくて言っているのでしょうか。非正規雇用の労働者は必ずしも最低賃金で働いているとは限らないので、参考にはなりません。最低賃金で働いている労働者の割合(最低賃金労働者比率)は正確にはわかりませんが、川口大司さんは、以下のような推計をしています。
最終学歴 | 最低賃金労働者比率 |
---|---|
中卒 | 18.47-33.47% |
高卒 | 13.48-26.20% |
短大・高専卒 | 11.56-23.93% |
大卒 | 3.06-7.39% |
全体の比率は、これらの加重平均で求められますが、誤差が大きくて、正確な数字が出せません。高く見積もっても二割程度でしょうから、いずれにせよ、中流階級が最低賃金で働いているとは言えないでしょう。
厚生労働省は26日、2012年度の最低賃金の目安作りにとりかかる。焦点は賃金より生活保護の支給額が大きい「逆転現象」を解消できるかどうか。政府は全国最低800円の底上げ目標を掲げて逆転の解消を急ぐが実現は遠い。労働組合側が引き上げを求める一方、厳しい経済情勢のもとで企業は大幅な最低賃金上げに応じづらい。
厚労相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会で労使の代表と学識者が審議する。7月末に目安を示し、各都道府県の地方審議会が夏以降に地域別の最低賃金を決め、今秋から新しい基準を適用する。
昨年度は東日本大震災による企業業績の悪化を受けて上げ幅は5年ぶりに1ケタにとどまった。生活保護と最低賃金の逆転は6地域で解消したが、北海道・宮城県・神奈川県の3道県で残った。逆転状況を放置すれば低所得者の働く意欲を低下させ、生活保護の受給者が増える可能性がある。「過去5年で解消は大きく進んだが、北海道などの経済低迷が全体の解消を遅らせている」(労働政策研究・研修機構の浜口桂一郎統括研究員)
政府は10年の雇用戦略対話で「できる限り早期に全国最低800円を確保する」と目標を掲げたが、昨年度の全国平均は737円。最低額は岩手・高知・沖縄県の645円で引き上げ額は1~3円にとどまった。逆転を解消した地域で引き上げの推進力が弱まることも考えられ、目標達成は遠い。
日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「経済が低迷するなかで一方的に賃金を上げると企業が雇用を減らす可能性もある。最低賃金上げと併せて地域に合わせた産業活性化策も具体的に進めないといけない」と指摘する。[10]
民主党政権の問題意識と解決策は、2007年の時とほとんど変わらない。2007年といえば、まだ自民党が与党であった時期だが、2007年7月29日に実施された第21回参議院議員選挙で自民党は大敗し、民主党が躍進した。このため、2007年ごろから、民主党が国会での主導権を握りつつあった。だから、2007年11月28日に参院で可決した改正最低賃金法も、労働組合を支持母体とする民主党の意見が反映された改正だったと言ってよいだろう。最低賃金より生活保護の支給額の方が大きい逆転現象が問題であることは確かであるが、最低賃金を引き上げることでことでこの問題を解決しようとする民主党の解決策は間違っている。山田久は、「最低賃金上げと併せて地域に合わせた産業活性化策も具体的に進めないといけない」と言うが、最低賃金法の廃止こそが「地域に合わせた産業活性化策」になるという発想はないのだろうか。
最低賃金法は必要かと言われれば、必要だと思います。永井先生の意見には反対です。
永井俊哉 さんが書きました:
しかし、政府が基準未満の賃金の雇用を禁止しても、水準に達しない生産性の低い労働者を失業させるだけで、それによって労働条件が改善されることはない。
確かにその意見もごもっともだと思います。でも、最低賃金がいくらにすべきか?と言われれば、個人的には現在の額はぼぼ妥当に近い額で設定されているのではとは思ってはいます。私が思うに、この最低賃金法は必要かというテーマに対して、こういう社会が望ましいというイメージが、みんなずれているから、議論がかみ合わないものだと思います。
競争相手は確かに日本国内だけではなく、市場原理に基いて人件費はそれなりに決まるだろうし、最低賃金を上げれば、競合の発展途上国に職を奪われますというのは当たり前のお話でそれも理解できます。実力に基いて賃金を決める、もっと聞こえが良い言い方をすればがんばった人が稼ぐという社会が望ましいと言えば誰もNoとは言わないでしょう。でも、現実には持てるものと持たざる者の立場の違いは現実に存在します。雇用主と雇用人、もっとわかりやすく言えば、お金貸している人と、お金借りている人。
最低賃金を決めるというのは、雇用主に課せられた一定の義務であって、普通の人でも働いてもらっても利益が出せるような仕事を用意しなさい意味では有用だと思ってます。それと共に、ある程度の収入を得つつ仕事をしていくことで、本人が伸びるチャンスも生まれます。僕は、失業してお金なくてえらく苦労したことがありましたが、割に合わない賃金だったとしても当然手を出しました。トイチの借金でもできるならしようと手だそうと思った位です。なにせ、手元に現金がないのだから、食うに困りましたので。社会にはそういった状況に追い込まれた人がいますし、時給100円ですと言われても手出します。10時間働いて1000円稼げれば、その日は暮らせるでしょうから。
永井先生が言われることもわかりますが、その弊害の方が吟味できていないという点で反対です。市場原理に基づくのであれば、児童に労働させた方が割安ですし、発展途上国ではあってもそれは先進国は法律的に禁止ですから、同じ弱者の定年過ぎた老齢者が追い込まれたら格安賃金でも働きます。それを許せば、格差ばかり広がります。それでもがんばって、貧困から脱出できる人もいるとは思いますが、平均的な人間レベルなら格差固定で格差はますます広がるのは当然の帰結のように思えます。
最低賃金はいくらにすべきか?という点は難しい問題ではありますが、なくして良いなんていうのは反対です。
最低賃金法を廃止したら格差が広がるという主張は理解できません。今、最低賃金法がある時に
- Aさん:800円/時間×7時間/日=5600円/日
- Bさん:失業中で、0円/日
であったとします。最低賃金法が廃止された結果、失業者も仕事にありつくことができて、
- Aさん:800円/時間×7時間/日=5600円/日
- Bさん:400円/時間×7時間/日=2800円/日
となったとしましょう。二人の日給の格差は、5600円から2800円に縮小しました。このように、最低賃金法は、貧富の格差を拡大するのではなくて、縮小するのです。
永井俊哉 さんが書きました:
最低賃金法を廃止したら格差が広がるという主張は理解できません。
私の主張にも曖昧な点がありましたことはお詫びいたします。私の言う格差とは、国民全体の所得格差、簡単に言えば経営者と労働者の格差のことを指します。
経営者はリスクを取って会社を経営している訳ですから、経営に成功して報酬がいくらになろうと、僕は文句は言いません。永井先生の例えで言えば、最低賃金 時給800円が撤廃されて、時給400円で雇えるとなった場合、時給800円で雇っていたのは、最低賃金法があったからであって、時給400円でも雇えるのなら、それに置き変わっていきます。
結局は、経営者は安い労働力に置き換えて行くことで、報酬は増やしていけますが、労働者は低賃金にさらされ格差が広がる一方です。
もちろん、そう簡単に安い労働力に置き換えできるのか?という問題もありますし、経営者が成功してもっと雇用を作り出した方が労働者にとって得なのだという考え方も理解できます。当然、競争相手は、発展途上国との競争もある訳で、国内の賃金がうまく行けばよいという訳ではないのも理解できます。
私が主張するのは、・最低賃金すらクリアできないような経営など無意味な事業だと思いますし、そういうものは裕福な人たちなり余裕がある人が道楽でやれば良いお話です。それは、雇用ではありませんので、好きな人がやれば良いお話です。・雇用する以上は、労働者に最低賃金以上の価値を生む仕事を与えて利益を生むべきであって、雇用側にそのような仕事を用意する義務を負わせるべきです。そのようなある程度でも価値ある仕事を用意することで、労働者も経験が付き、経営者になれる可能性も増えます。・結局、どのような社会が望ましいかなのですが、上記のような理由で、 最低賃金を撤廃すれば、格差は固定される方向になると考えます。 その観点から僕は撤廃には反対です。
私は電子部品業界におりましたが、価格競争が激しすぎて、実際何やっているのか?と言われれば基本的にいわば手抜きです。検査をきちんとしていたものをやらないとか、材料費をいかに削るか?です。本当はそんなことしたくもないのだが、どこまでなら不良は出さずに済むのかとギリギリの判断ばかりしているのが実情です。そういう知恵を絞っているので、効率が上がって安く作れるということになり、たしかに進歩するのですが、危なっかしい判断ばかり迫られますので、市場原理ばかりで良いのかというと、少々疑問はあります。(一番正しいが、必ずしも正しいとは思えないという意味で)
最低賃金を撤廃するのであれば、それと一緒に所得の分配などワンセットの政策が必要と考えます。最低賃金を撤廃するしないの議論は、最終的にどのような社会が望ましいのか?それも踏まえて考えなければいけない議論だと思います。
あいはばぺん さんが書きました:
経営者は安い労働力に置き換えて行くことで、報酬は増やしていけますが、労働者は低賃金にさらされ格差が広がる一方です。
労働者の賃金を下げざるを得ない、あるいはそれが無理なら解雇せざるをえない無能な経営者は、自身の報酬も減らさざるを得ません。あいはばぺんさんは電子部品業界にいたということですから、日本のエレクトロニクス業界で今何が起きているかはよくわかっているかと思います。
業績が急速に悪化したソニーは、ハワード・ストリンガー会長や、平井一夫社長ら執行役7人が平成24年3月期の業績連動報酬を全額返上する。前期は執行役8人に計2億2400万円が支払われた業績連動報酬がゼロになり、前期に約8億6300万円で2位だったストリンガー会長の報酬も大きく落ち込む。パナソニックも、取締役1人当たりの報酬額が約170万円減る。27日に会長に就任する大坪文雄社長と、社長に昇格する津賀一宏専務が、役員報酬を7月から半年間にわたり、3割程度減額することで調整しており、経営責任を明確にする。前期に、カルロス・ゴーン社長が国内上場企業で最高額の9億8200万円の報酬を得た日産自動車は、24年3月期も総額で前期比4・4%増の17億4900万円と他社を圧倒する。[11]
日産の社長は高額報酬を得ていますが、日産では労働者の賃金も上がっています。このように、格差は経営者と労働者の間にできるというよりも、有能な経営者/労働者と無能な経営者/労働者との間にできると見るべきでしょう。有能な労働者ならば、無能な経営者が賃金を下げようとしても、もっと待遇の良い職場に転職することができます。そうした格差は、最低賃金法の廃止によって生まれたのではなくて、この法律とは無関係にもともと存在していた格差です。
私は最低賃金を下げる政策はデフレ加速政策だと考えております。なぜかといえば賃金が抑えられれば国内消費は冷え込むため、市場は縮小していきます。そうなればモノは売れなくなりますます賃金は抑えられます。日本は内需依存度が高いため内需がなくなれば雇用は悪化します。
しかし永井俊哉先生は反論しました。最低賃金の労働者は限定的であり消費は冷え込まない、むしろ今まで最低賃金の水準に達していなかったの方も働くため可処分所得の負担が軽くなり消費は伸びる、と
私は最低賃金先進国の韓国を例に上げました。個人は疲弊し、蓄えがあるのは多国籍企業とそこの労働者だけだと
永井俊哉先生は反論しました。GDPなどの数値を示し、国民所得などは上がってると
ここまでが、私が理解してる大まかな内容。そして新たに反論します。韓国は最低賃金の規制が弛いため多国籍企業と奴隷労働者の国家になっています。生産=分配=支出のうち支出はドーピングによるものです。世帯平均8000万ウォンの借金で支出を支えています。この数値は物価上昇率や可処分所得の上昇率よりも高い上昇率です。近いうちに消費市場の誤魔化しは効かなくなります。そうすればデフレ止まらなくなるでしょう。
つまり、最低賃金引き下げはデフレ加速政策であり最低賃金を下げて今の日本国内消市場が維持できるはずはありませんし、内需依存の高い日本で国内市場が減った分だけ替わりをつとめられる規模の多国籍企業はくるはずもなく、どう考えてももはやこれまでです。
サイモン さんが書きました:
韓国は最低賃金の規制が弛いため…デフレ止まらなくなるでしょう。つまり、最低賃金引き下げはデフレ加速政策であり…
サイモンさんは、韓国経済が現在デフレだと思っているのですか。韓国では、2008年2月に誕生した李明博政権が、輸出を拡大しようとウォン安政策を進めた結果、インフレになってしまいました。最近は少し落ち着いているようですが、日本のようにデフレということはありません。さらに、以下の昨日の記事によると、韓国の賃金は、名目のみならず実質でも上昇しているとのことです。
韓国雇用労働部によると、1~4月に名目賃金の前年同月比の上昇率は月平均6.9%と、2011年の1.2%に比べ大幅に拡大した。物価変動の影響を除いた実質賃金の上昇率も、昨年は2.7%のマイナスだったが、今年は4月までの平均が3.8%のプラスを記録している。賃金の上昇に、物価上昇を懸念する声が上がっている。消費者物価の上昇率は4カ月連続で2%台と安定しているが、賃金の上昇率はこれを上回る。 5月に韓国銀行(中央銀行)の意思決定機関である金融通貨委員会で、ある委員は「今年に入り賃金が高水準の上昇率を示している。インフレ期待をあおる要因」と指摘した。このほか、「例年水準を大きく上回る賃金上昇が、原価引き上げ要因として作用して物価を上昇させ、物価に対する不安心理を刺激する可能性が高い」などの意見も示された。その一方で、物価に大きな影響を与えないとの見方も少なくない。民間シンクタンク、現代経済研究院の関係者は「最近のインフレ期待は原油や穀物、食料品、公共料金など供給面での影響が大きい」と話した。雇用労働部関係者も、最近の賃金上昇は、世界的な金融危機の影響で昨年の上昇率が低かった反動との見解を示した。[12]
なお、韓国では、雇用労働部の最低賃金委員会が最低賃金を決めており、非正規労働者にも最低賃金法が適用されるそうです。
韓国経済はインフレとデフレが合わさったスタグフレーションだと理解しております。なので一番懸念すべきはハイパーインフレです。
永井俊哉先生はリフレ政策を提唱しておられますが、賃金引き下げ(私の中ではデフレ加速政策)とインフレ政策を同時にするならまさにスタグフレに突入するとの認識です。
サイモン さんが書きました:
韓国経済はインフレとデフレが合わさったスタグフレーションだと理解しております。なので一番懸念すべきはハイパーインフレです。
スタグフレーションは、インフレとデフレの合成で生じるのではありません。そういう誤解は、デフレをたんなる不景気と同一視することで生まれます。スタグフレーションは、インフレが長期にわたって持続した結果、物不足で起きる現象で、物余りとなるデフレとは異なります。ハイパーインフレは、政府の徴税力がゼロ同然とマーケットが判断する時に起きる現象で、また別の概念と理解するべきです。そもそも、韓国には日本と同様、最低賃金の規制があるのだから、韓国の悪口を言っても、最低賃金法を擁護することにはなりません。
サイモン さんが書きました:
永井俊哉先生はリフレ政策を提唱しておられますが、賃金引き下げ(私の中ではデフレ加速政策)とインフレ政策を同時にするならまさにスタグフレに突入するとの認識です。
最低賃金法を廃止すると、それまで価格がゼロだった労働力に値段が付くようになるのだから、それを賃金引き下げと表現するのはおかしい。リフレ政策により、期待インフレ率がプラスになれば、企業の投資意欲も高まり、労働需要も増えるので、両者は同時に行えば、効果的です。
返事が遅れまして申し訳ございません。
反例としてパナソニックの例を挙げていただきましたが、一例であって本当に最低賃金を撤廃すれば良いのかと言われれば、違うようにも思います。のでありますが、ただ、私が思っていた主張に、矛盾が生じているのに気づき、最低賃金の撤廃は正しいのだろうかと考えさせられました。ということで、これから述べることは反論ではなく、ただの意見、見解としてで読み流してください。
小泉政権下で製造業の派遣社員が増えましたが、あの時の製造業は異様に好景気でした。私としては、今でも結果的には非常に良い政策だったと思ってます。それで言われたのが格差の拡大で非難轟々でした。それから派遣社員禁止みたいな方向に向かいましたが、本来は制度の失敗だと思っています。
派遣社員は解雇のリスクがあるのだから、正社員より高月給であるべきだと思ってます。だだ、簡単に解雇できる契約形態を表立ってできない以上、派遣会社を通じてという形をとらざろうえなくなり、言葉は悪いがピンハネされた状態で働くものだから、派遣社員は正社員以下の給料で働かされるという弊害が生じたと、私は思っています。
派遣社員の場合は、派遣会社にそれなりのお金を払っている訳で、それなりの出費はしている訳ですが、それ以前であれば、ブラジル人やらスリランカ人やらイラン人もありました。全部、母国に帰ってしまい、それなら日本人の派遣社員の方が全然マシでしたが。
派遣社員の市場が活気づいていた頃の方が、仕事はありましたし、選択肢はたくさんありました。今はと言うと、みんな苦しいだけじゃんと。
一方で、派遣社員と呼ばれる安い人材(本当はいっぱい貰うべきで、なぜか低賃金にさらされている人たちではあるが)を歓迎して、最低賃金の撤廃は違うと言っている自分の主張の矛盾があり、いろいろ考えさせられました。
最低賃金を撤廃することが正しいかと言われれば、やっぱり違うとは思ってはいますが、まずは自分の考えを整理し、反論できるのであれば反論させていただきます。
あいはばぺん さんが書きました:
簡単に解雇できる契約形態を表立ってできない以上、派遣会社を通じてという形をとらざろうえなくなり、言葉は悪いがピンハネされた状態で働くものだから、派遣社員は正社員以下の給料で働かされるという弊害が生じたと、私は思っています。
この認識は正しい。企業がコストゼロで自由に従業員を解雇することができるようになれば、従業員を直接雇用するようになるので、現在の派遣業が行っているようなピンハネはなくなります(参考記事:どうすれば労働者の待遇は良くなるのか)。
以下の日経の記事が示すように、政府が資格取得支援を行っても、生活保護受給者の就労には必ずしもつながらない。
生活保護の一つで就職支援のために支給される技能修得費について、会計検査院が23都道府県を抽出検査したところ、2009、10年度の1万3550件のうち36%の4948件(支給額1億2323万円)で受給者の就職に結びついていないことが19日、分かった。私的流用されたケースもあり、検査院は厚生労働省に改善を求めた。
技能修得費は、就職のために資格や免許が必要な場合に最大で年間38万円が現金で支給される。検査院によると、全体の9%にあたる1269件(同3566万円)で、受給者が生活費に転用したり受講した研修課程を途中でやめたりして、資格を取得していなかった。
検査院が調べた事例では、就職のため自動車の運転免許を取得するとして10年5月に約31万円を支給された受給者が、実際には2日間しか教習を受けず、自動車学校に支払った約6万円以外の残額を生活費に使っていたという。
また、資格は取得したが、就職できていないケースも3679件(同8757万円)あった。就職できるかどうかは雇用情勢にも左右されるが、検査院は「自治体が自立に向けた助言や指導を継続的に行っていない面もある」と指摘した。
厚労省によると、技能修得費の流用が発覚した場合は、各自治体が受給者から事情を聴き返還手続きをとるが、どの程度返還されたかは集計していない。同省保護課は「指摘を受け、技能修得費が効果的に使われるよう検討する」としている。[13]
資格を取得しても就職できないケースが27%ある。やはり、公的支出を減らすには、最低賃金法を廃止することで就労を促進し、働きながら学んでもらうのが一番良いのではないか。
民主党政権は、「最低賃金引き上げを円滑に実施するため、中小企業への支援を行う」という2009年のマニフェストを実現するべく、中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金を交付している。その趣旨は以下の通り。
この助成金は、地域別最低賃金額の大幅な引上げによって大きな影響を受ける地域の中小企業の事業主が、地域別最低賃金の引上げに先行して、当該事業場で最も低い賃金(以下「事業場内最低賃金」という。)を、計画的に時間給又は時間換算額(以下「時間給等」という。)800円以上に引き上げ、それに伴って業務改善を目的とした就業規則の作成・改正、賃金制度の整備、労働能率の増進に資する設備・器具の導入、研修等を実施した場合に、その経費の2分の1を助成することにより、当該地域における賃金水準の底上げを図り、もって最低賃金について「2020 年までのできる限り早期に全国最低800円を確保」することを円滑に実現することを目的とする。[14]
具体的には、「在庫管理、仕入業務の効率改善のためのPOSレジシステムの購入費用」、「作業効率及び安全性の向上を目指した工場、店舗等の改装、機器等の購入費用」、「新設備導入に必要な労働者の操作研修の費用労働能率の増進に資する設備・機器の導入」などのため、経費の2分の1(上限100万円)を補助金として交付するとのことである[15]。
しかし、こうした生産効率の改善は、本来企業が自ら行うべきことであり、かつ多くの企業が、大企業か中小企業かを問わず、既に行っていることである。そうした努力をして、従業員に高い賃金を払っている企業には何の恩恵もなく、努力を怠っている企業には政府が補助金を与えるという政策は、企業経営者に逆淘汰圧をかけることになり、きわめて好ましくない。現在、特例公債法の成立が遅れが原因で資金が枯渇しているようなので、この際、この事業そのものを止めてはどうだろうか。
2. 参照情報
- 後藤道夫, 中澤秀一, 木下武男, 今野晴貴, 福祉国家構想研究会『最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし 「雇用崩壊」を乗り超える』大月書店 (2018/10/17).
- 山田久『賃上げ立国論』日経BP (2020/2/12).
- 日本弁護士連合会貧困問題対策本部『最低賃金: 生活保障の基盤』岩波書店 (2019/11/7).
- ↑ここでの議論は、システム論フォーラムの「最低賃金法は必要か」からの転載です。
- ↑Card, David, and Alan Krueger. “Minimum Wages and Employment: A Case Study of the Fast Food Industry in New Jersey and Pennsylvania.” Cambridge, MA: National Bureau of Economic Research, October 1993; American Economic Review, Volume 84, no. 4. September 1994.
- ↑Minimum Wages (date) 2008 (author) David Neumark, William L. Wascher
- ↑Guest2625. “Hourly minimum wages in developed OECD countries, 2013." Licensed under CC-BY-SA
- ↑玉田桂子, and 大竹文雄. “生活保護制度は就労意欲を阻害しているか–アメリカの公的扶助制度との比較.” 日本経済研究センター『日本経済研究』JCER Economic Journal, no. 50 (September 2004): 38–62.
- ↑「生活保護受ける人の自殺率、平均の2倍以上 厚労省調査」『朝日新聞』2010年4月11日.
- ↑“Tokyo, which buys LNG on the Asian spot market at a price tied to oil, is currently paying about $16-$17 per million British thermal units. According to a recent Brookings Institution study, delivery of LNG from Alaska to Japan in 2020 will cost $11 or less, allowing for substantially lower import prices—and ensuring continued high Asian demand and a boon to the Alaskan economy." ― Michael Mazza and Gary Schmitt. “Turn Gas Into Geostrategy" WSJ.com. June 10, 2012.
- ↑「佐渡沖で油田調査 国内最大級の見方も」『日経新聞』2012/6/18.
- ↑川口大司「最低賃金は有効な貧困対策か」RIETI 2009年9月9日. 経済産業研究所 BBL. p. 11.
- ↑“「逆転現象」解消が焦点に 26日から最低賃金審"『日経新聞』2012/6/26.
- ↑「ソニー、パナ…役員報酬軒並みダウン 日産ゴーン氏は? 株主総会本格化」『産経新聞』2012.6.14.
- ↑「賃金が急上昇 物価安定への悪影響指摘も」『聯合ニュース』2012/07/10.
- ↑「生活保護の資格取得支援、就労つながらず36% 検査院指摘」『日経新聞』2012/10/19.
- ↑厚生労働省「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)交付要領」2012年3月1日.
- ↑厚生労働省「地域別支援策:最低賃金の大幅な引上げが必要な地域(700円以下の33県)の賃金水準の底上げを支援」
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この方法で幸福度が上がるのは男のみ
男性はお金のみで無く仕事が幸福に必要
シルバー人材センターは案件単位で仕事を請け負い、報酬を分け合うというのが一般的のようですが、最低賃金の下回るということが多いようです。とはいえシルバー人材センターに登録する時点で、賃金は二の次ですね。最近はタイミーという好きな時間にすぐにバイトを見つけられるサービスが着々と成長を遂げているようです。実質案件単位の様相です。時間あたりの賃金を決めて一定期間雇うという方法から、案件単位×マッチングという募集方法は最低賃金法廃止した地方におすすめのやり方のように思います。労災なども考えなければいけませんが。
厚生労働省曰く「労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません」。つまり、労働保険(労災保険と雇用保険)は、すべての労働者に適用されるということです。
労働者扱いより、個人事業主扱いの雇用形態が地方でも増えるとき、マッチングアプリに可能性を感じます。
あとアメリカはチップ文化ですが、もし現状の日本の最低賃金が今後据え置かれれば、日本にチップ文化が生まれる気がします。チップ文化というのは、ともすると事業主が低い賃金で雇いたいときに、最低賃金が低く抑えられていて、かつ最低賃金の低さによって活性化した経済の恩恵が大きいときに、報酬が受益者より支払われる現象なのかもしれません。
参考 アメリカの最低賃金は、連邦法による最低賃金と、州法による最低賃金があり、高いほうが採用されるようです。